もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第百八十一話 Fの捜査/依頼と焦り

「という訳でこの事件の捜査を左達に頼みたい。」

そう左達に言って連絡を入れたのは照井だった。

 

風城高校で起きた教師の不審死、それにドーパントが関わっている話を受けた照井は左に個人的に捜査の助力を依頼してきたのだ。

 

「お前にしては珍しい依頼だな。

照井ならこの事件を自分で解決してもおかしくないと思ったんだが....」

「俺もそのつもりだったが。

この前の俺の暗殺未遂、Wにも協力して貰ったがお陰で風都署長や犯罪に荷担していた汚職警官をかなり捕まえることが出来たがその結果、今の風都署はその後始末で正直、まともに機能していない。」

 

オールドドーパントを倒した夜、照井は風都署の署長に、呼び出されその場所へ向かうとそこには銃を持った同僚が複数名いた。

そして、署長は自分達がミュージアムに関係している事を暴露し照井を口封じする事を伝えた。

 

しかし、署長達は気付いていなかった罠にかけられたのは自分達だったのだと.....

署長らを、囲むように警察の特殊部隊が出現する。

そして、その間から氷川誠 警視長が現れたのだ。

 

驚く署長を尻目に氷川の指示で特殊部隊が汚職警官や署長を捕縛しにかかる。

しかし、そこで数名の汚職警官がガイアメモリを取り出したのだ。

 

だが、そのガイアメモリは照井によって予め待機していたWによって奪われると全て砕かれてしまう。

こうして風都の汚職警官と署長は全員逮捕された。

 

だが、同時に風都署は早急に組織を再編する必要が出てしまったのだ。

汚職に手を出していたのは風都署の上層部や中核を成すものが多かった為、組織は大混乱した。

 

 

風都署の署長代理として氷川が就任するとそのサポートとして照井が副署長代理として選ばれてしまった為、今の照井は仮面ライダーとして活動できない程の激務に勤しんでいた。

(因みに超常犯罪捜査課は現在、刃野刑事が課長代理となり動かしている。)

 

「俺が自由に動けない以上、頼れるのは左達だけだ。

今回の件にドーパントが関わっている疑いが強い以上、尚更君達の力が必要だ。」

「分かってるよ照井。

この依頼、請け負ったぜ。

それで内容は?」

 

 

「セブンスについて調査した結果、幹部達の潜伏する場所の候補が見つかった。

左達にはそこの調査を行って欲しい。

その場所は......」

照井の告げた場所を聞いた翔太郎は驚く。

「まさか....そんなところにまでガイアメモリが蔓延ってるってのか?」

 

「残念だがその可能性は高い。

だからこそ調査してあわよくばその組織を壊滅させて欲しい。」

「分かった。

俺達がキッチリ解決してやるよ。」

 

翔太郎がそう言うと電話を切った。

「やれやれ面倒な依頼を受けたね翔太郎。」

そう言ったフィリップはホワイトボードに調査する場所の名を記していた。

風城高校....それはオールドドーパントの件で関わった芦原 茜が在学している学校だった。

 

「倍率が高く在学する学生は大会の優勝者や入賞者ばかりの進学校....それだけならまだましだが」

フィリップはそう言いながら地球の本棚で手に入れた知識を言う。

「風城高校はドーパントが現れ出してから建設された高校だ。

だからこそ、そこに関するセキュリティの高さは尋常じゃない。

先ず、校内に入るにはボディチェックと入館用の電磁キーが必要で学生にはそれが入ったスマホが支給される。

校内には金属探知機や学校が用意したスマホ以外を使おうとすると警報がなるシステムがあり、学校の所有する区域全てに張り巡らされている。」

 

「つまり、学校にはガイアメモリはおろかメモリガジエットも持ち込めないってことか。」

「あぁ、それに部外者が入るにしても監視カメラが多過ぎて死角がない。

正規の手続きで入るにしても何週間も申請に時間を取られる。」

 

「成る程、厄介な事だな。」

「だが、そのお陰もありドーパントのが無い高校として売り出しているみたいだ。」

 

対ガイアメモリ用のシステムで構成された学校はフィリップの頭脳を持ってしても単純な侵入は不可能だと言わしめた。

「だとしたら残った方法は....」

 

 

 

 

3日後.........

風城高校の教室に担任が入ってくる。

「おはよう!突然だが転入生を二人紹介する。

さぁ、入ってきてくれ。」

そうして入ってきた二人の青年はそれぞれ自己紹介を始めた。

 

左 来人(フィリップ)と言う。

親の都合で転入してきたらしい。

仲良くしてくれ。」

独特な挨拶の仕方に戸惑うが茜だけは来人の顔を見て驚いていた。

 

そして、次の青年が話す。

黒羽 虚(無名)です。

私も彼と同じく両親の都合で風城高校に転入しました。

分からないことも多いので色々と教えて下さい。」

 

フィリップはそう言って笑顔で挨拶する無名の顔を苦笑いしながら見つめる。

(無名がここに来るなんて....一体どういう事なんだ?)

授業が終わり休み時間になったら問いただそうとフィリップは決めるのだった。

 

 

 

 

 

天ノ川高校の理事長室で獅子神は我望を睨み付けていた。

「これは一体どういう事だ我望?」

その問いに我望は平然と答える。

「今後、君の指図は受けない....そう言ったのだよ獅子神君。」

 

その言動と行動は獅子神にとって予想外の一言であった。

故にその行動は獅子神の怒りを加速させる。

 

「この俺を嘗めているのか?

そんなに死にたいのなら今ここで殺しても....」

「出来るのかね?君にそんな覚悟があるとは思えないが...」

 

「何だと?」

「少し前までの君は強かった。

我々のゾディアーツスイッチが不完全だったのもあるがそれ以上に君の強さが圧倒的だった。

だが....今は違う。」

そう言って立ち上がり我望が獅子神を見つめる。

 

「君の目を見ても私は恐怖を感じない。

それよりも君の方が私を恐れて見える。」

「何だと?....貴様ぁ!!」

獅子神は我望に掴みかかろうとするが手を伸ばした瞬間、我望の身体が蜃気楼の様に歪み消えた。

 

「なっ!」

「幻影の私すら見抜けないとわ....愚かな。」

我望の声が響くと周りの風景が変わる。

そこは天ノ川高校ではなく屋外になり更に獅子神を囲うようにゾディアーツが現れる。

 

我望(サジタリウス)を筆頭に立神(レオ)江本(ヴァルゴ)に周りを囲われ獅子神は武器を向けられる。

「これで分かっただろう?

今の君では我々には敵わない。

ミュージアムに従っても君に従う義理はない。

君の主義で言うのなら、"弱い存在につく価値は無い"か?」

「..........」

 

獅子神は怒りと悔しさから唇を噛みそこから血を流す。

だが、獅子神は怒りに任せて暴れることが出来なかった。

ジェイルメモリを失いもう一度心を折られたら今度こそ弱者に成り下がってしまう自分に怯えてレオメモリを使えないでいるのだ。

 

それを我望に見透かされた。

故に獅子神は何も出来なかった。

だが、獅子神の部下は違った。

 

シープドーパントに変化した水島が獅子神を囲っているゾディアーツに攻撃を仕掛ける。

それにより生じた隙をつき獅子神は離れる。

すると、獅子神の周りにドーパントが現れ彼を守った。

 

「どうやら君も何の保険もなくここに来たわけではないようだね。

良いだろう....彼等に免じて君を見逃してあげよう。

今後は対等な関係として取引しようじゃないか獅子神君。」

そう言って笑う我望を獅子神は睨むことしか出来なかった。

 

水島に抱えられながら天ノ川地区を出ていく獅子神は灯夜に話し掛けられる。

「良いのか獅子神?

我望にあそこまでの無礼を許して....」

「........」

 

「我望はミュージアムには反目しないが我々との協力関係は破棄すると言った。

この状態を放置したら危険だ。

もし、サラがこの事を知れば彼女は我望に接触するぞ。

そうなったら天ノ川地区の利権はサラが手に入れる可能性が....」

そんな事は分かってる!!

我望もサラもキッチリ始末をつける。

だから、今は黙っていろ....」

 

灯夜に苛立ちを向けた獅子神は車に乗るとその場を後にした。

その直後、灯夜の口から咳が起こりそれを手で抑える。

ゲホッ!ゴホゴホッ!

 

咳が収まり口を抑えていた手を見るとその手は血で真っ赤に染まっていた。

灯夜が使っているメモリは強力な能力を持つ代わりにメモリの毒素が強いことが欠点だった。

 

しかも、この毒素は新型のコネクターを使っても全く減らないレベルだった。

当初は無名がそれに合わせたドライバーを作る予定だったが裏切った為、それが敵わなかった。

 

灯夜は腕のコネクターを見る。

コネクターの周りの皮膚が炎症を起こしている。

それだけ強力な毒素をそのメモリは含んでいた。

この事は獅子神には伝えていない。

 

(今の獅子神は弱ってる....これ以上負担をかけるべきじゃない。

だから俺がこの力で.....)

 

後、何回このメモリを使えるのか分からない。

もしかしたら父への復讐の前に死ぬかもしれない。

それでもメモリを使うことを止められない。

獅子神が元に戻るまでは......

 

灯夜は血のついた手をハンカチで拭くと風都に戻った。

05が壊滅し藤堂兄弟がやられてからセブンスの規律は乱れていった。

普通なら生きている藤堂兄弟を救出したいが警察にいるセブンスの幹部からの報告で風都署で大規模な摘発があったらしく今は動くことが出来ないらしい。

 

それに他の幹部の中でセブンスに独断で行動を起こしている者もいた。

(先ずは組織の再建だな。

この状態では獅子神の下につける組織としては不適格だ。

その為にも先ず、残っている幹部を確認しその行動を把握しておく必要がある。)

 

灯夜は電話をかけた。

数コール後に電話が繋がる。

「どうしましたか灯夜君?」

「天ノ川高校についてだ....理事長の我望が獅子神様に楯突いた。

今後は彼等とは距離を置け。

詳しいことを話したいのだが今は何処にいる。」

 

「何処と言われましても平日のこの時間なら彼処しかないでしょう?」

「風城高校か....なら仮面ライダーには気を付けておけ奴等の鼻は侮れない。

お前のビジネスも露見するかもしれないからな。」

 

灯夜からの忠告に電話を取っている男は悩む。

「十分に警戒しておきますよ。

それよりまたメモリの注文が入りましたので何時ものルートで此方に持ってきてくれますか?」

「良いだろう。

それにしてもガイアメモリを学生が欲しがるとは世も末だな。」

 

「それだけこの力には魅力があると言うことですよ。

そこに大人も子供も関係ない。

.....いや、寧ろ子供の方が質が悪いかもしれませんね。

彼等にとってガイアメモリはオモチャでそれを使って好き勝手することは遊びなんですから」

「それを増長させているのが他でもないお前の仕事でもある。

期待しているぞ。」

 

「はい、勿論ですよ灯夜君。」

そう言うと電話が切れた。

ミュージアムの計画は順調に進んでいる。

他幹部が成果を出している中、獅子神だけは成果を落としている。

これだけは何とかしなければならない。

 

全ては獅子神が元にに戻るためだ.....獅子神が元に戻ればこの状況は好転する。

 

そう灯夜は自分に言い聞かせると風城高校にメモリを送る算段を付けるのだった。

 

 

 

 

Another side

 

園咲邸の一室で若菜はぬいぐるみに囲われながら一人遊んでいた。

その行為を琉兵衛は微笑ましく見つめていた。

「おとうさん!」

「何かな若菜?」

 

そう尋ねると若菜の瞳が光手にエネルギーが集まるとリンゴが生成された。

「きょうはリンゴだよ!」

若菜は琉兵衛とおままごとをしているのだろう。

琉兵衛はそのリンゴを受け取ると噛った。

 

シャクシャクと小気味良い音を出しながら咀嚼する。

「美味しいよ若菜。」

「どーいたしまして!」

若菜は笑顔で言った。

 

若菜の精神が幼児化したのはゴエティアの施した施術が影響している。

「彼女を地球の巫女として完璧な存在にする為にはガイアプログレッサー以外による肉体の再構築以外にも精神を地球の本棚の力に適応させる必要があります。

そうしないと万が一、来人様が融合を拒んだ時、若菜様は暴走してしまう。

だからこそ、精神も一から構成します。

とは言え実際に顕現できれば身体が世界に適応する影響で精神も加速度的に成長しますから安心してくださって構いませんよ。

早く成長を促したいのなら力を使わせて上げてください。」

 

ゴエティアの助言通り琉兵衛は若菜に力を使わせた遊びを行っている。

"地球の本棚"から記憶を呼び出し力を使うことには大分馴れた様だった。

「もうそろそろだな....」

琉兵衛が聞こえないようにそう呟くと若菜に話しかける。

 

「若菜...そろそろ別の遊びをしようか。」

「べつのあそび?」

 

「そうだ....この男は若菜と同じくガイアメモリを持っている。

そのメモリを奪ってくる遊びだ。」

そう言って琉兵衛が見せたタブレットに写る写真を若菜は眺める。

 

「.....わかった!

いってくるねおとうさん!」

そう言うと若菜は立ち上がり部屋を出ていった。

 

琉兵衛はそれを見つめる。

「さぁ、我が娘の糧となってくれ....」

 

 

 

 

 

 

「大道 克己。」

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