もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第百三十九 砕けるS/凶獣襲来

ZENONリゾートの地下施設へと落下したフィリップ達はギリギリのところでリボルギャリーに救われた。

香澄と弓岡は突然現れたマシンに驚く。

「こっ.....これは?」

「僕の仲間が呼んでくれた応援だよ。

リボルギャリーが来たならきっと彼も....」

 

フィリップがそう言うとスパイダーショックで天井にぶら下がっていた翔太郎が降りてくる。

「まさか、天井からドーパントが落ちてくるなんてな。

無事か?フィリップ、亜樹子。」

「君のお陰でね。

でも良く分かったね僕達がピンチになっているって、連絡すら出来なかったのに」

そう言うと翔太郎は帽子で顔を見せないようにしながら答える。

 

「当たり前だろ?

俺はお前の相棒だぜ?

嫌な予感がしててな動けるようになったら直ぐに向かおうと思ってたんだ。」

そう言うと翔太郎は香澄と弓岡に近付いていく。

「あんたらが今回の依頼人だな?

家のフィリップがすまなかったな。

俺の名前は左 翔太郎.....探偵へぶしっ!

 

翔太郎は二人の前で大きなくしゃみをして鼻から長い鼻水を垂らす。

いままでカッコつけていた分、落差が激しく仲間である亜樹子やフィリップですら翔太郎に悲しい目線を向ける。

「翔太郎.....」

「仕方ねぇだろ!こちとらまだ風邪引いている最中なんだよ。

.....あー早く効いてくれよ風邪薬。」

「翔太郎君、風邪薬飲んだの?」

「あぁ、適当に救急箱の薬をな。」

「適当って....」

「相棒が危ねぇってのに呑気に薬なんか飲めねぇだろうが!」

翔太郎はそう言いながらハンカチで垂れている鼻を拭いた。

そんな話をしていると天井からズードーパントとゼロドーパントが降りてきた。

 

「逃がさんぞ。

この私から逃げ切る事など....」

「ハクション!」

「.........」

ズードーパントの話を翔太郎のくしゃみが妨害する。

「ズズーッ、悪い続けてくれ。」

そんな中、ゼロドーパントが翔太郎に話しかける。

「貴方が来ることは分かってましたがまさか、"彼等"まで来るとは.....あの落ちてきたドーパントは貴方の知り合いですか?」

 

ゼロドーパントが翔太郎に尋ねる。

「知らねぇよ。

俺もいきなりで驚いたんだよ。

助けに来たらこんな地下に落とされちまったんだからな。

にしても、リゾートのにしては殺風景な場所だな?

ここで何をするつもりだったんだ?」

その問いに今度はフィリップが答えた。

 

「"ガイアメモリの製造所"を作るつもりだね?」

「製造所?....こんなところでガイアメモリを作るつもりだったのか?」

「ガイアメモリを作るには巨大な面積と高い密閉性、そしてGマイクロ波を使っても影響がない場所がいる。

このリゾートの地下はその条件を全てクリア出来るんだ。」

 

「その通りだ。

ここにガイアメモリの製造所を建ててガイアメモリを作ることが出来れば我々も風都のガイアメモリ販売に加われる。

そして、何れはミュージアムすら奪い取り我々がガイアメモリ販売のトップに...」

ブァックション!

 

ズードーパントが盛り上がってきたタイミングでまた翔太郎がくしゃみを行い怒りでズードーパントが手を震わせる。

「翔太郎、本当に薬は飲んで来たのかい?」

「わかんねぇ、適当に選んだ薬飲んで来ただけだからな...粉薬に錠剤にカプセル...」

「そんなに飲んだのかい?

飲み過ぎは身体に毒だよ?」

 

そんな二人が会話している中、ゼロドーパントはズードーパントに話しかける。

「俊英様、どちらにしてもこの地下の存在がバレてしまった以上ここで彼らを殺すしかありません。

上のイレギュラーに対応するためにも早く始末してしまいましょう。」

「そうだな。

俺もその方が良いと思ったところだ。

コイツらをさっさと始末して全てを解決....」

 

ビェーックション.....悪い。」

貴様ぁぁぁ!何度も何度もぉぉ!

 

キレたズードーパントが翔太郎に攻撃を仕掛ける。

翔太郎はそれを回避しながらドライバーをつけた。

「行くぜ、フィリップ!」

「あぁ、翔太郎!」

 

「CYCLONE,JOKER」

「「変身!」」

翔太郎とフィリップは声を合わせてドライバーにメモリを装填すると仮面ライダーW サイクロンジョーカーへと変身した。

 

「ならば、倒れた身体を狙う。」

ゼロドーパントが倒れたフィリップに向かおうとするがそれをエクストリームメモリが止めた。

「そう来ることは読んでいたよ。

来い!エクストリーム。」

フィリップがエクストリームメモリを掴むとドライバーに装填した。

 

「XTREAM」

 

エクストリームへ変身したWはプリズムビッカーを出現させると盾と剣で二体のドーパントを抑えた。

 

「亜樹子!依頼人をリボルギャリーに乗せてこっから離れろ!」

「うん!まかせんしゃい!」

亜樹子は香澄と弓岡をリボルギャリーに乗せると上の穴から逃亡した。

「くっ!こんなことをしてただでは済まさんぞ仮面ライダー!」

「そりゃ、こっちの台詞だ!

メモリ犯罪に手を染めるだけじゃなく生み出そうとするお前らを俺達は許さない!」

 

『「さぁ、お前の罪を数えろ。」』

そう言うとWは二体のドーパントと本格的な戦闘を始めるのだった。

 

 

一方その頃、リゾートから降ってきた巨大なドーパントは万灯に話しかける。

「すいません万灯さん。

少し力を込めすぎたみたいです。

まさか、ここまで脆いとは....」

「構わないよ。

"下に落ちた者達"は仮面ライダーの片割れが彼らを助けるだろう。

まさか、一緒のタイミングで降りてくるとは思わなかったが....」

そんなやり取りをする二人に朝美が話しかける。

「貴方達は何者なんですの?

私達の邪魔をするなんて一体何処の組織かしら。」

「それを答えることに意味があるかは分からないがこのメモリを作り出した大元の組織と言えば分かるだろう?」

(ミュージアム....不味いわね。

この事は夫も知らないわ。

今は敵対することは本意じゃない。

何とか穏便に事を進めないと...)

 

彼女の考えを察したのか万灯は二人に言った。

「この状況を何とかしようと考えているようだがそれは不可能だよ。

ミュージアムは君達の処遇に対しては何も言っていなかった。

つまり、"どうでも良い"と言うことさ。

財団と結託して上手く儲けようとしたみたいだが欲をかきすぎたね。」

そう言う万灯を麗子の鞭が襲った。

それを巨大なドーパントの手が盾になり攻撃を防ぐ。

 

「これは一体どう言うことですか?」

「麗子!貴女っ!」

「どの道、アンタ達を殺さないと私達に未来はないんだ。

邪魔をすると言うなら殺してやる!」

フラワードーパントがそう言いながら万灯に向かっていく。

その攻撃を巨大なドーパントが防ぐ。

「はぁ、万灯さんは彼等を追ってください。

ここは僕が片付けます。」

そう言われた万灯は笑顔で言った。

「では"秀夫くん"お願いしますね。」

万灯は皆が落ちていった穴へと向かっていく。

「逃がすわけ無いでしょう!」

二体のドーパントが万灯を追おうとするが秀夫のメモリであるブラキオザウルスの力を使い二体のドーパントに向けて腕を思いっきり振るとそこから巻き起こった風とコンクリート片により動きを止められてしまう。

 

万灯が穴に入ったのを秀夫が確認すると二人のドーパントに向けて言った。

「万灯さんを追わないでくれるのなら命は助けますが....どうしますか?」

子供の声で尋ねられた事に苛立ちを覚えた麗子が怒りを込めて言った。

「あまり、ふざけたことは言わない方がいいわよ坊や。

覚悟しなさい、子供とはいえ邪魔をするなら容赦なく殺すわ!」

麗子はそう言うと果敢に秀夫に向かっていった。

 

麗子はこれまでの秀夫の動きを見ていて勝算があった。

(あれだけ巨大なドーパントなら動きも鈍くなる。

だから広範囲を凪払う攻撃しかしてこないんだわ。

機動力を使って翻弄しながら攻撃を加えていけば勝機はある。)

麗子は鞭を壊れた壁の一部に絡ませてスイングして移動しながら頭部から花の種を高速で発射した。

ドーパントとしての能力を使い放たれた種は硬度も高く銃弾を撃たれているのと実質変わらないダメージを秀夫に与えていた。

 

秀夫は巨体を器用に動かし麗子を視界に捕らえようとするがすんでのところで避けられて種の攻撃を食らってしまう。

そして、意識が麗子に完全に向いた瞬間、朝美の変身するクイーンビードーパントの槍のような針が炸裂した。

しかし、秀夫の変身するブラキオの外骨格を貫通する程の威力はなく、反撃しようとした瞬間には朝美は秀夫から離れていた。

 

「効かなくてもこう何度も攻撃されると流石にウザいですね。」

秀夫もそう言うぐらいにはストレスが溜まっていた。

"蟻と人間"の戦いのような一幕も秀夫の次の手により終わりを向かえた。

「仕方ありませんね。

面倒なので使いたくなかったんですが....」

そう言うとブラキオの身体から黒いヘドロの様な物質が流れるとそれが人の形を成していく。

一見、マスカレイドドーパントと見間違う姿をしているがこれはブラキオザウルスドーパントの誇る"化石兵"(ボーンズ)と呼ばれる兵隊を作る能力であった。

 

ブラキオから生成される化石兵の中から数体が二体のドーパントに向かっていく。

麗子は鞭と種、朝美は腕の槍で化石兵を処理していった。

「1体1体の戦闘力は高くないようね?」

「えぇ、ですからこう使おうと思ったんですよ。」

そう言うと秀夫は大量に生成した化石兵を"巻き込んで"二人のいる場所を振り抜いた。

化石兵とはその名の通り、体の殆んどが骨で出来ていた。

振り抜かれた化石兵はバラバラに砕けるとその破片は二体のドーパントへ向かっていく。

 

"砲弾クラスの大きさの骨の塊が放たれるショットガン"...そんなものをいきなり使われて避けられる者など仮面ライダークラスの戦闘経験者でしか不可能だった。

麗子は大きな破片を食らい地面に落下しギリギリの所で気付いた朝美は背中の羽がボロボロになる代わりに何とかダメージを回避した。

 

そして、攻撃を食らい倒れている麗子を秀夫は思いっきり踏みつけた。

自分よりも圧倒的にデカい怪物から全体重をのせたストンピングはドーパントになり強化された身体性能を易々と突破しメモリブレイクされる。

 

しかし、それだけではダメージが抜けてないのか麗子の両手足は普通じゃ曲がらない方向に曲がっていた。

「あ....や...」

そして、もう話すことの出来ない麗子を秀夫は思いっきり踏み潰した。

グシャ!と言う音と共に踏みつけた秀夫の足の周りに麗子の血と臓物が飛び散る。

「子供扱いされるのは嫌いじゃありませんが.....それで侮られるのは気に入りません。

万灯さんから本当は"殺さなくても別に良い"と言われていましたが話の通じない者を仲間にするのはこちらとしてもリスクが高い。

だから......」

 

 

 

「全員、ここで死んでもらいます。」

その言葉を聞いた朝美はその場から逃亡しようとするがボロボロにされた羽では飛んで逃げることも出来ず全てのプライドや考えを捨てて走り逃亡を始めた。

(死にたくない!漸く権力を手に出来たのに!こんな....こんな結末なんて!)

「助けっ!」

朝美は伸ばしていた手だけを残して秀夫に潰されてしまった。辺り一面の掃除が終わった秀夫はドライバーからメモリを抜くと元の少年の姿に戻った。

「少しやり過ぎてしまったかな?

まぁ、良いか.....」

 

秀夫は携帯を取り出し万灯に掃除が終わったことを伝えると怪物により完全に破壊されたリゾートを後にするのだった。

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