もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第百四十二話 出現するH/謎の仮面ライダー?

風邪の治った翔太郎は漸く探偵業が復帰できると意気込んでいた時、タイミング良く依頼人が現れた。

「"風都安全組合?"」

亜樹子は渡された名刺を見て首をかしげた。

名刺を渡したスーツ姿と男が話し始める。

「ここ最近、風都を騒がしている仮面ライダーについてはご存じですか?」

「えっ?.....えぇまぁ有名ですから」

「実はその仮面ライダーが家の自治体の周りに現れ出したんです。」

 

「はぁ?どう言うことだよ!」

男の言葉を聞いた翔太郎が身を乗り出すがそれを亜樹子が後頭部をスリッパで叩くことで止めた。

「えっと……何が…」

「おほほほほほ気にせず続けてくださいませ。」

亜樹子がわざとらしく笑うと男はその流れに飲まれて話を続けた。

「それでその現れた仮面ライダーが可笑しな行動を続けているんです。」

「可笑しな行動?」

「えぇ、例えば...."地域のゴミ拾い"をしたり"お年寄りのお手伝い"、極めつけは"近くの学校の生徒の登下校のパトロール"をしてくれているんです。」

「それって、本当に仮面ライダーだったんですか?

仮面ライダーのコスプレをした一般人とか....」

 

「それはありません。

こちらの写真をご覧ください。」

そうして二人に差し出されたのは一枚の写真だった。

「偶然撮られた一枚だったのですが....これを見る限り私にはこの仮面ライダーは本物だと思ってしまうです。」

見せられた写真は少しボケていたが腰には"赤いドライバー"の様な物が見えていた。

「成る程、要件は分かりました。

それで依頼の内容は?」

「この仮面ライダーの正体を調べて欲しいんです。

実際に組合にも正体を知りたいと言う問い合わせも多く本業の方に頼むしかないと思ったのです。

どうかお願いします。

この仮面ライダーの正体を調べてください。」

 

そう言って渡された写真を翔太郎はフィリップに見せて検索をかけて貰った。

「まさか、仮面ライダーを名乗る人物が他に現れるなんて興味深いね。」

「だが、偽物だろ?

色合いはWのサイクロンジョーカーに似てはいるがやってることは地域の奉仕活動だぞ?」

「それがそうとも言えないかもしれないよ?」

 

「あん?どう言うことだフィリップ。」

翔太郎の問いにフィリップはホワイトボードに日付は書き込んでいった。

「この日付は.....」

「そう、風都でテロを起こした大道克己のクローンが敗北した日付だ。

そして、キースと呼ばれる敵に身体の主導権を奪われエデンドーパントになった。」

「それが今回とどういう関係が......まさか!」

「あぁ、恐らくその時に捨てられたロストドライバーをこの仮面ライダーは手に入れたんだろう。」

 

「だが、ロストドライバーを使うには純化されたガイアメモリが必要な筈だろ?

一体何処で手に入れたんだ?」

「分からない。

だが、この仮面ライダー擬きがロストドライバーを付けていることは事実だ。」

「こりゃ、調べるしかねぇな。

フィリップ、ここ数日その仮面ライダーが出没した地域をリストアップしてくれ。

そっから足で探す。」

 

「それなら、もう検索を終えている。

どうやら出現するポイントにはある種の規則性があるようだ。

高確率で次現れるのはこの商店街だろう。」

フィリップが書いた地図に丸を付ける。

「ここから近いな......分かった。

ちょっくら行って見つけてくるわ。」

そんな話をしていると照井が事務所に姿を現した。

「左、風邪はもう良いのか?」

「あぁ、この通り完治したぜ。

何か用か照井?」

翔太郎の問いに照井が答える。

「実はフィリップの力を借りたいんだ.....

新田の残した手帳から新たな情報を発見した。

セブンスの一人が経営するファイトクラブの名前が分かったんだ。

警察ではそれ以上の調査はできなかった。

フィリップに検索して貰いたくてな。」

「分かった。」

 

そう言うとフィリップは手を広げて目を瞑り意識を地球の本棚へと集中させる。

「知りたい項目は?」

その問いに照井が答える。

「奴等の居場所だ。

キーワードは裏ファイトクラブの名前だ。

"05"(ゼロファイブ)...そう呼ばれているらしい。」

フィリップが地球の本棚にキーワードを入れると本棚が動き本が選別されていった。

「.....キーワードが少なくてまだ絞り込めないな。

他に何か無いのかい?」

「現時点で分かっているのは名前だけだ.....

それ以上の情報はない。」

「だとしたら、これ以上の絞りこみは不可能だね。

その名前だけなら該当する項目は"258件"ある。

闇雲に調べるには多すぎる量だよ。」

 

「その様だな....分かった。

何か分かったら連絡するからその時に続きを頼む。」

そんな話をしていると照井の携帯に着信が入る。

「はい、照井です。

.....はい....しかし風都は危険です。

お守りをしながら捜査できる程甘くは....はい分かりました。

失礼します。」

照井は携帯を閉じると溜め息を吐いた。

 

「どうしたんだ照井?」

「本庁から研修の為に数名の警察官が風都に来ているんだが....そのお守りを頼まれていてな。

そんな事をしている暇など無いと言うのに....」

「何だか大変だな照井。」

「まぁ、しかし来るのは警視庁期待のホープだ。

何とかなるだろう。

俺は風都署に戻る。」

そう言うと照井は風都署へと戻っていった。

 

そして、翔太郎は依頼された仮面ライダーを調べるため商店街へと向かうのだった。

 

 

 

Another side

 

暗い倉庫の様な空間で二人の男が互いを睨んでいる。

その目には純然たる殺意が写っており異様さを孕んでいた。

すると近くのスピーカーから声が聞こえてくる。

「さぁ!今回の一戦で生き残るのは一体誰なのかぁ!

両者とも準備は良いかぁ!

メモリをさせぇぇぇ!」

 

その言葉に従うように二人はメモリを取り出すと起動した。

 

Unicorn(ユニコーン)

Dragon(ドラゴン)

 

両者がメモリを挿してユニコーンドーパントとドラゴンドーパントへと変身が完了した。

 

「ルールはいつも通りだ!

目の前の敵を殺せば勝利!

勝った者は何でも与えられる....さぁゲームスタートだ!」

するとユニコーンとドラゴンの二人のドーパントが拳を握ると殴りかかった。

パワーはドラゴンの方が強くユニコーンは吹き飛ばされる。

ユニコーンは額の角に手を触れると光り腕にユニコーンの特徴を残した槍が生成される。

槍を使った攻撃を行うがドラゴンドーパントは避けることすらせず攻撃を受け止めると拳でユニコーンを殴り付けた。

凄まじい衝撃と共にユニコーンドーパントは吹き飛ばされる。

ドラゴンドーパントは両手を握ると構えて空手の突きの動作を左右連続で行う。

その動作に合わせて強化された衝撃がユニコーンドーパントを襲う。

 

強力な連撃によりユニコーンドーパントのガードが弾かれその身体に衝撃が襲う。

ドゴォン!ドゴォン!

爆弾が爆破する様な音が部屋に木霊する。

それが数度続くとユニコーンドーパントのメモリが砕けて元の人間の姿に戻った。

ドラゴンドーパントは動けなくなっている男の右腕を掴み持ち上げるとゆっくりと力を込めていく。

ミシミシ....と骨が軋む音が聞こえた後、グシャ!と骨と肉が潰れる音が響いた。

 

「あがぁぁぁぁぁ!」

右腕を潰された男は叫ぶがドラゴンドーパントは止める気配はない。

潰れた右腕で身体を持ち上げながらもう一つの腕で男を殴り付ける。

その威力から腕を捕まれながらもサンドバッグのように男は揺れる。

しかし、一撃で死ぬ力で殴られてないのかまだ生きていた。

ドラゴンドーパントは直ぐに死なないように気を付けながら掴んだ男を殴っていく。

叫び声が呻き声に変わりもがいていた身体が動かなくなってくるとドラゴンドーパントは最後に渾身の力で身体を殴るとその威力に捕まれていた腕が耐えられなくなり腕が千切れて身体が吹き飛んでしまった。

 

千切れた腕を投げ捨てるとドラゴンドーパントは両腕を上げて勝利の雄叫びを上げる。

そして、スピーカーから実況をしていた男が声を出す。

「素晴らしいファイトでした!またしても彼が勝利を収めました。

この男の快進撃を止められる奴はいないのかぁ!

それでは勝者である彼に報酬を贈呈します!」

 

そう言うとドラゴンドーパントの男の前にバニーガールがケースに収められた道具を持って現れた。

「これは最近開発されたガイアメモリを強化するアダプターです。

貴方の願いは"もっと強い力"でしたね?

ですのでこちらを贈呈いたします。

おめでとうございまーす!」

 

ドラゴンドーパントはメモリを抜きアダプターを手に取ると笑う。

また、新たな力が手に入った.....これで自分のメモリはどれだけ強化されるのか?

どんな風に相手を殺すことが出来るのか?

考えるだけでワクワクした。

早く使ってみたい.....

その感情のままメモリとアダプターを見つめるのだった。

 

その姿を画面上で眺めている二人の男、一人はパソコンの前で飴を食べながらその光景を見つめ一人は酒の入ったグラスを傾けていた。

「順調っすね。」

飴を食べている男が言う。

「今回の収益はいくらだ?」

グラスを持つ男が尋ねると答える。

「今回は強い奴同士で試合が組めたんで中々、儲けられましたよ。

差し引き600億の儲けっすね。

それにしても強いっすよね"ドラゴン"の人は05でこんなに生き残ってる人なんて珍しいっすよ。」

 

裏ファイトクラブである05はドーパント同士が行う殺し合いを賭け事にしている

大抵ここに参加するのは多重債務者か犯罪者が多いのだがドラゴンのメモリを使う男は違っていた。

純粋に殺し合いがしたい男でありガイアメモリの力をとても気に入っていた。

だから勝利した後の報酬の話でも彼だけは力を求めたのだ。

 

だからこその悩みもあった。

この男は強すぎたのだ...このクラブで最も強かったユニコーンメモリを使う犯罪者も歯牙にもかからなかった。

今のところこのクラブで彼より強い者は存在しない。

なら何故、そんな強い相手が更に強くなるアイテムを渡したのか?

 

それは風都のとある商店街に出現する仮面ライダーの存在を聞き付けたからだ。

その光景を見せて賭け試合を組めば勝っても負けてもこちらは得をする。

だからこそ、正式量産品として作られた"強化アダプター"を渡したのだ。

灯夜の話ではこれを使えばメモリの力を三倍まで強化できるらしいのだがまだ稼働データが少ない為、色んなタイプのドーパントのデータをミュージアムは欲しているらしい。

 

そう言う意味では05はセブンスの中で最も稼働データが取れる場所だと言える。

あちら(ミュージアム)はデータを取れて満足しこちら(05)は試合が盛り上がり稼げる。

正にWin-Winの関係と言えた。

「さぁ、たっぷりと稼がせてくれ.....仮面ライダー。」

グラスを持つ手を傾けながら"05のオーナー"である男は笑うのだった。

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