もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第百四十五話 暴虐のD/殺すための力

 

正義と翔太郎の前にドラゴンドーパントが立っている。このドーパントが仮面ライダーとして戦うために現れた事を言った時、翔太郎は驚いた。

 

「まさか、ドーパントから俺達に会いに来てくれるとはな....」

「当然だろ?強くなるには強い相手を殺して力を手にいれる必要がある....それが"ファイトクラブのルール"だ。」

「ファイトクラブ?一体何の話だ!」

「知らないのか?.....まぁ良い。

仮面ライダーを殺すことが俺の目的だ。

さぁ、早く変身しろ。

それとも、生身での戦いがお好みかぁ!」

ドラゴンドーパントが地面を殴るとそこから衝撃波が発生し二人に向かっていく。

 

二人とも回避すると二人のいた地面が爆発し大きな穴が出来る。

「コイツ、やべぇ!」

翔太郎はこれまでの経験から直ぐにメモリを起動し変身した。

 

「CYCLONE,JOKER」

 

Wに変身するとドラゴンドーパントへ向かっていく。

サイクロンによる高速の蹴りがドラゴンドーパントに直撃するが全くダメージを受けていない。

「どうしたその程度か?」

「野郎....フィリップ、メモリチェンジだ!」

『あぁ!』

 

「HEAT,METAL」

 

Wはヒートメタルにメモリチェンジするとメタルシャフトによる連撃を食らわせるが相手は仰け反るどころか打たれたメタルシャフトを掴み上げて攻撃を止めた。

「何っ!」

「つまらん...弱すぎだっ!」

ドラゴンドーパントは握りこんだ左手をWの胸部へ当てた。

すると空気が振動しWは遠くの電柱へと吹き飛ばされてしまった。

電柱にぶつかっても威力が収まらずその電柱が折れてしまう。

「グハッ!?野郎何て威力だっ!」

『恐らく衝撃を増幅して撃ち出したんだ。

ヒートメタルの強化された装甲を貫くとは恐るべき威力だ。』

 

吹き飛ばされたWを見つめながらドラゴンドーパントは分かりやすく落胆する。

「風都を守る仮面ライダーも所詮この程度か。

これじゃあ、手に入れた力を使うまでもないな。」

すると、ドラゴンドーパントの両手が振動するとラッシュするように腕をWに向かって振るった。

するとその衝撃がWへと飛び身体に着弾するとWの身体を大きく仰け反らせる。

 

「クソッ!攻撃が収まらねぇ。」

『このままじゃ分が悪いね...戦法を変えよう。』

そう言うと攻撃の防御を翔太郎に任せてフィリップは携帯を操作しリボルギャリーを呼び出した。

リボルギャリーが展開し中からフィリップが飛び出すとそのままリボルギャリーがドラゴンドーパントへ突進した。

リボルギャリーの突進を真っ向から受けたドラゴンドーパントだが後ろに下がること無くリボルギャリーを受け止める。

 

『翔太郎、ファングジョーカーで行こう。』

「あぁ、分かった。」

リボルギャリーが時間稼ぎをしている間に翔太郎は変身解除すると意識を取り戻したフィリップがファングメモリを呼び出す。

呼び出されたファングメモリがフィリップの手に収まると変形させてメモリモードへと変える。

 

「FANG」

「JOKER」

 

「『変身』」

ジョーカーメモリがフィリップの元に転送されるとファングメモリをドライバーにセットし展開した。

「FANG,JOKER」

 

ファングジョーカーへ変身が完了すると獣のように低く構えるとドラゴンドーパントへ飛び掛かった。

Wの基本形態の中でも特筆して直接的戦闘能力の高いファングジョーカーはドラゴンドーパントとの戦いは肉薄していた。

Wの攻撃をドラゴンドーパント自慢の装甲で耐えつつ衝撃を纏った拳で殴りかかるがそれをWは獣の様な変則的な動きで回避する。

 

「あっはっは!....面白い!やはり戦いはこうでなくては面白くない!」

「何て耐久力だ....ファングの攻撃を真っ向から受けてダメージが殆ど無いなんて」

『どうするフィリップ?

このままだとじり貧だぞ。』

「なら、マキシマムであの装甲を一気に削ろう。」

『ファングのマキシマムでか?』

「いや、あれは強力だが隙も多い。

ジョーカーメモリを使おう。」

『分かったぜフィリップ!』

 

Wは戦いながらファングメモリの角を一回、その後二回弾いた。

「ARM FANG」「SHOULDER FANG」

Wの肩と右腕に牙が生成されると肩の牙を抜きドラゴンドーパントへ投げ付けた。

追尾するブーメランとなった牙がドラゴンドーパントを斬り付けている間にWはジョーカーメモリをドライバーから抜きマキシマムスロットへ装填する。

 

「JOKER MAXIMUMDRIVE」

 

「『JOKER STRIKE(ジョーカーストライク)』」

 

紫のエネルギーを纏った右腕の牙がJの文字を刻むようにドラゴンドーパントの胸を斬り付けた。

この攻撃は効いたようでドラゴンドーパントは片膝を付く。

「くっ!.....流石は仮面ライダーと言ったところか。

この力を使うのに丁度良い。」

そう言うとドラゴンドーパントは変身を解除する。

変身解除するとガタイの良い男が現れる。

 

「あん?もう降参か?」

「まさか、新しい力を使う下準備だよ。」

そう言うと上着のポケットから謎の機械を取り出す。

「何だあれは?」

翔太郎の疑問に答えること無くメモリの上部にその機械を差し込む。

 

Dragon Upgrade(ドラゴンアップグレード)

 

そしてメモリを首に挿した。

当初と同じドラゴンドーパントへと変身するが身体の中心からヒビが入りその亀裂が全身へと広がっていく。

そして、余剰エネルギーが爆発すると黒かった装甲が赤く輝き強烈な熱を発する新たな形態へと姿を変えた。

そして、背中には大きな翼が二枚現れ正にドラゴンとして大人になった姿と言っても過言ではなかった。

 

『コイツ....いきなり変わりやがった!』

「翔太郎!気を付けた方がいい。

何か嫌な予感がする。」

 

「さぁ、第2ラウンドを始めようかぁ!」

強化されたドラゴンドーパントが翼をはためかすとその衝撃が熱波となりWを襲った。

Wの身体が発火する程の熱を発する。

「くっ、恐ろしい熱量だ!」

『クソッ!これならどうだ!』

翔太郎が肩の牙をドラゴンドーパントに投げ付けるが彼の近くまで飛ぶと発火し燃え尽きてしまった。

 

『何っ!』

「ファングの牙を燃やし尽くす程の熱とは....危険だよ翔太郎!」

 

「小細工は終わりか?ならこっちの番だぁ!」

ドラゴンドーパントは拳を握りこむと赤熱した腕が振動し始める。

「まさか、前と同じように振動を飛ばせるのか?」

ドラゴンドーパントがWに向かい腕を振るうと振動が同じようにWへと向かっていった。

Wはこれを回避するが着弾した瞬間、強烈な熱が解放されバックドラフトが起こり回避した筈のWが火だるまになってしまう。

 

Wは身体の火を地面を転がって消すがダメージが大きく肩で息をし始める。

「はぁはぁはぁ....」

「どうした?もう息切れか?

もっと俺を楽しませてくれ。

でないと"見ている"奴も飽きてしまうだろう?」

「見ている?一体どう言う意味だい?」

 

「そのままの意味さ、この戦いは実況されている。

丁度、俺がメモリを強化した段階からな。

このファイトを見たい客が多くてオーナーがライブ配信を計画したんだよ。」

『俺達は見世物かよ。

気に入らねぇな。』

 

「安心しろ、どちらかが死ねば戦いは終わる。

見世物が嫌なら俺を殺せば良いだけだ!」

ドラゴンドーパント身体を赤熱させるとその熱を腕に集中させる。

「前の俺は"振動を相手に飛ばす"だけしか出来なかったが進化した今の俺の力を使えばこんなことも出来るんだぞ?」

赤熱した腕で地面を殴り付けると熱が地面へと流れていきうねりの加わった爆発はWのいた地面をガラス化させる程の熱を発し爆発した。

 

この爆発に巻き込まれたならいくらWでも命はない。

しかし、そんなWを助けたのはヒーロードーパントに変身した正義だった。

爆発する直前に変身した正義がWを抱えて攻撃をギリギリで回避したのだ。

「おいおい、部外者が俺達のファイトに入ってくるんじゃねぇよ....殺すぞ?」

「....何で君はそんな簡単に暴力を振るえるんだ?」

「は?力は使うためにある。

そして効率良く力を使う手段は他者の命を奪い殺すことだ。

俺は力が欲しい....そしてその力を使いたい。

だから殺すそれだけだ。」

 

「それは、傷つく"痛みを知らない人間"だから言えるセリフだ。

そんな勝手な理由で殺しは正当化されない!」

「下らない!お喋りしたいならそこら辺の雑魚としてろ!」

 

ドラゴンドーパントの攻撃が正義に迫る。

Wを抱えてたまま回避を行うが爆発の方が早く正義の足が爆発に巻き込まれる。

「ぐあぁ!」

地面にWと共に落下した正義の足からは煙が上がっていた。

足を抑えながらもWを庇うようにドラゴンドーパントの前に出る。

 

「避けてばっかでつまらん相手だな....もういい死ね。」

ドラゴンドーパントが腕を赤熱させて攻撃を放とうとするといきなりリボルギャリーが動きだし二人を乗せて逃走し始めた。

「逃がすかぁ!」

まだエネルギーの溜まっていない腕を振るうがその攻撃は回避されてしまう。

倒すべき敵を失ったドラゴンドーパントはメモリを抜いて人間の姿に戻った。

 

「チッ、つまらん!....だがこのアダプターは凄いな。

まるで"別次元の強さ"だ。

これからもっと楽しい殺し合いが出来るだろうな。」

そう言うと男は公園を後にした。

 

 

 

ダメージを受けたフィリップと翔太郎、そして正義は照井が用意した病院で安静にしていた。

「所長....気分はどうだ?」

照井が心配そうに亜樹子に尋ねる。

事務所に帰ってきた亜樹子がボロボロになった三人を見つけて照井に連絡をして来たのだ。

 

「うん....大丈夫!三人とも命に別状は無いってお医者さんも言ってたしね。」

そう気丈に振る舞う彼女の目には涙の痕が残っていた。

「そうか何があったのか知りたいんだが三人の内、誰が起きている?」

照井はわざと見ないフリをして亜樹子に尋ねた。

「フィリップ君はまだ目を覚ましてない。

横にいた男の人もそうだった。

翔太郎君なら....起きてるけど」

「....そうか。」

 

「竜君、出来ることなら....」

「分かっている余り長く話を聞かない。

約束しよう。」

そう言うと照井は翔太郎達のいる病室へと向かうのだった。

 

病室に到着すると三人とも身体に包帯を巻かれていた。

照井の顔を見た翔太郎が起き上がる。

「おぉ、来たのか照井。」

「無理に起きなくて良い。

相当な重症なんだろう?」

「あぁ、特にファングジョーカーだった時に攻撃を受けたのが不味かった。

フィリップがかなり重症だ。

それにあの正義もな。」

 

「中島正義、お前らが追っていたドーパントか?」

「あぁ、それにそっちとも関係があるんだろ?」

「俺に質問をするな....と言いたいがその通りだ。

本人が直接話してくれたよ。」

「そっか、なぁお前はどうするんだこの事件?」

「どう言うことだ?」

「警察としてどう言う対応を取るのか....そう聞いてるんだ。」

「.....正直、迷っている。

左がそう聞いてきたと言う事は、お前も判断がついていないのか?」

 

「あぁ、また甘いと言われるかもしれないが俺は正義も彼を擁護した刑事も両方悪いとは思えねぇんだ。」

「ガイアメモリを使っている人間を警察は黙認したんだぞ?」

「それを言うなら俺達だって似たようなもんだろう?」

「......兎に角今はお前達を襲ったドーパントの方が優先だ。

そいつのメモリに関して何か分からなかったのか?」

 

「さぁな、それを聞く前にフィリップが倒れちまったからな。

ただ、アホみたいな耐久力と衝撃を撃ち出す力があった。

それに"変な機械"をガイアメモリに取り付けた瞬間、バカみたいに強くなりやがった。」

「変な機械?」

「あぁ、ガイアメモリの上に嵌め込むパーツみたいな奴でそれをつけてドーパントになると一気に強くなったんだよ。」

 

(まさか、井坂が使っていた"アダプター"と呼ばれる物か?)

照井は井坂が変異した黒いアダプターを思い出す。

「おい照井、何か知ってんの....か....」

翔太郎の動きが鈍くなったのを見た照井が言った。

「薬が効いてきたんだろう....もう休め。

ドーパントから受けた傷は自然治癒でしか治せない。

お前も重症な事には変わりはない。」

 

「悪いな....照井.....後は」

「あぁ、任せろ。

そのドーパントは俺が倒す...風都の仮面ライダーとしてな。」

その言葉を聞いて安心した翔太郎は目を閉じるのだった。

 

 

 

Another side

 

琉兵衛は獅子神からの報告を受けてこれ迄に無い程の苛立ちを覚えていた。

「もう一度聞かせてくれないかね獅子神君。」

「はっ.....はい。

セブンスの一角、ファイトクラブ05のファイターであるドラゴンメモリの使い手がWと交戦し...フィリップに怪我を負わせてしまいました。」

 

横で聞いていた冴子と若菜はそれぞれ別の意味で驚いた顔をしている。

若菜はまだフィリップが弟であると知らないため純粋に彼の心配をしていて冴子と琉兵衛は計画の要であった来人の怪我に驚いていた。

 

「若菜、少し外しなさい。」

「でも、お父様!」

「聞こえなかったの?お父様は外せと言ったのよ。」

そう言われ若菜は渋々、部屋を出ていった。

「それで来人の容態は?」

「警察にいる協力者の話だと傷が深くまだ意識を取り戻していないようです。

......申し訳ありません。

私の管理する者がそのような失態を....」

 

「治せる見込みはあるの?」

「はい、サラの部下である美頭に治療を頼んであります。」

「スフィンクスメモリによる回復か....ならば信用できそうだな。

さて獅子神君、何故このような状況になったのかね?

師上院が死んでから幹部の失態が目立つように思えるのだが....ワードメモリの誓約がなくなり気が緩んだのかね?」

 

師上院がキースに殺されたことによりワードメモリの能力も無効化された。

つまり、これまで交わしてきた契約が全て不履行になったわけだ。

これによりミュージアムを脱退しようとする者も現れてミックや処刑人(イナゴの女)が常に粛清のため動き回っていた。

 

「決してそのような事はありません。

私は貴方に忠誠を誓っています。

それはメモリの誓約があろうと無かろうと変わりありません。」

「ならば、それを証明したまえ。

その結果を見て私は判断しよう。」

「失礼致します。」

 

獅子神が部屋から去ると冴子が琉兵衛に話しかける。

「お父様、井坂先生がそのゲームに参加したいと言っているのだけれど宜しいかしら?」

「.....好きにしたまえ。

だがね冴子。」

 

 

「火遊びは程々にしないと自分の身体を焼いてしまうよ?」

 

「....えぇ、胆に命じておきますわ。」

 

すると冴子も部屋から出ていく。

 

「全く困ったものだ。

冴子も若菜も......」

琉兵衛は一人そう呟くのだった。

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