もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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「うっ....ウボェッ!」
頭貝はトイレで吐いていた。
その後ろで染丘が彼の背中をさする。

「大丈夫か頭貝!落ち着いてゆっくり息を吸うんだ!」

今日、彼は始めて人に向かってメモリの力を使った。
自分の力で人がコンクリートに変わる悲痛な姿を見た頭貝はショックからトイレで吐いていたのだ。

「はぁはぁはぁ.....大丈夫だ。」
「大丈夫って....無理するなよ。」

「無理だって?無理でもしなければこんな事、出来る訳無いだろう!!
目の前で人を石像に変えて落ち着ける訳がない!
.....クソッ!何でこんなことをしないと行けないんだ!」
「.....頭貝。」

頭貝は自分の手を見つめる。
人を助けたいと願いつつその人を石像に変えた手を...

そんな姿を見た染丘が言った。
「変えよう頭貝。
この学校のカースト制度がメモリを増長させているんだ。
俺達の力でこの制度を変える....その為に俺もこの手を汚すよ。」

そう言って染丘はボスから貰ったメモリを頭貝に見せるのだった。


第百八十八話 償いのC/本当の悪

変身したWへ頭貝が液状のコンクリートを向ける。

それをファングジョーカー持ち前の身体能力で回避するとタクティカルホーンを二回弾いた。

 

「SHOULDER FANG」

 

肩から出現した牙を頭貝へ投擲する。

それを頭貝は液状のコンクリートで防ごうとするが弾かれて牙は頭貝の身体を傷付けた。

「ぐっ!」

「ファングの牙には分子レベルで物体を切断する力がある。

液状化したコンクリートを弾くのは容易だ。」

 

『おい、奴の身体を見ろフィリップ。』

そう言われファングにより切り裂かれた頭貝の身体を見ると傷口に液状が流れて行き完全に塞がった。

「残念だけどその程度の攻撃じゃあ僕の事は殺せないよ来人君....いやフィリップと呼んだ方が良いかな?」

 

そう言って頭貝は何でもないように立ち上がる。

「その姿は"前にも見た"。

速さに自信があるみたいだね....ならこれならどうする?」

頭貝は地面に手を触れると屋上の地面が隆起しドリル状の形をした大きな矛がついたコンクリートの触手が何本の現れる。

「僕のメモリはコンクリートを操る。

それは硬度も変えられてね。

泥水の様に柔らかくも出来れば鋼鉄すらねじ曲げる程、硬く出来る。」

そう言うとドリルが付いた触手がWを襲う。

 

初激を回避するが直ぐに何本もの触手がWへと向かっていた。

回避が間に合わないと感じタクティカルホーンを一回弾いて腕に牙を生成するとドリルに向かって攻撃を行う。

Wの攻撃によりドリルが、砕けてコンクリートは粉々になる。

しかし、その瞬間、砕けたコンクリートは液体に変わりWの体に纏わりついた。

 

『何っ!いきなり液体に!』

「言っただろう"コンクリートを操る"と.....個体を液体に変えることは雑作もない。

そして、"コンクリートの重量"を変えることもね。」

 

するとコンクリートが付着したWの動きが重くなる。

「うっ....なんて重さだ。」

『クソッ!うまく動けねぇ。』

 

「流石は風都を守る仮面ライダーだ。

"普通のドーパント"なら地面に倒れこむ程の重さなのに立っていられるとはね。」

そう言った頭貝の言葉にフィリップは違和感覚える。

「普通のドーパント.....まさか!」

 

「そうだ。

僕達は他のドーパントと戦ったことがあるよ。

ボスの命令で....その過程で何人も殺した。

君達は僕らを助けたいと思っているだろうけど僕達にその資格はない。

僕らは人殺しだ....君達のすることは"僕達を人殺しとして裁く"ことだ。」

「裁く?.....仮面ライダーは風都の街を守る存在だ!

罪を憎み人は殺さない!」

 

「そんな甘い考えじゃ....守れる者も守れない!

僕達は殺してこの平和を守ってきたんだ。

君達のように強かったら良かったと何度も思ったさ!

それだけ強ければ....誰も犠牲にならなかったと思わなかった日はない!

何故だ!何故、もっと早く来てくれなかったんだ!

そうすれば僕達は....きっと....」

頭貝の怒りがWへと伝わってくる。

 

それは彼等の思いを正しく理解できているという事でもあった。

(フィリップ、俺は.....)

(分かってるよ翔太郎。

彼等は"仮面ライダーが救えなかった被害者"だ。

犠牲にするなんて絶対にしない。

翔太郎、今君の身体は何処にある?)

 

(リボルギャリーの中だ。

何かあった時を考えてそこにいるが....操作してここに呼べる程の時間を相手が与えてくれるとは思えねぇ。)

(それは僕も同感だ。

彼はコンクリートメモリの過剰適合者だ。

そんな彼に勝つには"全てを砕く強靭な牙"がいる。

少し賭けになるが受けてくれるかい翔太郎?)

 

(当たり前だろフィリップ。

絶対に二人を助けるぞ!)

二人は決心をつけるとWはジョーカーメモリを抜いてメタルメモリを取り出した。

 

「METAL」

 

その光景に嫌な予感を覚えた覚えた頭貝は周囲のコンクリートを液体にしてWを包み込んだ。

そして、一瞬の内に硬化させた。

巨大なコンクリートの塊が現れる。

 

しかし、そのコンクリートから無数の亀裂が起きると爆発するように砕けて中から"白と銀色のW"が姿を現した。

 

「FANG,METAL」

 

頭貝は続けてドリル状の触手を作ると新たなWへと向けた。

そのWもドリルを粉砕するが直ぐに液体になりWの身体へと纏わりつく。

 

そこでWがタクティカルホーンを一回弾く。

 

「ARM FANG」

 

すると両腕に大量の牙が現れてコンクリートを吹き飛ばしてしまう。

そしてWはその腕で頭貝を殴り付けた。

その瞬間腕の牙が動き回転すると頭貝の身体を構成するコンクリートを削り裂いた。

ダメージから頭貝は地面に片膝を付く。

 

「これだけ深い傷なら直ぐには回復は出来ない。

一気に決めよう翔太郎。」

『あぁ、フィリップ。』

 

Wはタクティカルホーンを三回弾く。

 

「FANG MAXIMUMDRIVE」

 

Wは飛び上がり高速回転しながら頭貝に向かう。

 

『「FANG SPEARBULLET(ファングスピアバレット)」』

 

Wの必殺技が頭貝で当たると火花を上げる。

そして爆発を起こすと頭貝はメモリブレイクされて地面へと倒れた。

 

「う.....あ.....」

呻くことしか出来ない頭貝に変身解除したフィリップが駆け寄る。

「頭貝会長....貴方の選択は間違っていたかもしれない。

でも、そのお陰で救われた命があった。

僕は少なくとも貴方達の行いが悪だけだとは断じれません。

罪を償ってください。」

 

その言葉を聞いた頭貝は気絶する。

そして、染丘が彼に駆け寄ると身体を持ち上げた。

「何処に行かれるんですか?」

「どちらにしても警察が来るんだろう?

頭貝を保健室で休ませておきたい....大丈夫だ逃げはしないよ。」

 

そう言うと染丘はポケットからガイアメモリを出すとフィリップに投げ渡す。

「"オイルメモリ"....貴方が本当の所有者だったんですね。」

「俺が敵の動きを止めて頭貝が石像にする。

そうやってこれまでやって来たからな。」

 

「何故、貴方は戦いに参加しなかったんですか?

貴方が手を貸せば頭貝会長が倒される事も無かったかも知れないのに.....」

フィリップの疑問に染丘は振り替える。

「それは.....!?グァッ!」

 

すると突然、染丘の背中から鮮血が走り地面に倒れこむ。

「染丘さん!」

そう言って駆け寄ろうとしたフィリップの足元の地面が削れる。

 

「隠れてないで出てきたらどうですか?」

フィリップがそう言うと扉が開き野々村先生が中に入ってきた。

「こんなところで何をしているんですか左 来人君?」

 

「野々村先生、貴方こそどういうつもりですか?

生徒を傷付けるなんて....」

「何を言っているんだい?

僕は何もしていないよ。」

 

「メモリを使用し続けると生身の状態でもメモリの力を使うことが出来る。

貴方もその域に達しているんですよね?

それにそろそろ嘘を付くのは止めませんか?」

 

 

「"貴方は一体誰"なんですか?」

フィリップの問いに野々村は口元の笑顔が若干崩れる。

「誰と言われても僕は風城高校の教員である野々村 一作(ののむら いっさく)だよ。」

 

「えぇ記録上、貴方は二年前にこの学校に赴任してきた先生となってます。

だからこそ、この学校を裏で操るセブンスのメンバーの候補から外していた。

でも事件について詳しく調べていくと驚くべき真実を知れました。」

 

そうフィリップが話していると学校の外からサイレンの音が聞こえ始める。

「このサイレン....まさか!?」

野々村はその音を聞き驚くのだった。

 

 

 

風城高校の校門の前に警察車両が大量に止まり中から特殊部隊の面々が整列する。

その車の中から照井が出てくると校内に入ろうとするが走ってきた校長に止められる。

「いっ....一体どういうご用で警察の方!

それに何の連絡もなく!」

 

そう言うと照井が警察手帳を見せながら言う。

「超常犯罪課の照井です。

この学校でガイアメモリを使用した犯罪が行われている証拠を掴みました。

これより強制捜査を始めます。

これが令状です。」

 

「ガイアメモリ犯罪!?バカな!

そんな事、あり得ません!」

そう言う校長に照井が告げる。

「この学校に野々村一作と言う教師がいますね?

つい先日、"彼の遺体"を見つけました。

司法解剖の結果、身体の一部が欠損しているものの本人だと分かりました。

そして、死亡推定時刻はおおよそ"二年前"....つまり二年間の間、貴方は野々村一作に成り済ました誰かを学校に入れていたんです。」

 

「そんな....バカな.....」

「では、調査を始めます。

入るぞ。」

そう言って照井が特殊部隊を中に入れるよう手招きする。

「まっ....待ってくれ!

そんな事をされたら我が校の実績がっ!」

そう言って照井を止めようとする校長の手を照井は握ると地面に組み倒した。

 

そして、顔面の横の地面を殴り付ける。

照井の拳が当たった石のタイルはヒビが入った。

そして感情に任せた声で静かに告げる。

「学校の実績など知ったことか!

.....俺達、大人が不甲斐ないせいでこの学校の生徒は辛い決断をせざるを得なくなったんだ。

ガイアメモリを無理矢理、使っての犯罪行為....そんな事を許してしまった。

だが、もう見逃すつもりはない。」

 

拳を打ち付けられて気絶した校長を無視して立ち上がると照井と警察の部隊は中へ入っていった。

 

照井がここまでキレていたのはフィリップの保険に由来している。

もしもの為にフィリップは予めドライバー以外にも学校のスマホを改造し話を盗聴出来る様にしていた。

 

それによって照井はこれまでの出来事を全て聞いていたのだ。

("不甲斐ない".....俺達、警察がもっと早く...それこそ校門での首切り事件の時に諦めずに介入出来ていればこれ以上、事態が悪化することはなかった。)

 

首切り事件の捜査を打ち切ったのは風都署の前の署長だった。

だからこそ、警察内の膿を出し切るまでこの事件が明るみになることは無かったのだ。

その結果、こんな事件が起きてしまった。

 

今の照井の顔は昔の復讐に取り付かれていた時よりも怒りに満ちた顔をしている。

そして、その顔を嘲笑う様に"ドーパント"(リッパードーパント)が現れた。

 

「こんな所で会えるとは奇遇だなぁ。」

「やはり、貴様らも関わっていたか....覚悟は出来ているか?

この場で全員逮捕する。」

 

ドスの聞いた照井の言葉を受けてもリッパードーパントは笑う。

「恐いねぇ....それしてもアイツもドジることがあるとはねぇ。

Wの介入は予想できてもアクセルは予想できなかった訳か。

でもまぁ、丁度良い....これで"アイツらの出番"が出来る。」

 

そう言うとドーパントは警察の部隊前に降り立った。

その動きを見た特殊部隊は銃撃を始める。

しかし、その攻撃をドーパントは避けること無くその身体が全て受けた。

多数の火花が上がりダメージによりドーパントの身体が仰け反る。

 

照井の進言を受けて特殊部隊の使う弾丸は榎田が開発した神経断裂弾をベースにした物へと換装されていた。

連射性と命中率を重視した結果、威力は落ちたがそれでもドーパントの身体にダメージが与えられるようになっていた。

 

「うぐっ!....痛いなぁ警察の攻撃と思って舐めてたがこれぐらいのダメージが与えられる程度には強くなっているのか。

良い経験が出来たよ。」

「大人しくメモリを抜いて変身解除しろ。

そうすれば命までは奪わない。」

 

そう言う照井の言葉を笑う。

「はっ!笑わせる。

俺が何の為にダメージを受けたのか教えてやるよ。

"スモークメモリが上手く使えなくて"発動しなかったが漸く使いこなせるようになってきてな。

お陰でリッパーメモリの本当の力が使える。」

 

そう言うとドーパントの身体に付いた傷が光り出す。

「切り裂き魔は"切るのも好きだが切られるのも好きなんだ"。

このメモリは"ダメージを受けた分だけ斬撃が鋭く強くなる".....こんな風になぁ!!」

 

ドーパントの身体から煙が上がるとその煙は学校の周りを抉る様に大きな穴を作り出した。

「良いねぇ!俺の刀の切れ味が冴え渡っているのが分かる!

やっぱり切り合いはこうじゃねぇと意味がねぇ。

命の削り合って刃を作る....これこそ俺の求めていた戦いだぁ!」

 

すると穴から何かが破裂する音が聞こえる。

「何だ?」

「問題ない。

ただ、削った空間にあった水道管が破裂しただけだ。

直ぐに"湖位"の深さまで水が溜まるだろうな。」

 

「ほら"出番"だそ!!

コイツらの足止めがお前らの仕事だぁ!」

そう言うと二体のドーパントが流れてくる水の中から現れる。

"二体のドーパント"が警察の部隊と照井を見つめた。

 

「さぁ、派手に暴れて足止めしろよ。

俺達の仕事が終わるまでな.....」

そう言うとリッパードーパントは切り裂いた湖をスモークの力で越えて学校へとは入っていく。

「待て!」

照井はそれを追おうとするが二体のドーパントに阻まれてしまう。

 

「くっ、どけ!

お前達に構ってる暇など無い!」

その言葉にドーパントが答える。

「それは俺達だって同じだ。

こんな事をするより早く女神を助けに.....」

「ごめんなさい。

私達も貴方達を通せない理由があるの.....怪我はさせたくないから引いてくれない?」

 

その言葉に照井が答える。

「俺達も引けない理由がある。

邪魔をするなら....押し通る!」

照井は拳銃を向けてドーパントと対峙するのだった。

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