もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第百四十九話 過去のL/怒りの矛先

 

先制したのはWであった。

握りこんだ左腕でドラゴンドーパントを殴りにかかる。

「バカがっ!」

ドラゴンドーパントが熱を解放するとWの身体が燃え上がる。

 

しかし、そんな事お構い無しに握られた拳がドラゴンドーパントの顔に直撃した。

その威力で身体が回転すると地面に叩き付けられる。

「ぐっ何故だ何故、攻撃出来たんだ!」

ドラゴンドーパントの問いに答えるようにWの身体を覆っていた炎が吹き飛んだ。

 

見ると紫色のエネルギーがWの身体を守るように覆っていた。

『溢れ出したジョーカーメモリのエネルギーを防御に回したんだ。

今のWには君のご自慢の熱を持った盾は効かない。』

「何だと?」

「ボーッとしてんじゃねぇよ......次が来るぜ。」

 

翔太郎の言う通り背後に回っていた照井がエンジンブレードでドラゴンドーパントを斬り付ける。

それを受けて転がり距離をとったドラゴンドーパントは赤熱した腕に衝撃波を貯めてアクセルへ放った。

 

アクセルはスロットルを回すとアクセルの足の裏から炎が吹き出るとその衝撃波に向けて蹴りを加えた。

蹴られた衝撃波は押し戻されて逆方向へと飛ぶ。

そのままドラゴンドーパントの胸部に当たると爆発した。

 

「アクセルドライバーにはメモリの力をチャージする機能があるがトライアルメモリで使用すると一瞬の内に貯めたエネルギーを放出する様だな。」

 

「まだだぁ!」

ドラゴンドーパントは立ち上がるとアクセルに攻撃を加えようとするがそれをビッカーシールドで抑えると後ろからアクセルがエンジンブレードで腕を斬り付ける。

『終わりだ。』

 

「PRISM MAXIMUMDRIVE」

 

『「PRISM BREAK」』

 

Wのプリズムソードがドラゴンドーパントの胸を切り裂き胸部にソードを突き刺した。

「グハッ!....だがこの程度では殺られない。」

『ドラゴンメモリの耐久力の高さはもう検索済みだ。

ソードの狙いは別にある....照井竜!彼処を狙え!』

 

「分かった。」

照井はトライアルメモリを起動するとドラゴンドーパントに向かって投げた。

そして一気に近付くと掌底をソードに向かって叩き続ける。

『君の強さは本来露出する強化アダプターが強靭な肉体で覆われていることが問題だった。

そのプリズムソードには強化によってうまれた熱を遮断する能力がある。

そこを中心に攻撃すればソードが強化アダプターに到達し......』

 

「TRIAL MAXIMUMDRIVE」

 

『破壊される。』

フィリップの言うとおりドラゴンドーパントの胸に刺されたプリズムソードはアクセルトライアルの連撃により内部の強化アダプターに到達すると破壊した。

その影響でドラゴンドーパントは元の形態へと戻る。

 

『そして、ドラゴンメモリに最も効果的な攻撃はこれだ。』

 

フィリップは腰のマキシマムスロットにメモリを装填しドライバーを再展開した。

「HEAT,XTREAM」

「「MAXIMUMDRIVE」」

 

エクスタイフーンから竜巻が発生すると発火したWを包み込みその火は燃え盛り業火となった。

Wはそのまま飛び上がるとドラゴンドーパントへキックを炸裂された。

 

『「W/HEAT/EXTREAM(ダブル ヒート エクストリーム)」』

 

業火に包まれたWのキックがドラゴンドーパントに当たると炎がドラゴンドーパントに吸収され内部から大爆発を起こした。

「ぐぁぁぁぁぁ!」

ドラゴンドーパントは爆発で吹き飛ばされながらコンクリートの壁に激突するとそのまま突き抜けて地面に倒れる。

その衝撃でメモリが抜けると小さな爆発を起こし砕けた。

 

照井が倒れた男に近寄り命に別状がないことを確認すると戻ってきた。

「安心しろ生きているぞ。」

「そうかよ。」

「どうしたお前の事だから凄まじい威力に自分自身が驚いていると思ったが....」

「別に良いだろ...それよりもこの後は頼むぞ。

ちゃんと刑務所にぶちこんでやってくれ。」

「当然だ。

それが警察官の義務だからな。」

 

そんな話をしていると倒れた男が急に立ち上がった。

「なっ!まだ動けるのかよ!」

『いいやあり得ない。

いくら改良されたフィルターを使っていると言ってもアダプターを破壊されメモリブレイクされたんだ。

直ぐに起き上がれる筈がない。』

すると照井が言った。

「いや、良く見ろ二人ともあの男は意識を失ったままだ。」

「なら、何で立ち上がってるんだ?」

 

「それは俺の部下の力だ。」

そう言うとドーパントの集団を引き連れた獅子神が現れる。

「てめぇは.....」

「....獅子神。」

 

「よぉ、思ったより元気そうで安心したぜ。」

「何のようだ?」

「お前らに言う必要があると思うか?.....と言いたいが教えてやる。

俺の狙いは仮面ライダーであるお前達だ。

そしてフィリップ、お前をミュージアムに連れ戻す。」

「「!?」」

 

獅子神の言葉に照井と翔太郎は驚くがフィリップは冷静に対応する。

『僕はもう彼処に戻るつもりはない。

僕はもう探偵で仮面ライダーなんだ。』

「貴方の意見は聞いてない。

組織にとって必要な存在ならどんなことをしてでも手に入れる。

だからこそ、貴方には"絶望"を味わってもらう。」

 

『絶望?』

「そう、貴方を守っている気になっている仮面ライダーをここで完全に潰す....そうすれば貴方は気付く筈だ。

自分の戻れる場所がここ(ミュージアム)にしかないと言うことを」

「ふざけんなっ!そんな事させねぇぞ!」

「ふん、フィリップがいなければ役に立たない凡人がほざくな。」

 

「Leo」

 

獅子神はドライバーを付けるとレオメモリを装填しドーパントへと変身する。

「さぁ、絶望に沈めぇ!」

獅子神は重力波をWとアクセルの頭上に発生させた。

「ぐぁ!....身体が重ぇ。」

『何て力だ。』

「な....めるなぁ!」

 

アクセルはトライアルメモリを起動し加速すると重力波を振り切りレオドーパントに近付くが到達する前に辺りに落とされた落雷により動きを止められてしまう。

そこには強化されたウェザードーパントである井坂が立っていた。

「漸く、戦えますねぇ照井 竜。」

「井坂ぁ!」

 

「さぁ、邪魔者はいなくなった....擂り潰せ。」

獅子神が命ずると後ろにいたドーパントが襲ってくる。

数々のドーパントの攻撃がWに襲いかかる。

「グハッ....クソッ!うまく動けねぇ」

『先ずはこの重力波を抜け出さないと...メタルメモリを主軸にしたマキシマムを使って抜け出そう。』

「分かったぜ....フィリップ。」

Wはプリズムビッカーにメモリを装填しようとするが触れていたメモリを落としてしまう。

『どうしたんだい?翔太郎!』

「分からねぇ...急に力が抜けちまって....」

 

「大人しくやられて頂戴....仮面ライダー。」

一人のドーパントがWにそう言った。

そのドーパントを見つめた瞬間、謎が解ける。

『"フェロモン"か....翔太郎!息を吸っちゃ駄目だこの空間にはあのドーパントが散布したフェロモンが充満している。

それに当てられたからあの男(ドラゴンドーパント)は急に立ち上がったんだ。

身体の動きを支配されるんだ。』

「んだと?反則だろ。」

 

「あぁ?ゲームじゃあるまいし殺し合いに反則もクソもねぇだろうが!」

「兄貴、コイツは痛め付けるだけで殺しちゃ駄目なんだってさ。」

そう言うと二人のドーパントがWをコンビネーション攻撃で追い詰めていく。

『"チーター"に"ベア"の力かっ!

翔太郎!プリズムビッカーで受けるんだ!』

「分かっ....うっ!」

翔太郎がプリズムビッカーを構えようとするとその腕に攻撃が辺り盾を落としてしまう。

 

「敵は彼らだけではありませんよ?」

『"マンティス"....斬撃を飛ばしてきたのか。』

狼狽するWの周り煙が現れると斬撃に包まれて身体を切り裂かれていく。

そして、胸の中心にチェーンソーを受けて火花を散らすと壁に抑え付けられてしまった。

「俺達もいるぞ?仮面ライダー。」

「お久し振りですね。」

 

『不味い!翔太郎!チェーンソーを弾いて距離をとるんだ!』

しかし、その行動が怒る前に隣にいたドーパントに両腕を捕まれて拘束されてしまう。

Wも振りほどこうとするがビクともしない。

「う...ごけ.....。」

「無駄なことは止めておけ。

今回は俺達も余計な遊びはしない。」

『"アリゲーター"....何てパワーだ。』

 

すると、最後のドーパントがゆっくりとWの前に現れた。

そいつを見たフィリップは焦り翔太郎に言った。

『翔太郎!奴の声を聞くなぁ!』

しかし、フィリップの忠告が響くのと同時にドーパントの声が翔太郎に届いた。

 

 

「怯えろ...」

その言葉を受けた翔太郎の脳内に鳴海荘吉の死が鮮明にフラッシュバックされる。

銃で撃たれ血を流し倒れる...その光景がゆっくりと鮮明に頭に流れる。

その光景から抜け出せなくなった翔太郎の精神が限界を向かえるのに時間はかからなかった。

 

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!」

翔太郎の絶叫と共にWが変身解除されると二人は地面に倒れる。

翔太郎は意識を失いフィリップだけが何とか敵を見据える。

「"トラウマ"を引き出すドーパントか....翔太郎!起きるんだ!翔太郎!」

 

しかし、その声は翔太郎に届かない。

「これで終わりだな。」

紫米島がそう言うとフィリップを捕えるためにドーパントが集まり始めた。

 

 

 

Wとアクセルが激闘を繰り広げている中、獅子神はドラゴンドーパントだった男の前に来ていた。

「残念だよ....純粋に力を求めるお前は嫌いじゃない。

だが、お前は俺達を危険に晒したその責任は取って貰う。」

そう言うと獅子神は男の胸に手を突っ込むと心臓を引きずり出した。

 

その痛みで男の意識は覚醒する。

「あ...ぐあっぁぁぁぁ!」

引きずり出された心臓はまだ脈打っていた。

自分の心臓を取り戻そうと獅子神に掴みかかるが人間の力ではドーパントを凌駕する事は出来なかった。

 

「今から"ゆっくりと心臓を握り潰していく"。

死ぬまでの間に俺達を危険に晒したことを後悔し懺悔しろ。」

そう言うと獅子神はゆっくりと優しく心臓に力を込めていく。

それに反応するように心臓の脈動も強くなり男は獅子神の手から心臓を引き剥がそうと躍起になる。

 

男の口から血の泡が溢れ痙攣していく。

目の視点も合わなくなり反射による痙攣だけが続けていく。

そして、グシャ!と言う音と共に心臓が潰れると男は糸が切れた人形のように地面に崩れ落ちた。

 

「俺達の邪魔をする奴はどんな奴でも許さない。

敵には等しく死を.....それが"俺のルール"だ。」

そう言うと獅子神は血に濡れた手を振るとアクセルとウェザードーパントに向き直った。

 

戦況はアクセルが圧倒的に不利だった。

強化されたウェザーの力はトライアルメモリを圧倒していた。

「まだだ!」

吹き飛ばされたアクセルがそう言うと立ち上がるとトライアルメモリを抜き起動する。

 

超スピードで動くアクセルの攻撃をウェザーは的確に防御していく。

そして、攻撃を止めたアクセルがメモリのスイッチを押す。

「TRIAL MAXIMUMDRIVE」

 

だが、蓄積されていないダメージにトライアルメモリの力が反応することはなくウェザードーパントにダメージが与えられることはなかった。

「残念ですがその攻撃は全て見切っていますよ。

強化前のウェザーなら兎も角、今の私ならばその速度にもついていけます。」

「何だと?」

 

「それではお返しです。」

そう言うとウェザーの身体に赤い落雷が落ちると超スピードでアクセルに近付き凄まじい連撃を放つ。

トライアルと違い全ての攻撃が重く強いウェザーの連撃にアクセルの変身が解除されると照井は口から大量の血を吐き出した。

「ぐっ.....井....坂。」

そう言うと照井は地面に倒れてしまった。

 

その姿を見た井坂はメモリを抜く。

その光景に獅子神が尋ねる。

「殺さないのか?」

「彼は憎しみを糧にここまで強くなりました。

そして、そんな彼に感化され私も強くなった。

彼にはまだまだ私を強くするためにも生きて貰います。

それに...まだ強化アダプターに身体が馴れていないようですからね。」

そう言う井坂の口からは一筋の血が流れていた。

 

「十分に楽しめました。

私はこれで失礼しますが宜しいですか?」

「構わん。

元々、俺達だけでやる予定だったからな。」

「では私はこれで....」

 

そう言うと井坂はその場を後にした。

倒れる照井を獅子神が見つめる。

「厄介な男に気に入られたな貴様も.....

まぁ良い、目的は来人様の確保だ。

彼方ももう終わってる頃合いだろう。」

 

そう言ってWのいる場所へと向かった獅子神を待っていたのは倒れている部下とフィリップを助けようとしドーパントになったリーゼ(デビル)と.....

 

 

 

 

 

 

園咲若菜(クレイドール)だった。

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