商店街までやってきた翔太郎はメモリガジェットを使い周囲を索敵した。
「.....どうだフィリップ?」
そのデータをリボルギャリー内部にいるフィリップが解析する。
「特にこれと言った者はいないね。
ただ、いないのかそれとも.....」
「俺達の索敵じゃ見つけられない敵ってことか?」
「使用しているメモリが空間移動系なら可能性はあると思う。
トレインやホール、ゾーンの様なメモリならね。」
そんな話をして気を抜いていた翔太郎はスーツ姿の男とぶつかってしまう。
「痛っ.....悪い大丈夫かあんた?」
尋ねられた男は起きあがると地面に落ちた眼鏡を拾い上げる。
「いっ....いえ、大丈夫.....です。」
そう言って足早に去っていくスーツの男を見ていると声が聞こえた。
「泥棒よ!」
見ると男が女物のバッグを持ってこちらに走ってきていた。
「アイツか!」
翔太郎は走ってくる男の前に立ち塞がるが目の前で強い風が吹くと突如、走っていた男は姿を消した。
「なっ!一体何処に?」
辺りを見渡すと泥棒の男を抱えたドーパントが姿を現した。
緑と黒の色合いはWを彷彿させるが仮面ライダーでないことは翔太郎には分かった。
何故なら腰についているロストドライバーにメモリが装填されておらずそれどころか展開もしていなかったのだ。
つまり、コイツは腰にドライバーを付けただけのドーパントと言うことになる。
そんな事を考えていると抱えられている泥棒がドーパントに吠える。
「離しやがれ!.....このぶち殺してやる!」
しかし、ドーパントはその言葉に耳を貸すことはない。
そして、ドーパントは翔太郎に目を向けた。
(コイツ!?俺とやる気か?)
そう感じてダブルドライバーを取り出そうとするが周りには商店街の人が沢山いた。
ここで変身することは出来ない。
(クソッ!生身でやるしかないのか。)
そう思っているとドーパントが声をかけてきた。
「あの........」
(来る!)
翔太郎が構えようとするとドーパントが言った。
「すいませんが警察を呼んでくれませんか?」
「.....は?」
余りにも意図していない言葉を言われて翔太郎は固まる。
「ですから、警察を....泥棒を引き渡すのでお願いします。」
ドーパントは泥棒を抱えながらそう言った。
「あっ.....あぁ。」
翔太郎は言われるまま警察に電話をする。
時同じくして風都署では本庁から研修にした三人の若き警察官が照井らと顔を会わせていた。
「超常犯罪捜査課の....照井だ。」
「「「.......」」」
自己紹介をされるが空気が重い...その理由は彼等が照井の嫌う質問を続けて「俺に質問するな。」と暗に脅してしまったからだ。
その状況を鑑みたのか刃野刑事が助っ人を別の課から呼んでいた。
「あぁ、皆さんそんなに緊張しないで....照井課長は別に君達を嫌っているわけではないから」
和やかな笑顔に場の空気が少し柔らかくなる。
「あぁ、僕は"捜査三課集団スリ特別捜査班の班長"である
"相模"です。
照井課長と一緒に君達のサポートをしますのでよろしくお願いします。
では皆さん自己紹介をお願いできますか?」
相模の言葉に一人ずつ自己紹介を始める。
「えーっと…本庁から研修で来ました
そのー……よろしくお願いします。」
まだ、この空気感にやられているのだろう。
引き腰の自己紹介だった。
隣の女性は相模の登場により落ち着いたのかハキハキと話し始める。
「同じく本庁から研修でこの風都署にお世話になります
よろしくお願いします!」
そして、最後にいた男はクールさを全面に押し出しつつも礼節を弁えた話し方をする。
「本日付けで超常犯罪捜査課でお世話になります。
よろしくお願いします。」
「……そうか。」
自己紹介を聞いても照井のテンションは一定だった。
それを見かねた相模が助け船を出す。
「あー、照井課長?
彼等は研修と言われてこちらに配属されたばかりで何も知らないみたいなんです。
ですので超常犯罪課について説明をするべきだと思いますよ。」
すると、照井は渋々、ホワイトボードに数点の写真と文字を書き始めた。
「超常犯罪とは文字通り、普通ではありえない犯罪。
例えばビルの鉄骨を溶かし倒壊させたり怪物に変わった人間が起こす犯罪を調査し犯人を検挙する。
この風都で代表的な事件で良く使われているのがこのガイアメモリだ。」
照井の言葉に泊が尋ねる。
「一体何なんですか?
そのガイアメモリって……」
「俺に質問するな……これから説明する。」
「はい、すみません。」
しょぼんとしている泊を他所に照井の説明は続く。
「ガイアメモリとはこの風都にばら蒔かれている悪魔の道具だ。
これを使うことで人間をドーパントと言う怪物に変貌させることが出来る。
今、写真で写っているこの現場は全て一人のドーパントが起こしていった事件だ。」
「そんな……こんなことが?」
余りの悲惨な光景に凛子は口を抑える。
「それで、私達は研修の間このガイアメモリについて調査を行うのですか?」
後藤の質問に照井が答える。
「いいや、諸君らにはあくまで一般の研修を行って貰う。
所謂、デスクワークだ。」
その言葉に後藤が噛みつく。
「しかし、それでは研修の意味がありません。
刑事としての経験を積む為にも私は現場での捜査を希望します。」
「超常犯罪の捜査は危険を伴う。
ある程度の経験が無ければ足手まといになるだけだ。」
「自分は格闘術や拳銃の扱いも得意です。
自分の身は自分で守れます。」
「後藤と言ったか?
上司の意見が聞けないと言うのか?」
「いえ、ただ現場を知る経験が目の前にあるのにデスクワークしか出来ないのならば研修に来た意味を感じないと思っただけです。」
「..........」
照井は沈黙しながら後藤を見つめている。
その姿は誰が見ても怒っている事が分かった。
困った同僚である泊が後藤に小声で言う。
「おい、あんまり照井課長を怒らせるなよ。」
「有意義な経験を積みたいと進言することの何が悪いんだ?」
今度は凛子が後藤に小声で言う。
「気持ちは分かるけど私達はまだ新人なのよ?
ここは上司の意見を真面目に聞いておくべきよ。」
「俺はここに捜査をするために来たんだ。
時間は少しでも無駄には出来ない。」
「.........」
後藤の主張を聞いた照井は更に沈黙する。
その姿を見て泊と凛子は顔が歪む。
(やっ.....ヤバい、本気で怒ってる。)
(どうするのよ!上司と不仲になるのは今後の事を考えても不味いのに.....)
何とか状況を打開したいが刑事としての経験が浅い泊と凛子では解決策が思い付かなかった。
そこに相模が助け船を出す。
「君達の熱意はとても素晴らしいよ。
だが、超常犯罪の現場が危険なのは本当の事だ。
いくら、自分の腕に自信があったとしても少しの判断ミスが死に繋がる。
だからこそ、ここに配属されるものは"優秀以上"の技量や能力が求められるんだ。
とは言え、君達が優秀なのは資料を見れば分かる。
そこで提案なんだか照井課長、数日この三人を捜査三課にお借りできませんか?
そこでの働きを見て超常犯罪の現場に入れるか決めると言うのはどうでしょう?」
「成る程、それは良い案ですね。
分かりました。
この三人を三課に預けます。」
とんとん拍子で話が進んでいるところに後藤が水を差す。
「待ってください私は...」
「大丈夫だよ。
君が本当に優秀なら直ぐにでも超常犯罪課の現場に参加できる程の実績を上げられるだろう?
まさか、君の能力はスリ相手には役に立たないのかな?」
相模の挑発に後藤は不機嫌な顔をする。
「分かりました。
ですが、実績を上げたら直ぐに超常犯罪課の現場に参加させてください。」
「えぇ、勿論。
照井課長、この三人は責任をもってお借りします。」
そうして相模は照井に頭を下げると三人を連れてその場を後にした。
超常犯罪課を後にし相模から準備が出来たら追って連絡すると言われた三人はほっと肩を撫で下ろした。
「ヤバかった....おい、後藤とか言ったっけ?
お前なんでそんなに捜査したいんだよ。
態々、上司の照井課長を怒らせてまで....」
泊の問いに後藤は答える。
「お前らは可笑しいと思わないのか?」
「何がだ?」
「"仮面ライダー"の存在がだ。
警察官は国に認められて市民や街を守っている。
だが、仮面ライダーは国に認められず非合法に街を守っている気になっている。
そんな奴らにこれからもずっと守って貰うつもりなのか?
警察官と言う職務を果たせていないのは力が無く弱いからだ。
だから仮面ライダーに頼らざるを得ないんだ。」
「だからって捜査に加われば強くなれる訳でもないだろう?」
「だが、相手の事は知れる。
俺達はまだ何も知らない。
この街の事もドーパントの事も....それなのにデスクワークしかさせないのは俺達がなめられているからだ。」
「そんな事は無いと思うけど.....」
二人の話を聞いていた凛子がそう話すとそこに相模が現れた。
「すいませんが三人とも来て下さい。
風都の南街商店街で窃盗事件が起きました。
その犯人を逮捕しに行きますよ。」
そう言って相模は三人を連れて商店街に向かうのだった。
商店街に着くと人間を抱えた怪人を見つけて後藤と凛子そして泊は驚く。
「何だコイツは!」
「これが課長の言っていたドーパント?」
「どけ!お前ら!」
そう言うと後藤が怪人に銃を向けながら告げる。
「その人を離せ!でなければ撃つ。」
しかし、その行動を帽子を被った青年が止める。
「お前、何してんだ!いきなり銃を向けるだなんて!」
「貴様っ!邪魔をするな!俺は刑事として当然の..」
そんなやり取りをしていると相模が怪人の前に立つ。
「ありがとう、また君には助けられてしまったね。」
「これは....俺のしたいことだから構わない。」
「そうか、後藤くん銃を下ろしてくれ。
それと泊くん彼の抱えている男が犯人だ彼に手錠をかけて署まで送ってくれ。
大門さんは盗まれた物を持ち主に返してくれ。」
「え?.....あ...はい。」
状況が読めないながらも凛子は相模の指示に従う。
「そこに落ちているバックが盗まれた物です。
お願いします。」
怪人が指を指した方向には確かにバックがあった。
「へ?あっ、ありがとうございます。」
凛子はバックに駆け寄り盗まれた人を探し始めた。
泊が怪人から泥棒を受け取り手錠をかけると怪人は飛び上がりその場から逃走した。
「待て!」
後藤が飛び上がる怪人を銃で狙おうとするが余りの早さから逃がしてしまった。
そして、後藤は銃を仕舞うと相模に話しかける。
「どう言うことですか?
相模さんはあの怪人が何者なのか知っているんですか?」
「それに関しては俺も聞きたいな。」
帽子を被った男も話しに混ざる。
「これは警察官同士の会話だ。
部外者が余計な口を出すな。」
「んだとコラ。」
険悪になりそうな二人に相模が話す。
「止さないか後藤くん。
貴方は左 翔太郎さんですね?
超常犯罪課に協力している話しは聞いていますよ。
勿論、話すよ。
その為に三人を連れてきたんだからね。」
優しい口調から相模は話し始めるのだった。
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