学校の授業が終わるとフィリップと無名は茜達に連れられて近くのカフェに集まっていた。
そして、そこで思わぬ人物と遭遇する。
「わーっ!フィリップ君だぁ!」
そう言いながらエリザベスがフィリップに近付く。
「茜達とつるんでるなんて珍しいね。」
そう言いながら今度はクイーンが現れた。
クイーン&エリザベス....翔太郎が風都の情報を聞く"風都イレギュラーズ"の一員であり歌手デビューもしている。
同世代で憧れの存在であった。
二人を見て茜が言う。
「アンタらも毎回毎回つるんでて、良く飽きねぇな。」
「それはアンタらにも言われたくないんだけど....それでフィリップ君は知ってるけどそっちの子は?」
無名に目を向けてクイーンが言う。
「僕の名前は黒羽....今日この風城高校に転入してきて二人に色々と教わってるんですよ。」
「ふーん、そうなんだ。
なら、あの学校の"カースト"も教えた方が良いんじゃない?」
クイーンの言葉を聞いて茜は怒る。
「おいクイーン、その事をここで言うんじゃねぇよ。
それにそんなもん拘ってるバカは私がボコボコにしただろ。」
「でも根絶は出来てない....でしょ?」
「それは.....」
二人が言い争いになりそうなのでその前に無名が尋ねる。
「そのカーストとは何ですか?」
その問いにクイーンが答える。
「風城高校は色んな分野に富んだエリートが集まる学校なの。
そして、その生徒もエリート意識が強い。
そんな奴等ばっかりが学校に集まったら優劣をつけ始めてその中で大きい力を持っていた派閥がカースト制度を作り始めたって訳....」
「アタシはそれが許せなくて入学して直後にその派閥に喧嘩を売ったんだ。」
「そう....そして茜はその一派を潰して風城高校のカースト制度を終わらせたのよね。」
「アタシ一人の力じゃないよ。
"生徒会長"が力を貸してくれたから出来たことだ。
そしてアタシに負けた一派は空中分解して今の学校になったんだ。」
そこまで茜と楓で話すとクイーンが付け加える。
「茜、確かにアンタは凄い女だけどあのクズ共はそんな簡単に改心なんてしないよ。
奴等今では学校外でチーム組んでハングレ紛いのことしてるって噂になってる。」
「何だと!....約束すら守れなくなったか
茜はそう言って手を握りしめた。
「その萩谷って言うのがカースト制度を強いていたリーダーなのか?」
「あぁ、
彼処のボンボンだよ。」
萩谷グループ....確かディガルコーポレーションで取引していた(表の仕事)企業の名前に入っていた筈。
「茜に負けてから学校を休んでいてその間に風都の不良を集めて組織を作ってたみたい。
その組織でかなり悪どい事してるって噂だよ。」
その言葉を聞いて無名は思考する。
(.....普通に考えればその萩谷が今回の事件に関わっている可能性は高い。
だが、捨て駒ではなくそんなハングレ如きを獅子神が使おうとするか?
それに学校を休学している人間が何故、学校内で事件を起こす?
復讐のためか?....それにしては明確な目的を感じない。
"怪談程度で治める事件"をしているのにも辻褄が合わない。)
どうやら、僕と同じ答えに行き着いたのだろうフィリップも難しい顔をしている。
((兎に角、一度確かめて見るしかないな。))
そう考えていると無名の携帯に着信が入る。
電話の相手を見ると京水だった。
「はい。」
「無名ちゃん!?良かった。
お願い今すぐ水音町に戻ってきて!」
「どうかしたんですか?」
「克己ちゃんがボロボロなの!酵素も効かないらしくてプロフェッサーマリアも慌ててる!
このままじゃ克己ちゃんが....克己ちゃんが!! 」
「!?」
異常事態が起きた事を悟った無名は立ち上がるとその場を直ぐに後にした。
必死の形相に驚いたフィリップが追ってくる。
「一体、どうしたんだ!」
「克己さんが重症を負ったようです!
僕はこれから彼の元に向かいます....事件に関して分かったら連絡してください。」
「!?....分かった。
彼のことは頼んだよ。」
事情を理解したフィリップは無名を追うことを止めた。
そして、無名はリーゼに連絡を取る。
「リーゼ!直ぐに水音町に戻ります!
メモリとドライバーを.....」
そう言い切る前にリーゼが無名の元に降りてきた。
今回、ドライバーとメモリをリーゼに預けていたがリーゼも連絡を受けたのだろう。
最も最善の手を理解していたリーゼは無名の連絡が来る前に彼の元へ来ていた。
リーゼの背負っているバックからドライバーとメモリを取り出す。
「Demon」
メモリを装填しデーモンドーパントになると翼を展開し水音町に戻るのだった。
「克己....克己!!」
プロフェッサーマリアはボロボロになった克己に酵素を打ちながら呼び掛け続ける。
帰りが遅い事を心配したマリアは霧彦に彼の捜索を頼んだのだ。
そして、帰ってきた時、霧彦はナスカドーパントになり傷付いた克己を急いで運んできた。
直ぐに克己を地下のラボへ運び込むとマリアが克己の身体に酵素を打ち込むが効果はなくダメージによる細胞の崩壊が始まっていた。
それを見た文音もマリアに協力して原因を探っている。
NEVERのメンバーも話を聞いて克己の元へ集まっていた。
目に涙を浮かべながら酵素を打ち続けるマリアを文音が止める。
「マリア!それ以上の投与は克己の身体にダメージが...」
「そんな事分かってるわ!....でもこうしないと克己が...」
そんな話をしていると京水が入ってくる。
「無名ちゃんと連絡が着いたわ!
直ぐに来てくれるわよ。」
「なら、それまでは何としても持たせないと....マリア、私は受けたダメージの分析をするわ!...だから貴女は」
「.........」
文音の話が聞こえていないのかマリアは呆然としている。
そこで文音がマリアを平手打ちした。
「しっかりしなさい!...無名が来れば打開策が見つかるかもしれないのよ!
息子を助けたいのなら今自分が出来ることをしなさい!」
「...!?えぇ、分かったわ!」
文音に渇を入れられたマリアは正気を取り戻すと克己の治療を再開する。
するとこのタイミングで
「状況は!」
「再生酵素を打ち込んでいるけど全く効果が無い!
細胞の崩壊も始まっていてこのままだと克己は....」
「分かりました!
マリアさんは克己さんに呼び掛け続けてください。
文音さんは克己さんが受けたダメージの分析を...」
「もうやっているわ!....結果が出たわよ。
....何なのこれは?」
文音はパソコンの画面に表示された分析結果に驚く。
無名もその画面に目を向けた。
(何だこのダメージは?
エネルギーの波長からガイアメモリによるダメージなのは分かるがその質がおかしい。
まるで"数百のメモリの力"を纏めたエネルギーを受けたみたいだ。)
今の克己の身体には様々な特性を持ったメモリのエネルギーが渦巻いていた。
それにより再生酵素の効果が阻害されていたのだ。
肉体が崩壊していないのは奇跡に近いがその理由を今考察してる時間はない。
(原因が多種多様のエネルギーのダメージなら僕のメモリの力でエネルギーを消せば!)
無名は黒炎を作り出すと克己に触れたその瞬間、彼の身体に残留しているエネルギーが牙を剥く。
無名の身体に克己が受けたエネルギーが流れて全身から火花を上げダメージを受ける。
無名はそのダメージに片膝を着くがそれでも黒炎を出すことを止めない。
そして、無名は意識を集中させて地球の本棚に入るとダメージを耐えながら検索を行う。
「キー...ワー..ド.."エネルギー分解"..."エネルギー放出"....."エネルギー減衰"....」
そうして検索した結果を脳内で反芻し無名は何とか立ち上がる。
(この現象は....本来、融合することの無いエネルギーが無理矢理融合した事によって起こる事だ。
複雑にヒモが絡まって中の物が取り出せなくなっている事と変わらない。
解決するにはそのヒモを何とかするしかない。
黒炎でエネルギーを消してもまた別のエネルギーが解放される.....ならば!)
無名は左手を上げると黒炎により武器を生成していく。
イメージは兎に角細く鋭い一撃....そうすると武器の大きさは小さくなりメスサイズの刃物になった。
そして、集中しエネルギーが集約している部分を探す。
見つけるとそこに目掛けてゆっくりと一線斬り込んだ。
そして、両手に黒炎を纏うとエネルギーを使い両端に引き裂いた。
元々、合わさることの無いエネルギーを強引にくっつけていた事もあり簡単に剥がれた。
しかし、剥がれた事によるエネルギーの余波を受けてしまう。無名は吹き飛ばされ壁に叩き付けられた。
その勢いでメモリが飛び変身解除してしまう。
何とか助け出す事は出来たが無名は意識を失ってしまうのだった。
風城高校付近の交差点でフィリップと翔太郎は張り込みをしていた。
「本当に来るのかよ?」
翔太郎の問いにフィリップが答える。
「どうだろうね。
正直、賭けに近い作戦だよ。
怪談の内容は分かっても日時までは分からなかったからね。
ただ、風城高校の生徒が狙われると言うことだけ....この時間に制服を着て通ればもしかしたら食い付くかと思ったが、そんな上手くはいかないか。」
「そう言えば無名が学校に居たんだって?
それでお前が協力することを選んだって聞いた時は驚いたぜ。
「僕も学び変わると言うことだよ。
それに仮に騙されても僕を助けてくれるだろう相棒?」
「へっ!良く分かってるじゃねぇかフィリップ。」
そんな会話をしていると交差点に向かって走ってくる人物を見つけた。
二人がバレないように隠れて観察する。
すると、交差点に向かって走る風城高校の生徒とそれを追うドーパントが現れた。
ドーパントが手を振るうと手から粘性の高い水が放出されそれを受けた生徒は転んでしまう。
「あっ....や....止めてくれ....」
風城高校の生徒がそう言うがドーパントは止まらない。
「俺に見つかったのが運の尽きだ....諦めるんだな。」
そう言うとドーパントは指をスナップした。
そのスナップにより指から火花が上がる。
その火花がドーパントにより放たれた液体にのり濡れた足に当たる直前、ファングメモリがその火花を弾くとそのままドーパントを攻撃した。
「何者だ!」
ドーパントの問いに答えることなくフィリップは闇夜に紛れながらファングメモリを掴むとメモリモードに変形させる。
それに答えるように翔太郎もジョーカーメモリを起動する。
「FANG,JOKER」
「「変身」」
二人の声が重なりメモリを装填するとフィリップはファングジョーカーへと変身が完了する。
変身が終わるとドーパントの前に立ち塞がる。
「「さぁ、お前の罪を数えろ。」」
そう言うとファングジョーカーが先攻を取る。
ドーパントの放つ液体を避けながら近付くと近接攻撃を行う。
野獣のような動きから放たれる攻撃はドーパントにダメージを与えた。
「チッ!これでも喰らえ!」
そう言うとドーパントは地面に落ちた液体に火花を放つ。
その火花が液体に触れると勢い良く燃え上がった。
『あっち!...危ねぇなこの野郎!』
「可燃性のある液体を生成できるのか....なら近付く前にケリを付けよう。」
フィリップがそう言うとファングホーンを二回弾く。
「Shoulder fang 」
ファングの肩に一本の牙が生成されるそれを取るとドーパントに投げつけた。
ドーパントはその牙に液体を浴びせて燃やすが牙は燃えながらドーパントに直撃した。
攻撃を受けたドーパントは全身に火が引火して火だるまとなる。
そして、そのまま逃走を図ろうとする。
『逃がすかこの野郎!』
そう言って追いかけるが学校の校門にドーパントが入ると突如目の前に壁が聳え立つ。
「何だこれは!」
そう言うと自分の立つ地面から壁が競り上がりWは飛ばされてしまう。
しかし、身体を反転させて地面に着地するとファングホーンを一度弾く。
「Arm fang」
腕に牙の刃が生成されるとそれを使い競り上がる壁を破壊し続ける。
暫くすると壁の出現が止みドーパントも姿を消していた。
『一体どう言うことだ?』
「恐らく、あのドーパントには仲間がいたんだろう。
.....競り上がってきた壁は"コンクリート"のようだ。
あのドーパントを守るために攻撃してきたと言った所か.....」
『マジかよ....だがこれでハッキリしたな。』
「あぁ、この学校にはドーパントが潜んでいる。
ドーパントを見つけ出すシステムを欺けるドーパントが.....」
『取り敢えず助け出した生徒に話を聞こうぜ。』
「そうだね。
そこは翔太郎に任せても良いかな?
僕はちょっと気になることがあって.....」
『あぁ、良いぜ。
だが、困ったら直ぐに呼べよな。』
「分かってるよ翔太郎。」
そう言うとWは変身解除する。
そして、ドーパントが通り過ぎていった校門に触れる。
すると、校門からサイレンが鳴り響く。
それを聞いたフィリップは逃げるように隠れた。
しかし、直ぐにサイレンは止まった。
そして、そこには誰も集まらない。
(やはり、予想通りだ。
このシステムはまともに"機能"していない。
と言うより機能しないようにされている。)
メモリサイズの機械の駆動すら感知できる校門なのにサイレンがなっても誰も来ない。
つまり学校全体がセブンスに完全に支配されている。
そうフィリップは理解したのだった。
Another side
逃げ帰ってきたドーパントはメモリを抜く。
元の姿に戻った男は壁に寄りかかった。
「無様な姿だな.....」
そう言うのは彼を助けてくれたドーパント。
「申し訳ありませんしくじりました。
でも次はこんな失敗はしません。」
「そう言う言い訳は要らない。
この世界は成功するか失敗するかの二つしかない。
君は"セブンスとの契約を破りこの学校を危険に晒した。
しかも仮面ライダーを呼び寄せた....これは許しがたい罪だ。」
そう言うとドーパントは男に手を翳す。
すると、男の身体を灰色の液体が覆っていく。
「たっ.....助けてください!
も.....もう一度チャンスを!」
「君は前にもそのチャンスを不意にしてるじゃないか。
"芦原 茜"に負けて僕の作りたかった"調律された平和"を乱した。
そんな君は.....もう要らない。
さようなら"萩谷 千晴"....せめて最後は美しく散れ。」
ドーパントが手を下げると萩谷の身体は灰色の石像へと姿を変えていた。
粛清が終わると男はメモリを抜く。
そして、着ている"風城高校の制服"を正すとその場を後にするのだった。
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