もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第百二十九話 AtoZ/確定した勝利

トリガードーパントとアクセルは一進一退の攻防を続けていた。

アクセルがエンジンブレードで斬りかかればそれを紙一重で避けたトリガードーパントがアクセルの頭に銃を向けて引き金を引く。

 

それを頭だけ動かして回避してまた斬り付ける。

ゼロ距離の戦いが行われていたのだ。

原作の照井ならばこの様な高度な読み合いが必要になる戦いをNEVER相手には出来なかったが、これまで数々の激戦を繰り広げてきた今の照井ならば可能となっていた。

 

しかし、お互いに決定打が出ず膠着していることを理解すると両者とも一歩下がった。

アクセルはトライアルメモリを起動する。

 

「TRIAL」

 

アクセルはメモリを装填しスロットルを思いっきり回す。

アクセルトライアルへと変身が完了するとトリガードーパントへ高速で近付いた。

対してトリガードーパントは今までのような威力を上げた攻撃ではなく連射性を重視した銃撃に変えて量で高速で移動するアクセルの移動ルートを限定させようと行動し始めた。

 

無数に放たれる弾をアクセルは回避しながら近付いていく。

そして、トリガードーパントの目の前まで到達したアクセルの胸元に銃身が押し付けられた。

「ゲームオーバー」

トリガードーパントがそう言って弾を撃つが突如アクセルの姿が消えた。

「何?」

「後ろだ。」

 

照井は誘われるていることが分かっていたのでトライアルメモリを抜いて右手に持ち何時でもマキシマムを発動できるようにしていた。

そして、銃を胸元に押し付けられた瞬間にトライアルのスイッチを押して上に投げた。

 

速度がマキシマムにより更に上がった照井は押し付けられた銃を支点に回転しトリガードーパントの視界を振り切った。

そのまま背後に立ったのだ。

照井の声に気付き振り向いたトリガードーパントに連続で蹴りを加える。

 

止まること無き連撃はTの軌跡を描き落下するメモリをキャッチするとストップウォッチを止めた。

 

「TRIAL MAXIMUMDRIVE」

 

「8.2秒....タイムアップだ。」

照井がそう言うとトリガードーパントは爆発し人間の姿に戻った。

 

「後は、左達の方がどうなっているのか確認しないとな。」

そう言うと照井は風都タワー内部へと入っていくのだった。

 

 

 

一方、園咲邸での戦いも膠着状態にあった。

キースの使うフェニックスメモリの再生能力により数々のドーパントの攻撃が無効化されていたのだ。

 

レオメモリの重力攻撃や、ゴーゴンメモリの石化能力すらフェニックスメモリの黄金の炎は回復させてしまった。

 

しかし、キースも黄金の炎を相手にぶつけようとすればテラーとデーモンメモリの恐怖のエネルギーと黒炎に阻まれていた。

 

尚、シルバーメモリのデビルやシープも攻撃は加えているが全く意味はなかった。

「やれやれ、これでは埒が空かないな。」

キースのその言葉に無名が反応する。

 

「そう思うのならその金色の炎を使わなくなればこの戦いは直ぐにでも終わりますよ?」

「おい、無名!無駄話する暇があるならさっさと攻撃しろ。」

「そう言わないの獅子神君、現状ゴールドメモリで最大火力を出せる貴方の攻撃が効かなかったんだから少しぐらい言葉を交えたって問題ないわよ。」

 

「....ちっ!舐めるなよ!

お前の再生能力がどれだけ強かろうとコレに勝てるのか?」

そう言って獅子神は掌に太陽を作ろうとするのを無名が止める。

「ここを焼け野原にするつもりですか?

それに貴方は無事でも周囲の人達がダメージを受ける危険性もありますよ。」

 

「じゃあ、どうする!奴はミュージアムの敵だ!

ならば、完膚なきまで潰すだけだろう!」

「先ずはあの炎を何とかしましょう。

それとサラ、加頭さんはまだ来ないのですか?」

「連絡してるけど繋がらない。

多分、この戦いには間に合わないでしょうね。」

 

フェニックスメモリの再生の炎とユートピアメモリの希望を吸収し力に変える能力は相性が良かったのたが、丁度いないタイミングで襲われたことに無名は唇を噛んだ。

(だからと言ってここで負けて良い理由にはならないんですがね。)

無名は黒炎を槍に変えると堂本直伝の棒術でキースに攻撃を仕掛ける。

 

「そんな攻撃効くと思って...」

キースがそう言って受けようとするが途中で攻撃を回避した。

「おや、珍しいですね避けるなんて...」

「小賢しい真似を....」

無名の槍にはうっすらとだが黒炎が纏われていた。

もし、このままキースが槍に貫かれていたら再生の炎が阻害されて槍によるダメージを受けるところだった。

 

「やはり、刺突では貴方の能力を十分に発揮できないようですね。」

無名が続けて槍をキースに振るう。

「何度も同じ手を」

「敵はボクだけじゃありませんよ?」

すると、キースの身体が突如、無名の持つ槍へと引き寄せられる。

無名の後ろから獅子神がレオメモリの力を使い引力を発動させたのだ。

キースは止まろうと地面に爪を立てるが爪が突如、石化し砕けてしまう。

そしてそのまま右胸に無名の槍が突き刺さった。

再生の炎が無名の黒炎により阻害されているため回復が出来ずキースは呻き声を上げる。

 

「油断大敵....敵は私達三人だけじゃないわよ?」

そう言うサラの背後でテラードーパントが恐怖のエネルギーを壁のように生成する。

「それで無名ごと私を押し潰すつもりか!」

「まさか、君と違って無名は貴重な人材だ...これはこうするんだよ。」

すると、背後にいたタブードーパントとスミロドンドーパントが壁に向かってエネルギー弾を放つ。

 

放たれた光弾は壁に当たると中を通り抜けてキースに直撃した。

そのダメージもキースは回復することが出来ない。

「私の力でコーティングすれば攻撃は通るようだね。」

「成る程....では次は私が行きましょう。」

ウェザードーパントが腕を上げるとそこから嵐が現れて巨大な腕の形へと変わっていく。

「1つの都市をまるごと破壊できる竜巻と雷を固めた一撃です。

なにぶん初めて使うので威力がどうかは分かりませんがまぁ、弱いことはないでしょう。」

 

そう言ってテラーの生み出した壁に向かいその腕を振るった。

嵐を凝縮させた巨腕はテラーの壁を飲み込み漆黒の腕に変わると無名ごとキースに直撃した。

キースのいた場所にテラーのエネルギーにより黒く染まった竜巻が発生している。

すると、テラーの背後から黒炎のゲートが現れるとそこから無名が現れた。

 

「ボクごと殺ろうとするなんて....そんなに嫌いですか?」

「いえいえ、貴方なら避けられるだろうと言う確信があったから使っただけですよ。」

「しかし、これでキースは死にますかね?」

「どうでしょうか...しかし、テラーのエネルギーと強化されたウェザーの力を合わせて食らったのですから無傷ではいられない筈ですよ。」

 

そんな話をしていると竜巻から黄金の炎が溢れだし爆発した。

その威力により内部の竜巻を消し去る。

中からはボロボロになったフェニックスドーパントであるキースが現れた。

「はぁはぁ....流石はミュージアム全戦力、一筋縄では行かないか。」

「やはり、生きてましたか。如何致しますか琉兵衛様?」

「愚問だね。

彼は処刑する....その結末は変わらないよ。」

 

「そう言うことだ....今なら俺の攻撃も通るだろう。」

獅子神は手に力を込めるとキースにトドメを刺そうとする。

しかし、この瞬間を待っていたようにキースは言った。

「"数秒、止まれ。"」

キースの言葉にその場にいた全員が従ってしまう。

その瞬間、キースは黄金の炎を辺り一面に放出した。

琉兵衛と無名だけは身体を黒炎と恐怖のエネルギーで覆い炎を回避するが、他の者は全員この炎を受けて倒れてしまった。

 

「これは一体?」

琉兵衛が疑問符を浮かべるとキースが答える。

「フェニックスメモリの能力で再生に使用した個体の力を、短時間で限定的にだが使用できる能力があるのだよ。

今使ったのはワードメモリの制約の力だ。

数秒時間を稼げれば勝てる手段があって助かったよ。」

「成る程、ですが琉兵衛様とボクはまだ残ってますよ?

この状況でまだ勝てると本気で思っているのですか?」

 

「勿論、既に私の勝利は確定しているんだよ。

"エクスビッカーが起動した時点でな"。」

「どういう意味です?」

「最新メモリ26本分のマキシマムが今、風都タワーに蓄積している。

これがあればどんなことも出来る。」

 

「新たなメモリを作り出すこともな。」

「新たなメモリ?」

「ミュージアムや財団と戦う上で最も困難な事は武力の差を埋めることだ。

それもエターナルの様な無効化ではなく力による圧倒的な優位性....それを手に入れる。」

 

ここで無名はキースより与えられた言葉の中で推察を始める。

(26本のメモリの力を使って新たなメモリを作る?

そんな事、可能なのか?

だが、仮にそんな事が出来たとしてもそれで何故、勝利に繋がる?

そもそも、キースのこの余裕は.....)

 

ここで、無名はフェニックスメモリの力を思い出し理解した。

キースがこれから何を行おうとしているのか。

(もし、ボクの予想通りだとすれば急いで止めないと!キースの思惑通りに進めたら対処なんて出来なくなる。)

無名は焦ったように黒炎で槍を作るとキースに向けて突きはなった。

「もう遅い....全てのピースは揃った。」

 

するとキースは黄金の炎へと変わるとその場から姿を消した。

「グッ!逃がしたか!

琉兵衛様、至急キースを追います!」

珍しく焦る無名に琉兵衛が尋ねる。

「どう言うことだ?

奴の狙いは一体何なのだ?」

 

「新しいメモリを作り上げるんです"26本のメモリ全ての力を集約して"」

「全てだと?だが、そんな事は不可能だろう。」

「えぇ、普通のやり方では不可能です。

自分自身がメモリになるなんて考え方をしない限りは」

 

「何?」

「フェニックスメモリの時点で気付くべきでした。

あれは肉体と精神をデータ化して保存する機能があります。

だからこそあんな芸当が出来るんです。

そんな人物にとって肉体の存在などさして意味をなさない。

何故なら自分とメモリの存在は同義なんですから」

 

「だが、方法はどうするんだ?」

「フェニックスメモリと今風都タワーにいる存在があれば可能です。

ですから、早く行かないと」

 

 

「キースの最後のピースは"大道克己のクローン"です。」

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