翔太郎とフィリップの戦いは一方的な結果となっていた。
翔太郎のラッシュをフィリップが回避していくが徐々に回避が間に合わなくなっていく。
それは翔太郎の戦闘センスもそうだがそれ以上にメモリとの適合率の差が顕著に出始めたのだ。
翔太郎のパンチが当たりフィリップは吹き飛ばされる。
「もう止めておけフィリップ。
お前じゃ俺は止められない。」
「そう...かもね....でも....諦めるわけには行かない!」
フィリップはサイクロンメモリをマキシマムスロットへ装填する。
「CYCLONE MAXIMUMDRIVE」
フィリップの周囲に緑色の風が吹き荒れる。
その風が四肢に集まるとそのままの姿でフィリップは攻撃をした。
すると、速度が劇的に上がり翔太郎の防御が間に合わず胸から火花を散らす。
「サイクロンのマキシマムを速度と威力に割り振った。
これなら君も避けられないだろう翔太郎。」
「確かに避けられるスピードじゃねぇが、"避ける意味"も無いな。」
翔太郎はフィリップのマキシマムを喰らっても平然と立っていた。
「バカな!マキシマムでもダメージが入らないなんて...」
「いや、お前が本気で殺しにくればダメージになってたが、手加減したろ?
そんな攻撃痛くも痒くもねぇ....」
「なら、僕に見せてよ。
本気の攻撃ってやつを....」
「何を言っている?」
「翔太郎は言ったよね玉城を殺すと...その覚悟があるなら僕を殺せる筈だ。
僕は君の邪魔をしているんだから...」
「下らない。
何を言うこと思えば....」
「出来ないのかい?
相棒を捨ててまで手に入れた力はそんなにもちっぽけな物だったとは....僕こそガッカリだよ。」
フィリップの言葉を聞いた翔太郎は考える。
(俺を挑発している?
まるで俺に"マキシマムを使わせよう"としているみたいだな。
何の目的でそんな事を?)
翔太郎は冷静に分析をする。
(無名が俺と共に来た筈だがまだ登ってこない。
照井が足止めしている可能性もあるが、奴の強さならもう来ても良い筈だ。
誰かに足止めされている...そんな事が出来るのは....そうか、
翔太郎はメタルメモリを起動する。
「METAL MAXIMUMDRIVE」
そしてメタルシャフトを取り出すとジョーカーメモリを差し込んだ。
「JOKER MAXIMUMDRIVE」
「お前の魂胆は読めた。
克己のエターナルのマキシマムでジョーカーメモリを封じるつもりだろう?
だがその前に俺のメタルシャフトでフィリップ....お前に致命傷を与える。
そうなれば克己はメタルメモリを無効化する。
そうして消滅したメタルシャフトからジョーカーメモリを回収してマキシマムを発動し二人とも片付けてやる。
さぁ、行くぞ!」
翔太郎はメタルシャフトをフィリップの心臓に向けて放つ。
その攻撃は誰から見ても命を奪う一撃だと分かる。
その攻撃に隠れていた
「止せ克己!」
「だが、フィリップ!」
「僕は翔太郎を....相棒を信じる!」
制止を受けて戸惑っている克己を他所に翔太郎のメタルシャフトが振り抜かれた。
「こんなもの作戦と呼べるか!」
フィリップの策を聞いた克己が怒る。
フィリップの策とは自分が翔太郎の相手をしている間に共に来た無名から照井と克己の二人がかりでジェイルメモリを強奪し翔太郎のジョーカーメモリをエターナルで解除してジェイルメモリを翔太郎に挿すというものだった。
そこで克己は疑問に思ったことを聞いた。
「お前一人で翔太郎と戦えるのか?
今のアイツは俺よりも強いぞ?」
「だろうね。
だから、翔太郎にマキシマムを発動してもらってこっちに近付いてきた所を捕まえるよ。」
「ちょっと待て!そんな事をしたらお前がただじゃすまないぞ!」
「大丈夫....翔太郎は僕を殺さないよ。
だからこそ、この作戦を立てたんだ。」
これを聞いて克己は怒ったのだ。
「相棒を助けるためにマキシマムを受けるだと?
気でもおかしくなったのか!
確かにお前と翔太郎は相棒だが今の奴はジェイルメモリで狂ってる....お前も理解しているだろう!」
「あぁ、だけど僕は信じてみたいんだ。
僕の"直感"を.....」
「直感?」
それは翔太郎が克己を信じる際にも言った言葉だった。
それを聞いて少し考えた克己はフィリップに告げる。
「分かった。
だが、危険だと判断したら直ぐに止めるからな。」
「ありがとう大道 克己。」
今、克己は選択を迫られていた。
(ここで俺がエターナルを使うことが正しいのか?
俺はどうすれば良い....。
お袋はフィリップを信じた....なら俺もフィリップを信じるだけだ!)
克己はエターナルメモリを挿すこと無く翔太郎がメタルシャフトをフィリップの心臓に向かい振り抜くのを見ていた。
そして、ジョーカーのマキシマムのエネルギーを纏ったメタルシャフトはフィリップの......
"肩を擦る"ようにコンクリートへと突き刺さった。
その瞬間、フィリップは翔太郎の両腕を掴む。
「今だ!克己!」
克己はエターナルのマキシマムを発動する。
「ETERNAL MAXIMUMDRIVE」
エターナルの力によりジョーカーの変身が解除されると克己はジェイルメモリを翔太郎へ突き刺した。
「よし...来いエクストリーム!」
フィリップがそう言うとエクストリームメモリがフィリップの前に現れる。
「エクストリームの力を使ってメモリと同期すれば...翔太郎を!」
「そんな事をさせるわけないでしょう?」
そんな声が聞こえると地面から黒炎が上がり中から
「中々良いところまで言っていたのに残念でしたね。
"ETERNAL"起動....これで終わりです。」
ゴエティアがそう言うとジェイルメモリが機能しなくなった。
その姿を見て失敗を悟った克己は言う。
「クソッ!ここまで来たのに......」
「物事が上手く行っている時にこそ悪魔は現れる....歴史が物語っているでしょう?
もう彼は貴方の相棒ではなく私の物なんですよ。」
そんな風に言うゴエティアにフィリップが言った。
「まさか本当に来るなんて....」
「えぇ、絶望してくれているようで嬉しいですよ。
さぁ、貴方もそろそろ退場して....」
そう言って優越感に浸りながらゴエティアは手を下そうとする。
「....本当に"予想通りで安心"したよ。」
フィリップのこの言葉を聞くまでは.....
突如、ゴエティアの身体が動かなくなる。
(何だこれは?どう言うことだ?)
意味が分からず当たりを見回すが当たりの景色は白い。
そう、まるで"地球の本棚"にいるような.....
(まさか!)
そう気づいた時には遅かった。
ゴエティアの身体....いや精神体を鎖が縛る。
そして目の前には...."無名とフィリップ"が並び立っていた。
「これは....どう言うことだ!」
ゴエティアの問いにフィリップが答え合わせを行う。
「君があの場に来ることは分かっていた。
だから、僕は皆に黙ってもう一つの計画を考えていたんだよ。
エクストリームメモリが同期したのはジェイルメモリじゃない...."デーモンメモリ"だ。」
「バカな、それでどうして無名をここに呼び出せたんだ!」
その問いに今度は無名が答える。
「その答えなら貴方が教えてくれたじゃないですか?
態々、僕とフィリップの二人に.....」
その言葉でゴエティアは気づく。
本棚の攻防で伝えた言葉....二人を動揺させるために言った真実。
"無名はフィリップの遺体の細胞とゴエティアの力を掛け合わせて作られた"事を......
「僕の遺伝子の一部が入っているのなら無名の意識を呼び出す手段はあった。
ただ、それには"エクストリームメモリと適合する翔太郎が近くにいる必要"があったんだ。
そしてエクストリームを発動してデーモンメモリと繋がり.....」
「僕はここに戻って身体の主導権を奪った....次いでにある本を起動しておいた。」
そう言うと無名はその本をゴエティアに見せる。
"WORD"と書かれた本を見て戦慄した。
「僕が決めたルールは
僕がここにいるからWORDのルールに従い君があの階層へ引きずり込まれる。
フィリップは適合率が低いから入れないから問題も無い。」
「私を....閉じ込めるつもりか。
貴様らぁぁぁぁ!!」
「残念だが長々とお喋りしている暇はない。
そろそろ失礼するよゴエティア。」
そう言って無名が指を弾くと鎖はゴエティアを下の階層へと引きずり込んだ。
そして、静かになると無名はゆっくりと目を開く。
無名は変身解除しジェイルメモリを克己に投げ渡した。
そして、動きの止まっている翔太郎を抑え込む。
「克己さん!もう一度、ジェイルメモリを!」
その言葉を聞いて元に戻ったと察した克己はジェイルメモリを再度、起動し翔太郎に挿した。
そして、そのメモリに無名とフィリップは触れるのだった。
無名とフィリップが行動している頃、下では照井とホッパードーパントが闘っていた。
ホッパードーパントの強靭な蹴りをトライアルの速度で回避する。
「無駄だ。
その速度では俺を捕らえられん。」
原作ではホッパードーパントとトライアルの速度は同じ位だったが、強化されたアクセルトライアルの速度はホッパードーパントの速度を僅かながら上回りまた、長年の戦闘経験からその僅かな間で回避する技量も手に入れていた。
("高速移動中の精密動作".....ドーパント事件の多さでここで生きてくるとは皮肉だな。)
このままでは意味がないと悟ったホッパードーパントは一本のギジメモリを取り出すと起動した。
「
そしてメモリを機械化された足に挿す。
すると、足が大量の歯車に変換され組合わさると高速で回転を始める。
火花を散らしながら回転し煙を巻き上げる。
その煙からほんのりと鉄の香りがした。
「ぐっ!あぁぁ!」
ホッパードーパントは両足を抑えるが直ぐに照井に向きなおった。
この機械化した両足は無名と入れ替わったゴエティアが開発したアクセサリーシステムのドライバー兼、義足でありギアメモリはこの義足に合わせて作られたギジメモリだった。
ギジメモリを使用すると対象者の血肉を歯車が抉りそれを力へと変える。元々は膝までだった義足が両足全体になったのはそれだけギアギジメモリを使い脚を消費したからであった。
しかし、その力は強力であった。
ホッパードーパントは飛ぶように地面を蹴り上げると地面が爆発し一瞬の内にトライアルとの距離を積めた。
下がろうとするトライアルに脚を振ると空気との摩擦でプラズマが発生し両足に帯電するとその蹴りがトライアルの腕を掠めた瞬間、大量のプラズマがトライアルへと流れる。
バリバリ!と言う音を流し離れようとしたトライアルの身体から煙を放つ。
一撃かすっただけでトライアルは片膝をついてしまった。
(完璧に避けた筈なのに蹴りが途中で加速した。
かすってこの威力なら直撃したらどうなるか...)
照井は次の行動を考える。
(トライアルのマキシマムで応戦するか?
いや、恐らくギジメモリを使ったあの女と俺の速度はほぼ同じだろう。
加えて相手にはかすっただけでダメージを与えられる足がある。
近距離戦は不利だな。
エンジンブレードよりももっと、距離を稼げる武器がないと.....)
「もう手詰まり?
なら次は本気で....」
ホッパードーパントがそう言いかけると彼女の身体からアラーム音が聞こえる。
これは幹部に危険が迫った時になる緊急用の連絡コードであった。
それを見て軽く舌打ちするとトライアルに背を向ける。
「どういうつもりだ?」
「仕事が変わった....貴方のことは何時かちゃんと殺して上げるわ。」
そう言うと横に蹴り一瞬で外へ出ると地面を蹴りその爆発で飛び上がりこの緊急コードが使われたディガルコーポレーションへと向かうのだった。
敵の気配が無くなりメモリを抜いた照井は自分の身体に手を触れる。
あの時に折れた骨が痛む。
(これでは、また花家に怒られてしまうな。)
そして照井は変身解除した瞬間に身体から力が抜ける様に地面に倒れた。
その以上の原因を考えた照井はシュラウドから貰ったブーストメモリを見た。
メモリについているメーターが使用した時は緑色だったのに今は赤色でありもうエネルギーが底を尽きそうだった。
ブーストメモリを見た照井はこの疲労感はこのメモリの副作用だと直ぐに理解した。
(くっ...絶対にこのメモリを使いこなしてやる。
だが今はフィリップと克己に任せよう。)
照井はブーストメモリを握り締めながらそう考えると意識を手放すのだった。
外伝 続編の投稿に関して
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