もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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リーゼを送り出す際、無名が言った。

「良いですかリーゼ?
フィリップと左 翔太郎、両方を守ってください。
彼等の存在は今後必要になります。
....今は理由を話せませんが、いつか教えられると思います。」

何時もしない困った表情をしている無名が珍しくリーゼの記憶に深く残っていた。
リーゼにとって無名は自分の存在と自由を守ってくれた存在だ。
だからこそ、余計なことを聞かずリーゼは無名に言われた命令を遂行しようと思った。


第百五十一話 消えるD/守る意味

 

目の前で広がっている光景に獅子神は混乱していた。

翔太郎を殺すために振るった拳をデビルドーパントが盾になり受けたのだ。

 

手加減無しで振るわれた獅子神の拳はデビルドーパントの身体を貫通しドライバーを完全に破壊した。

腕を引き抜くとデビルドーパントは地面に倒れ砕けたデビルメモリが排出され元の猿であるリーゼの姿に戻る。

 

その光景を再生した目で見ていた若菜が叫ぶ。

「リーゼ!...いやぁぁぁぁ!」

リーゼはミックとじゃれあっており他の幹部の中でも若菜にとってとても馴染み深い存在だった。

故に身体から血を流して倒れる姿を見て悲痛な声をあげる。

 

「何故だ?何故、お前がコイツを庇う?」

獅子神がそう尋ねるがリーゼは勿論、答えられる訳がない。

すると獅子神の目の前に四角い物体が飛んでくると爆発した。

「何だ?....ぐっ!」

獅子神は巨大な何かに吹き飛ばされて地面を転がる。

そして、爆発した煙が晴れるとそこには獅子神の部下以外、いなくなっていた。

 

「....逃げた...だと?....クソ....クソがぁぁぁぁ!

怒りから獅子神はその場で吠えるのだった。

 

 

 

獅子神の目の前で爆発したものは赤矢が生成した爆弾であった。

殴られた衝撃で動けるようになった赤矢がフィリップの元に駆け寄る。

「あの戦車を呼び出せ!」

「戦車?リボルギャリーの事か?」

「良いから早くしろ!周りの奴等を死なせたいのか!」

赤矢の言葉にフィリップは携帯を取り出しリボルギャリーを呼び出すと獅子神に突撃させた。

「若菜様!仮面ライダーをお願いします!

私はリーゼを....」

「分かったわ!」

若菜が再生した肉体で立ち上がると翔太郎と遠くにいた照井をリボルギャリーに乗せてフィリップも中に乗り込む。

 

そして、赤矢はリーゼを優しく抱えるとリボルギャリーに乗り込んだ。

赤矢はフィリップに指示した安全な場所へリボルギャリーを向かわせた。

そして、その場所に到着すると直ぐに降りて建物の中に入る。

その建物は無名が緊急用に用意したセーフハウスだった。

その存在を無名から聞かされていた若菜はメモリを抜くとフィリップと一緒に翔太郎と照井を担いで中に入れる。

 

赤矢はドーパントの姿のままベッドに運ばれたリーゼと翔太郎、照井に向けて小さな爆弾を投げる。

「何をする気だ!」

「騒ぐな!....鎮静効果のある爆弾を作った。

応急処置にもならないだろうが無いよりマシだ。」

小さな爆弾から三人の周りに煙が発生すると三人の顔の険しさが少し収まった。

 

そして、爆発したことを確認すると赤矢はセーフハウスを探索し緊急連絡用の通信機を見つけると使った。

その通信に無名が答える。

「どうしました?何かトラブルが....」

「リーゼがやられた!獅子神の攻撃を受けたんだ!

メモリもドライバーも破壊されている!....どうすれば良い?」

 

「.....え?」

何時もの無名らしくない声が通信機ごしに聞こえる。

「しっかりしろ無名!リーゼが死にかけているんだ!

このセーフハウスにリーゼを救う手段はあるのか?」

「リーゼの容態は?どうなっているんですか!」

 

「出血が激しい...獅子神の拳を受けたんだ。

患部を布で抑えて止血しようとしてるが血が止まらない!!」

「ガイアメモリの攻撃は普通の手段では治せません。

......どうすれば、美頭に..いやダメだ!....酵素...そうだ酵素です!ここにはNEVERの再生酵素があります!それを使えば....でも」

「どうした?何故、そこから先を言わない?」

 

「それを実行するには科学的知識とガイアメモリの知識の両方が入ります。

......僕が行く頃には手遅れになります。」

「私がやる...教えてくれ!」

「無理です....知識と経験が足りなすぎます。

シュラウドならば....出来るかもしれませんが彼女の協力は絶望的です...どうすれば...」

「本当に手段はないのか?」

赤矢の言葉に無名は沈黙すると決心したように話し始めた。

 

「赤矢さん....そこにフィリップはいますよね?

.....彼と変わってください。」

「分かった。」

赤矢がフィリップに通信機を渡す。

「フィリップさん....貴方に頼みたいことがあります。

シュラウドを説得してくれませんか?」

「何故、僕なんだ?

僕に彼女を説得できるとは思えない.....」

 

「いいえ、出来ます。

貴方の言葉なら彼女は耳を傾けてくれる筈です。」

「その根拠は何なんだ?教えてくれないのなら協力できない。」

 

「分かりました。

ですが、それを話すにしても今は時間が足りません。

ですので真実を聞いたら直ぐにシュラウドに連絡すると約束してください....お願いします。」

「分かった。」

 

「.....シュラウドの本名は"園咲 文音"。

そして、フィリップ、貴方の本当の名前は"園咲 来人"。」

 

 

「貴方はシュラウドの子供であり園咲家の家族の一人です。」

 

 

 

 

フィリップに真実を話し終わるとフィリップは約束通りシュラウドに連絡を取ると言うと通信が切られた。

ベッドの上で無名は手で顔を覆う。

(リーゼが....獅子神に殺されかけた。

僕のせいだ....僕がリーゼにそう命令したから.....)

 

話を聞いた限り、翔太郎や照井は守ることが出来たのだろう。

だが、獅子神により僕の仲間に被害が出た。

黒岩からも連絡がかかってきたが彼も重症らしい。

朦朧とした意識で連絡をかけてきた。

 

僕はNEVERに事情を話し彼等の救出を頼んだ。

僕の表情が酷かったのだろう。

NEVERのメンバーが悲痛な面持ちで準備を進めてt孤島をたっていった。

 

これまでもピンチなことは色々とあった。

その度に仲間の手を借りて状況を変えてきた。

過去の記憶が無く仮面ライダーWの記憶だけある特異な自分にとって彼等は家族のような存在になっていた。

 

特にリーゼは僕にとってとても大切な存在だ。

どんな時も信用していた存在が僕の命令によって死にかけた。

冷静に考えれば防げた筈だった。

獅子神は確実にいることも分かっていた。

もっと策を打てた筈なのに.....何時ものようなバタフライエフェクトとは違う僕個人の采配ミス、それによってリーゼが今、死の縁を彷徨っている。

 

窓ガラスに写る僕の顔は"笑っている"。

笑っている?何故だ?意味が分からない。

僕は自分の顔に手を触れようとするが動かない。

まるで誰かに操られでもしているような....あり得ない!僕の意識はハッキリとしている!

なら何故?

 

「不思議そうだな...私。」

ガラスに写る僕が話した..."私"?

「動揺した身体を奪うのは簡単だったよ。」

どういう事だ?まさか、ゴエティア!お前なのか?

 

「それ以外に誰がいると言うんだ?」

あり得ない!何時もは僕の意識が無くなると変わっていたのに....何故?

「君とエクストリームが完全に融合したのさ。

正確にはクリスタルサーバーがだけどね。

今まで中途半端に身体を操作するしか出来なかったのは地球の本棚と繋がる為のクリスタルサーバーとの融合が完全になっていなかったからだ。

だが、そんな時に劇場版(AtoZ)が始まった。

お陰で君が意図的にエクストリームを使い、融合を加速をさせてくれた。

そして、今それが完璧になったんだ。

私の意識の記憶とこの入れ物(無名)が完全にリンクした。」

 

「もうこの身体は私の物だ。」

【あり得ない!そんな事が.....】

「君と私の立場は逆転した....もうつまらないクイズがどうなど言わなくても好きに動くことが出来る。」

【何を....するつもりだ?】

 

「君に分かる筈など無いだろう?

私が何者なのかすら分かっていない君にはね...」

「だけど、君には感謝している。

僕の求めた箱庭(地球)に漸く入ることが出来たんだからね。」

【箱庭?】

 

「1つだけ教えてあげよう。

前に出した質問の答えだ"地球とは何か?"」

 

「"地球の本棚が産み出した記憶の集合体"

それが答えだ。」

【集合体?.....どういう意味だ?】

 

「つまり、順序が逆なんだ。

"地球が産まれたから地球の本棚"が出来たのではなく...」

「"地球の本棚"が誕生した結果、"地球"が産まれたんだ。」

【そんな....どうしてそんなことが起きたんだ?

そんな歴史は仮面ライダーWには無い筈だ!】

 

 

「続きは君が調べてみると良い。

今の君なら調べられる筈だろう?

では、私は行くことにするよ。」

【お前はこの世界で何をするつもりなんだゴエティア!】

 

 

「悠久の時の中で存在することしか出来なかった私の願いは"変化"と"体験"だよ。

私もそろそろこの世界を自分で弄りたくなってきた。」

【この世界を壊すつもりか?】

「壊すのでは無い....ただ興味を実践するだけだ。」

 

 

「今まで私はずっと"書き手"だった。

触れることが出来ない物語を眺めるしか出来ない存在。

だが、今は違う。

もう、私は触れることが出来る....今までありがとう君が作り出した全ては私か有効活用させてもらうよ。」

【止めろ!....そんな事はさせない!】

 

 

「まぁ、見ていたまえ....ここから先は」

 

 

 

 

 

(無名)ではなく(ゴエティア)が物語を紡ごう。」

窓ガラスに写った無名は姿を消した。

そして残ったのはこの世界に厄災をもたらす悪魔その者であった。

 

ゴエティアはベットから立ち上がると服を着替える。

全身、黒でコーディネートされたスーツを見に纏うと部屋の扉を開ける。

そこには克己が立っていた。

克己は無名を見つめるとナイフを取り出した。

 

「どうしましたか克己さん。

そんな物騒な物を取り出して.....」

「貴様....何者だ?

無名じゃないだろう。」

 

「何を言っているんですか?

私は正真正銘の無名ですよ。」

「下手な芝居はよせ...お前に無名の感情は感じられない。

もう一度、聞くぞ....お前は誰だ?」

 

「.....流石は大道 克己。

曲がりなりにも仮面ライダーになった男には見破られますか。」

「その身体は無名の物だ....奴を何処へやった?

それもガイアメモリのせいなのか?」

 

「それを答える義理はありませんねぇ。

知りたいのなら力付くで聞いてみますか?」

「ならばそうするまでだぁ!」

 

克己の振るったナイフを避けること無く無名は受けた。

だが、そのナイフは無名に到達する前に出現した黒炎により刀身が消滅する。

ナイフを捨てた距離を取った。

(クソッ!ドライバーを置いてきたのは失敗だったか!)

嫌な予感がした克己は無名の部屋に行く際、時間を優先してドライバーを置いてきていたのだ。

 

そして、その行動から克己のミスを無名も理解する。

「ドライバーを忘れたのですか?

なら、貴方に私を止めることは出来ないでしょうね。」

そう言うと無名はドライバーをつけてメモリを起動する。

 

「Demon」

 

ドライバーにメモリを装填するのと同時に無名は呟く。

「エクストリーム....」

すると即座にデーモンエクストリームへと変身が完了した。

そして、手を翳すとその場所にゲートが出現する。

「何処に行くつもりだ?」

「さぁ、何処でしょうか?

当ててみてください。」

 

そう言うと無名はゲートに入り姿を消した。

克己は直ぐに自分の部屋に戻るとドライバーとメモリを手に取る。

そして、ミーナを見つけて話し始めた。

「ミーナ、メイカーに頼んで孤島の警戒レベルを最大にしろ!

そして、NEVERの奴等に連絡を入れろ緊急事態だとな。」

「何があったの克己?」

 

「分からん!だが、無名が"何者か"に捕まって消えた。

俺は奴を見つける為に後を追う。」

「追うって何処に?」

 

 

不安そうにするミーナに克己は告げた。

 

「風都だ....恐らくそこに奴もいる。」

そう言うと克己は外に出ていくのだった。

 




Another side

目を覚ました無名の目の前に広がっていたのは辺り一面真っ黒な空間でそこには大量の赤い本で埋め尽くされた本棚があるだけだった。

「ここは....一体?」

立ち上がった無名が本棚に触れると本棚が動き始めて一冊の本が現れた。
その本は他の物と違い鎖で巻かれており大量の南京錠で封じられていた。

すると、本の間から一枚の紙が落ちる。
千切られているがその紙は封じられている本の一ページだと分かった。

拾い上げた一ページの紙にはこう書かれていた。



「ゴエティアへ.....もう自分を責めるのは止めて

私が愛した貴方に戻って....

コスモス

外伝 続編の投稿に関して

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