もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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本編再開
第百三十四話 見つめるZ/新たな依頼人


大道克己のクローンによる風都タワーでのテロが終わると街は元の活気を取り戻しつつあった。

壊された風都タワーも着々と修理が進んでいた。

 

順風満帆に思えたこのタイミングで翔太郎は風邪を引いてしまった。

しかも、バイラスドーパントの時みたいな本格的な風邪になってしまったのだ。

 

「ブァクション!」

 

「はぁ、大丈夫かい翔太郎?」

「ズビーッ!...あぁ、面目ねぇ。」

 

そんな翔太郎を見た亜樹子が呆れながら言う。

「全く、風都タワーの事件を解決して気が抜けたんじゃないの?」

「そうかもしんねぇな。」

「でも、こんな状況じゃ仕事所ではではないね今日は休みだって伝えないと....」

 

そんな話をしていると事務所の扉が開き一人の女性が入ってきた。

「あの.....すいませんここは鳴海荘吉探偵事務所で間違いありませんか?」

入ってきた女性、禅空寺 香澄(ぜんくうじ かすみ)はフィリップから見ても綺麗な女性だった。

 

彼女曰く、高名な探偵である鳴海荘吉の後継者である左翔太郎の噂を聞きつけて依頼をしに来たらしい。

禅空寺の名前を聞いた亜樹子は思い出したように言った。

「禅空寺って....もしかしてZENONリゾートを経営している禅空寺家の事?」

「はい、一応は」

肯定の言葉を聞いた亜樹子はとても驚く。

 

園咲家程でないにしろ風都海岸一帯の土地を所有している富豪の一族だったからだ。

鳴海荘吉の後継者の噂を聞いて来てくれた依頼人に今のゾンビのような表情をしている翔太郎を見せるのを不憫だと考えたフィリップは一つ芝居を打つのだった。

 

フィリップは香澄に向かって言った。

「僕が"左 翔太郎"だ。」と......

 

 

フィリップ達が依頼を受けている時、照井は新田当麻の残した手帳からとあるオークション会場の情報を手に入れていた。

照井はいつもと違い黒のスーツに身を包むとその会場となる喫茶店に向かう。

喫茶店につくと中に通されウェイターが注文を取りに来た。

「"コーヒー"一つ....付け合わせに何か"刺激的"な物を貰おうか?」

そう言うとウェイターの表情が変わる。

 

「お客様、当店にそう言った物はございませんが...」

「あるだろう?取って置きの一品が...俺はそれが欲しいんだ。」

「承知致しました。

では、こちらに....」

そう言うとウェイターは照井を喫茶店の地下へと案内した。

地下にある食材の冷蔵室の扉を開けて奥にある電子ロックの扉にウェイターがカードを通すと扉が開いた。

 

 

中はとても暗く何も見えなかった。

「こちらをお持ちになって真っ直ぐ歩いてください。

少しすれば目的の場所に着きますので」

そう言ってウェイターに渡されたライトを片手に照井は歩いていった。

照井は周りを照らしながら辺りを確認する。

(ここは....地下鉄の路線か?

確か風都には使われなくなった地下鉄の駅が複数あると聞いたことがある....まさかここを使っているとはな。)

そうして探していると遠くに一つの明かりを見つけた。

少しすると黒服にピエロの様なマスクを着けた者達が照井を囲んだ。

 

「ようこそ、いらっしゃいました。

招待状を拝見しても宜しいでしょうか?」

そう言われた照井は懐からガイアメモリを取り出して見せた。

そのイニシャルを見た黒服がタブレットで何かを確認する。

「I...."Injury"のメモリですね?

ようこそお越しくださいました。

さぁ、どうぞ中へもうオークションは始まっていますよ。」

そう言うと黒服は招待客用のマスクを照井に渡した。

照井はそれを着けると中に入っていく。

 

(予めフィリップに検索を頼んでおいて良かった。)

ここに潜入するに辺りある程度の事はフィリップに検索して貰っていたのだ。

喫茶店での合言葉や入るのにメモリを見せる必要があることもフィリップが調べあげてくれた情報だった。

ついでに言えば照井が見せた"インジャリーメモリ"はガワだけ似せた偽物であった。

 

中にはいるとそこは劇場の様に改装された空間で会場には舞台にはオークションを指揮しているであろう人物を見つけることが出来た。

「では次の商品についての紹介です。」

そう言うと複数のメモリが台に乗って舞台に運ばれてきた。

「"ナイトタイム"様より新造のガイアメモリ五点です。

右から"ゴム" "ラプター" "ロード" "クラウド" "コンパス"となっております。

どれもまだミュージアムでも販売されていないレアリティの高いメモリとなっています。

最低購入価格は"1000万"からです。

それではどうぞ。」

 

そう言うと舞台の後ろから画面が出て来てそこにメモリの名前と下に金額が表示されたそれがドンドンと上がっていく。

(成る程、会場の客が手元の機械でオークションを行っているのか。)

照井が彼らを見ながらそう考えているととある人物に声をかけられた。

 

「失礼....良かったら隣で見ませんかな?」

「貴方は?」

「ここでは"コレクター"の名で通っています。

それよりもそこで立たれると他のお客の迷惑になります。

どうぞこちらに....」

コレクターと名乗る人物が自分の隣の席を指し示す。

照井はこの雰囲気に溶け込むためにもコレクターの横に座った。

 

「このオークションに来るのは始めてですか?」

「どうしてそう思ったんだ?」

「このオークションに一度でも来たことがある人物ならオークションの落札には席に取り付けられたこの端末を操作しなければいけないことは分かっています。

それなのに貴方は着いてから壁にもたれ掛かり見ていた。

それだけでオークションに来たことが無いのは丸分かりですよ。」

 

照井はコレクターに合わせるように話をした。

「実はそうなんです。

ここに来るのは始めてで......

良ければこのオークションについてお聞きしても宜しいですか?」

「えぇ、勿論。

お仲間は大歓迎ですから.....

では先ずこのオークションは通常では手に入らない裏の物を専門で扱う場所です。

薬物や重火器、奴隷や戸籍、そしてガイアメモリが主に売り出されますね。

欲しい物を見つけたら手元の端末を操作して金額を提示していく。

そこから先は普通のオークションと変わりません。

普通と違うことがあるとすれば、2つですね。」

 

「2つですか?」

「えぇ、1つ目は今回のオークションで最も金を使った者には特典があるんですよ。

"ナイトタイム"が直々に開催するパーティーへの招待状。

これを手にすることが財界人のステータスともなるぐらいには貴重な品物となっている。

だからこそ、このオークションには売れ残りは存在しない。

皆、買っていくんですよ招待状を手に入れるためにね。」

「実に興味深い話ですね。

コレクターさんもその招待状は持っているんですか?」

 

「えぇ、と言うより私はナイトタイムから直々に招待を受けているので手に入れる必要がそもそも無いんですがね。」

そんな話をしていると今行われている五本のメモリのオークションが佳境に入っていた。

最初の爆発的な金額の上昇が無くなり細かく上がることが増え始めていた。

「そろそろ落札されそうですね。」

そう言うとコレクターが溜め息をついた。

 

「全くみっともない。

こんな少額でチビチビと上げてオークションに勝利しよう等とは.....」

コレクターは少額と言うがもうメモリの値段は一本、"1億程度"には膨れ上がっていた。

「少額ですか?

私にはかなりの額に膨れ上がっていると思うのですが...」

「額の問題ではありませんよ。

本当に欲しい物なら相手を蹴落として力を見せつけて奪い取る事が必要なんですよ。」

 

「こんな風にね。」

 

そう言うと画面の額が一気に"二十億"まで引き上がり会場がざわついた。

そして、会場の者が諦めて落札を降りた結果、メモリ五本は落札された。

「素晴らしい!五本のメモリを一本二十億で落札です。

今回の落札者は....やはりこの方でしたか。

コレクター様、おめでとうございます。」

会場からコレクターに対する拍手が起こりコレクターはそれに一礼で返した。

 

「それでは本日のオークションはこれで終了致します。

最後に、本オークションで最も取引額の多かった人物の発表を行います。

それは.....コレクター様!

総合計"258億7800万"となります。

おめでとうございます!

これによりコレクター様にはナイトタイムが開催するパーティーへの招待状をお送り致します。

さぁ、どうぞ舞台の方へお越しください!」

そう言われてコレクターは舞台へと向かう。

その隙を見て照井は腕時計を触り何かの装置を作動させるのだった。

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