入口の警備をしていた二人の警官が尋ねる。
「止まれ!お前達は何者....」
「邪魔だ....寝ていろ。」
マスクを着けた男の片割れが警官に近づくと腹部を殴り無力化させる。
そしてそのままもう一人の首を手刀で打ち意識を奪った。
「随分と強引に行きますね?」
「彼等に罪はない....俺の狙いはこの病院にいる玉城だ。
奴を殺せれば問題はない。」
そう言うとマスクの男と無名は病院へと入っていく。
中に入ると二人は違和感に気付く。
「誰もいませんね?
玉城の生体反応はこの病院を示しているのですが...」
無名の問いに病院から現れた照井が答える。
「当然だ。
貴様らが来ると聞いたからな。
予めスタッフは避難させた。」
現れた照井を見た無名は先程、倒した警官に目を向ける。
しかし、そこにはもう誰もいなかった。
「驚きましたよ。
貴方も相当な怪我を負った筈だ。
それこそ二日で動けるレベルじゃない。
それなのに今こうして貴方は立っている。
本当に人間ですか?」
「貴様には言われたくないな。」
「ははっ!道理ですね。」
そう言うと照井の前に無名が出てマスクの男に告げた。
「"翔太郎"さん、どうやら罠に掛かったようですが問題ありません。
玉城はこの病院にいます。
私が照井刑事の相手をしている間に、処理をお願いできますか?」
無名がそう言うとマスクを外し素顔を出した翔太郎が階段を登り上へと上がっていった。
それを照井は止めようとしない。
「おや、止めないのですか?」
「その役目は俺じゃなく左の相棒の物だ。
俺の役目はお前をここで足止めすることそれだけだ。」
そう言うと照井はアクセルドライバーを着ける。
無名も同じようにガイアドライバーを着けるとお互いに変身を行うのだった。
病院の階段を登り目当ての病室を探す翔太郎....
その姿を見て悲しそうにしながらフィリップが現れた。
「翔太郎、どうしてここに来たんだい?」
「.........」
フィリップの問いに翔太郎は答えず病室を探す。
「君はジェイルメモリの力に囚われている。
今の君は僕達の知る左 翔太郎じゃない。
それに、帽子はどうしたんだい?
鳴海 荘吉に憧れた君がずっと着けていたじゃないか?」
フィリップがそこまで言うと漸く翔太郎が言葉を紡いだ。
「俺はおやっさんの教えを捨てた...この街を守るために悪人を殺す。
それにはあの帽子は邪魔なんだ。」
「そうか.....少し安心したよ。
完全に"心を捨てきれてない"ようで」
「帽子を被ることは鳴海荘吉の意思を継ぎ、街を守る覚悟と証だった。
君はそれを理解している。
だから帽子を被れない。
今の自分に資格がないと君自身が一番理解しているからだ。」
「あぁ、だがそれで良い。
俺は俺の考えでこの街を浄化する。」
「いや、それは許さない。
君の相棒として止める。」
「俺を一度捨てた者の台詞とは思えないな。
それにシュラウドも言っていただろう。
仮面ライダーWは殺戮マシーン。
俺はその意思に従い力を振るうだけだ。」
「違う.....違うよ翔太郎。
それは仮面ライダーWじゃない....Wシステムに求められた単なる"偶像"だ。
仮面ライダーWは風都にとって希望のシンボルだ。
例え、どんなに街が悪に呑まれても街を守る為に悪と戦う。
体一つになっても喰らいついて倒す。
その心そのものが仮面ライダー。
君が僕に教えてくれたことだ。」
「君と相棒になる時、僕は尋ねたよね?
"悪魔と相乗りする勇気があるか"と....
訂正するよ君は僕にとってかけがえの無いただ一人の相棒だ。
だから決めた....もう迷わない。
君とのWが僕にとっての一番なんだ。
この一番は絶対に失いたくない。
それを悪魔に奪わされてたまるか。」
「"僕と言う悪魔と一生相乗りして貰うよ翔太郎"。
その為にも本当の君を取り戻す。」
気が付けば調べていない病室はフィリップの後ろにある部屋だけとなった。
「そこをどけフィリップ。」
「断る僕はもう諦めない。
君の事も彼の命も.....」
翔太郎は静かにデモンドライバーを着ける。
それに合わせてフィリップもロストドライバーを装着した。
「CYCLONE」
「JOKER」
「「変身」」
二人は同じタイミングでメモリを装填し展開する。
翔太郎は"仮面ライダージョーカー"にそしてフィリップは"仮面ライダーサイクロン"へと変身した。
二人が向かい合い拳を握るとお互い走り出すのだった。
アクセルとデーモンドーパントの戦いはアクセルが劣性に追い込まれていた。
黒炎で生成した刀でエンジンブレードと切り結んではいるが技量に差があり、アクセルの攻撃を刀で絡めとり返し太刀を浴びせていた。
「ぐっ!単純な斬り合いでは不利か。」
「これでも武術に関しては良く"本棚"で調べているんですよ。
過去に
「なら、これならどうだ!」
アクセルが合図をすると、病院の壁が爆発してエネルギー弾がデーモンドーパントへと着弾した。
何とか刀を滑り込ませたことで直撃は避けたが吹き飛ばされてしまった。
「成る程、ガンナーAによる砲撃ですか。
奇襲としてはうってつけの攻撃ですね。」
「だが、決定打にはならなかったか。」
「えぇ、もう少し貴方と遊んでも良いのですが...なにぶん此方も時間がないので少し本気で行きます。」
「XTREAM」
無名が呟くとデーモンドーパントの胸部から瞳の様にクリスタルサーバーが露出し肉体が変化した。
「TRAIN,DRAGON....並列起動。」
無名がそう告げるとアクセルがいきなり吹き飛ばされて壁に激突するが止まること無い攻撃がアクセルを襲った。
「トレインメモリの空間移動とドラゴンメモリの衝撃波を掛け合わせた技です。
貴方にはまだ役目があるので生かしてはおきますが貴方の不死性は本当に厄介だ。
今の貴方では恐らく常人の瀕死レベルなら動けてしまうでしょう。
だから調整しながらダメージを与えて精神が耐えられなくなる程度で抑えます。」
そう言いながら掛け合わせたメモリの攻撃をアクセルへ加え続ける。
ガンナーAはアクセルを助けようとデーモンドーパントへ砲撃を行おうとするがその前にトレインメモリで空間を繋げられドラゴンメモリの衝撃波を上から落とされた。
コンクリートの地面を陥没させる程の攻撃はガンナーAを作動停止に追い込むには充分だった。
「さて、これで終わりです。」
トドメを刺すようにアクセルへ衝撃波を当てるとアクセルは変身解除され意識を失った様に倒れるのだった。
勝ちを確信したデーモンドーパントはメモリを抜いて無名の姿へ戻ると階段をゆっくりと上がっていく。
(恐らく上にはフィリップ君がいるのでしょうね。
大方、相棒を助けようと必死になっているのでしょうが無駄ですよ。
彼を助けるには翔太郎の精神が封じ込められたジェイルメモリが必要不可欠。
だが、それを翔太郎は持ってはいない。
ジェイルメモリは"私の手元"にあります。
彼の精神を取り戻せる可能性は万に一つもありません。)
人間を超えた存在である自分が管理しているからこその絶対的な自信をゴエティアは持っていた。
故に人間の肉体を動かしていてもその考えは抜けなかった。
だからこそ、彼は"照井 竜"に背後を取られてしまう。
「漸く隙を見せたな。」
「なっ!?」
驚愕の表情を浮かべる無名を捕まえて照井は階段から転がるように倒すと無名の身体を捕縛した。
「良し捕まえたぞ"克己"。」
照井の言葉に反応するように克己が現れると懐を探り克己はジェイルメモリを取り出した。
「これがジェイルメモリか.....流石はフィリップの策だな。」
そう言って笑う克己をゴエティアは睨み付ける。
「どういう事だ?何故
「俺に質問をするな....」
「くっ!」
「随分と不様な姿だな。
驕りは身を滅ぼすと
「この、人間無勢がぁ!」
ゴエティアは身体を起こそうとするが照井に拘束されて身動きが取れない。
「無駄だ。
今のお前の身体は生身の人間だ。
メモリを使わなければ捕縛することは容易い。」
「そう言うことだ....お前の企みはこれで終わりだ。」
そう言うと克己はジェイルメモリを握りフィリップのいる階へと向かっていった。
「待てっ!そんな事をさせるか!」
「無駄だ!俺が捕まえている限り、お前に自由はない。」
照井の拘束により無名は怒りの声を上げることしか出来なかった。
病院が翔太郎と無名に教われる前日......
フィリップは克己と照井、シュラウドとマリアを集めて鳴海探偵事務所のラボで作戦会議を行っていた。
「ジェイルメモリについて詳しく分かった。
やはり、このメモリから奪われた精神を取り返すには直接メモリの中に入る必要がある....それも翔太郎が近くにいると言う条件付きでね。」
ジェイルメモリから精神を取り出すにはメモリには入り囚われた精神を解放して更にメモリをその対象に挿す必要があった。
「となれば必要なのはジェイルメモリと翔太郎本人と言うことか....難しいな。」
そう言う克己をフィリップが否定する。
「いや、そうでもない。
ジェイルメモリを受けてから翔太郎は犯罪者への怒りや殺意が強くなっている。
玉城が生きていることも知っている筈だ。
だとしたら彼の命を奪いに来るだろう。
勿論、無名と一緒に……」
「なら、罠を仕掛けられると言うことだな。」
「あぁ、だがそれは無名にも読まれているだろう。
だからそれを利用する。」
「利用する?どうやって?」
「先ず、ジェイルメモリに関してだが
十中八九、無名が持っているだろう。
今の無名は人間を馬鹿にしている帰来がある。
他人にジェイルメモリを預けることはしない。
自分で持っている可能性が高い。」
「成る程、無名からジェイルメモリを奪うわけだな?」
「あぁ、だが一筋縄では行かない。
彼はエクストリームの力を使える。
その能力は恐らく...."地球の本棚にあるガイアメモリの力を引き出す"ことだ。」
フィリップの言葉に照井は驚く。
「そんな事が本当に出来るのか?」
「いいや、普通なら不可能だが彼には出来ていた。
現に地球の本棚で彼に会った時、メモリの力で追い詰められたからね。」
「それが本当だとすればメモリを奪い取る何て無理じゃないのか?」
「彼をドーパントにさせてしまったら不可能だろうね。
.....だけど人間の姿なら出来ると思う。」
フィリップはそう言うと照井を見る。
「照井 竜....僕はこれから君に残酷な提案をする。
危険だと思えば断ってくれても……」
「フィリップ、そんな事は考えるな。
俺も左を助けたい……その為のリスクなら負ってやるさ。」
照井の覚悟の籠った瞳を見たフィリップは彼に頭を下げる。
「本当にありがとう。
策は至って単純、無名と戦って貰ってわざと変身解除されるんだ。
そして、無名も変身解除した隙をついて彼を捕縛してジェイルメモリを強奪してくれ。」
その策に克己が苦言をていす。
「おいおい、フィリップ。
いくらなんでも無茶が過ぎるぞ。
今の無名が手加減してくれると思っているのか?
そんな事は絶対にあり得ない。
良くて再起不能なダメージを与えれられるに決まっている。」
「そこは僕も同意だ。
だからこそ彼の知らない切り札を照井に渡す。」
「切り札?」
そう言うとシュラウドが照井の前に来ると懐から一つの装置を取り出した。
それはケースに入ったスイッチを内蔵したガイアメモリだった。
「これは対井坂用に開発していたアクセルの強化プランである"ブーストメモリ"よ。
照井 竜……貴方に合わせて私が作ったメモリ。
これがあれば無名を出し抜けるわ。」
そう言ってメモリを照井に渡す。
「これで変身すれば無名に勝てるのか?」
「いいえ、今はまだ"変身"は出来ないわ。
もっとメモリとの適合率を上げないとね。
でももう一つの機能なら問題なく使える。」
「もう一つの機能?」
「えぇ、そうよ。」
デーモンドーパントにより変身解除に追い込まれた照井は限界ギリギリながらもこれまでの激戦のお陰で意識を保っていた。
しかし、無名にバレないようにわざと意識を失った振りをした。
そして、懐からブーストメモリを取り出すとケースを開いてスイッチを押した。
「
すると、照井の身体に蓄積されたダメージがまるで嘘のように失くなり立ち上がることが出来た。
そして、無名にバレないように背後に回ると彼を取り押さえたのだ。
「このブーストメモリの機能には起動するとそれまで使っていたメモリの力を瞬間的に増幅する力がある。
今のところ同調できるメモリはアクセルメモリしかないけど....メモリの力が増幅すれば貴方の身体のダメージも瞬間的に回復できるわ。
弱点があるとすればこの機能を使うと数日、ブーストメモリと増幅したメモリが使用不能になる。
だからこそ、使うタイミングを間違えないで」
照井は無名を捕縛しながら身体の調子を確認した。
(痛みはあるが、動けない程じゃない。
これがブーストメモリの力。
これを使いこなせれば....井坂にも)
照井はそう考えながら無名を捕縛していたが突如感じた殺気を受けて回避行動を取る。
そのおかげで無名か照井から解放された。
その方向を見てみるとゴスロリ服を着てイナゴを食べている女性が現れた。
「貴様は?」
「.....アンタも食べる?」
そう言ってポーチからイナゴを取り出す。
「ふざけているのか?」
照井はそう尋ねるが本人は純粋に質問したらしい。
すると無名が立ち上がる。
「ミュージアムの処刑人である貴女が来るとは.....狙いはなんですか?」
「琉兵衛様から貴方を手伝えと命令を受けました。」
「そうですか....では
私は急用がありますので」
「承知致しました。」
そう言うとイナゴの女は照井に蹴りを放つ。
その蹴りを照井は回避するがコンクリートの壁に穴を空けてしまう。
「何っ!」
その足を良く見ると足全体が金属で出来ていた。
足に気付いた照井にイナゴの女が声を掛ける。
「そんなに珍しい?
"両足が鋼鉄の女"は.....」
イナゴの女はフェニックスドーパントの一戦で足に炎を受けて以降、動きが悪くなってしまったので両足を機械化していた。
彼女にとって両足よりもミュージアムに役立て無いことの方が恐ろしかったのだ。
そして、その狂気に
「Hopper」
ホッパーメモリを機械化した足に付いているプラグへ射し込むと肉体がドーパントへと変異し始める。
そして両足の金属に纏わりつくようにバッタの筋肉がくっついていく。
変身が完了したその姿は劇中のホッパードーパントより両足がゴツくなっていた。
明らかに強化されたその足は元の姿よりも強くなっていると分かる。
「それじゃあ、いただきまぁーす。」
イナゴの女はそう言うと照井に向かっていくのだった。
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