もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第百四十話 奪われたX/真の目的

Wは"ズー"と"ゼロ"、二体のドーパントと対峙しながらも互角以上の戦いを繰り広げていた。

ズーの持つ多種多様の動物の能力を的確に防ぎゼロの持つ"瞬間的にエネルギーをゼロ"にする力にはプリズムメモリのメモリ能力無効化がついたプリズムソードで対応した。

 

エクストリームメモリの地球の本棚と繋がれる能力により敵の能力や戦闘パターンを理解した今のWに勝つには知っていても防げないほど強烈な攻撃かまだ本棚に記載されていない能力を使うことしか出来ず、ゼロとズーはそのどちらも有していなかった。

 

ジリジリと追い詰められていきズードーパントは切られた胸を押さえながら激昂した。

「グオッ!この私がこんな所でぇぇぇ!」

数々の動物の能力を付与して強化した右爪でWに攻撃を加えるがビッカーシールドで防がれそのままカウンターで切り伏せられてしまった。

 

「良し!決めるぞフィリップ!」

『あぁ、ズーメモリは既に検索済みだ。

この組み合わせでメモリブレイクしよう。』

 

「CYCLONE,HEAT,METAL,JOKER」

 

「「「「MAXIMUMDRIVE」」」」

 

『威力に特化したメモリの組み合わせだ。

この威力はゼロドーパントでも消しきれない。』

「これで終わりだぁ!」

 

『「BICKER FINALUSION」』

 

Wはメモリを装填した盾のスイッチを押すとそこからビーム状の光が二人のドーパントに向かって放たれた。

(この威力は...消せそうにありませんね。)

ゼロドーパントはそう考えるとズードーパントの後ろに隠れて盾にした。

いきなりの事でズードーパントも反応できず、Wの必殺技をズードーパントは一人で受ける。

 

「ぐぁぁぁぉ!きっ...貴様ぁぁぁ!」

「まだ、やられてもらっては困るんですよ。」

ゼロドーパントとはそう言うとズードーパントに触れながら彼を盾にしつつWに接近した。

ゼロドーパントの能力によりダメージが一瞬、ゼロになる行動が断続的に続き中々、メモリブレイクされない。

その為、Wに容易に近付くことが出来た。

 

「アイツ、味方を盾にしてやがるぞ!」

『いけない!避けるんだ翔太郎!』

フィリップの忠告も虚しく接近されたWの胸に"何かの装置"が取り付けられると胸に激痛を感じWはうずくまってしまう。

「グァァァ!」

『グッ!....翔太郎!』

そして、ゼロドーパントが倒れているWからその装置を取り除くとそれを持って距離を置いた。

 

痛みの無くなったWは立ち上がり剣をゼロドーパントに向ける。

「てめぇ、何しやがった!」

「これを手に入れるのが本当の目的だったんですよ。」

『まさか、クリスタルサーバーか?』

「フィリップ何だそれ?」

 

『エクストリームが地球の本棚と繋がるのに大事な部分だ。

この力を奴は奪ったんだろう。』

「とはいえ、奪えたのか数パーセント分の力ですがね。

これからこれを結晶化出来る程、純度を上げないといけませんので私はここで失礼します。」

 

「逃がすわけねぇだろ!お前はここで倒す!」

「私にかまけてて良いんですか?

貴方の攻撃をずっと受け続けていた俊英に何の問題がないとお思いで?」

そう言われてズードーパントを見つめると胸のメモリが赤く光っている。

 

「通常ならメモリブレイクされるレベルの攻撃をずっと受け続けたんです。

余剰エネルギーが肉体に収まらなくなり爆発すると思いますよ?

ではわたしはこれで....」

ゼロドーパントは装置を持ってその場を後にした。

「待て!」

『翔太郎!それより今はこっちの方が不味い!』

フィリップはそう言うとプリズムビッカーに装填してあったメモリを素早く入れ替える。

 

「CYCLONE,HEAT,LUNA,METAL」

 

「「「「MAXIMUMDRIVE」」」」

 

Wは急いでズードーパントに近付くと盾で押し付けるように技を発動した。

 

 

『「BICKER FINALUSION」』

 

『「うぉぉぉぉぉぉ!」』

光の盾なのより押さえ付けられたズードーパントの爆発の衝撃が一気にWへとおそいかかる。

「ぐっ....がっ....」

『耐えるんだ翔太郎!こんな威力の爆発が起こったらいくらリボルギャリーに居る亜樹ちゃん達も無事じゃ済まない。』

「分かってるよ!....うぉぉぉぉぉぉ!」

 

ズードーパントの爆発を何とか抑え込んだWだったがその後に起こった衝撃波をくらいコンクリートに激突すると変身解除された。

「く.....あ....」

「翔....太郎....」

二人は何とか爆発を抑え込みZENONリゾートを救うとそのまま意識を失った。

 

 

ゼロドーパントはZENONリゾートを脱出すると手に持っている装置をまじまじと見つめた。

中の容器は緑色の光を発している。

「これだけ純度の高いものならば物質化することも難しくないな.....」

そうして立ち去ろうとしたゼロドーパントの前にオーロラが降り注ぐ。

ゼロドーパントはそのオーロラに危険性を感じて避けるとオーロラが降り注いだ場所が粒子状になり消滅した。

「誰だ!」

「私ですよ....久し振りですね。」

そう言ってオーロラドーパントである万灯が目の前に現れた。

「お前は....何故貴方がここに?」

「その装置を手に入れる必要があってね.....私に渡してくれないか?」

 

ゼロドーパントは構えながら言う。

「申し訳ありませんがそれは無理です。

これを持ち帰るのが任務ですので.....」

「そうか....残念だがそれなら」

 

 

「力付くで奪い取らせて貰う。」

そう言うと万灯はゼロドーパントと戦闘を開始した。

そしてその戦闘が終わると一人の死体だけが残り装置は姿を消していたのだった。

 

 

 

 

 

Another side

 

本邸を破壊された琉兵衛は園咲家の持つ別邸で紅茶を飲みながら家族と共に夕食を取っていた。

「どうした若菜?随分と元気が無いようだが....」

俯いている若菜を心配した琉兵衛が尋ねると無理に笑顔を作り若菜が言った。

 

「何でもありませんわ.....この後仕事がありますので失礼致しますわ。」

「若菜、この前の話だが....」

「私は....アイドルを辞めるつもりはありませんわ。

....ごめんなさいお父様。」

そう言うと若菜はまだデザートが残っているのに部屋を後にした。

 

琉兵衛は食事を止めて周りを見渡す。

冴子は井坂の所に入り浸り最近では共にご飯を食べることすら減ってしまった。

仕事はこなしているからそこまで注意も出来ないが....

「どうやら一緒にデザートを楽しめるのはミックとだけみたいだな。」

そう言う琉兵衛の顔は悲しみをおっていた。

その顔は悪の組織の頭目の顔ではなく一人の父親としての顔だった。

 

若菜があのテロに遭ってから悩みが増えているように見える。

何か言われたのかそれともされたのかは分からないがほおっておける状態ではない。

彼女は地球の巫女となる使命がある。

その為にもそろそろ組織の人間としての自覚が欲しい。

 

だが、それをするには今はトラブルが多すぎる。

サラがオークション中に仮面ライダーからの襲撃を受けて部下が負傷してしまった。

獅子神は管理している組織と折り合いがつかなくなりその対処に追われている。

無名に関しては怪我の治療で動けない。

まぁ、それ以外にも問題はあるがヤツ(ゴエティア)はそう簡単には動かない。

 

舞台が整い最も楽しめる状況になって始めて顔を出す。

最も悪魔らしい思考とも言えた。

ミュージアムは今、過去最高の状態となっている。

何時でも新たなメモリを作り出せる手段(メイカー)がありコネクターやドライバーも進化した影響でメモリを使う者達も増えた。

政財界や上流社会にもメモリが普及している。

 

ミュージアムの名は今や風都以外にも轟いていた。

だからこそ万全を尽くして計画を完遂する必要がある。

琉兵衛はテラーのメモリに触れる。

触れたメモリから記憶が流れ込む。

それは過去にテラーメモリを持っていた私が残した恐怖の記憶....何十、何百と繰り返した時間の記憶の断片でもあった。

 

これが私がゴエティアの事を覚えていられた理由でもある。

と言ってもこの力が使えるようになったのはつい最近の事だった。

思い出せる記憶も選択出来ず突発的に現れるので最初は戸惑ったがそこから見える記憶には興味があった。

 

私が文音と協力してミュージアムを発展させる記憶や仮面ライダーと共闘している記憶、目の前で家族が全員殺される記憶、そして私が"エクストリームの力を手に入れる記憶"もあった。

 

恐らく、過去....いや未来の私が選択した記憶の一部だったのだろう。

その中には今の私に対するメッセージも含まれていた。

ゴエティア.....地球の本棚に存在する本物の悪魔。

本棚から世界を観察し事象に干渉する力を持っていた。

 

その存在に始めて会った時は私の家族が全員殺されて仮面ライダーも死に私がエクストリームの力を使ってゴエティアと戦っていた時の事だった。

だが、私は勝つことが出来なかった。

 

その理由は分からないがエクストリームに覚醒しても私はゴエティアには勝てなかったのだ。

覚えていることは負けたことと....その過程で恐怖をメモリにストック出来る力を得た事だけだった。

 

私は断片的にストックされた沢山の記憶からゴエティアが常にどの記憶にいることと誰かの身体を使いこの世界を見ていることを知った。

 

その誰かは分からなかった。

この能力が使えるようになり記憶を見るまでは.....

無名だと直感的に感じて彼に尋ねると思ったよりも早くその正体を明かしてくれた。

 

しかし、その時の声はこれまでの記憶にある声とは明らかに違っていた。

前までは無理矢理世界と繋がって出している声に聞こえたが今回は無名の身体を通して明瞭に聞くことが出来た。

 

つまり、今のゴエティアはこれまでのゴエティアとは何かが違うことが分かる。

ゴエティアが地球の記憶の書き換えを行わないのが答えなのだろう。

奴と対峙した際、言っていた言葉....「私はこの世界を使って遊びたい。」あの時は激昂したが今の私なら何か出来るかもしれない。

 

その為にも打てる手段は打つべきだ。

若菜を地球の巫女にする....例え本人が望んでなくても

悪魔に家族を奪われるあの苦しみをもう味わない為に、琉兵衛は取れる策と行動を模索するのだった。

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