もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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獅子神は重力を操作し飛行して風城高校へと向かっていた。
頭の中ではこの後の展開を考えている。

(紫米島との連絡が途切れた....と言うことは奴等も無名の部下か仮面ライダーの相手をしてるってことだ。
こっちのカード(水島の暴走)を切ったからな。
アイツがここに来るまでは時間がかかるだろう。

問題はそれまでの間に俺らが来人様を確保できるか?
それも"無傷"で.....)

獅子神にとってフィリップとは敵である仮面ライダーの片割れでもあるが園咲家の血を引く存在であり蔑ろにしてはいけないと考えていた。

もし、傷を付けて琉兵衛様にお渡しすれば例え任務を完了しても消される可能性が残る。
獅子神が安全に手柄を得るには来人の無傷の捕獲は絶対条件だった。

獅子神は冷静に敵の戦力を分析する。
(NEVERの奴等は正直敵じゃねぇ。
どんなに強くなってろうが大道克己(エターナル)がいない以上、警戒する必要はない。

照井竜(アクセル)も強くなってはいるらしいが紫米島なら殺れるだろう。

問題はWと無名の部下の黒岩と赤矢だな。
エクストリームとか言う力は強力だ。
俺のメモリの弱点を正確に突ける。

赤矢の幻覚を見せる爆弾も俺のメモリとは対象が悪い。
そっちに集中すると黒岩の狙撃が飛んで来る。
搦め手が好きな(無名)らしい布陣だな。)


そうして考え終わると一つの結論に達した。
(先ずは黒岩と赤矢をさっさと始末しよう。
それからWの相手をすれば良い。)

獅子神はそう決めると移動しながら先制攻撃を行う為、両腕に力を貯めるのだった。


第百九十五話 Lの来襲/月の悪夢

二階で繰り広げられていた京水(ルナ)と根本を含めたドーパントとの戦いは予想に反して京水が圧されていた。

 

「あぁん!もう!厄介な能力ねそのメモリは!」

そう言って京水は根本が変身しているドーパントを見る。

 

皮膚がボロボロに崩れて骨が見えていながらもその姿にはドーパント特有の怪物の表現が為された根本は京水との戦いで倒れた生徒のドーパント(エレファント)に触れると根本から緑色のエネルギーが伝わり倒した筈のエレファントドーパントが起き上がった。

 

「また、そうやって無理矢理戦わせて....彼等は貴方にとって友達じゃないの?」

京水の問いに根本は答える。

「えぇ、友達ですよ。

従順に僕の為に動いてくれる優秀な友達(道具)です。

だからこそ、僕の"ゾンビメモリ"と相性が良いんですよ。」

 

根本が使うメモリはゾンビメモリ、能力は触れた相手を操れるエネルギーを流し込むことが出来る。

しかし、この能力を使う相手には"重症の怪我を負っている"のが条件だった。

 

この能力で復活させた2人の生徒を京水は相手をしていた。

(くっ!思ったよりも厄介ねあのメモリの力。

ただ復活させるだけなら手加減してメモリブレイクすれば良いけど操られている子達は重症を負っている。

多分、私のメモリブレイクじゃ彼を殺しちゃうわ。

 

それを分かってるからあの坊やはさっきから自分で攻撃を仕掛けないのね。)

 

「悪知恵の働く坊やね。

お姉さんがお仕置きしてあげるから覚悟してなさい。」

「なら、早く僕の友達を殺さないと間に合いませんよ。

ほらぁ早く早く。」

 

根本は笑いながらこちらを挑発する。

それを見た京水は何故か強い苛立ちを覚えた。

(何故かしらあの坊やを見てるとみょ~うにムカつくわ。)

 

そうしているとゾンビ化したアームズドーパントのガトリングが火を吹く。

京水は冷静に回避しながら打開策を考えていると待ち望んでいた打開策が現れた。

 

その瞬間、京水はルナの力で仮面ライダーメタルを作り出すと自分の前に立たせてアームズドーパントの攻撃から身を守る。

「なっ!そんな能力が!」

 

そして、京水がメタルシャフトを伸ばして二体のドーパントを捕縛すると叫んだ。

「今よ!賢ちゃん!」

 

その声に従うように遠くから一発の"青い弾丸"が放たれ二体のドーパントを貫通すると即座にメモリブレイクして二人の生徒は意識を失った。

「そんな.....バカなっ!」

「そんな風に余所見してちゃダメよ?」

 

驚いた根本が背後を見るとそこにはマキシマムスロットにルナメモリを指す京水の姿があった。

「思い出したわぁ....アンタのその性格、私を刺したあのブス(ヤクザ)にそっくりなのね。

だからイライラしたのよ。」

「なっ.....何を...」

 

「アンタみたいな悪い考えしか出来ない子供を助けるには私の溢れるばかりの母性が必要....だから安心して身を委ねなさい。」

 

この瞬間、根本の身体に電流が走った。

何故かは分からない。

だが、この場をいち早く逃げないと危険だと本能的に感じたのだ。

 

だが、それを許す程、目の前の男は優しくなかった。

 

「LUNA MAXIMUMDRIVE」

 

京水がマキシマムスロットを押すと金色の鎖が根本の四肢を縛り動けなくする。

そして、京水は根本に向かって抱きつくとその鎖はまるで京水と根本を包み込むように絡み合った。

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「クネェクネェクネクネェ♪

スリィスリスリスリィィィ♪」

 

根本の身体に自分の身体を擦り付ける(主に股間を重点的に)しながらルナのエネルギーが根本を包み込んでいく。

 

一応、誤解を防ぐ為言っておくがこれはルナメモリのエネルギーを全身から発してメモリを破壊する技である。

人体を接触させる事で負担無くメモリブレイクする事が出来る。

 

重ねて言うがこれはメモリブレイクであって京水のプレイでは無い。

 

「はっ...離せぇ!俺を離してくれぇぇぇ!!」

根本の悲痛な声が二階に響く。

 

「あら駄目よ!

貴方はオイタをした悪い子なんだからお姉さんが更正させてあげる♥️

さぁ、このままフィニッシュまで行くわよぉぉぉ!」

 

「嫌だぁぁぁ!誰かぁぁ!助けてくれぇぇぇ!」

「このまま一緒にぶっ飛びぃぃぃ!!」

 

そしてそのまま京水の光によって包まれた根本の身体からメモリが排出されると元の姿に戻った。

だが、その顔はまるで長時間の拷問の末、意識を失った兵士の様に歪んでいた。

 

メモリブレイクが終わると京水はメモリを抜いて立ち上がる。

「ふぅ、これで一件落着ね!」

「お前は、鬼か?」

 

その行為を見た芦原は敵でありながら倒れている根本に心底、同情するのだった。

 

 

 

所変わって、レイカ(ヒート)白爪(リザード)の戦いはお互いに決定打が無い状態での戦闘が続いていた。

強烈な炎を纏った蹴りが白爪を掠める。

 

そして、レイカの接近を許さない様に振るったチェーンソーがレイカの脚に当たる。

 

先程からこの流れを繰り返していた。

「アンタさ、やる気あるの?

明らかに時間稼ぎだって見え見えなんだけど」

そう言ってイラつくレイカに白爪は言う。

 

「君達の力は驚異だ。

獅子神なら兎も角、私達の強さでは正面切って君達には敵わないだろう。

だが、別に勝つ必要はない。

お前達を足止め出来てさえいれば事態は好転するのだから.....」

「ふーん、でも時間稼ぎ程度で勝てると思ってるなら甘いんじゃない?」

 

レイカはそう言うと両足に搭載されているトリガーマグナムを弄る。

銃をマキシマムと同じ様に変形させると構え白爪に蹴りを加えた。

 

白爪は同じ様にチェーンソーでガードしようとするが途中で止めて全力で回避した。

「どうしたの?さっきみたいに受ければ良いじゃん?」

「ご冗談を....受けたら腕事、吹き飛ばしていたんじゃないですか?」

 

白爪の考察にレイカは感心する。

「へぇ、直感で分かるなんてアンタ凄いじゃん。

そう、私のコレは普通の武器と違って特別製何だってさ。」

 

 

レイカを含めたNEVERの面々はは無名からNEVERドライバーと付随する武器の特性について教わっていた。

「へぇ、アタシの武器はこの銃なんだ?」

「えぇ、ですが普通とは少し使い方が違います。」

 

無名はタブレットを操作して画面を見せる。

そこにはレイカが変身する仮面ライダーヒートがホログラムで映っていた。

「ヒートメモリはWの持つメモリの中でトリガーやファングに次いで出力の高いメモリです。

単純にパワーが高いとも言えます。

そのメモリの力を100%活用する為に作ったのが貴女の専用武装であるトリガーマグナム....いえヒートマグナムなんです。」

 

「これは貴女の体内で生成されるエネルギーを熱エネルギーに変換し放出します。

通常形態では出力を"30%"に抑えることで威力は下がりますが汎用性の高い性能に収めています。」

そうして画面には炎の力を使い空を飛んだり火柱を上げるヒートが映った。

 

それを見た京水が言う。

「凄い威力ねぇ....何れぐらい熱いの?」

「推定、800度の高熱を発しますね。」

「800度!?....凄いじゃない。」

 

そう言って感心する京水を尻目に無名は続ける。

「しかし、あくまでこれはリミットをかけた状態、ヒートマグナムを変形させることで性能を100%発揮できます。

しかし、威力を追い求めた結果、汎用性や射程がかなり犠牲になりました。

この形態では爆炎や火柱は上げられません。」

「別に良いよ。

どうせ蹴れば良いんだし....威力はどうなの?」

 

レイカの問いに無名は答える。

「"瞬間火力10万度の高熱"に貴女の蹴りが加わればどんなに堅牢なドーパントでも貫けると思いますよ?」

 

 

その蹴りを見た白爪は冷や汗を流した。

(あれは一発でも受けたら終わりですね。)

何故そう言えるかと言うとレイカの蹴りを回避した時、頬を軽く擦った。

その頬に手を当てる。

 

頬の傷は再生すること無く残り続けていた。

リザードメモリは細胞の活性率を上げた再生能力を使いダメージを回復する。

そして、その回復力をメインにした戦い方をこれまでしていた。

そんな白爪にとって傷が治らないと言うことは.....

(活性化すべき細胞が根こそぎ破壊された....それも跡形もなく。)

 

そんな芸当が出来るのは概念事、消し去る無名(デーモン)や太陽を作り出せる獅子神(レオ)だけだと思っていたのでこの段階でレイカへの警戒レベルは最大まで引き上げられた。

 

(時間稼ぎは止めですね。

どうにかして変身解除か殺さないとこちらが殺られてしまう。)

白爪は少ない時間で作戦を立てると即座に実行した。

腕のチェーンソーをレイカに向かって振る。どう考えても届かない距離だがレイカの肩から火花が上がった。

地面を見ると"小さな刃"が沢山、刺さっていた。

 

「このチェーンソーには私のリザードメモリの力があります。

それを使ってチェーンソーの刃を相手に放てるんですよこんな風にね!」

そう言いながら放ってくるチェーンソーよ刃をレイカは蹴りを駆使しながら回避していく。

 

「残念ですが....この再生能力はチェーンソーの刃にも有効なんですよ。

だから、弾切れを狙っても無駄ですよっ!」

そうして途切れる事無く刃を放ってくる白爪にレイカは怒りながら蹴りを放つと放った場所の空気が歪みその場所にあった刃が焼失した。

 

それを見ると白爪は柱に身体を隠した。

("15秒".....あの馬鹿げた威力の蹴りを放つのにかかるインターバルはそれぐらいですか。

そして、恐らくあの状態だと最初のような爆炎は打てなくなるみたいですね。

まぁ、あの爆炎くらいでは死にませんが....)

 

そうして白爪は冷静に策を練る。

(次にあの攻撃を誘発させてから接近して一撃を加える。

15秒あるなら一撃くらいは当てられる筈.....そしてそのまま紫米島を連れて戦線を離脱。

そして獅子神が来てから片付ける....こうしましょう。

獅子神も連絡が取れなくなった事に違和感を覚えてる筈ですからそんなに長くはかからない。)

 

そうして白爪は15秒数えるとレイカの前に現れてチェーンソーの刃を放つがそれをレイカが白爪に投げた"教室の机"によって防がれてしまう。

机にチェーンソーの刃が食い込むが壊れはしない。

(まずいっ!足止めを潰された!)

 

己の失策を示す様にレイカが接近してきた。

「これでも喰らいな。」

レイカの脚が白爪の腹部へと向かう。

白爪は身を捩らせてかわそうとするがそれを読んだようにレイカの足刀が白爪の脇腹を切り裂くように振るわれた。

 

切られた肉が蒸発すると白爪は苦悶の表情を浮かべる。

「あっ.....か.....」

「これでも蹴り技ならNEVERで克己よりも上手いのよ私。

そんな子供騙しじゃ避けられないよ。」

 

白爪がダメージを受けたのは一重にレイカがこれまで培ってきた戦闘経験の賜物であった。

劇場版(AtoZ)で死ぬ筈だった彼女は無名ら仲間の手により救われた。

 

そして、もう二度と誰にも負けないように修練を重ねてきたのだ。

蹴りに関しても芦原からムエタイを学び水音町に移ってからはサバットを覚えて自分独自の武術体系を確立した。

 

相手が紫米島なら対応できたかもしれないが武術の経験がない白爪には避けることが難しい攻撃だった。

だが、それでも白爪は獅子神の部下だった。

 

切り裂かれた腹を庇わずチェーンソーをレイカの肩に当てると思いっきり引き切った。

途中で意図に気付いたレイカは切られながら白爪を蹴り飛ばすが両者とも片ひざを地面につけた。

 

「うっ.....クッ....ソ...」

そう言って肩を抑えるレイカに白爪が言う。

「"勝てないなら動けないぐらいの傷を負わせろ"....獅子神が良く言っていた言葉です。」

 

「けど....アンタも動けないでしょう。」

「えぇ、このままではねっ!」

 

白爪は切られた腹に自分のチェーンソーを押し当てて切りつけた。

「うっ....ぐあぁぁっ!」

「アンタっ!何してんのよ!」

 

驚くレイカを余所にチェーンソーを腹部から離した。

「傷が回復しないなら回復できる様に傷付ければ良い。

これで傷は完治します。」

白爪の言う通り腹部の傷はチェーンソーで抉った事で完全に再生した。

 

そして、白爪は立ち上がるとその場を後にする。

「逃がすかっ!....うっ!」

「無理をしない方が良い。

相討ち覚悟で付けた傷です。

少なくとも今の私を追える程のケガじゃない。

安心してください。

形勢が傾くまで隠れるだけですから....」

 

そうして出ていく白爪をレイカはただ見ていることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

『「PRISM BREAK」』

 

Wのプリズムブレードが立ちはだかるドーパントを撫で切りしていく。

全員斬り終わると爆発が起こり全員メモリブレイクされ元の風城高校の生徒の姿へ戻った。

「ふぅ、これで全員かフィリップ?」

『あぁ、だが主犯を逃がしてしまった。

今から追って間に合うかどうか....』

 

「仕方ねぇよ。

今は救えた人の事を喜ぼうぜ。」

『そうだね翔太郎。』

 

そんな話をしていると上空から猛スピードで何かが校庭に飛来した。

地面に到達した衝撃波で土煙が上がる。

 

「うおっ!何だ一体!」

その正体に最初に気付いたのはフィリップだった。

『気を付けて翔太郎!

どうやら、本腰を入れてきたみたいだ。』

 

翔太郎もその姿を見て納得する。

「そうみたいだな.....そろそろテメェにも罪を数えてもらおうか。

"獅子神!"」

これをかけられた獅子神は不敵に笑う。

「ほざけ来人様がいなければ何も出来ない凡人が.....まぁ良い。

今度こそ貴様に引導を渡す。

左 翔太郎....いや、仮面ライダー!」

 

 

獅子神はそう言うとクレーターとなった地面を踏みしめWへと向かっていくのだった。




《現状説明》

(敵勢力)
野々村(黒岩の毒により行動不能)
宮根(芦原によりメモリブレイクされる。)
根本(京水によりメモリブレイクされる。)
他生徒(仮面ライダーによりメモリブレイクされる。)

白爪(レイカと相討ちになりダメージを癒す為、潜伏中)
紫米島(照井と戦闘中)
水島(無名、克己と戦闘中)
獅子神(学校到着後、Wと戦闘開始)


(味方勢力)
堂本、レイカ(ダメージ回復の為、一時的に変身解除)
芦原、京水(二階鎮圧後、校庭で獅子神を確認。)
照井(紫米島と体育館で戦闘中)
翔太郎、フィリップ(校庭で獅子神と対峙。)
無名と克己(暴走した水島と戦闘中。)

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