もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第百三十三話 AtoZ/死人の忠告

エデンドーパントを倒したWとエターナルは半壊した風都タワーの上に佇んでいた。

Wが変身解除するとその場に翔太郎とフィリップが現れる。

 

そしてエターナルの着けていたドライバーから火花が出ると変身解除された。

そしてロストドライバーが落下する。

「どうやら、今度はドライバーがもたなかった様だな。」

そんな事を言っていると克己の懐から振動が起こる。

携帯から着信があったようで取って話を始めた。

「俺だ....そうだ決着は着けた....!?本当か!分かったありがとう。」

そうして電話を切ると克己がフィリップ達に言った。

「お袋の容体が安定したらしい。

取り敢えず峠は越えたそうだ。」

「マリアさんが....良かった。」

 

克己の言葉を聞くと今度はフィリップが話し始める。

「君には謝罪しなければならない.....

冷静さを欠いた僕の行動がマリアさんの命を奪いかけた。

君から実の母親を奪うところだった。

本当に申し訳ない。」

そう言って頭を下げるフィリップの肩に克己が手を置く。

「お前に協力する判断を下したのはお袋だ。

お袋もきっと後悔してないと言った筈だ。

....お前の"大切な者"は救えたのか?」

「まだ分からない。

でも僕は仮面ライダーだ.....敵だとしても命は救いたい。

今言えるのはそれだけだ。」

「まぁ、最初の不甲斐ない姿から考えれば上出来だ。

頑張れよ....」

そう言うと克己はフィリップに握手を求める。

フィリップが応じて手を繋ぐと克己に引き寄せられ耳元で何か言われた。

その後直ぐにフィリップを離した。

 

 

何だが分からない顔をしながらも翔太郎は克己に尋ねる。

「これからどうするんだ克己?

このまま風都にいるのか?」

翔太郎の問いに克己が答える。

 

「それも悪くないが俺達の事は風都に"悪い意味"で知れ渡ってる。

例えクローンが起こした事件でも世間はそう見ないだろう?」

克己の言う通り、風都タワーが占拠された後のニュースで大道 克己やNEVERの面々が犯人だと放送されていた。

 

「俺は、俺達の居場所(孤島)に帰ることにする。」

「......そっか、まぁ頑張れよ。」

「お前もな翔太郎。」

 

そう言って立ち去ろうとすると不意に止まり二人に向き直る。

「俺の故郷をよろしく頼むぞ仮面ライダー。」

そう言うと克己は去っていった。

その場に翔太郎とフィリップしかいなくなると両者とも糸が切れた様に地面に座り込んだ。

 

「ハァハァ....こりゃ暫く探偵業は休みだな。」

「やっぱり、そっちもダメージが残っていたようだね翔太郎。」

お互いに限界に近い状態での連戦やツインマキシマムの使用でもう指一本ですら動かせない程の疲労が蓄積されていた。

しかし、二人の顔は晴れやかだった。

風都タワーは壊れてしまったが街と市民は守り抜いた。

二人は笑顔のまま風都タワーで少し身体を休めるのだった。

 

 

 

琉兵衛がキースとの戦いで無事だった部屋に入り事態の終息を行っていた。

冴子や他幹部が目覚めたことで現在、ミュージアムの立て直しは迅速に進んでいた。

若菜が救出されてから浮かない顔を続けているが命に別状はなかった。

現段階やることを終えた琉兵衛は師上院のドライバーを見つめながら考え事をしていた。

師上院は琉兵衛が若い頃から仕えてくれた執事であり、ミュージアムと言う組織を作る上でも彼の尽力は蔑ろに出来るものではなかった。

ワードメモリによる"契約"の力でこれまで組織に有益な結果を残してくれた。

 

だが、キースにより殺害されその時にメモリも一緒に砕けてしまった。

これが何を意味するのか琉兵衛には良く分かっていた。

(ワードメモリが破壊された事でこれまでの契約は白紙状態に戻された。

三人の幹部との契約もそうだが他にも複数の契約をしている者も沢山いる。

もし、契約が無くなったとそいつらが知ったらどんな行動を起こすのか分かったものでは無い。)

 

その中でも今もっとも危険視しているのは無名.....いや"ゴエティア"の存在だろう。

(一度確認しなくてはならない。

敵ならば容赦はしないが味方ならば利用価値は大いにある。)

 

そう決定付けると琉兵衛は無名に連絡を図った。

無名は直ぐに琉兵衛の連絡に出た。

「琉兵衛様....無名です。」

「今君は何処にいるのかね?」

「今はNEVERと共に孤島へ帰還している最中です。」

 

「そうか....実は二人だけで話をしたくてね。

時間を空けてくれないかね?」

「そうですか.....実は"私"とNEVERのメンバーは今回の件でダメージをかなり負ってしまい、その回復が必要になり孤島に戻ろうとしたのです。

ですからお会いするにしても時間を要してしまうと思いますが......」

「構わないよ。

私は君と話したくて連絡したんだからね。」

 

 

 

 

「"ゴエティア"。」

「.....一体何の事で」

「惚けなくて良い。君が無名でないことは最初に話した時に分かっていた。

それにこれは私と君二人だけの会話だ。

何も取り繕う必要はないよ。」

 

琉兵衛がそう言うと電話越しの無名の口調が変わった。

「....貴方の記憶は何度も書き換えた筈だ。

私の事を覚えていることなどあり得ない。

一体何をしたんだ?園咲琉兵衛。」

「随分と焦っているようだなゴエティア。

そんなに私にお前の記憶があることが困ることなのか?」

 

「....まぁ良い。

私と話がしたいとさっき言っていたが話なら今ここで済ませたらどうだ?

二人しか聞いていないのならそれで問題ないだろう。」

「そんな面白くないことは出来ないな。

漸く、君と"対面"出来るんだ。

それなりの礼節を持って接するべきだろう?」

 

「我々よりも遥か上の"上位種だった君達"に対しては...」

「どうやら、本当に全て知っているらしいな。

目的はなんだ?

私を消すつもりか?」

「その事も含めて話そうじゃないか。

お互いに疑問が解決していない。

それを解消する必要がある.....違うかい?」

 

「成る程、最もな言い分だ。

だが、この入れ物は先の戦いでかなりダメージを負っている。

暫くは回復に専念しなければ動くことも出来ない。」

「そうか、なら動ける様になったら会おうじゃないか。

それまでこの話は我々二人だけの秘密だ。

勿論、無名にもね。」

 

「良いだろう。

その方が私としても都合が良い。」

「では、ゴエティア....次会う日も楽しみにしているよ。」

そう言うと電話を切った。

 

さぁ、賽は投げられた。

私は自分の目的を達成するためなら悪魔とでも手を組む覚悟がある。

だが、相手は何度も私を絶望に落とした存在だ....油断は出来ない。

先ずは....無名の持つ選択肢を減らそうか。

そうすればゴエティアは自分で動かざるを得なくなる。

それに無名自身からもどうしたいのか聞かなくてはな。

 

彼は私の大切な部下だ。

例え"悪魔が同居"していてもその価値は計り知れない。

 

「悪いが、今度は私が"勝たせて"貰うぞ。」

琉兵衛は先程と違い不敵な笑みを浮かべながら椅子に深く座り込むのだった。

 

 

 

 

Another side

 

無名がNEVERドライバーを取りに来た隠れ家の地面から一本の金色のメモリが勝手に動きだし空中で制止するとメモリが起動された。

 

Nemesis(ネメシス)

 

すると、メモリが炎に包まれて人の形を為すと炎が収まり"シュラウド"が中から現れた。

しかし、シュラウドは倒れる身体を壁にもたれ掛かり抑える。

「ハァハァハァ、まさか私のメモリが機能停止するなんて....油断していたわ。」

 

"ネメシスメモリ"はシュラウド....園咲文音が使用していたガイアメモリだった。

そして、その真価は奇しくも園咲琉兵衛から恐怖のエネルギーを注ぎ込まれた事で発揮した。

恐怖その物が人を飲み込むテラーメモリの力はどんな人間でも悲惨な末路を与えられる。

 

だが、ネメシスメモリを使っていた文音は体内に蓄積された恐怖のエネルギーを利用し肉体を別物質に変換させて消え行く命を延命させていたのだ。

その代償として彼女は2つの大きな欠点を負った。

一つ目は体内に恐怖のエネルギーを蓄えるため身体に蠢く黒い模様が残ってしまった。

 

だからこそ、シュラウドになる際それを見られないように顔に包帯を着けて全身黒づくめの格好になった。

もう一つがメモリに常に使用者がエネルギーを与えること.....

 

そうしてネメシスメモリが欲したエネルギーこそシュラウドの根幹をなす"復讐心"だった。

シュラウドが復讐に拘るもう一つの理由が自分の命の延命でもあったのだ。

そんなシュラウドも今回の一件では肝を冷やした。

エターナルメモリのマキシマムはネメシスメモリの稼働すら停止させてしまったのだ。

 

シュラウドは自分の命が消える刹那にメモリに自分の肉体を移していたから助かったのだ。

シュラウドは近くの机に両手で体重を支えると周りを確認した。

誰か来た跡がありドライバーを入れていたアタッシュケースが無くなっていた。

 

(これは....無名ね。

あのドライバーを持っていったと言うことは使い道があったのかしら)

シュラウドは椅子に腰かけると身体を休めメモリの力が身体に浸透するのを待っていく。

「それにしても一体どうやればここまで根回しが出来るのかしら?

まるで"未来を知っていなければ"説明がつかないことばかりやる子ね。」

 

少し落ち着いていたシュラウドは机の中に仕舞われていた3つの書類を取り出した。

両方とも無名が提案してきた計画がかかれている。

其々に使用するメモリや人物に由来する名前が書かれていた。

表紙には「ACCEL」「DEMON」「NEMESIS」と書かれている。

 

3つとも中身を見ていたシュラウドは一人考える。

本当にこれを実行するべきなのかと

(無名の言う通りならこれらをやることには意味がある事は分かる。

でも、それで本当に上手くいく保証はない。

そもそも何故ここまで無名が先を読めるのかが論理的に説明できない。)

「少し、調べる必要があるかしら」

 

そう言うとシュラウドはラビットソフトからメモリを抜きパソコンの状態にする。

ラビットソフトには面白い能力があり、シュラウドが作り出したメモリガジェットが見ていた映像を保存する機能がある。

これを使い、この事件の最中に起動していたガジェットの映像を確かめる。

 

そこでシュラウドはデーモンエクストリームの映像を見つけて戦慄を覚えるのだった。

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