もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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ドラゴンメモリを持つ男はスマホを確認する。
そこには05の運営する裏サイトが映っておりここを確認して、次の試合や結果を確認するのだ。

そしてその内容を確認して舌打ちをする。
「チッ!まさか、間違った相手を傷付けてペナルティを食らうとは.....このひ弱そうな男の方がターゲットだったわけか。」

そうして映し出されている映像にはフィリップと正義が写っていた。
正義は殺害、フィリップは生かして捕獲するルールが記載されている。

「まぁ良い。
なら、次の試合は完璧にこなして見せるさ。」
そう言うと男はスマホを操作し二人が今いる病院の住所を調べると向かうのだった。



第百四十七話 動くH/撒き餌の人質

 

病院がドラゴンドーパントに襲われていると聞いた照井はアクセルに変身するとバイクに変形しフルスロットルで向かっていた。

 

「クソッ!何故、情報が漏れたんだ。」

照井は用心をして三人のいる病院の情報が外部に漏れないように隠していた。

知っているのはそれこそ一握りの人間だけだ。

(誰だ?....誰が情報を漏らした?)

 

そう考えながらバイクを進ませるアクセルの前に落雷が落ちてバランスを崩し転倒しながら元の形態へ戻ってしまう。

「おや?そんなに急いで何処に行かれるんですか?」

そう言って目の前にウェザードーパントへと変身した井坂が現れる。

 

「今はお前の相手をしている暇はない!」

「申し訳ないですが私にはあるんですよ。

準備が整うまで貴方を足止めすることが私の仕事なのでね。」

「俺の邪魔はさせん!」

 

「TRIAL」

照井はトライアルメモリを起動させ変身するとウェザードーパントへと向かっていくのだった。

 

 

 

三人を入院させている病院にはかつて無い程の緊迫感で包まれていた。

ドラゴンの怪人が現れて病院内を闊歩しているからだ。

一つ一つ病室を開けて患者の顔を見ていく。

警護していた警察官がそれを止めようとするが軽く吹き飛ばされてしまう。

 

そんな中、1つの病室に入ると足を止めた。

「見つけた。」

そう言ってベッドにいる青年に触れようとするのを包帯を付けた翔太郎が止めた。

「お前は....」

「テメェ!フィリップに何しようとしてんだ!」

 

「お前、あの時の仮面ライダーか。

丁度良い、歯応えが無い相手ばかりで退屈していたんだ。

変身して俺と闘え。」

ドラゴンドーパントがそう言って翔太郎を吹き飛ばす。

だが、ロストドライバーが無い今の翔太郎には単独で変身する手段は無かった。

 

「変身しないのか?

なら、お前に用はない。」

ドラゴンドーパントが立ち向かってくる翔太郎を捕まえてトドメを誘うとすると病室の窓が割れてガチガチに装備を固めた後藤が入ってくる。

男が手に持ったショットガンをドラゴンドーパントに向けて放つと少しのけぞった。

「お前は....」

「おい、そこの子供を連れて早く逃げろ!」

「逃がすか!」

 

そう言って近付くドラゴンドーパントに後藤は手に持ったショットガンを撃ち続ける。

弾がドラゴンドーパントへ当たると火花が散り後ろに下がる。

「"スラッグ弾"でも傷1つ付かないとは....」

 

スラッグ弾とは大型の獣を撃つ時に使われる弾で散弾と違い威力と貫通力が高い弾でコンクリートブロックやレンガを貫通する力がある。

(だが、衝撃はあるようだな。

これを撃っている間はあのドーパントが近付く心配はないだろう。)

 

ドラゴンドーパントがフィリップに近付こうとすると後藤がショットガンを放ち距離を取る。

その間に翔太郎はフィリップを担ぎ上げると部屋を出ようとする。

 

「イラつく事を何度も何度もいい加減にしろ!」

ドラゴンドーパントは腕に貯めた衝撃波を後藤に向けて放った。

危険を感じた後藤が回避すると衝撃波が壁に激突し爆発した。

その爆発に巻き込まれて翔太郎達は外に弾き出される。

「クソッ!フィリップが起きればWに変身できるんだが....

おい!起きろフィリップ!」

翔太郎がフィリップを起こそうとするが未だ目覚めることはない。

 

後藤は手に持っていたショットガンに目を向ける。

あの衝撃波を受けてしまったようで形が変形しひしゃげていた。

「これはもう使えないな。」

そう言うと後藤はショットガンを捨ててハンドガンを取り出すとドーパントに向ける。

「そんなものが俺に効くと思ってるのか?」

「効かないだろうが無いよりマシだ。」

「なら、死ね。」

 

ドラゴンドーパントが腕に貯めた衝撃波で後藤を狙おうとした瞬間、突如現れた車がドラゴンドーパントに直撃した。

相当な速度がついていた車に追突されたドラゴンドーパントは車ごと病院の壁に叩き付けられる。

そして、車の中から泊が出てきた。

 

「後藤!無事か?」

「あぁ、それよりも何て無茶をするんだ。」

「お前には言われたくねぇよ。

ドーパントに生身で挑むなんてよ。

お前が爆発する病院から出てきた時はビックリしたんだぞ。

気付いたらドーパントに車で突撃しちまってたよ。」

 

「それより中島 正義は確保できたのか?」

「あぁ、大門が見つけてな。

今は安全なところにいるよ。」

そんな話をしていると追突した車から轟音が響く。

金属がひしゃげていく音を響かせながらドラゴンドーパントが姿を現した。

「やってくれたな....もうルールなど知ったことかお前ら全員、殺してやる!」

ドラゴンドーパントは強化アダプターを取り出すと体内のメモリに差し込んだ。

 

「Dragon Upgrade」

 

「うぉぉぉぉぉ!」

ドラゴンドーパントは爆炎に包まれると赤熱したあの姿へと変わる。

そして、攻撃を放とうとした瞬間、ドラゴンドーパントの頭部が動いた。

「何だ?」

ドラゴンドーパントは違和感の原因を探ろうとその方向に目を向けると今度は身体に衝撃がはしり倒れてしまう。

「何だこれは?」

「まさか、狙撃か?泊、探偵、隠れろ!」

後藤は攻撃の正体に気付くと物陰に潜む。

 

そんな中でもドラゴンドーパントは正体不明の狙撃により立ち上がることが出来なかった。

「身体が.....上手く動かない。」

そうして戸惑っていると泊達の前に悪魔の姿をしたドーパントが現れる。

「お前は....」

翔太郎が尋ねようとした瞬間、人間が気絶する程度の電流を彼等に流して気絶させると翔太郎とフィリップを抱えてデビルドーパントは空へと飛んでいった。

 

そして、狙撃を行っていたコブラドーパントも逃走が成功したことを確認するとその場を後にするのだった。

 

そして、照井が到着した頃にはドラゴンドーパントと後藤の姿だけが無くなっていた。

 

 

 

光景の一部始終を見ていた美頭の元に無名から着信が入った。

「貴方が邪魔をしたと言うことは園咲家の誰かから命令を受けているんですね?」

美頭の問いに無名は答える。

「えぇ、若菜様から頼まれたんですよ。

そう言う貴方は誰から?」

「獅子神様からです....来人様を治療するようにと」

「それは都合が良い。

場所を指定しますのでそこで治療を行ってくれませんか?」

 

「分かりました。」

美頭はそう言うと無名から指定された場所へと向かうのだった。

 

思わぬ邪魔が入ったことを知った獅子神は逆に憤慨していた。

「デビルドーパントがいただと?.....無名の仕業か。

あの野郎!本気で殺されないと分からないのか!」

机に力の限り腕を叩き付けると机が陥没した。

止めようとする水島を力の限り殴り首を180°回転させる。

しかし、当の水島は両手で首を戻すと獅子神に言った。

「獅子神様、計画を変更されますか?」

「変更だと?ここでそんな事をすれば組織に自分は無能だと喧伝するようなものだ。

当初の予定どおりに事を進める。」

「ですが.....どうやって?」

 

そんな話をしていると灯夜が部屋に入ってきた。

「獅子神、良いニュースだ。

ドラゴンと連絡が取れた。」

「何?」

「どうやら、アイツはまだ仮面ライダーと闘いたいらしくてな。

刑事を一人拐って人質を取るつもりらしい。」

 

「成る程、それは使えるな。

良し、その取引が円滑に進むようにしてやろう。

メモリとドライバーは回収したのか?」

「あぁ、協力者の刑事が持っている。」

「それを返してやれ。

そして、こう言うんだ...."刑事を助けたければ仮面ライダーを集めてこい"とな。

そうすれば奴らは来るだろう。」

 

獅子神の指示に灯夜は従い行動を始めるのだった。

 

 

意識を失っていた翔太郎が目を覚ますとそこは鳴海探偵事務所だった。

何が起きたのか分からず辺りを確認するとフィリップがベッドで寝ている。

「フィリップ!おい!フィリップ!」

翔太郎がフィリップを揺すると彼は目を覚ました。

 

「翔....太郎?」

「良かった無事だったんだな。」

「ここは....事務所かい?

確か、ドラゴンドーパントから攻撃を受けて....それで」

「そうだ。

傷付いた俺達を照井が、病院に運んでくれたんだ。」

「なら、どうして僕たちはここに?」

「....わかんねぇ、病院にドラゴンドーパントが来て襲われて入るところにまたドーパントが現れてから意識がねぇ。」

 

そう言う翔太郎をフィリップはまじまじと見て今度は自分の身体を見つめる。

「傷が.....無くなってる。」

「そう言えば身体が痛くねぇ....どういうことだ?」

翔太郎が不思議がっているとフィリップは携帯を確認する。

そこには若菜からのメールが一件入っていた。

 

『フィリップ君へ、もうそんな無茶はしないでください。

貴方が無事でいることを願っています。』

 

そう書かれていた。

(若菜さんが...僕達を助けてくれた?

彼女はミュージアムの幹部だと前に言われた。

治療を行える部下がいたのか。)

フィリップは気づいた真実を翔太郎に伝えること無く話を戻す。

 

「ドラゴンドーパントはどうしたんだい?」

「分からねぇ、照井が間に合ってればメモリブレイク出来たかも知れねぇが....」

そう言いながら翔太郎も携帯を取り出し確認する。

そこには多数の着信とメールが入っていた。

序盤は二人の安否を気にするもので、後半からは亜樹子とも連絡がつかないと言うものだった。

 

「フィリップ、亜樹子と連絡がつかないらしい。

動けるか?」

「亜樹ちゃんが?.....勿論動けるよ。」

そう言うと二人は立ち上がり辺りを見渡す。

すると、フィリップの使う研究所の一室で意識を失って倒れていた。

「おい亜樹子、しっかりしろ!」

翔太郎が亜樹子の頬を軽く叩いて起こす。

「うーん....翔太郎君?.....それにフィリップ君!

良かったぁ無事だったのね。」

「んな事よりどうして意識失ってたんだ?

それが、急にドーパントが二人を運んできて...ソイツから電気がビリビリっと出て....気付いたら」

 

「僕達と同じく気絶したと?」

「う.....うん。」

そんな話をしていると翔太郎が亜樹子を見て気付く。

「亜樹子、手に持っているスマホはなんだ?」

「え?何これ私のじゃないよこれ!

私聞いてない。」

 

すると亜樹子の持っていたスマホに着信が入る。

フィリップがスマホを操作するとテレビ電話に変わった。

そこには先程、助けられた後藤と言う刑事が縛られて椅子に捕まっていた。

そして、ドラゴンドーパントが隣に現れると言った。

「これを見ている仮面ライダーに告ぐ。

コイツを助けたければ今すぐここに来い!

でないと、コイツの首が胴から離れることになるぞ?」

すると、後藤が叫ぶ。

 

「来るな!これは罠だ!」

「黙ってろ!」

ドラゴンドーパントは後藤の腹を殴り気絶させると画面に近付いて言った。

「繰り返すが早く来いよ。

でないと本当に殺しちまうからよ。」

そう言うと通話が切れた。

 

「これって...不味くない翔太郎君。」

「あぁ、相当ヤバイ。

早く照井に知らせてやらねぇと....」

翔太郎が照井に電話をかけると直ぐに繋がる。

「左!無事だったか!」

「あぁ、安心しろフィリップも亜樹子も無事だ。」

「所長もか.....良かった。」

 

「それよりあの刑事がドラゴンドーパントに捕まったって....」

「あの映像を見たのか?

そうだ、後藤巡査が捕らえられた映像はこちらにも来ている。

それに....もう1つ厄介なことが起きた。」

 

「厄介なこと?」

「あぁ、保管していた"ヒーローメモリとドライバー"が紛失した。

それと中島正義も姿を消した。」

「どう言うことだよ!メモリもドライバーもちゃんと管理してたんじゃないのか?

それよりも何で正義さんも姿を消してんだよ!

誰も見てなかったのか?」

 

「俺に質問するな....現状、情報が錯綜していて分からないんだ。

だが、中島が俺達にメモを残していった。」

そう言うと照井はメモの中身を読んだ。

 

先ずは勝手に消えたことの謝罪.....そして捕まった後藤を助けに行く内容だった。

そして、この決断は自分の独断であり助けてくれた刑事とは一切関わりのない事で自分は幸せだったと

 

「何だよそれ?.....まるで遺言じゃないか。」

「恐らく、ドラゴンドーパントと刺し違えても後藤を救うつもりらしい。」

「クソッ!フィリップに場所を検索させる!

照井、何でも良いから何か手がかりになる情報をフィリップに教えてあげてくれ!」

「あぁ、こちらからも頼む。

未来ある二人の若者をこんなところで失うわけにはいかない。」

 

そう言うと照井は今ある情報をフィリップに伝えて、

フィリップはそれを使い検索を始めるのだった。

 

 

動き始めたドミノを止める手段が無いように時間が刻一刻と進んでいく。

仮面ライダーが目にするのは希望か絶望か?

 

その答えを悪魔は笑いながら眺めるのであった。

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