もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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「ちっ!泪の奴、めんどくさい事をしやがって...」
上杉は泪が勝手に刃野のいる留置所に言ったことを知り悪態をついた。

「そろそろ潮時かもなぁ。」
武田 智をジュエルの力が宝石に変えて泪の言うことを聞かせてきたがもう限界が近いと思っていた。
警察だけならまだしも仮面ライダーに目を付けられたらこれから宝石集めが面倒な事になる。

だからこそ、何とかこの厄介な事態を解決する必要があった。
「必要なものは逃げる足と金かぁ。」
上杉はこれまで何人もの女性をダイヤに変えてきたがそれを売ることはしなかった。

何故なら彼女等は僕のメモリの力で完璧な存在になったのだ。
そして、そんな完璧な物は同じく完璧な存在である自分が持つべきだろう。

数点のダイヤを泪が刃野の元に運んだのは想定外だったが警察が無能なお陰で刃野を犯人にした仕立て上げようとした時に泪が刃野に会いに行った。

理由は分かる。
俺にダイヤに変えられた智を助けて貰おうって算段なんだろうがそうは行かない。

もう使えないなら捨てるだけだ。
上杉は泪をとあるビルに呼び出した。
その際、井坂の使いを名乗る者から渡された錠剤を手に持つ。
念には念を入れる必要がある....もし仮面ライダーが出て来た時の保険だ。

そうして、ビルに到着すると泪がもうそこにいた。
「何なの?話って?」
「お前には十分に働いて貰ったからな....そろそろこれを返してやろうと思ってな。」

上杉はそう言うと自分の指にはめていたダイヤの指輪を外し地面にほおり投げた。
驚いた泪がそのダイヤに急いで駆け寄る。

上杉が投げた場所の近くにあるソファには予め爆弾を仕掛けてあった。
泪が書いたと思わせる遺書や声も録音済み、全て完璧だった。
(さぁ、早く来い。
そしたら爆弾で殺してやるよ。)

しかし、その動きを一人の探偵と刑事により止められた。
「漸く見つけたぜ...上杉 誠。」
「たっ探偵さんと刑事さんじゃないですか...ちょ丁度良かった!助けてください!泪が僕を...僕を!」

その言葉に泊が銃を上杉に言う。
「下手な小芝居は止めろ!上杉 誠....いやドーパント!」

正体がバレた上杉はその場で驚愕するのだった。


第百五十八話 Jの覚醒/最悪な真実

 

「なっ....何を言っているんですか僕はドーパントじゃありません。

ドーパントはあの女ですよ!」

 

そう言うと今度は翔太郎が話し出す。

「下手な嘘はもう止めとけ....もう刃さんとも話した。

お前の正体は分かってんだよ下衆野郎。」

もう完全にバレていると分かった上杉は首を鳴らし笑う。

 

「あーあ、上手く行くと思ったのに....どうして分かったんだ?俺がドーパントだって」

その問いに泊が答える。

「違和感を感じたのはアンタと話した時だ。

彼女が怪物になり武田が消えたと言っていたよな?

お前にフラれたから怪物になった...なら何故、武田を狙う必要がある?

付き合えない事が耐えられず限界だったからか?

それにしては短絡的過ぎだ。

そこで一度、刃野刑事と話したんだ。

そしたら刃野刑事の聞いていた真実は違ったよ。

城島が好きだったのは武田でアンタは城島にフラれたんだってな。

あの場でわざと城島を犯人にしようとする言動に違和感を覚えた俺は一つ罠を仕掛けたんだ。」

 

「罠?」

「俺が聞いた言葉を覚えてるか?

"人が宝石に変わる"と言ったのにお前は"ダイヤ"と言った。

確かにドーパントが女性を変えていたのはダイヤモンドだ。

だが、俺はお前に人間が変えられた宝石がダイヤモンドとは、一言も言っていない。

ついでに言えば広まっている噂も宝石に変える女だ....だとしたら何故、アンタな宝石がダイヤだと分かったんだ?」

そう言うと次は翔太郎が捲し立てる。

 

「情報屋からアンタの噂を調べて貰った。

超が付く程の完璧主義者であり表の顔は好青年だが裏の顔は傲慢でプライドが高く色んな所でトラブルを起こしているってな。

しかも、お前がトラブルを起こすのは何時も女性関係でその女性は毎回不思議なことに女を宝石に変える噂の被害者になっていた。

そして、男性の場合は必ず死体が上がっていた。」

 

「男なんて宝石にする価値なんて無いだろう?

僕の身体を着飾れる資格があるのは美しい女性だけなんだよ。

その指輪は泪に言う事を聞かせるために仕方なく付けていたんだ。」

「貴様っ!」

泊が怒りの表情を向けていると泪が上杉の投げた指輪を手に取った。

 

そして、その姿を見た上杉が笑う。

直感的に嫌な感じがした泊と翔太郎は彼女に駆け寄る。

彼女の両脇のソファが爆発するが間一髪、泊が彼女を救いだしたが反動により吹き飛ばされ爆発したコンクリートに潰されてしまう。

「進ノ介!」

そして、吹き飛ばされた泪は頭を抑え出す。

 

「あぁっ!ああぁぁぁぁぁ!

「おい!しっかりしろ!」

 

その光景を上杉はつまらなそうに見つめる。

「あぁー、やっぱり先生の言った通りになったかぁ..」

「テメェ、彼女に何をした!」

「泪には定期的に"この薬"をあげてたんだよ。

ドーパントの力を飛躍的に増幅させる力があるんだけど普通の人間が使っても身体能力は向上するらしいんだよね。

けど、副作用が酷いみたいでさぁ...本当はこの副作用で彼女を殺して罪を全て被って貰おうと思ってたのに泪が余計なことをしたせいで計画が狂っちゃったよ。」

 

翔太郎は彼女の痛がり方に見覚えがあった。

(これはエンゼルビゼラか!

だとしたら早く治療しないとヤバイ!それに進ノ介も危険だ!)

翔太郎は上杉に見えないように携帯を取り出すとフィリップへと通話を繋げて泪の近くへ置いた。

 

「彼女は昔からの仲間だったんじゃねぇのか?

そんな仲間を利用して殺そうとするなんて何考えてやがるんだ!」

「は?彼女はね僕の事が好きだったんだよ?

僕の犯した罪は彼女が全部被ってくれた....好きじゃなきゃ出来ないでしょ?....それに」

 

 

 

「"好きな相手に利用されて死ねるなんて幸せじゃん?"」

 

 

 

その言葉を聞いた翔太郎の顔から表情が抜ける。

倫理観なんて完全に吹き飛んでいる人間の発言。

現に倒れている彼女を上杉は気にも止めていなかった。

 

「まぁ、でもここまでバレてるのなら仕方ないね。」

そう言うと懐からメモリを取り出す。

Jewel(ジュエル)

「纏めて宝石になって貰うしか無いかなぁ...」

 

その言葉に翔太郎は反応すること無くドライバーを取り出し付けるとメモリを起動する。

『「変身」』

 

「CYCLONE,JOKER」

 

仮面ライダーへと変身する。

「フィリップ....エクストリームだ。」

『あっ...あぁ』

今まで見たこともない表情と感情にフィリップは動揺する。

冷たく重く...そして深い。

見ようとすれば飲み込まれてしまうのではないかと言う程の暗い感情だった。

 

そして、エクストリームメモリを呼び出しドライバーに装填する。

「XTREAM」

エクストリームとなったWだがその姿は何時もと違っていた左側にある翔太郎サイドの肉体から紫色のエネルギーが飽和し漏れ出している。

 

(これは、ジョーカーメモリの出力が強くなっている。

僕が合わせるのが精一杯になるなんて……

それに、エネルギーの性質が何時ものジョーカーメモリと違う。

これは一体?)

 

それは翔太郎が本来持つ事が無い....いや、持ったとしてもセーブされてしまう感情。

しかし、それが無くなり全ての感情のベクトルがそこに向かったことでジョーカーメモリが反応しそれに適した力がWから溢れ出してきたのだ。

 

 

その感情の名前は"殺意"....翔太郎は始めて犯人を殺すつもりで変身し対峙していたのだ。

そんな事を知らないフィリップはその感情に違和感を覚えつつも敵を見据える...そして二人は犯人へと問い掛ける。

 

『「さぁ....お前の罪を....数えろ。」』

 

 

二人の言葉を受けた上杉は笑いながら言う。

「は?僕に利用されて死ねるんだ。

それは罪じゃなくて幸福だろう!」

上杉の放った拳をWは片手で受け止める。

そして、その手を握り始める。

 

「無駄だよ僕の身体は全てがダイヤモンドと同じ硬度で出来てるんだ。

握られた程度じゃ傷一つも...!?」

そう言い放つ上杉だったが握られた手が軋みヒビが入り始めたのを見て動揺する。

「なっ!どういう事だ!僕の身体はダイヤモンドなんだそんな....」

 

「黙ってろ...」

翔太郎がそう言うと手を思いっきり握る。

グジャ!と言う音と共に上杉の手がひしゃげてしまう。

ガァァァァァ!

「黙ってろと....言っただろう!」

握り潰した手を離し翔太郎は拳を握ると上杉の顔面を殴り付けた。

 

瞬間、紫のエネルギーが爆発し上杉はビルの壁を突き破り外へと弾き出された。

その姿を目で追うとWはゆっくりと倒れている泊と泪を見つめた。

『翔....太郎?』

その姿に動揺を隠せないフィリップ。

「このままじゃ二人が危険だ。

リボルギャリーは何時来る?」

『もうすぐ....来る筈だよ...』

 

そう言っていると穴の空いた壁からリボルギャリーが走ってくるのが見えた。

翔太郎はプリズムビッカーを取り出す。

「フィリップ、彼等を病院に運ぶ前に応急処置をして置きたい。」

『分かった。

ルナメモリをメインにしたマキシマムを使おう。

 

フィリップがそう言うとプリズムビッカーにメモリを装填していく。

『「BICKER SHINECUBE」』

ヒーロードーパントとの一件の際に使ったマキシマムを発動することで泊と泪の顔は少し穏やかになる。

そしてリボルギャリーが現れる。

二人をリボルギャリーに乗せると病院へ遠隔操作で走らせ始めた。

 

二人を運ぶとWは吹き飛ばした上杉の元へ歩いていく。

Wの拳を受けた上杉は何とか立ち上がるがその足は情けなく震えていた。

「ぼっ...僕の顔に..傷を付ける...なんて...許せないなぁ!」

上杉はダイヤモンドを刃物の様に尖らせて生成するとWに向かって放つ。

しかし、その攻撃をビッカーシールドで的確に防御していく。

 

そして近付きながらメモリをビッカーシールドへ装填していく。

 

「CYCLONE MAXIMUMDRIVE」

 

「....来るなっ。」

悠然と近付いてくるWに上杉は恐怖を覚える。

 

「HEAT MAXIMUMDRIVE」

 

「来るんじゃねぇよ!」

上杉は恐怖に任せてWへ攻撃を加え続けるが全く効いた様子はなく近付いてくる。

 

「LUNA MAXIMUMDRIVE」

 

「来るな来るな来るな来るなぁぁぁぁ!」

まるで死刑執行を待つ囚人のように上杉が怯えていると攻撃をしていた手を捕まれてしまう。

「ヒッ!」

「これで、終わりだ。」

 

「JOKER MAXIMUMDRIVE」

 

四本のメモリを装填したビッカーシールドを上に投げるそしてシールドに付いているプリズムソードを抜き放つと逃がさない様に腕を掴みながら必殺技を放つ。

 

「BICKER CHARGEBREAK」

 

頭の中心から一線の元に切り裂かれた上杉は爆発を起こすとメモリブレイクが起こる。

元の人間の姿に戻った上杉をWは黙って殴り付けた。

『翔太郎!何をしてるんだ!』

「コイツの生体コネクターなら毒素が残らないタイプなんだろう?

逃げられる可能性もあるから意識を奪う必要があると思っただけだ。」

 

そう言って握っていた上杉の手を離すとメモリを抜き変身解除する。

『待て....翔』

フィリップが会話を続けようとするのをWドライバーを外して翔太郎は無視する。

目の前にはWの力で殴られて顔の骨が折れている上杉が倒れている。

 

(コイツの様な外道を...生きて捕まえる意味なんてあんのか?)

翔太郎は自分でも驚く程に冷たい考えをしていることに驚く。

「俺は....今何を考えたんだ?

そんな事、おやっさんが許すわけ無いだろう!」

誰もいない場所に翔太郎の怒号が響き渡る。

 

その姿をシュラウドは見つめていた。

「素晴らしい。

ジョーカーメモリの力を彼処まで引き出すだなんて....

この力があれば恐怖の帝王に勝てる!」

 

「あれは....本当に左 翔太郎なのか?」

その光景を見ていた大道克己がシュラウドの前に現れる。

「貴方は....そう、貴方も動いていたのね大道克己。」

「これは無名の仕業だな?

翔太郎に何をした?」

 

「彼は私の求める完璧なWへと変わった。

彼と来人ならあの男に勝つことだって……」

歓喜に震えながらシュラウドが話を続けようとするのを克己は悲しい顔で止める。

「それはフィリップが求めていることなのか?

唯一無二の相棒を殺人マシーンに変えることが本当にあの坊主の為になると思ってるのか?」

「黙りなさい!全ては来人の為、来人が安全に生きる未来の………」

 

「お前が見てるのは"自分の求めている未来"で"坊主の為の未来"じゃない。

アンタの未来に今の無名が協力しているのは分かった。」

克己はそう言うとその場を後にしようとする。

「何処に行く気?」

「俺は……俺の知っている"無名の願い"を叶える。

左 翔太郎をフィリップが信じる存在へと戻す。」

 

「そんな事は許さないわ。

貴方を殺してでも左 翔太郎は完成させる!」

「なら....お前とは敵同士だなシュラウド。」

 

そう言って二人は睨み合う。

そしてシュラウドは陽炎に包まれて姿を消すのだった。

 

悪魔の残した種が芽を出し物語へと複雑に絡み合っていく。

そして次のステージへと進んでいくのだった。





地球の本棚に幽閉されている無名は一人この部屋を探索していた。
見よう見まねで本の検索をすることが出来ることが分かりそれを使ってここから脱出する方法を調べてはいるが一向に答えは分からなかった。

外では一体何が起きているのか?
仲間は無事なのか?

不安が心を揺さぶる。

だからこそじっとしていられないと思い無名はこの空間について調べられる事を限界まで調べていた。

そんな中で見つけた一枚の手紙....そこにはゴエティアを思う誰かの言葉が書かれていた。
名前は滲んでしまって読むことはできないが気になった無名は調べようと色々とキーワードを言っていく。

「ゴエティア、ガイアメモリ、地球の本棚、箱庭.....ダメだ全く絞り込めない。」
ゴエティアを入れても出てくるのは悪魔の使役の仕方が記載された本に関する情報だけであり今のゴエティアへと繋がる記憶は無かった。

そこで無名の頭に一つの疑問が浮かぶ。
ゴエティアとはそもそも何なのだ?
アイツと言う存在があるのならこのゴエティアと書かれた本には何の意味があるんだ?

同じく悪魔に関係する話題....何か共通点がある筈だ。
無名はゴエティアと会話した内容を思い出す。
「奴は自分の名前が数百はあると行っていた....そんな事あり得るのか?
名前が複数ある意味....色々な場所に現れていた?」

「キーワードを追加"ゴエティアの名前の種類"。」
すると本棚が移動し一冊の本が現れる。

無名は手に取り本を開く。
そこには乱雑に切り取られたページが何枚か挟まれていた。

「これは....どういう事だ?」
そのページを取ると並べると無名は一つの可能性を考え付いた。
「まさか!キーワード追加!"悪魔"、"ゲーム"。」
そうして現れた本を片っ端から捲っていくと同じ様に切り取られたページが挟まっていた。

そうして集め終わった数十枚のページを読めるように纏めていく。
すると、これがゴエティアに関わる記憶....いや日記のような物だと分かった。

そのページを読んでいく。


【私達は.....を支持した....結果的にこの世界のためになると信じたからだ...だが、結局は間違いだった。
私は....を失い気付いた。

全ては下らないまやかしなのだと.....だが私は諦めない....を助けるために.....私は....今一度悪魔に戻ろう....何度、失敗しても諦めない。

.何が....だ!.....だ!.....そんな事の為に私は....を失ったのか!
.....許してなるものか....こんな結末を!.....

私は....を救うために全ての.....を犠牲にした。
彼等は私を恨むだろうか?....恨むだろうな。
原初の悪魔と呼ばれていても私は......ただの強欲な....なのだ。

この箱庭は素晴らしい....流石は....が作り出した結晶だ。
故に愛しさもある....だが....を救うためなら....私は....】

そこでページは無くなっていた。

「ゴエティアは....誰かを救いたいのか?」
これ以上を知るためにはもっと地球の本棚を調べる必要がある。
きっとそれがここから出るのに必要なことだと思った無名は一人、地球の本棚で調べ続けるのだった。

外伝 続編の投稿に関して

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