もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第百六十五話 Dの意味/解き放たれた枷

 

「まさか.....翔....太郎...。」

フィリップは翔太郎が変身した姿に動揺していた。

 

ジョーカーメモリを使った単体の変身は見たことがあった。

だが、これは全く違う強さを持った存在だった。

 

 

翔太郎は変身した自分の身体を確認するとアリゲータードーパントへ走っていった。

その行動をデーモンドーパントも止める様子はない。

 

翔太郎の放った拳がアリゲータードーパントの肩に突き刺さると紫のエネルギーがアリゲータードーパントの体内に侵入し爆発した。

肩の肉が爆発により弾け飛ぶ。

 

「うぐぁ!」

アリゲータードーパントは吹き飛ばされた肩を抑えながら離れる。

「成る程、殺意を感じ取ったジョーカーメモリだとこの様な攻撃も出来るのですね。

ドーパントとして強化された肉体を吹き飛ばすなんとは凄まじい威力だ。」

 

アリゲータードーパントも自分の不利を悟ったのか逃げようとするが翔太郎は地面を踏み砕きコンクリートの破片を作るとそれにエネルギーを乗せて蹴り飛ばした。

"紫と赤黒いエネルギー"を纏った破片がアリゲータードーパントへと向かう。

それがアリゲータードーパントの左足に当たるとエネルギーが纏わりつくように結晶化して固まった。

 

左足から煙を上げて溶かされる音がする。

痛みからアリゲータードーパントは逃れようとするが1歩も動けない。

そこにゆっくりと翔太郎が近付いていく.....

ジョーカーメモリを抜きマキシマムスロットへと装填する。

 

「JOKER MAXIMUMDRIVE」

 

そして、一瞬の内に近付くとアリゲータードーパントの胸に向けてキックを放った。

 

「JOKER....EXTREAM」

 

キックが当たるとアリゲータードーパントの動きが停止する。

そして次の瞬間、背中からエネルギーが爆発するように抜け出るとメモリも粉々になってしまった。

人間の姿に戻った玉城は口から大量の血を吹き出す。

「ゴボッ!」

 

身体の痙攣が始まり倒れそうになるが固められた左足がそれを許さない。

「ジョーカーメモリのエネルギーを胸に打ち込み爆発させましたか....あの様子ではもう持たないでしょうね。

地獄のような苦しみを味わいながら死ぬ。

それがあの男の末路ですか。」

その光景をデーモンドーパントがそう分析する。

 

「まだだ....お前の罪はもっと重い。

地獄の苦しみの中で自分の罪を数えろ....」

翔太郎はジョーカーメモリを再度マキシマムスロットへ装填する。

 

トドメを刺すつもりなのは誰が見ても明白だった。

「止めるんだ翔太郎!!本当に死んでしまう!」

フィリップはそう言って止めようとするがそれをデーモンドーパントの黒炎が邪魔をする。

「余計なことはしないで貰おう。

今、良いところなんだからね。」

 

 

動き出そうとする翔太郎の身体をアクセルが止めた。

「止めろ左!人殺しに成り下がるつもりか!」

 

「シュラウドが電流のスイッチを切りましたか。

だが、これもこれで良いかもしれませんね。

最強のジョーカーVS仮面ライダーアクセルトライアル...どちらが勝つのか楽しみです。」

 

 

 

身体をアクセルにより抑えられている翔太郎は言う。

「邪魔をするな照井.....コイツはここで始末する。」

「今のお前は左ではない....だから止める!」

 

「そうか....ならお前も俺の敵だな照井。」

翔太郎はアクセルの拘束を振りほどくとキックを放った。

しかし、トライアルの速度により完璧に回避される。

「このトライアルの速さに着いて来られんだろう。

お前が玉城にトドメを刺そうとする限り何度も邪魔をする。」

「....ならこれを使うだけだ。」

 

翔太郎はトリガーメモリを取り出すとマキシマムスロットに装填した。

 

「TRIGGER MAXIMUMDRIVE」

 

スロットを押すと手にエネルギーが集束し銃の形を型どると黒いトリガーマグナムが翔太郎の手に現れた。

「何っ!」

「ジョーカーのエネルギーを集めて武器を生成しましたか。」

 

そして作り上げたトリガーマグナムを照井に向けて放つ。

照井は回避しようとするが着弾したのは照井のいる地面周辺であった。

 

当たった箇所に紫のエネルギーが広がるとそのエネルギーが照井を襲う。

「ぐぁぁぁぁ!」

広がったエネルギーが照井の身体にダメージを与えて無数の火花が上がる。

 

本能的にトライアルのスピードでその場所から抜け出すとアクセルメモリをドライバーにさして赤いアクセルへと姿を戻した。

「防御力の低いトライアルでは不利だと考えて元のアクセルに戻りましたか。

でもそれは悪手ですよ?」

デーモンドーパントの言葉は現実の物となる。

 

「METAL MAXIMUMDRIVE」

 

翔太郎は素早くマキシマムスロットのメモリをメタルメモリに変えるとトリガーマグナムがエネルギーの姿に戻り今度は黒いメタルシャフトが姿を現した。

 

「照井....俺はお前を殺したくはない。

だから少し寝ておいてくれ。」

 

黒いメタルシャフトに翔太郎はジョーカーメモリを装填する。

「JOKER MAXIMUMDRIVE」

 

「JOKER BRANDING」

 

メタルシャフトにジョーカーのエネルギーが集まるとそれを回転させながら翔太郎はアクセルを吹き飛ばすようにメタルシャフトを操った。

 

アクセルは振るわれた攻撃をガードするが吹き飛ばされビルのコンクリートに激突し穴を空けるとドライバーが吹き飛び変身解除された。

地面に倒れた照井は意識を失いその場で動けなくなった。

 

倒れた照井を見ること無く翔太郎は玉城の元へ向かう。

それを震えながらも走っていたフィリップが止める。

「もう止めるんだ翔太郎!こんなこと....翔太郎らしくない!」

「俺らしい?.....それはハーフボイルドな俺のことか?

だろうなきっとフィリップにとってはそれが良いんだろう。

だがな、そんなんじゃ誰も守れないんだよ。

俺はこの力でドーパントを殺す....一人残らず。

そして風都を守って見せる。」

 

「そんなの....仮面ライダーじゃない!

風都の市民が求めるWじゃないただの殺人者だ!」

 

「だけどそれがシュラウドが本来求めたWの本質ですよ。」

二人の会話にデーモンドーパントが割り込む。

「恐怖の帝王を倒すために冷酷に敵を刈る殺戮マシーン。

それこそがWシステムであり仮面ライダーWのオリジンです。」

「違う!...そんな事は断じてない!

そんなWでは意味がない。」

 

「ではフィリップ。

君は何故....."一度相棒を見捨てようとした"んですか?」

「!?」

「エクストリームに覚醒し翔太郎とWへ変身が出来なくなった

あの時、貴方は照井 竜と組むことを本人に提案しましたよね?

それは自分自身が良く分かっているからでしょう?

変身できないWに価値がないと....」

 

「違...う...あ..れ....は!...ハァハァ!」

フィリップは否定しようとするが言葉が見つからず過呼吸を起こして片膝をついてしまう。

それを見たデーモンドーパントは翔太郎へと顔を向けた。

「これが真実です左 翔太郎。

貴方は一度、相棒に見捨てられた。

Wに変身出来なくなってね。

そしてジョーカーメモリで覚醒して変身できるようになったから相棒を続けていた...."そんな程度の関係"なんですよ。

フィリップにとってWに変身出来ない貴方に価値などないそう思っていたのです。

否定出来ずに踞る彼が何よりの証拠ですよ。」

 

「貴方に必要なのはWシステムでもフィリップでもない。

私の作り出した"デモンドライバー"と契約(ゴエティア)です。

大丈夫....フィリップには当初の計画通り、照井 竜とWになれば良い...何の問題もありません。

貴方は自らの心が望むままに従えば良い。

さぁ、トドメを刺しましょう!...貴方(翔太郎)の手で」

 

デーモンドーパントの言葉を聞き翔太郎は玉城の元へと進み始める。

過呼吸になりながらもフィリップは翔太郎の足を掴むが振り払われてしまった。

そうして倒れるフィリップをデーモンドーパントは支える。

「さぁ、良く見て上げてください。

貴方の相棒.....いえ元相棒が"母親の願い通り"

"人殺しへと堕ちていく"瞬間を.....」

 

玉城に向けて翔太郎がメタルシャフトを振りかぶる。

意識が朦朧とするなかでもフィリップが彼を止めようと手を伸ばすが届かない。

 

 

そして玉城の頭へと振り下ろされたメタルシャフトは.....

 

 

 

"仮面ライダーエターナル"によって防がれた。

 

 

 

 

「お前は.....」

「よう、翔太郎。

暫く会わない内に酷い顔になったな?」

 

 

「今度は貴方が出てきますか大道 克己。

全く、本当に退屈させてくれませんねこの身体(無名)は.......」

「ふん、悪いがこれを許したら全てが終わる気がしたんでな。

全力で止めさせて貰う。」

 

「出来ますかねぇ?

貴方一人で.....」

「誰が"一人だ"と言った?」

 

克己の言葉を合図にデーモンドーパントの元へ車が突入してくると中から堂本と芦原が現れデーモンドーパントをフィリップから引き剥がした。

そして、倒れそうになるフィリップをレイカが支える。

 

「君.....は....」

「あんまり喋んない方が良いよ。

アンタもかなりダメージがあるんだからさ。」

 

レイカはそう言うとフィリップの懐からヒートメモリを取る。

そして、NEVERドライバーを腰に付けるとレイカはメモリを起動した。

 

「HEAT」

 

「変身」

 

レイカはメモリをドライバーに装填すると勢い良く展開した。

レイカの身体を爆炎が包みその姿を仮面ライダーへと変化させる。

その姿は女性的でスラッとしており両足には謎の装備が付きその姿はまるでヒールを履いているようにも見えた。

 

変身が完了するとデーモンドーパントへと向かっていく。

そして、強烈な蹴りを与えた。

「挨拶も無しに攻撃とは...マナーがなっていないのでは?」

「多分ね社会と国語は苦手なのよ。

でも、奇襲には持ってこいの行動でしょ!」

 

レイカの連撃によりフィリップとの距離が空いた。

そこに芦原が近付いてくる。

「おい!動けるか?」

「.......」

 

「しっかりしろ!左 翔太郎を失っても良いのか?」

芦原のその声にフィリップは正気を取り戻す。

「!?....僕は」

「左の相手は克己が行っている。

無名に関してはレイカと堂本が抑える。

フィリップ、君には吹き飛ばされた照井の回収と打開策を考えて欲しい……出来るか?」

「………問題ない直ぐに動くよ。」

 

フィリップはそう言って立ち上がるとリボルギャリーに乗り込んで行ってしまった。

(問題ないか.....下手な嘘だな。)

フィリップはこれまでに無い程、動揺している。

相棒を奪われ、自分の目の前で相棒が嫌っていた筈の殺しを見せられそうになったのだ。

これで動揺するなと言う方が酷だ。

 

(今はそっとしておくしかないな。)

芦原はそう結論つけるとレイカの援護に向かうのだった。

 

 

ジョーカーとエターナルの攻防は熾烈を極めていた。

翔太郎はメタルシャフトを捨てて徒手空拳でエターナルに挑み、エターナルはエターナルエッジとマントを使い翻弄しながら戦っていた。

 

だが、その戦いは危険なものだった。

ジョーカーの拳がマントに触れるとマントが弾けて千切れてしまう。

 

あらゆる熱、冷気、電気、打撃などを無効化する絶対防御のシールドである"エターナルローブ"が破損する。

それ程、今のジョーカーの力は異質なものだったのだ。

 

戦える手札を減らされていくエターナルにとって持久戦は不利になると悟りジョーカーから少し離れるとエターナルメモリのマキシマムを発動する。

 

「ETERNAL MAXIMUMDRIVE」

 

メモリの使用不能にさせるエターナルのマキシマムはジョーカーにも有効だった。

メモリから火花が出ると出力が安定しなくなりジョーカーは膝をつく。

 

「これで終いだ。」

エターナルがそう言うと翔太郎の目の前に黒いエネルギーが現れ中からエクストリームになったデーモンドーパントが現れる。

 

「ETERNAL....起動。」

そう言うとジョーカーの身体に起こっていた現象が収まる。

「くっ!エターナルメモリの力に干渉してきたか。」

「ここで、彼を奪われるわけには行かないんですよ....仕方ありませんね。

彼に命を奪わせてこちら側へ取り込む手筈でしたが、こうなっては目的を果たすことは難しそうだ。

ですのでこうします。」

 

そう言うとデーモンドーパントは周囲に黒炎を発生させて空間を切り開いた。

「逃げるのか?」

「えぇ、彼を手に入れることは出来たのでここは引きます。

それにここでその男を死んだら間接的に左 翔太郎が殺したと出来ますからまぁ良いでしょう。」

 

「待て、お前は何者なんだ無名で無いのならお前は....」

「単なる"悪魔"ですよこの風都にいる......」

 

 

 

 

 

 

 

 

「"もう一人の悪魔"です。」




Another side

信彦が琉兵衛をとある部屋へと案内した。
そこには壁一面に大きく描かれたイコン画が飾られている。
その美しさは琉兵衛すら息をするのを忘れさせた。

「これが.....創生のイコン画か?」
「そうだ。
ここには神と人間の歩んだ歴史が記されている。」


仮面ライダーアギトと言う作品でこのイコン画はとても重要な意味を持っている。
その絵は上から下に向かって物語が進んでおり.....

混沌から生まれた(テオス)と神を守護する七人の大天使(エルロード)その下に控える動物達の祖先である天使(マラーク)から始まり、神に似せて作られた人間と天使の戦い....そして最後には裏切った大天使が人間に力を授けた結果、産まれたギルスやアギトが人と手を繋ぎ歩いていく姿で締め括られている。

これこそが人類が歩んだ業と進化の歴史。
アギトの世界線において人間がアンノウンに襲われる原因となった現況でもあった。

「当初は財団もこのイコン画はこれで完成していると思っていた......だが違った。
始まりが違っていた。
混沌から生まれた神についてのイコン画が本当はあったんだ。」
「何故、それが現代では残っていなかったんだ?」

「奪われたんだよ....多数の世界を移動する破壊者(ディケイド)魔王(ジオウ)によってな。
この続きを探すのには苦労した。
財団がその存在全てをかけて漸く手に入れたんだ。」

そう言うと手元にある機械を信彦は操作する。
するとイコン画が反転し新たなイコン画が目の前に現れた。
「これが、奪われていたイコン画の続き....本当の始まりだ。」
「これは......」

そのイコン画は最初に見た物とまるで違っていた。
最初を希望と現すのならこれは絶望を現しているように見える。
一番上は真っ黒で何も存在しない世界にいる多数の存在が描かれ下に進む事に消えていき残った者達はバラバラに散っていった。

そして、その中の数百人が身体を削り本が沢山収められた空間を作った。
しかし、その空間により世界に亀裂が入ったのを止めるため女性の姿をした何かが粒子となって地球を作りだした。

そして、本棚と地球から線が伸びてその線が混沌となり神へと繋がっていた。

これをそのままの通り受け取るのなら.....

「まさか、地球とは.....」
「そう、神よりも上位....いや神すらも作り出した"超越者"が、自分の存在を犠牲にして産み出した産物だ。
そして、その上にある本棚....これは貴方なら分かるだろう?」

「地球の本棚だね。
その超越者の力が集まって作られた空間。
だとすれば"ゴエティア"の正体は.....」
「この超越者について何か知っているのか?」

信彦の問いに琉兵衛は答える。
「まぁね、だが君の求めている存在とは違うだろう。
そして、もし私の想像通りだとすれば......」



「超越者にはまだ"秘密"がある。
そしてその秘密を知ればゴエティアの目的も分かるだろう。」

外伝 続編の投稿に関して

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