もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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吹き飛ばされたダメージが回復し始め視界が安定してくると腕の痛みを感じた。

(これは、折れてる?
それに目の前にいるのは....)

目の前で私を守るように立つ男を見つめる。
その顔は今まで写真や動画でしか見たことが無かった会える筈の無い人物。

無理だと分かっても会いたいとずっと願い続けた人....

その人が目の前にいたのだ。

「パパ....私。」
意を決して話し始めた私の声をパパは遮る。
「茜、お前と会う場所としてここは相応しくない。
一階に俺の仲間がいる。
そこまで行けるか?」

「.....でも」
「大丈夫だ....絶対にまた会える。
いや、会いに行くから....」

優しく告げられた言葉に私は無理矢理、身体を起こす。
腕が痛みはするが動けそうだ。

「分かった。
....パパ....私、待ってるから....」
「.....あぁ」

私は会いたかった人に背を向けて一階へと向かっていく。
父が言ってくれた約束を信じて.....


第百九十三話 Tの一撃/プロの戦い

「何してくれてんのアンタ?」

芦原にイライラしながら宮根は告げる。

 

漸くトドメを刺そうとしてたのを邪魔されて握るハンマーに力が隠る。

「お前らの事は知っている。

教師に命令されてメモリを使っている事もな。」

「ふーん...で?だから私が可哀想だとでも言いたいの?

下らない、私は私が望んでこの殺しに参加してるのよ。

それを邪魔するなんて....許せない!」

 

宮根は持ち上げたハンマー芦原に向けて振り下ろす。

それを回避しながら芦原は銃弾を当てていく。

「チクチクチクチク、ウザいんだよ!

さっさと死んじゃえ!」

 

宮根はダメージを無視しながらハンマーを振り下ろしていく。

芦原が回避する度、その攻撃で建物が破壊されていく。

その破片に持っていたライフルが激突し飛ばされる。

 

好機と見た宮根は一気に近づく。

しかし、芦原は宮根の身体を支柱に倒立すると背後に着地し背中を蹴り上げて距離を空けた。

 

芦原はNEVERドライバーを着けると先程、現れたトリガーメモリを構えて起動する。

 

「TRIGGER」

 

芦原はメモリをドライバーに装填すると一気に展開した。

「変身」

小さく告げられた声と共に芦原の身体が変わっていく。

青がメインカラーにして黄色い模様が装飾された肉体、頭部には反対のTの形をしたアンテナがつき右目にはスコープのラインが刻まれている。

そして、背中には大型化されたトリガーマグナムが現れると芦原は両手でトリガーマグナムを構えると宮根に向けた。

 

「警告する....メモリを抜いて武装解除しろ。」

「それが遺言で良いの?」

宮根は芦原の警告を無視するように近付いてくるが芦原は冷静に構えたトリガーマグナムを発射した。

Wの使うトリガーマグナムよりも大型化された銃は弾速や威力が桁違いに高い。

 

撃たれた弾が宮根に当たると大きな火花を上げて後退する。

「ぐぁ!....女の子に何て事すんのよ!」

宮根は怒りに任せて接近してくるがそれを芦原は冷静に対処していく。

 

先ずは手に持つハンマーに向けて発砲すると手からハンマーを吹き飛ばす。

そして、得意のムエタイをベースにした蹴り技を使いダメージを与えていく。

 

宮根は反撃しようとするがその動きを銃により阻害される。

「ウザイ...ウザイウザイウザイウッザァァァイ!

宮根が怒りのまま地面を踏むと芦原の身体が浮かび上がる。

そのまま芦原を殴り付けると浮かびながら吹き飛ばされ距離が空くと浮き上がる感覚が消えて地面に倒れた。

「これは....重力を操作をする力か?」

地面を踏んだ瞬間、発動したことからそれが発動のトリガーになると分かる。

 

芦原は宮根に向けて発砲する。

 

すると、宮根は"右手"で壁を叩くと弾が"左"に曲がり壁へと着弾した。

(叩いた場所と逆方向に力のベクトルが働くのか。)

自分の力に気付いた宮根は笑うと地面を叩く。

すると、地面に落ちていたコンクリートが浮き上がった。

 

「行っけぇぇ!」

そのコンクリートを殴り付けると芦原に向かって飛んでいく。

それを冷静に回避するが背中に衝撃が走りバランスを崩してしまう。

背後を見ると宮根が飛ばしてきたコンクリートが身体に当たっていた。

(ベクトル操作はある程度、操れると言うことか。)

 

芦原が宮根のメモリの能力を分析していると飛ばされたハンマーを手に取り宮根は背中から小型のハンマーを生成すると手に持ったハンマーで打ち飛ばした。

 

飛ばされたハンマーが芦原を狙う。

それを回避すると宮根はベクトル操作を行い打ち出されたハンマーがまるでブーメランの様に返ってくる。

それをまた宮根は打ち返す事で無限ループを作り出した。

「いくら逃げるのが上手くてもこんだけ多いハンマーを無傷じゃ避けられないでしょ!」

 

複数のハンマーを宮根は打ち出す。

回避が難しくなり近くの教室に避難する。

「あはは!逃げたって無駄!」

宮根は逃げる芦原を追うようにハンマーを打ち出す。

 

ハンマーは教室の壁を易々と貫通すると宮根の元へ返ってきた。

それを軌道を変えながら何度も打ち付ける。

「アンタを!殺したら!茜も!殺して上げる!

二人とも!仲良く!死んで!」

 

壁に隠れて見えないが打ち出されたハンマーによってダメージを受けているであろうライダーに叫ぶが返ってきた返答は冷たいものだった。

 

「もういい....."十分に見れた"。」

「え?」

 

三発の銃声が聞こえるとハンマーが戻ってこなくなり困惑している宮根に機関銃の如き弾丸の嵐が撃ち込まれた。

大量の弾丸は宮根の武器を弾き飛ばすと両手足に正確に命中していく。

 

撃ち終わり壁が完全に崩落するとそこには無傷の芦原が立っている。

「なん....で.....」

「昔の癖でな。

相手の手札を見ないと攻めない性格なんだよ。

それにトリガーは分析に向いているからな。」

 

NEVERドライバーにより強化されたトリガーメモリによよりスコープのラインが入った右目には"視界に入れた対象の動きや行動を予測する機能"が備わっていた。

これにより宮根が弾いていたハンマーの軌道を正確に読むことが出来た。

 

「ハンマーの軌道は見えたがそれをどこまで操作出来るか分からなかったから様子見させて貰ったがあくまで打ち込んだ方向に対して逆側にしか戻らないブーメランの様な能力だな。

だからこそ、戻る途中を弾丸で軌道を変えればハンマーの動きを操作出来た。

そして、その能力を発動させているのが四肢だと分かったからその動きも阻害させて貰った。

関節に銃弾を叩き込んだから動かすのは止めた方が良い。」

芦原が冷静に伝えるがその行動に宮根は驚愕する。

 

「何でよ....今までの大人は私が暴れたら慌てるだけだったのにどうしてこんなっ!.....」

その問いに珍しく芦原は答える。

 

「これでも前職で君よりもずっと悪辣な連中(テロリスト)の相手をしてきたからな。

ガイアメモリ....ましてや"興奮して冷静な判断"が出来てない者を相手にするのは楽だよ。」

「!?」

 

「何か薬を打っているな?

行動や言動の節々に現れていたぞ。

テロの常套手段だ。

薬で正常な判断能力を奪った子供に爆弾を持たせて自爆させる。

今回はそれがガイアメモリに変わっただけだ。」

 

完全に負けている。

その事実を突き付けられた宮根だがそれでも彼女の心には怒りが残っていた。

「ふざけんな...何でも分かった顔して!

その言動がムカつくんだよ!」

宮根は痛みを我慢して無理矢理立ち上がる。

攻撃の意思を持つ事が分かった芦原はメモリを抜いてトリガーマグナムに装填する。

 

「君をこれ以上暴れさせる訳には行かない。

ここでメモリブレイクする。」

 

「TRIGGER MAXIMUMDRIVE」

 

メモリが装填されたトリガーマグナムは独特なチャージ音を奏でる。

「あぁぁぁぁああぁぁ!」

 

宮根は両腕を振るい複数の壁に叩き付ける。

「それで俺の弾を防ぐつもりだろうが...無駄だ。」

芦原はトリガーマグナムを変形させて全長を長くする。

大型化した影響もあり通常のサイズでもサブマシンガンクラスの大きさだったが変形したことでライフルのサイズに変わっていた。

 

それを肩に背負うと宮根に向けて走り出す。

宮根の仕掛けたベクトル変化を受けて重心がズレるが身体を動かして壁を蹴り上げると前進していく。

無数のベクトル変化を受けながらも的確に宮根の元へ辿り着くとライフルを胸へと付けた。

「ここならばその力も使えないだろう?」

 

芦原は引き金を弾くと一発の弾丸が発射された。

弾は宮根の胸を貫通すると一気にメモリも排出させた。

その影響により宮根は元の姿へ戻り気を失う。

 

「もう1つ言ってなかったがこの右目は"メモリの位置も分かる"。

暫く眠っていろ。」

 

冷静に分析し相手を無力化する様は特殊部隊だった過去の姿を思い起こさせる。

「"娘には残酷な姿"を見せたくないんでな。」

 

そう呟くと芦原の無線に声が入る。

「賢ちゃん!今大丈夫?」

「京水か...どうした?」

 

「ちょっとこっちの相手が手強いのよ!

ヘルプ頼める?」

「分かった....今いるのは二階だな?」

 

「えぇ、茜ちゃんは無事に一階に行ったから安心して良いわよ。」

「そうか....分かった直ぐに向かう。」

聞いてもないのに娘の事を言ってくれる京水に内心感謝しながら芦原は急いで二階に向かうのだった。

 

 

 

その頃、一階では変身した堂本(仮面ライダーメタル)が一階に集まってきた生徒や先生を襲ってくるドーパントから守っていた。

レイカに苦戦しているアクセルの救援を任せたこともあり今は一人でドーパントと対峙している。

 

ドーパントの一人が匿われている生徒に攻撃を仕掛けるが堂本はそれをメタルシャフトでいなす。

他のドーパントも仕掛けていくが堂本得意の棒術により防がれてしまった。

 

「クソうぜぇ!」「んだよコイツ!」「何で殺せないのよ!」「うるせぇんだよ!」「あぁ、クソッイライラする。」

 

攻撃をいなされたドーパントは口々に怒りと愚痴を吐く。

何故、堂本がメモリブレイクを選択しないかと言うと全ては後ろにいる生徒と先生を守るためである。

一階から逃がす予定だったが学校の周囲に水を流された影響でその作戦は頓挫していた。

 

そして、もう1つの計算外は敵となっているのがこの学校の生徒と言うことだ。

堂本達はWと違ってメモリ使用者に害無くメモリを破壊する方法を持っていない。(芦原は例外)

故に無駄な犠牲を出さずにこの場を切り抜けるにはWの助けが必要だった。

 

(ここに来てからWは見てない。

まだ敵に手間取っているのか?

余り、長い戦闘はドーパントになってる生徒にも被害が出るが....どうする?)

 

そう悩んでいると事態に変化が起こった。

これまでの攻撃と違う濃密な殺意の籠った斬撃が生徒に向かって飛んでくる。

「くっ!」

いきなりの事に焦りながら攻撃をメタルシャフトで防ぐがそれを待っていた様に新しく現れたドーパントのチェーンソーが堂本の身体を切り裂いた。

 

凄まじい火花を上げるが堂本はそのドーパントを蹴り距離を離す。

「随分と頑丈な身体ですね....両断どころかろくな傷も付けられない。」

「良いじゃねぇか強いってことはそれだけ楽しめるってことだろ?」

 

そう言って白爪(リザードドーパント)と紫米島《リッパードーパント》が現れた。

「獅子神の部下か....」

 

「おや?ご存じでしたか。

それにしても、見事な手腕ですね無名さんは....敵でありながら称賛に値しますよ。」

「まぁでも"黒岩とお前らの仲間の娘"を捕まえたら話しは変わるがな。」

 

「!?どうしてその事を.....」

「それは獅子神が保険で残しておいたんですよ。

もし、無名が邪魔をして来たのならばその二人を人質にする為にね。

貴方の後ろにいる二人の女の子がそうでしょう?」

 

白爪は楓と茜に顔を向けた。

楓はそれに怯えるがその前に茜は立つ。

「楓に...手を出すな!」

「おやおや、腕が折れてるのに威勢が良いですね?

これなら一本、切り落としても良さそうだ!」

白爪がチェーンソーで茜に斬りかかる。

 

「させると思うか!」

堂本がメタルシャフトでチェーンソーを防ぐ。

火花を上げている中、白爪が言う。

「敵は私だけじゃないですよ?」

 

茜に顔を向けると紫米島と他のドーパントが茜に襲いかかっていた。

「クソがっ!」

堂本はメタルシャフトを手放すと茜と楓を覆い被さった。

紫米島と他のドーパントの攻撃が堂本に当たる。

いくらメタルにより強化された肉体でも完全にダメージを打ち消すことは出来ず身体に傷が付く。

 

「うぐっ!...」

「死体のわりには優しい行動ですがその傷にこのチェーンソーを突き当てたらいくら貴方でも耐えられませんよね!」

 

白爪が傷付いた堂本にトドメを刺そうとする瞬間、爆炎と共に炎を足に纏ったレイカ(仮面ライダーヒート)変身した照井(仮面ライダーアクセル)が現れた。

 

レイカは白爪に蹴り飛ばし照井は横にいた紫米島を突き飛ばした。

「堂本!大丈夫?」

「あぁ....二人に怪我は無い。」

そう言う意味で言ってないと言いたいが状況がそれを許してくれない。

 

そうしていると吹き飛ばされた白爪が起き上がる。

「次から次へと本当に退屈しませんねぇ貴方達は....」

「なら、楽しめなくなるまで蹴り飛ばして上げるわ。」

 

紫米島はアクセルを見て興奮した声を上げる。

「漸く変身したかぁ!.....さぁ、殺し合いの続きをしようか?」

「黙れ....今の俺は虫の居所が悪い。

これ以上、犠牲者は出さん!」

 

 

 

そして、更に新たな役者が現れる。

校庭に仮面ライダーW CJXとボロボロになったマンティスドーパントが落下してきた。

 

「逃げてんじゃねぇ!この野郎!」

「クソッ!しつこいな君達は....」

 

 

 

 

敵味方入り乱れる戦場......

その終わりは近い。

 

 

 

 

 

《現状説明》

 

学校(三階)

芦原親子 vs ハンマードーパント(敗北)

 

学校(二階)

京水 vs 根本+ドーパント

 

学校(一階)

堂本、レイカ+照井 vs 白爪、紫米島 他ドーパント

仮面ライダーW vs マンティスドーパント

 

校門前

照井+特殊部隊(ほぼ全員が戦闘による負傷で気絶) vs シャークドーパント、クラブドーパント(サラ救助により逃亡)

 

学校外

仮面ライダーデモン、克己 vsレオドーパント(学校へ急行)シープドーパント(暴走)

 

加頭 vs 井坂(学校から一番離れている。)

 

居場所不明

黒岩、赤矢

 

 

霧彦兄妹 vs 灯夜(敗北)

(サラと美頭は救出された。)




Another side

井坂は心臓を貫かれて立ち上がる加頭を見て驚いた。
「心臓を貫いたのに生きているのはガイアメモリの力ですか?」

その問いに加頭は答える。
「いいえ、流石に人間を怪人に変えられるガイアメモリでもそれだけの力はありません。
財団の科学者が作り出した"ウイルス"を使ったんですよ。」


それは加頭が琉兵衛を秋月信彦に会わせに行った日の事だ。
彼に宛がわれた部屋を後にした加頭の前に白い着物と羽織そして帽子を被った男が現れた。

「あぁん?お前確か加頭だよな?どうしてこんなことにいるんだ?」
「お久し振りですね最上(もがみ)さん。
今日はクライアントの要望で立ち寄ったんです。」


最上 魁星(もがみ かいせい)
仮面ライダービルドに登場したヴィランであり原作では財団Xの研究者と言う事しか分かっていなかった。

「成る程なぁ、だから俺の作った次元転移装置を使った訳か。」
そう言って最上は加頭が出て来た扉を指差す。
秋月が使っている部屋やそれを繋ぐ装置は最上が研究している"並行世界を繋げるエニグマ"の技術が応用されていた。

これを使うことでことなる次元や世界の存在を財団Xの所有する区画へと繋げていたのだ。

最上魁星は加頭が知る研究者の中でもかなり優秀な部類に入っている。
だからこそ、財団でも彼は秋月と同じ特別待遇をされている。

財団Xに入る構成員は大きく分けて二つ存在する。
財団に利益を出す為に色々な世界の技術を探して取り込むセールスマンとその技術を自ら産み出す科学者だ。
その中で財団から有益な存在と認められた者は特別待遇を受けこの次元装置で移動出来る自分専用の部屋を与えられる。

そして、セールスマンに対して一定の拘束力がある命令を行えるのだ。

「そう言えばお前の担当している区画ではガイアメモリとかってのが流行ってるんだよな?
人を怪人に変えるメモリなんてファンキーじゃねぇか!
さぞかし面白れぇ人間がわんさかいるんだろうなぁ..」
「そうですね....まぁ、退屈はしませんよ。」

最上は加頭の顔を見て顎に手を当てる。
「おめぇ....少し変わったな?
感情が顔に乗るようになったぜ。」
「そうですか?
あまり分かりませんが...」

「いんや、俺には分かる。
おめぇは楽しんでる!今いる世界での生活を!
良いじゃねぇか!暗い顔して生きていた頃のお前より何倍もマシだぜ。
.....そうだそんなお前に頼み事をしようかな。」
「頼み事ですか?」

「おぅ....おめぇ俺の研究については知ってるよな?」
「はい、エニグマを使って手に入れた並行世界の物質の兵器化ですよね?」

「そうだ....俺の世界にある"バグスターウイルス"とあっちの世界にある"ネビュラガス"...この二つを掛け合わせた兵器を作りたいんだがいまいち上手く行ってねぇ。
まぁ、どいつも癖がある物質だからある程度は覚悟してたんだがなぁ....」
そう言って最上は手に持っていたタブレットを見せて来た。
「ネット世界で発達した新型のウイルス....人間にも感染するのですか?
このバクスターウイルスと言うのは」
「あぁ、人間に感染し細胞を変質させるそれが面白くてなぁ"プログラム的性質"を持って変化するんだ?」

「プログラム的性質ですか?」
「簡単に言やぁ"人間に感染するコンピューターウイルス"って所だ。
しかも、感染した人間をウイルスその物に変換する。
すっげぇファンキーな代物だ。」

加頭はタブレットをスワイプして次の資料を見る。
「このネビュラガスに関しては地球上の物では無く吸収すると怪人化すると書かれていますが.....」
「まぁな、だがそれには"ハザードレベル"って言う。
ネビュラガスに身体が耐えられる基準を超えねぇと行けねぇ。
ハザードレベルが低いと怪人になっても安定せず肉体が消滅しちまう。」

「聞いた限りではどちらとも兵器化するには欠陥があるように思えるのですが....」
兵器とは強力さもそうだがそれよりもある程度の安全性が求められる。
ガイアメモリも毒素による暴走はあるが変身したら死ぬ様なケースは稀だ。

誰が使っても一定レベルの成果が得られる事...それこそが兵器を売る上で最も重要な事と言える。

「だからこそ、この二つの素材の長所を掛け合わせたのが俺の作り出した"ネビュラバグスターリキッド"なんだよ。」
そう言って最上は懐から一本のシリンジを取り出した。

中には紫色の液体が入っており時折その液体はバリバリとテレビの砂嵐の様な点滅を繰り返している。

「これを投与すればバグスターウイルスによる細胞のデータ変異とネビュラガスによる強化、両方が行える。
何体が実験したがこのリキッドを投与した兵士の身体は粉微塵に破壊しても再生した。
まるで、壊れたパソコンのデータを復旧するみたいになな。
だが、何か足りないのか持続しねぇ....復活はしても長くは持たねぇんだよ。
数回、粉微塵にしたら兵士はハンバーグの挽肉から戻らなくなっちまった。
だからこそ、もっと別のアプローチから強化された人間でも試したいんだ。」

「成る程、そう言う意味ではガイアメモリは悪くない着眼点と言えますね?
地球の記憶で強化された細胞にそのリキッドを打ち込み適合すれば"不死身の怪人"が出来上がる。」
「ザッツライト!その通りだ!
まぁ、ゾディアーツで試すのも悪くねぇが彼処のトップ(我望)は頭が堅いんだよなぁ。
直ぐに実験体は用意できねぇだろ?
グリードに関しても人間じゃねぇし意味がねぇ。
となったら残るのはガイアメモリ....つまりはアンタの管轄って訳だ加頭さんよぉ。」

そう言うと最上は加頭にリキッドの入ったシリンジを渡した。
「俺には結果とデータを送ってくれれば良い。
他は一切、ノータッチ!
悪くねぇ取引だと思わねぇか?」
「えぇ、そうですね。
では、このリキッドはお預かりしておきます。」

「アンタならそう言うと思ってたぜ!
んじゃ、頼んだぜ思いっきりファンキーな奴に使ってくれよなぁ!」


その言葉を思い出しながらも加頭は井坂に心臓を貫かれる前に容赦なくリキッドを自分に注射した。
そして、心臓を貫かれ投げられると身体にリキッドが浸透し効果を発揮した。

バクスターウイルスの特性により失われた心臓がプログラムとして復活しネビュラガスの特性で全身が強化される。
そして、その力はユートピアメモリとマッチした。
身体からエネルギーが溢れながら身体の調子を確認すると井坂を見つめる。

「では第2ラウンドと行きましょうか井坂さん。」
そう言う加頭を井坂は獰猛に笑う。
「では次のダウンでTKOして差し上げますよ。」


井坂は一瞬の内に加頭に近付くと握った拳を打ち付ける。
加頭はそれをカウンターするように自らの拳と井坂の拳をぶつけた。

両者の腕が弾ける。
生き残ったのは井坂の腕だが、加頭の腕は直ぐに再生する。
「面白いですねぇ!ガイアメモリではない新しい力!
是非とも知りたい!」
「教える気はありませんよ。」

「では殺した後に解剖して調べることにしましょう。」
井坂は容赦なく拳を加頭へ打ち付ける。
加頭はその度に肉体が破壊されるが再生し感情に任せるまま井坂に拳をぶつけた。

そして、次第に形勢が逆転してくる。
(何だ?威力が強くなっているだと!)
井坂は加頭の攻撃に耐えられなくなり防御の姿勢を取り始める。

そして、このタイミングを加頭は待っていた。
井坂の首を捕まえて逃げられなくすると右手に力を集中させる。
加頭の右手は集約されたエネルギーにより空間を湾曲させた。


「それを喰らうのは不味そうですねっ!」
危険を感じた井坂は今の自分が放てる最大の落雷を加頭に落とした。
自分もダメージを喰らうがその程度、問題じゃない。

(エネルギーを集約している時に攻撃を受ければいくら貴方でも無事では済まない....!?)
しかし、電撃を喰らった加頭は身体から煙をあげながらも井坂を睨み付ける。

「まだ....だぁ!」
「させるかぁ!」
お互いの攻撃が当たり二人の間で大きな爆発を引き起こすと吹き飛び変身解除された。

ボロボロになりながらも二人は立ち上がる。


井坂は自分の身体を見て言った。
「予想以上のダメージですねぇ。
これでは獅子神君との約束は守れそうにありません。」
そう言う井坂を加頭は睨み付ける。

「逃がすと...思っているのか?」
「怖いですねぇ....愛は人を狂わせる。
それこそガイアメモリを使わなくても怪人に変える。
貴方と戦うのは非常に有意義ですが私もここで死ぬわけには行かない。
戦略的撤退をさせて貰いますよ。」

「ま....て...」
逃げようとする井坂を追いかけようとするが足が動かず倒れてしまう。

「また何れどこかで....あぁ、冴子君によろしくと伝えておいて下さいね。」


そう言うと井坂はダメージを治療するためその場を後にするのだった。

外伝 続編の投稿に関して

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