もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第百五十七話 Jの覚醒/ダイヤと船

 

無名との戦闘が終わりクラブに戻ろうとすると泊から連絡がきた。

「あっ、繋がった。

大丈夫でしたか翔太郎さん!貴方の事を見失ったので心配してたんですよ。もう

「あぁ、悪かったな進ノ介。

そういやあのドーパントはどうなったんだ?」

 

「アイツなら仮面ライダーが消えると同じ様に姿を消しましたよ。

一体何がどうなっているのか………」

「分かった。

なら1度合流しようぜ丁度、フィリップも近くにいるんだよ。」

「分かりました。

じゃあ僕は亜樹子さんと一緒に現場のクラブで待ってます。」

 

そう言うと泊は電話を切った。

「そう言うことだからお前も一緒に行こうぜフィリップ。」

「......あぁ。」

「どうした?えらく元気無さそうだな。」

「....無名が使ったメモリが気になっているんだ。

あんなに用意周到な男がメモリの不調なんていう失敗を犯すだろうか?」

 

翔太郎やフィリップのイメージで無名は用意周到で狡猾であり二人が常に後手に回り続ける策士であった。

だからこそ、そんな策士だった無名がこんなミスを起こすことに違和感が拭えない。

「お前の言い分も分かるが今は目の前の事件を解決する方が先決だろ?

俺もお前も身体はピンピンしてるんだ事件が解決した後に検査でもしてみようぜ。」

「.....そうだね分かったよ翔太郎。」

フィリップをそう納得させると二人は亜樹子と泊の待つクラブへと戻っていくのだった。

 

 

 

クラブに到着するとそこにはもう警察が到着しており立ち入り禁止のテープが張られて現場保存を行っていた。

外にいた泊が二人を見つけて手招きする。

「あっ!こっちです。

彼等は超常犯罪捜査関係の協力者ですので入れてください。」

そう言われると警官は納得してテープの奥にいる泊の元に二人を招き入れた。

 

「大丈夫だったか進ノ介?」

「えぇ、まぁかすり傷が出来た程度です。

亜樹子さんは今、救急隊員の方に治療して貰っています。」

「亜樹ちゃんがそんな怪我をしたのかい?」

 

「いえ、あの女に投げられて足で踏みつけられた事による打撲何ですけど万が一を考えて検査して貰っているだけです。」

「何だよ驚かすなよ。」

翔太郎はそう言って泊の肩を叩いた。

「あ、そう言えばマッキーは何処にいんだ?」

 

「真倉刑事は今、生き残った人達の事情聴取をしています。

それが終わるまでに現場の見聞をしておこうと....ほら翔太郎さんは真倉刑事に嫌われてるじゃないですか。」

「成る程、翔太郎どうやら彼に気を遣わせてしまっているようだ。

早めに現場を見聞して早速、検索を始めよう。」

 

そう言うとフィリップは泊と共に現場へと向かっていく。

「.....なーんか納得いかねぇ。」

翔太郎はそう思いながらも二人について行くのだった。

 

 

荒れたクラブを見ながらフィリップは考察を始める。

「被害者は全員女性で皆、宝石に変えられた。

しかし、何故そんな事を.....」

その考察に泊も参加する。

「それに不思議なのは犯人はどうやってこのクラブに入ることが出来たのかと言うことです。

クラブの周囲を見ましたが破壊された跡は無かった。

つまり犯人は怪物になる前にこのクラブに入ったということになる。」

 

「....成る程、このクラブは会員制。

入れる人間にも限りがあるって訳か....

そっちの方で調べてみるか。」

「あぁ、検索を始めよう。」

そう言うとフィリップは目を瞑り地球の本棚へと入る。

「出たフィリップさんお得意の瞑想。

それにしてもどうやったらこれで事件が解決するんだろうなぁ。」

 

泊には二人が仮面ライダーであることも地球の本棚にアクセス出来る事も言っていない。

この行為もフィリップの行う瞑想と翔太郎は説明していたのだ。

 

「検索内容はあの女性の正体....キーワードを」

すると、そこに翔太郎が声をかける。

「キーワードは"ダイヤの指輪"、"クラブ ブルートパーズ"だ。」

「.....関連する項目が多すぎる今一絞り込めないな。

他に何かキーワードは無いかい?」

「と言っても他に情報なんて...進ノ助は何かあるか?」

翔太郎からの問いに泊は考える。

 

「....気になっていることならあります。

この事件の犯人は女性ばかりを狙っているんですよね?

だとしたら何故、刃野さんと接触したんでしょうか?

話を聞いた限り偶然にぶつかったというより意図的に巻き込まれた様に思えるんですよね。」

「確かにな....良しフィリップ、キーワード追加だ。

"刃野刑事"。」

 

すると、フィリップは検索を終えて目を開ける。

「翔太郎と同じくらい洞察力に優れているようだな泊 進ノ介さんはお陰で絞り込めたよ。

やはり、刃野刑事が巻き込まれたのは偶然じゃなかった。」

そう言うと白紙の本を開く。

「彼女の名前は"城島 泪"(じょうじま るい)

元々、素行が悪かったらしく当時巡査だった刃野刑事に何度もお世話になったらしい。

主に武田 智(たけだ さとる)上杉 誠(うえすぎ まこと)の三人が関わっていたと書かれているね。」

 

「えっ!上杉 誠ってあの超人気モデルの?」

治療を終えた亜樹子が三人の話に入ってくる。

「おっ、亜樹子無事だったんだな。

てか、何でお前が上杉の事を知ってるんだ?」

翔太郎の問いに亜樹子は答える。

「いやいや、頭にこーんなたんこぶが出来ちゃったんだからね....ってそんな事より翔太郎君知らないの?

最近、風都のモデル雑誌に引っ張りだこの人だよ。

その優しい表情とルックスから女性のファンも多いんだって」

 

そう言いながら亜樹子は携帯を開きモデルの情報が乗っているサイトを開いて見せてくれた。

「....うん?どっかで見たことある顔だな。」

「あっ、彼このクラブにいましたよ。

今、真倉さんから事情聴取を受けている筈です。」

 

「なら、俺らも一度会って話を聞かないと行けないな。」

そう言うと上杉の元へ向かうのだった。

 

 

 

翔太郎達が事件を調査している頃、照井と大門は風都の船着き場へと向かっていた。

二人とも何時もと服が違い照井は黒いタキシードに赤い

Yシャツ、大門は豪華なピンク色のドレスを着込んでいた。

到着した船着き場にいる黒服に招待状を見せる。

「ようこそ、いらっしゃいました。

船内ではこちらのマスクをお付けください。」

 

そう言うと黒服は二人にマスクを手渡す。

それを着けると二人は船内へと入っていった。

大門が小声で照井に話しかける。

「うまく潜入できましたね。」

「あぁ、だが油断するな。

ここはもう敵地の中なのだからな。」

 

「分かってます。

それにしても随分と豪華な船ですね。

広さもかなりありますし迷ってしまいそうです。」

「おや?ここで会うとは思いませんでしたよ。」

そう言って近付いてくる男も同じ様にマスクをしていたが声は聞き覚えがあった。

 

「"コレクター"、まさかここで会うとはな。」

「えぇ、運命的なものを感じますねぇ。

どうですか?折角会ったことですしお話でも」

「....もしも断ったら?」

「私が貴方達が警察だと言う....そう思ってますか?

ご安心くださいそんなつまらないことはしませんよ。

私はただ貴方と話がしたいだけです照井さん。」

 

暫く考えた照井は大門に向けていった。

「大門、俺はコイツとこの場を離れる。

警戒を怠るなよ。」

「照井課長、ですが!」

「俺のことなら心配するな....それと潜入中はその名を呼ぶなよ。」

そう忠告すると照井とコレクターは別室へと向かっていった。

 

大門は驚きながらも周囲に溶け込むように船のエントランスへと入っていった。

 

そこそこな広さがある部屋へ照井を案内して扉を閉めるとコレクターはマスクを外した。

「良いのか?そんな簡単に素性を明かして」

「言ったでしょう?私は貴方と話がしたかったんです面と向かってね....ですから照井さん貴方もマスクを外して頂けますか?」

 

照井はコレクターの願い通りマスクを外す。

「おぉ、やはりこうやって直に見ると分かります。

貴方の心にある憎しみや強さがひしひしとね。」

「何故、俺の名前を知っている?」

「私が敬愛するお方と貴方に接点があったからですよ。」

 

「敬愛だと?」

「井坂深紅郎....そこまで言えば後はお分かりでしょう?」

「井坂だと!?貴様っ!井坂の関係者なのか?

答えろ!奴は今何処にいる!」

照井は感情に任せてコレクターの胸ぐらを掴んだ。

しかし、そんな事をされてもコレクターは揺るがない。

「おやおや...少しは理知的な方だと思っていましたがやはり家族を殺された怒りはどれだけの年月が経とうとも消えないのですねぇ。」

 

「そこまで知っているのか....なら早く答えた方が良い。

でなければ貴様をここで....」

「殺しますか?....まぁ、それもそれで面白い選択ですが今の貴方はドライバーもメモリもない。

そんな貴方が私を殺すのは一苦労だと思いますが....どうします?私の首を絞めて殺しますか?それとも拷問して情報を吐かせますか?言っておきますが私はあの方の情報を話す気は全くありませんよ?

死ぬ最後の時までね......」

 

その狂信的な瞳に照井は軽く圧倒されこれ以上は無駄だと思い手を離した。

「流石は刑事の親を持つ男ですね。

ここで冷静な判断が取れるとは……」

「ならこれだけは教えて貰おう。

組織はこの舟を使って何をするつもりなんだ?」

「ここはナイトタイムが主催するパーティです。

通常の様なオークションは無くあるのは"イベント"です。」

「イベントだと?」

「えぇ、取引先である者を楽しませる催しですよ。

....照井さんはここで集まる者達の共通点が分かりますか?」

 

「........」

「正解は皆、"退屈"しているんです。

金も地位も手に入れた上流階級は大抵の事ならば叶えられます。

それこそ犯罪行為すらね。

だが、それでも満たされない者達が刺激的な体験を求めてやってくる終着点がこのナイトタイムが主催するパーティなんですよ。」

「要は狂った金持ちが集まるパーティか。

俺も幾つか見たことはある。」

 

照井はこれまで捜査で幾つもの狂った犯人の行う催しを見てきた。

そして、そこにはガイアメモリが関わることも多かったがそれを潰してきたのも照井であった。

 

「ふふっ、そんなものは子供のお遊びですよ。

このパーティと比べたらね....あぁ、そうだ一つだけアドバイスをしましょう。

生き残りたいのなら連れてきたあの女刑事の命は諦めた方が良い。

足手まといを連れて楽しめるパーティではありませんので……

それではまたいずれ。」

そう言うとコレクターはマスクを付け直し部屋を出ていった。

 

照井は部屋の窓を開けてビートルフォンを操作する。

すると、船の壁からライブモードとなっているイールチャンネルが照井の元へ駆け上がってきた。

イールチャンネルの尻尾には小型のアタッシュケースが取り付けられている。

中を開けるとアクセルドライバーとアクセル、トライアルメモリが入っていた。

 

照井がもしものために用意していたドライバーとメモリを取り出すと懐にしまった。

(コレクターの言い分は何かある。

用心に用心を重ねた方が良い。)

 

そうして照井も部屋を出ると大門と合流する。

大門は目立たないようにワイングラスを持ちながら周りを確認している。

「どうだ?何か不振なことはあったか?」

照井の問いに顔を向けず小声で答えた。

「何もありません。

エントランスに入ってもお酒と食べ物を勧められただけでした。

他の人もマスクを付けていますが話し掛けようとしても無視されてしまって.....」

 

「そうか、何があるか分からない。

暫くは俺と一緒に....」

そう照井が話そうとすると突如、船内が暗くなりモニターに明かりが灯る。

「ようこそ、ナイトタイムの主催するパーティへ御越しくださいました。

今回、司会を勤める美頭と申します。

それでは、今回行うイベントを発表する前に今、風都で行われている人間が宝石に変えられる事件....その犯人が我々にコンタクトを取ってきました。

彼は貴殿方の喜ぶ事件を起こす代わりに逃走ルートと資金を融通して欲しいそうです。

ですのでこれからその映像を流し皆様に、彼の命を買っていただきます。」

 

そう言うと映像が代わり、そこにはWとなった翔太郎達と瓦礫の中で意識を失っている泊の姿があった。

「!?泊君!どうして!」

大声を出しそうになる大門の口を照井は塞いだ。

そんな中でも話が進んでいく。

「彼の名前は上杉 誠、ジュエルメモリを使いドーパントに変身する男です。

では、映像の続きをご覧ください。」

そうして流れる映像を照井と大門は眺めることしか出来なかった。

 

 

 

 

照井と大門が映像を見る前、ジュエルメモリや城島 泪についての検索を終えた三人は泊と共に上杉への事情聴取を行っていた。

 

「貴方達は刃野さんと知り合いなんですか?」

上杉の問いに翔太郎が答える。

「あぁ、俺も刃さんには世話になったからな。

だからこそ、窃盗なんて事件を起こすようには見えないんだよ。」

 

「そうなんですか。」

「上杉さん今回、貴方に話を聞きたいのは城島 泪さんの事です。

あのクラブに彼女がいたという話があり調べているんです。」

「何だって!泪がっ!.....やっぱり泪が...」

 

「やっぱりとはどういう意味ですか?」

そこで上杉は自分の身の上を話し始めた。

自分と武田、そして泪は三人で良くつるみ町の平和を守ると言っては喧嘩に明け暮れていたこと....

そして、武田は泪が好きになり告白しようと自分に相談してきたこと....

しかし、泪は自分の事が好きでこの関係を壊したくないと思い断ったことを.....

 

「それが彼女を傷つけ...おかしくしてしまったのでしょうあんな怪物になるだなんて」

「その武田さんは今何処に?」

「行方不明です..."泪が怪物になった"その直後から」

 

「そうでしたか...でも驚いたでしょう?

人が宝石になるなんて普通じゃあり得ない訳ですから」

泊が慰めるように言うと上杉は涙を拭いて答える。

「えぇ、人をダイヤモンドに変えるなんて...どうかしていますよ。」

 

そう言うと上杉との事情聴取が終わった。

その寂しげな後ろ姿を見て亜樹子は悲しく言う。

「可哀想、折角の親友を恋で失ってしまうなんて...」

 

「ん?どうした進ノ介?そんな顔して」

泊の悩んでいる顔に翔太郎が尋ねる。

「えぇ、ちょっと気になる事が....」

「.....やっぱりお前も気になったか?」

翔太郎が泊にそう告げる。

その光景にフィリップと亜樹子は驚く。

 

「ふぇえ!何々、何に気付いたのよ?」

「聞いたところ不自然な事は無かったと思うけど」

「あぁ、良くある痴情の縺れが原因の事件の様に見える...だけどもし俺達の想像通りならこの事件は大きくひっくり返る。」

「翔太郎さん、僕はちょっと風都署に戻って調べものをしてきます。」

「あぁ、何か分かったら教えてくれ。

俺も情報屋に当たってみる。」

 

意味の分からない二人をほおっておいて話を進めるとそれぞれが行動を始めるのだった。

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