もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第百四十一話 奪われたX/報酬と代償

ミュージアムの地下研究施設に万灯は赴きゼロドーパントから奪い取った装置を琉兵衛に渡すとその装置から緑色の光を放つケースを取り外すと別の装置に設置した。

 

「その装置は何ですか?

よろしければ教えて貰っても?」

万灯の問いに琉兵衛が答える。

「クリスタルサーバーのエネルギーを"生体ケース"に移すんだよ。」

 

「生体ケース?」

「クリスタルサーバーの発する波長とエネルギーはメモリに移すことが出来なかった。

調べた結果、その波長は"生物にのみ適合する特殊なパルスのエネルギー"だったのだ。

この生体ケースにはデータ人間となった"来人の細胞"が使われている。

これならばこのエネルギーを完全に移すことが可能と言うわけだ。」

 

そう言うと琉兵衛は万灯に向き直った。

「良くやってくれた。

これは約束していた報酬だ。」

琉兵衛が渡したのは少し大きめのアタッシュケースだった。

「"アクセサリーシステム"のデータや設計図、それに試作品も同梱されている。

これを使えば君の求めるドライバーの開発に役立つだろう。」

「ありがとうございます。

これで私の計画が始められそうです。」

 

「差し支えなければ聞かせてくれないかね?

君の計画を.....」

「そうですね。

まだ構想段階ですが、私はもう一つの風都を作りたいのです。

そしてそこをガイアメモリで溢れた世界に変える。

この素晴らしい発明品をもっと有意義に使える場所を作り上げる。

それが僕の計画です。」

 

「ほう....中々に興味深い話だな。

もう一つの風都.....風都の裏側....."裏風都"と言った所か。」

琉兵衛の言葉を聞いた万灯は笑う。

「良いですね裏風都。

完成したらその場所をそう呼ぶことにしましょう。

風都を支配している貴方がつけてくれた名前なら縁起も良さそうだ。」

 

万灯はそう言うとアタッシュケースを持ち部屋を出ていこうとする。

「おや、もう行くのかね?

少しぐらいはゆっくりしていけば良いだろうに....」

「いえ、実は待たせている"人"がいますので遅れて機嫌を損ねたくないんですよ。」

「成る程、君のような優秀な人間でもそう思うのかね?」

「貴方もそうだったんじゃないですか?

そう言う人物に出会えたからこそ、

子をなし今の家族が出来た。

私にとってその人はそうなるかもしれない稀有な人物と言うことです。

では失礼致します。

あぁ、それと暫く私は連絡が着かなくなると思います。

会社の事は"出紋"に任せていますので何かあれば遠慮なく彼に言ってください。

話を通しておきます。」

 

そう言うと万灯はその場を後にした。

そして琉兵衛は完成した"ガイアプログレッサー"を手に満足そうに笑うのだった。

 

 

 

そんな中、孤島にいるNEVERと無名は平和な時間を過ごしていた。

ミーナは克己と再開すると優しく抱き締め合い、孤島の医療チームは傷付いたレイカ(死ぬギリギリになるほどの酵素切れ)京水(NEVERドライバー変身による副作用)無名(エクストリーム使用によるダメージ)の三人は即座に診察を受け治療が終わるとベットに移された。

どうやら、一足先に到着していたマリアは治療を終えて病室で寝ているらしくその姿を見た克己や無名は一安心した。

 

どうやら、マリアを含めて怪我の治療は須藤雪絵が行ってくれたのが当の雪絵本人の顔は心配そうな顔をしていた。

「何で私が貴方達の治療をしないといけないわけ?」

「医療関係に精通した学者がマリアさんと貴女しかいないからですよ。」

「学者と医者は全く違う筈なんだけど....」

 

『雪絵様.....このアンプルに入った薬を京水様に注射してください。 』

部屋に付いているスピーカーからメイカーの声が聞こえるとアンプルと注射器の入った容器がマニピュレーターに掴まれて雪絵の前に現れた。

「ありがとうメイカー。

貴女がいなかったら皆の治療なんて出来なかったわ。」

『いえ、雪絵様がいるお陰で他の事にもタスクを割けるのです。

こちらこそ感謝しております。』

 

雪絵は注射器とアンプルを受け取ると中身を吸出し薬の入った注射器を遠慮なく京水の首に刺した。

「あん!もっと優しくしなさいよ!」

「五月蝿いわね、生きているだけでも感謝しなさいよ。

無名やレイカは黙って私の看護を受けてるわよ?」

これも原作では知られなかったことだが須藤雪絵はがさつな所があるらしく、血液検査をするために無名の身体に針を刺そうとして何度も失敗しその事を無名が少しアドバイスしたらイラついて針をグーで握って刺してきた所を見てから無名と京水以外のNEVERは文句をなるべく言わないようにしようと誓っていた。

 

因みに無名の度重なる犠牲により完璧に注射が出来るようになったのでその後の患者は完璧に処置することが出来た。

 

メイカーが四人の体調を管理しており状況を分かりやすく説明してくれる。

『"無名様"はメモリ使用によるダメージが見受けられます。

治すには暫くの時間を要するでしょう。

"京水様"に関してはただの筋肉痛なので痛み止めを打っておけば問題ありません。

問題は"レイカ様"と"マリア様"です。』

 

『レイカ様は酵素切れの期間が長かった影響もあり記憶の欠落が多々見られます。

酵素を定期的に打ち続けていけば記憶が戻るかもしれませんが今の段階で確定的な事は申し上げられません。』

「そんなに忘れてるの?

私の記憶......」

『はい、孤島での記憶やNEVERに関連する記憶に欠落が見られます。』

「ふーん、そうなんだ。」

 

そんな反応をするレイカに京水は突っ掛かる。

「アンタねぇ、自分の記憶が失くなってんのよ。

もう少し真面目に聞きなさいよ。」

「失くしてるって自覚もないんだから仕方ないでしょ"おっさん"。」

レイカのおっさん呼びに京水は怒りではなく悲しみが込み上げてくる。

(アタシのこと名前で呼んでた記憶すら亡くしてんのね。)

その会話を見ていた克己がメイカーに尋ねる。

 

「おい、メイカー。

レイカの記憶は戻るのか?

酵素打つ以外に何か出来ないのか?」

『マリア様が意識を取り戻せば何かしらの打開策が模索できるのかもしれませんが現段階では何とも言えません。』

「......無名、お前もか?」

「確かにガイアメモリは僕の範疇ですがこれはメモリと酵素、両方の働きで起こっていることなんです。

メモリの知識だけで解決策を提示するのはリスクが高すぎます。

もっと記憶を失ってしまうかもしれません。」

 

「......そうか。

つまりはお袋が目覚めないことには始まらない訳か。

ならお袋はいつ目覚めるんだメイカー?」

『芦原様がマリア様に行った処置は須藤霧彦に行った仮死状態による肉体保存の応用です。

マリア様の身体はガイアメモリの毒素で汚染もされていませんし目覚める可能性は高いと思われます。』

メイカーの言い方に苛立ちを見せた雪絵が話し始める。

「兄は目覚めるわ。

私が目覚めさせて見せる。」

「そう言えばそちらの方の進捗はどうなのですか?」

 

「大まかな毒素の除去は完了したわ。

後は臓器関連の毒素の排除だけ.....

それが済めば兄さんの身体は普通の人間と同じ状態にも戻れる。

そうすれば意識だって……」

「そうですか。

そこは雪絵さんに任せます。」

 

そんな話をしていると克己が無名に問いかける。

「そう言えば移動ヘリの中で誰と電話をしていたんだ?」

「電話?.....僕が電話をしたんですか?」

「?あぁ、随分と長く会話していたぞ。」

(ヘリの中で僕は意識を失っていた。

目覚めたのは孤島に到着してからの筈だ.....

じゃあ、会話をしたのはゴエティアか?

だとしたら相手は誰だ?)

無名は自分のスマホに手を伸ばし通話履歴を確認する。

(園咲 琉兵衛....何故、ゴエティアは彼と会話をしたんだ?

.....ダメだ推理しようにも情報が足りない。

こうなったら直に会いに行くしか....)

 

無名はそう思い身体に力を入れようとするが起き上がることが出来なかった。

(くっ!....やはりエクストリームの負荷は凄まじいですね。

長いこと使った感覚はないんですが...メイカーの言う通り、身体のダメージが回復するのを待つしか無いよですか。)

 

そう考えると無名は目を瞑り身体の回復に勤めるのだった。

 

 

 

その翌日、万灯は手に入れた情報を手に風都から姿を消した。

会社の事は部下である出紋に任せて.....

そして、風都にも新たな変化が訪れた。

 

新しい風都の市長である雨ヶ崎が破壊された風都タワーに代わる"新たな風都タワーの建設計画"を打ち出しそれが可決された。

既に湾曲し形を変えてしまった仮面ライダーWの物語。

それを見つめるのは物語を変えた(無名)の身体に同居する一人の悪魔(ゴエティア).....

 

悪魔は笑う、この変わった世界を見ながら.....

そして思う"次はどうやって遊ぼう"かと

 

 

悪魔の遊戯が始まるまで後少し......

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