もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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(何かオカシイ)
学校を動き回る根本は周りの景色を見てそう確信した。
(何故、ここまで静かなんだ?)
俺達が解き放たれて数分だったがそれと言ったパニックや悲鳴は聞こえない。

悲鳴もある程度はするがその程度だ。
人が大量に死んでいる空間とは思えない程の静かさだった。

そしてその原因を見つけた。
明らかに学校の関係者じゃない服装と装備、そしてその人物の周りには気絶している生徒が何人もいた。

「あら、貴方も私にやられたいのかしら?」
男なのに女のような口調で話す人物に根本は警戒する。
「貴方は学校の関係者じゃないですよね?
誰なんですか?」

「私?私は非行に走る少年少女を助けるヒーローって所かしら。」
「そうですか。
話す気がないのならここで殺します。
....殺れ。」

根本は引き連れていた仲間の生徒に命令してメモリを起動させる。
「Arms」 「Elephant(エレファント)

そうしてメモリを挿してドーパントに変わるとその男を襲う。
しかし、その男はドライバーを腰につけるとメモリを起動した。

「LUNA」

男はメモリをドライバーに装填すると一回転してドライバーを展開した。

「変身!」

男の身体が金色の光で覆われると仮面ライダーへと姿を変えるのだった。


第百九十一話 Nの行動/両者の想定外

「くっ!....お前らの相手をしている暇はない!」

 

照井は銃を撃ちながら学校に向かって行こうとするがその動きをシャークドーパントに止められる。

「そこをどけ。」

「ごめんなさい.....出来ません。」

 

ドーパントはそう言いながら立ち塞がる。

連れてきた特殊部隊は残ったクラブドーパントを相手にしているが銃弾のダメージにもクラブドーパントから出る泡により回復されてしまっていた。

 

しかし、二体のドーパントは照井や特殊部隊に攻撃を仕掛けることはなく足止めとしての役に徹していた。

そして、照井にも問題があった。

(アクセルに変身するには人目が多すぎる。)

 

照井は自分が仮面ライダーだと言ってない。

故にこの場での変身が憚られた。

学校内に入って隙を見て変身しようと思っていたのにその学校を隔てるように河が出来てしまったのだ。

照井は生身で戦わざるを得ずそれが戦闘の遅延を招いていた。

 

万事休すと思われた時、上空から思わぬ援軍が来た。

守りに徹していた二体のドーパントが急に回避行動を取るとそこの地面に火柱が上がった。

 

そして照井の元に一人の赤いライダーが降り立った。

「お前は.....」

そう尋ねようとするとライダーはドライバーからメモリを外す。

変身解除すると無名の仲間であるレイカと呼ばれる女性が現れた。

 

「....ふーん、本当に副作用は抑えられてるみたいじゃん。」

手をグーパーして確かめながら言う。

彼女の姿を見てシャークドーパントが言った。

「貴女は....確か無名さんの」

「そう、無名の仲間。

そして、アンタ等に朗報。」

 

そう言うとスマホをドーパントへ投げ渡す。

スマホを取って中を見ると二人のドーパントは驚愕した。

「無名からの伝言ね。

"サラと美頭は無事に助けたから獅子神を裏切るならご自由に"だってさ。」

 

そう言うとレイカは手に持っていたメモリを再度起動する。

 

「HEAT」

 

ドライバーにメモリを入れると髪の毛をかき上げながら言った。

 

「変身」

 

レイカがドライバーを手で倒して展開すると仮面ライダーヒートへと変身が完了した。

そして、照井に手を差し出す。

「アンタこのままじゃ変身できないんでしょう?

学校まで連れてって上げるよ。」

 

照井は少し考えるとレイカの手を取った。

「良いだろう。

少しだけお前達を信用してやる。」

「別に今すぐアンタ等と敵対することはしないって」

「それを決めるのは俺だ。」

「はぁ、克己といいどうして仮面ライダーって頑固な奴が多いのよ。」

 

文句を垂れつつもレイカは照井を抱えると両足の銃から火を吹かせて空を飛ぶと学校へ戻っていった。

 

 

 

「何っ!それはどう言うことだ!」

戦闘中で有りながらも獅子神がその事実に驚きを隠せなかった。

「青谷と緑塚が裏切った。

逃げるようにして戦線から離脱していったよ。」

部下である紫米島からその話を聞き獅子神の怒りはサラに募る。

 

「.....灯夜に連絡しろ。

"サラと美頭を始末しろ"とな。」

しかし、紫米島からの、返答は驚くものだった。

「やべぇぞ灯夜との連絡がつかねぇ。」

「何だと!?」

 

驚き動きの止まった獅子神に無名が近付くと腹部にパンチを突き刺した。

「ぐふっ!」

殴られて1歩後退するとそこから黒炎が吹き出した。

「ぐおっ!....なめ....るなぁ!」

 

獅子神は自分を奮い立たせてメモリの力を使うと黒炎が吹き飛ぶがダメージが回復せず片膝をついてしまう。

「昔の貴方ならダメージすら回復したのに...やはり弱くなったみたいですね獅子神。」

「何だと!」

 

「ゴエティアとの戦いが無意識の内に僕のメモリに対するトラウマを植え付けたみたいです。

左 翔太郎と戦っていた時よりメモリの出力が落ちていますから.....」

「そんな事は無い!俺がお前に怯えるなど....」

 

動揺する獅子神を無名は更に煽る。

「その様子だと人質にしていたサラに異常があったみたいですね?」

「やはり貴様の仕業か。

だが、お前の駒は全員ここにいる筈だ。

お前の子飼の二人(黒岩と赤矢)に灯夜が負けたと言うのか。」

 

「いいえ、二人はここに来ています。

サラの救援に送ったのは別の人物です。

.....噂をすれば」

無名は飛んできたスタッグフォンを手に取るとギジメモリを抜き電話に出た。

「結果はどうでした"霧彦"さん?」

無名の問いに電話の向こうの霧彦は笑って答える。

「愚問だね。

私がこの程度で負ける訳無いだろう?」

 

 

 

サラを見つけ出すのは簡単だった。

三人の幹部の中でサラ達はミュージアムを離れる前にドライバーの定期メンテナンスを無名に依頼していた。

(獅子神は無名を疑い途中からミュージアムの研究者にメンテナンスを頼んでいた。)

 

そこで僕はもしもの時の為にサラと部下のドライバーに発信器を埋め込んでおいたのだ。

起動するとサラと美頭のドライバーの位置が送信された。

場所は獅子神の管理するビルの一つだった。

ここを襲われる事を想定しているであろう獅子神の裏をかく為、無名は霧彦にサラの救出を頼んだ。

 

「構わないよ。

彼女には色々と世話になったしね。」

そう言って出ようとするのを雪絵に止められる。

「待ってお兄ちゃん私も行くわ。」

 

「それはダメだ。

ここは危険だドーパントもいる。

君はここで留守番を.....」

「万が一そのサラが怪我かダメージを負ってたらお兄ちゃんは治療できるの?

そこまで獅子神がしてないと断言できる?」

 

「それは.....」

「確実に助けるなら私の力がいる....そうじゃないかしら無名?」

そう言う雪絵に無名は答える。

「成る程、僕が貴女に用意する筈だった"メモリとドライバー"が欲しいんですね?」

「なっ!?」

 

「えぇ、それがあれば自衛も出来る。

貴方も安心でしょう?」

「ダメだ雪絵!ガイアメモリを使うなんて!」

 

「お兄ちゃんだって使ってるじゃない!

その言い分は通らないわ。」

兄妹の口論を聞きながら無名は少し考えると研究室からドライバーとメモリを取ってきて雪絵に渡した。

「貴女の要望に合わせて用意したメモリとドライバーです。

雪絵さんの言う可能性を否定出来ない以上、僕は貴女にこれを渡すことを止められません。」

 

「無名....君はっ!」

怒りから霧彦が無名に掴みかかるがその手に何かを握らせると耳打ちをした。

それを聞いた霧彦は深呼吸をすると無名から離れて雪絵に言った。

「現場では私の言うことを聞くこと....それが条件だ。」

そうして兄妹はサラの救助へ向かうのだった。

 

ドライバーを使いナスカドーパントに変身した霧彦は目をつむりイメージを固める。

それを雪絵は黙って見ている。

(お兄ちゃんがここまで集中してるの初めて見た。)

霧彦の為に作られたガイアドライバーⅡのお陰でナスカメモリの本当の力を引き出せるようになっていた。

 

それによりナスカメモリの本当の力を知ることが出来た。

(当初、私はナスカメモリの力は超高速による移動と身体能力強化だと思っていた。

だが、それは誤りだった。

正確には"自らが望む願望を力に変換できるメモリ"だった。

望む力が強くなる程、毒素が強くなる。

あの時、私はミュージアムの幹部として誇れる強さを求めた。

それこそ、"私の知る幹部全員と同じくらいの強さ"を....

そんな事をすれば毒素が強くなることは分かりきっていた。

だからこそ、考える力を限定しないとこのドライバーでも毒素を分解できず耐えられなくなる。)

 

霧彦は考えをより単純にかつ強い思いへと変えていく。

(私達を望む場所へ連れていく足掛かり....いや"道"が欲しい。

その道を作る力を....)

霧彦が目を開けるとドーパント体の色が白から"紫"へと変わり身体に幾何学的な模様が浮かぶ。

手を地面に向けると幾何学模様が地面に投影されそこに無数の建物や景色が写っては消える。

「違う....ここじゃない.....もっと......!?見つけた!」

霧彦がそう叫ぶと雪絵に手を伸ばす。

「雪絵!"直ぐに飛ぶぞ"掴まれ!」

その言葉に雪絵は従い手に触れると霧彦と雪絵の身体が幾何学模様に変わり地面に吸い込まれていった。

 

そして、景色が変わりそこには檻に入れられている美頭とベットで意識を失っているサラ、そして二人が突然現れて驚いている灯夜の姿があった。

 

「なっ!貴様らどうやってここに!」

驚いている灯夜を無視して霧彦が動く。

ナスカブレードを手に持ち檻を切り裂く。

「早く彼女の元へ」

「貴方は....ありがとうございます。」

美頭は檻から出るとベットにいるサラの元へ向かう。

 

「くっ、逃がしてたまるか!」

灯夜はメモリを起動して挿す。

 

「Chess」

 

チェスドーパントに変わると兵隊であるポーンドーパントを召喚する。

「奴等を逃がすな!捕まえろ!」

灯夜の言葉に従いポーンドーパントの集団が襲いかかる。

「超高速」

霧彦がそう言うと体色が紫から青に変わり高速移動するとポーンドーパントの集団を切り付けて倒す。

切られたポーンドーパントは倒れると消滅する。

「くっ!ポーンでは相手にならないか....ならばビショップ!ナイト!前へ!」

灯夜がビショップドーパントとナイトドーパントを召喚する。

そして、ビショップドーパントがサラや美頭と霧彦を囲うようにエネルギーフィールドを展開する。

展開されたフィールドにナスカブレードで攻撃を仕掛けるが簡単に弾かれてしまう。

 

「堅いな。」

「あのフィールドはサラ様の攻撃も防ぎました。

生半可な攻撃じゃ傷一つ付けられません。」

美頭が霧彦にそう説明する。

 

「そうだ、そしてナイトの能力は全てを貫く絶対的な攻撃力を持つ......行け!」

灯夜の声を合図にナイトドーパントが霧彦に向けてランスを構えて突進してくる。

しかし、その攻撃を超高速による移動で簡単に回避する。

「そんな動きじゃ私を捕らえる事は出来ないよ!」

お返しとばかりにナイトドーパントを背後から斬りにかかるがその攻撃を展開された盾型のエネルギーにより止められる。

「ビショップの力はこんな使い方も出来る。」

攻撃してきた霧彦にナイトドーパントはランスで攻撃するがそれを回避すると気を失っているサラのベット近くに着地した。

 

「複数のドーパントを召喚し使役できる能力か。

厄介なメモリだな。」

「そのメモリ....ミュージアムが保管していたナスカメモリだな?

と言うことは死んだ筈の園咲霧彦か?

死者が生者の邪魔をするとは驚きだな。」

 

そう言う灯夜に霧彦は笑って返す。

「信じられないだろうが私は生きているよ。

それにもう園咲じゃなく須藤と言うんだ。」

「ほぉ、冴子様に用済みとして捨てられた分際のわりには元気そうですね?」

 

灯夜の挑発に雪絵は不機嫌な顔をするが霧彦は気にしていない。

「はは、その用済みに裏をかかれたのは何処の誰かな?

この程度のセキュリティしか用意できないなら獅子神も大した事は無いね。」

霧彦の言葉に灯夜は憤慨する。

「園咲家から捨てられた分際が獅子神を侮辱するな。

お前がこのフィールドから抜け出せる手段は無い。

獅子神の計画の邪魔はさせない。」

 

灯夜がそう言うと霧彦はブレードを下ろして言った。

「なら、先ずはこのフィールドを破壊してみようか....."超強化"。」

霧彦がそう言うとナスカドーパントの体色が赤く変わり両手が肥大かして尻尾が生える。

「何だその姿は!」

「ナスカメモリの性質をパワーよりに傾けた形態だよ。

それじゃあ、やってみようかな!」

霧彦は握った腕をクロスさせると両手をナイトドーパントとフィールドに向けて振るった。

すると、ナイトドーパントの胸部が凹みエネルギーフィールドにぶつかる。

そして反対のフィールドは凄まじい音と共にヒビが入り砕けてしまった。

 

「んなっ!」

その威力に驚いていると霧彦が雪絵に言う。

「雪絵....彼女の容態を見てくれ。」

その言葉に従い雪絵がサラに近付くと診察を始める。

「一体どういう力なんだ...」

灯夜が謎の力に恐れていると霧彦が種を明かす。

「その形態は力を限界まで両腕に集めて衝撃と放つ事が出来てね。

速度や特殊な能力が無いが力だけなら一番と言えるだろうね。

例え、ゴールドクラスのメモリが作る盾でも防御に完全に特化していなければ止められないよ。」

 

「.....成る程、自分の能力をゲームのパラメーターの様に変えられるのか。

しかも、選択した能力が極限まで高められる....ならば他の能力はどうだ?」

灯夜は手を翳すと"霧彦の真下"からポーンドーパントが現れて突撃される。

「ぐあっ!」

そのダメージを受けて霧彦は後退するが直ぐに片腕で殴り付けることで吹き飛ばす。

「やはり力が強化された分、他の能力が落ちるようだな?」

 

「ははっ....やはりバレてしまったか。」

ナスカメモリの弱点、それは良くも悪くも特化してしまうことにあった。

その能力なら他の追随を許さないがその分、他の能力が下がってしまう。

その弱点を数回の戦闘で見抜かれてしまったのだ。

 

 

灯夜は霧彦を見つめて考える。

(今の(霧彦)の形態はパワー特化。

衝撃を相手に飛ばせると言っていたがそこまで距離は出せないだろう。

防御力はポーンの攻撃でダメージを与えられるレベル。

遠距離から攻撃するのが正解か?.....いや青色の姿が凄まじい速度を出していた筈だ。

近付かせずに削り切る能力がある駒は.....)

 

霧彦も同じ様に灯夜を見つめて考える。

(チェスの駒を模したドーパントの召喚と使役を行う。

ポーンは強くないが数を出せる。

ビショップは強力なシールドを貼れる....赤いナスカじゃないと破壊は出来ないだろう。

ナイトは速度が速い...青で無ければ当たるな。

そして、何処までかは分からないが少なくとも灯夜が見える位置なら好きなところからドーパントを召喚できる。

正しく一人で軍を指揮できるドーパント。

私が知っている中でも最上級に強力なメモリか.....

打開するには相手の弱点に刺さる能力がいるが...あまり多くを求めたら私の身体が持たない。

さて、どうしましょうか。)

 

互いが次の動きについて考えている中、最初に動いたのは灯夜だった。

決心した灯夜は駒を召喚する。

「"ルーク"....前へ」

灯夜の声を受けてルークドーパントが召喚される。

 

ルークドーパントは両手で身体の鎧を左右に開くと中から大量のミサイルが現れる。

「何っ!」

「放て」

 

灯夜の命令を受けて無数のミサイルが霧彦に向けて放たれる。

量の多さに迎撃が無理だと悟った霧彦は形態を変える。

「超高速!」

その速度を使いビルを縦横無尽に使って回避していく。周りのコンクリートに着弾するとビルが揺れる。

「逃げても無駄だルークドーパントのミサイルは回避ルートを絞るためだ。

本命はこれだ!」

灯夜がそう言うとルークドーパントの口が開き中から巨大な砲が姿を現す。

 

「ルークドーパントの能力は相手の移動速度すら関係ない正確な射撃.....いくら速くても逃げ道を限定すれば当たる。」

ルークドーパントは砲身からエネルギー弾を発射すると回避していたナスカに直撃した。

そして、凄まじい煙が上がり視界が効かなくなる。

 

そして、煙が上がると片膝を付くナスカドーパントが現れていた。

「やはり、一撃じゃあ仕留められないか....ならばもう一発。」

灯夜がそう言ってルークドーパントに指示を出すが動かない。

「どうした?ナスカドーパントを攻撃しろルーク!」

 

灯夜は何度も命令するがルークドーパントは動かずそのまま地面に倒れ伏してしまった。

「どうした!....!?な?....んだ...か...らだ...が」

灯夜も急に身体が動かなくなると地面に倒れた。

 

 




《現状説明》

学校(屋上)
仮面ライダーW vs マンティスドーパント

学校(三階)
芦原親子 vs ハンマードーパント

学校(二階)
京水 vs 根本+ドーパント

学校(一階)
堂本、レイカ vs ???

校門前
照井+特殊部隊 vs シャークドーパント、クラブドーパント

学校外
仮面ライダーデモン、克己 vs レオドーパント、シープドーパント

加頭 vs 井坂(学校から一番離れている。)

居場所不明
黒岩、赤矢、紫米島、白爪

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霧彦兄妹 vs 灯夜

外伝 続編の投稿に関して

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