もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第百六十四話 進化するJ/奪われる切り札

 

翔太郎の放った攻撃はベアドーパントの顔面に直撃する筈だった。

 

『はぁはぁはぁ.....』

「これはどういうつもりだ?フィリップ。」

 

フィリップが右手で攻撃をずらしていなければ....

 

『それはこっちの台詞だ翔太郎!

君こそ何を考えている!

今の攻撃はメモリブレイクさせる目的じゃない。

人体を破壊し殺す為にマキシマムを使ったね?

鳴海 荘吉の教えを忘れたのか翔太郎!』

 

「覚えているさ.....だがなこの風都はおやっさんが生きていた頃とは違う。

お前も見て分かっただろう?

ガイアメモリが普及して様々な犯罪に利用された。

命の重さが軽くなり何人もの罪の無い人が怪我をし死んでいった。

こんなことをした犯罪者を既存の法律で裁くことに意味があるのか?

悪人がガイアメモリを持てば一般人よりもより多くの人を残酷に殺していく。

コイツらは傭兵をしてその後にガイアメモリを手に入れた。

そしてその力を使って何人も殺してきたんだ。

"罪を憎んで人を憎まない"....だがコイツらは例外だ。

罪が体の底まで染み込んでいる。

例えメモリブレイクしても再犯するだろう....だから殺すべきなんだ今ここで」

 

『そんなのは....間違っている。

間違ってるよ翔太郎!』

フィリップはそう訴えるが翔太郎はどうでも良い素振りでエクストリームメモリを閉じる。

エクストリームメモリのマキシマムドライブを使おうとしているすぐに分かった。

『止めろ!止めてくれ!』

「お前の話はコイツらの息の根を止めてから聞いてやる。」

 

『そんな事....させない!』

フィリップは再展開する前にエクストリームメモリをドライバーから引き抜いた。

その影響でWは変身解除すると翔太郎とフィリップは向き合う。

「お前は俺の相棒だろう?何故、邪魔をする。」

「相棒だからだよ。」

 

そんな話をしていると起き上がったベアドーパントが翔太郎に襲いかかる。

「翔太郎!」

フィリップが翔太郎を助けようとするが間に合わない。

 

翔太郎の身体にベアドーパントの攻撃が当たるギリギリでベアドーパントは吹き飛ばされる。

そして、そこから黒炎が一気に吹き出した。

その炎によりベアドーパントは苦しむ。

 

そこにデーモンドーパントが拍手しながら現れた。

「素晴らしい想定以上の結果ですよ左 翔太郎。」

「君が翔太郎をこんな風にしたのか!」

 

「いえいえ、私だけではなく彼女もですよ。」

そう言うと無名の背後からシュラウドが現れる。

「母....さん...」

「来人。」

 

「どうですかシュラウド?

貴女の求めた最高のWの素体として左 翔太郎は完成しました。」

「えぇ、そうね....彼こそ来人の....いえ完璧なWに相応しいわ。」

 

「何で....こんなことを?

何故、翔太郎にこんな酷いことをしたんだ母さん!」

「これも全て貴方の為よ来人。

今の左 翔太郎なら恐怖の帝王にも打ち勝つことが出来る。

これこそが私の求めた最高のWなのよ。」

 

「こんなのがW?....違う!鳴海荘吉が残してくれたものはこんな存在じゃない!

Wは兵器では無いんだ!」

そんな中、無名が話し始める。

「こんなところで油を売っていて良いんですか?

早く行かないと大変なことになりますよ?」

 

「どういう意味だ?」

「私がここに来たのは貴方がどこまで戦えるのは見るためです。

そこにいるゴミ(東堂兄弟)では確めきれませんでしたから....もう少し戦って欲しいんですよ。」

そう言うととある画面を見せる。

そこにはアリゲータードーパントと"生身の照井"が映っていた。

 

「さぁ、早く行かないと照井さんが死んでしまいますよ仮面ライダー?」

 

 

 

玉城を追いかけていたアクセルだったが簡単に見つかった。

片腕を抑えながら逃げようとする玉城にアクセルは言う。

「見つけたぞ。

もう逃げ場はない諦めるんだな。」

しかし、その言葉を玉城は一蹴する。

 

「ふん!この程度で追い詰めたつもりか?

東堂兄弟がいないのならまだ勝ち目がある。」

 

Alligator(アリゲーター)

 

玉城はメモリを挿すと身体が変化しドーパントへと変異する。

照井も対抗するようにメモリを起動するとドライバーに装填した。

 

しかし、メモリを入れたのにドライバーが動くことはなかった。

「どういうことだ?何故、アクセルに変身できない?」

そう戸惑っている照井を玉城が見逃す筈もない。

「どうやら、アクシデントがあったようだな。

仮面ライダーになれないのなら貴様を殺すことは容易い。」

そう言って玉城は徒手空拳で攻撃を行い照井はそれを何とか回避する。

 

だが、完全には回避が出来ていない様で照井のライダースに切り傷が付く。

そこに翔太郎がバイクに乗ってやってきた。

後ろにはリボルギャリーが着いてきており、翔太郎のバイクが止まるとリボルギャリーからフィリップが出て来た。

 

ヘルメットを脱ぎドライバーを着けると翔太郎はメモリを起動する。

 

「JOKER」

 

だが、フィリップはメモリを起動しようとしない。

「どういうつもりだ?」

「今の翔太郎は危険すぎるWになったらどうなるか....」

そう言うフィリップの目には怯えが写っていた。

 

「......そうか。」

翔太郎はそう言うとドライバーにジョーカーメモリを装填してアリゲータードーパントに向かっていく。

「よっ、止せ!翔太郎!」

フィリップの状態を見てこれが普通ではないと理解した照井は翔太郎を止めようとするが突如ドライバーから電流が走り照井は感電する。

 

「ぐぁぁぁ!」

「余計な手出しは止めて貰おうかしら?」

そう言いながらシュラウドがリモコンを持って現れる。

「シュ....ラウド!」

「これはWの強さを測るために必要なこと.....邪魔をしては行けない。」

 

「ふざけるな!そんな....事....!?ぐぁぁぁ!」

抵抗しようとする照井にシュラウドはリモコンを操作してドライバーから電流を流す。

これにより翔太郎に近付けなくなった照井は踞ることしか出来ない。

 

アリゲータードーパントの攻撃を翔太郎は回避しながらも反撃を加えていく。

しかし、所詮は生身....アリゲータードーパントにダメージは無く寧ろ回避してもアリゲータードーパントの爪が翔太郎を傷付けていく。

頬を切り裂き顔から血を流しながらも翔太郎は立ち向かっていく。

(このままじゃ、翔太郎が死んでしまう!)

そう感じたフィリップはサイクロンメモリをドライバーに装填した。

 

『「変身」』

 

二人の掛け声も共に仮面ライダーWへと変身を遂げた。

だがその姿には違和感があった。

翔太郎側のボディから火花と電流が流れているのだ。

(前とは逆だ。

翔太郎の力に僕がついていけなくなっている....)

 

戦闘は劣勢に追い込まれた。

Wは攻撃を行おうとするが全て空回りしてろくに狙いも付けられずアリゲータードーパントからの攻撃を受けていく。

 

その光景を見ていたシュラウドは動揺し焦り出す。

「何故?.....何故なの!

理論上、このWの力は最高レベルの筈....なのに何故こんな状態に....あり得ない。」

そうやって動揺するシュラウドを嘲笑う様に悪魔(ゴエティア)が現れた。

 

「やれやれ....やはりこうなってしまいましたか?」

「どういうこと?貴方がWに何か細工をしたの?」

「いいえ、何もしていません。

貴女の願いを叶えられる最高の素体へと左 翔太郎は変わりましたよ。」

 

「では何故こんな.....」

「....ふふ...」

 

「何が可笑しいの?」

「いえいえ、本当に分からないのかと思いましてね。

ガイアメモリやWについてはこの私よりも詳しいのに家族が絡むと本当に貴女の目は良く濁る。」

 

シュラウドが無名にシュラウドマグナムを向ける。

「答えなさい....さもなくば」

「原因は"来人君"ですよ?」

「え?」

 

想定外の答えにシュラウドの思考は止まる。

「Wのシステムは両者の力のバランスがとても重要です。

エクストリームに覚醒する前は来人君の力に翔太郎が付いていけず追いてかれてしまった。

今回は逆です。

翔太郎の強さに来人君がついていけてないんですよ。」

「そんなことあり得ない。

左翔太郎は凡人よ...来人の様な力もない非力な存在....なのに何故そんなことが」

 

「おかしいと思いませんでしたか?

本来エクストリームに覚醒する可能性がゼロだった筈なのに

何故、左翔太郎はエクストリームの力を使えたのか?

確かに彼は貴女から見れば凡人でしょう。

地球の本棚に入る力もありませんしね.....

だがら貴女は見逃したんですよ。」

 

「左 翔太郎がジョーカーメモリを選んだと言う事実を.....」

「ジョーカーメモリ.....」

 

「最高と最悪の力の両面をはらんでいるメモリ。

その力を引き出せるトリガーは感情。

感情の力が左 翔太郎をここまで強くしたんですよ。」

 

原作でも左はジョーカーメモリの力に救われる場面がいくつもあった。

そのどれもが感情が爆発した瞬間に起こっている。

特に最終決戦であるユートピア戦....あれこそジョーカーメモリがあったから勝てたと言っても過言じゃないだろう。

 

「トランプでジョーカーは最強のカードであり最悪のカードでもあります。

だがもうひとつの側面もある。

それは"何にでもなれる"と言うこと.....

今の彼は来人すら凌駕する力を持った存在だと言うことです。」

「そんな....バカな....」

 

「そしてそんな彼だからこそフィリップでは"役不足"だ。

やはりここは.......」

 

 

「"本物の悪魔"と契約する方が良いでしょう。」

 

 

 

 

 

 

フィリップはWに変身して以降、ジョーカーメモリから流れてくる莫大なエネルギーに対応しようと必死だった。

だが、力の質が余りにも違いすぎた。

(これが....翔太郎が出している力。

ジョーカーメモリにこんな力があっただなんて....)

 

今のWは戦闘するどころかまともに歩行することすら出来ない程、左右の力のバランスがぐちゃぐちゃだった。

そこにアリゲータードーパントの攻撃が当たる。

『ぐあっ!』

「.......」

 

フィリップはダメージに怯むが翔太郎には全く問題がない。

(こんなにも....力の差が出ているなんて....)

動揺するフィリップに異変が起きた。

視界が暗くなり目を開けるとそこはリボルギャリーの近くであった。

 

力のバランスが崩れたことによる変身解除....それもメモリに乗せた精神ごと弾かれてしまったのだ。

 

その現実を理解するとフィリップは翔太郎の安否を気に掛けるが翔太郎を助けたのはデーモンドーパント(悪魔)だった。

 

 

ドライバーを着けているお陰で両者の会話に入り込める。

「どういうつもりだ?」

翔太郎がデーモンドーパントに尋ねると飄々と返す。

「大変そうなので手助けに来ただけですよ?

まさか、Wに変身できなくなってしまうとは思いも寄らなかったですよ。」

 

「御託はいい....目的は何だ?」

「私の目的は貴方です左 翔太郎。

貴方と契約をしたいのです....新たな悪魔との契約を...」

契約だって!?翔太郎耳を貸すな!

フィリップはそう言うがその声は小さく翔太郎に届かない。

(もう、ドライバー越しに会話出来ない程シンクロ率が落ちているのか。)

 

「私は貴方の力に興味があります。

代わりに私は貴方に戦える力を提供します。

Wに代わる力を......」

そう言ってデーモンドーパントは翔太郎に何かを差し出した。

しかし、距離がありそれが何なのか分からない。

「これを使えば貴方はまた戦うことが出来る。

そうすればそこにいるドーパントも殺せますよ?」

 

「..........」

デーモンドーパントから差し出された物を見て翔太郎は悩む。

「それが本当だと言う証拠もない。

お前との取引はリスクが高すぎるな。」

「では、試しに使ってみてください。

それで決めれば良い.....どちらにしても今のフィリップとでは貴方はWになれない。

昔、Wに変身できなくなった時と同じです。

現状をクリアするにはどんな力でも使うべきだ....違いますか?」

 

デーモンドーパントの言葉に翔太郎は黙って差し出された物を受け取るとフィリップと翔太郎のリンクは完全に切れてしまった。

そしてフィリップの腹部からWドライバーが消失する。

これは翔太郎がWドライバーを自ら外したに他ならない。

 

そして、その何かを翔太郎が着けるとメモリを起動する。

 

「JOKER」

 

そして翔太郎はジョーカーメモリを何かに装填すると展開した。

 

「.......変身。」

小さくかけられた声と共に翔太郎の身体に紫のエネルギーが纏われる。

それが生体装甲へと変化すると翔太郎は仮面ライダーへと変身した。

その姿はロストドライバーを使って変身して仮面ライダージョーカーと酷似していた。

 

だが、両目に縦の傷が入りそこに赤と紫のエネルギーが流れる。

 

その姿を見たデーモンドーパントは笑う。

そしてフィリップは絶望した。

手放さないと固く決心した唯一無二の相棒を悪魔に奪われた。

 

その姿を見てフィリップはそう実感した。




Another side

加頭は周りが薄暗い部屋の一室に琉兵衛を案内した。
そこには無数の扉が存在しているだけで他には何もな
ここは財団が保有するこの世界とは隔絶された空間に建てられた建物の内部であった。

先日、琉兵衛が加頭に求めたイコン画を見れる事となり加頭に案内されて連れてこられた。
「何とも不可思議な場所だなここは.....」
「えぇ、財団がこれまで手に入れて来た技術を使い作られた空間です。
それぞれが独立した時間を有しておりここを所有できるのは財団の上層部にいるメンバーのみである。

そして、在る扉の前まで来ると立ち止まる。
「ここから先は私が行ける資格を持っていません。
ですので琉兵衛様、一人で進んでいただきます。」
「分かった。
協力に感謝するよ加頭君。」

そう言うと琉兵衛はその扉を開けて中に入っていった。
琉兵衛の前に広がった光景は大量の書物が積み上げられた空間に一つの玉座が置かれた空間だった。

そして、玉座に座る男は本を読んでいる。
年と背格好から見ても琉兵衛より圧倒的に若い筈なのにその姿には年長者の風格が備わっていた。

「ここに客人が来るなんて珍しいな。」
男は琉兵衛を見ずにそう告げた。
「加頭君に頼んで来させて貰ったんだよ。
あるイコン画を見たくてね.....」

「イコン画.....あぁ、"創生のイコン画"か。
見せるのは構わないがその目的を聞きたいな。」
「私の仮説を立証させるためにもそのイコン画に写る続きの絵がどうしても必要なのだ。」

「仮説?.....君は学者か何か?」
「まぁ、似たようなものだ。
そう言う貴方は何故ここに、加頭君からは君が財団の上層部に所属する以外の話を聞いていないのでね。」

「......俺はこの世界の成り立ちと意味を知るためにここにいる。
何故、力が存在するのか?何故、争いが生まれるのか知るにね。」
「どういう意味かね?」

「君の世界ではどんな力がある?
"生まれ持った力"?それとも"作られた力"か?」
「......恐らくどちらとも言えるだろう。
私はガイアメモリ....作られた力を使っているがね。」

「ではその力は、一体どこから産まれた?
本当の意味で人間が作り出した力なんて存在しない。
"ショッカーが行った改造人間"も地球に存在する生物の力を使っただけだ。
何故、そんな強大な力がこの世界に存在すると思う?」
「それは地球がそれだけの力を内包しているからではないのか?」

「ではコズミックエナジー(フォーゼ)のような外の力はどう説明する?
他にもバトルファイト(ブレイド)アマダムの霊石(クウガ)黄金の果実(鎧武)もそうだな....例を挙げればキリがない。
地球ではない場所から産まれた力が地球へとやってくる。
何故だ?何故地球を選んだ?地球に一体何があるのか?
俺はそれを知りたい....それを知れば俺が産まれた意味も分かる筈だ。」
「産まれた意味?」

「俺は怪人と人間が争い続けている世界から来た。
兄弟の様だった存在と戦い....そして敗れた。
そして、勝ったアイツは....悲惨な末路を辿った。
その運命すら力が産み出した物なのだとしたら俺は許さない。
その正体を探りだして必ず殺してやる。」
そう言う男の目には復讐に歪んだ色が写っていた。

「..........」
「あぁ、自己紹介をしてなかったな。
俺は秋月 信彦(あきつき のぶひこ)。」





「前の世界ではSHADOW MOON(シャドームーン)と呼ばれていた。」

外伝 続編の投稿に関して

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