もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第百九十七話 加速するB/突き抜ける光

ブーストメモリは単体では何の効力も発揮しない特殊なメモリだ。

これを使うには起動する為のメモリが追加で必要となりその条件は厳しくメモリの適合率が100%に到達しないと変身すら出来なかった。

 

しかし、照井は紫米島との死闘で覚醒を果たしアクセルメモリとの適合率が100%を迎えたのだ。

 

そのメモリを使って変身した新たなアクセルの強さはトライアルとは比になら無い。

 

変身を終えたアクセルは背中のバックパックのブースターを点火すると凄まじい爆音と共に紫米島との距離を縮める。

 

その圧倒的な速度は紫米島の周りを漂っていた煙を完全に吹き飛ばした。

そのままエンジンブレードを紫米島へ振るう。

 

危険を感じた紫米島は持っていた刀で防御しようとするがエンジンブレードに触れた瞬間、刀がへし折れ紫米島の身体に斬撃を浴びせる。

 

「うぐぁぁぁあ!」

アクセルがエンジンブレードを振るうとそれに合わせてブレードからエネルギー波は発生し紫米島を吹き飛ばした。

 

何とか立ち上がる紫米島だが身体から火花が発生する。

(俺のメモリが....ブレイクされかけただと!)

 

これはブーストメモリの効果であり今のアクセルは通常形態で既にマキシマムドライブと同等の出力を発揮している。

つまり、この状態で振るわれたただの斬撃でもアクセルのマキシマムと同等の威力があるのだ。

 

「これで、終わりだ。」

照井はそう言うとブーストメモリのグリップにあるトリガーを押した。

 

BOOST FULLCHAGE(ブーストフルチャージ)

 

すると背中のブースターが勢い良く火を吹き、アクセルは空へと飛び上がる。

「負けてなるものかぁ!」

紫米島も先程、のアクセルの攻撃からリッパドーパントの能力を発動し巨大な煙の渦を作り出す。

 

「斬撃の渦に飲まれて死ねぇアクセルぅ!」

アクセルのいる空中へと放たれた斬撃の煙.....それを迎撃するようにアクセルはクラッチを握りスロットルを勢い良く回す。

 

BOOST MAXIMUMDRIVE(ブーストマキシマムドライブ)

 

そのまま照井は渦に向かって蹴りを放つ。

煙の渦は照井が入った瞬間、弾け飛び加速を続けた照井の身体は光すら振り切った。

 

紫米島が気付いた時には照井は紫米島の背後にいた。

「見えたか?あの光がお前が見る絶望だ。」

 

その直後、照井のキックにより紫米島の身体が爆発するとメモリブレイクし元の姿へと戻った。

 

それを確認した照井はドライバーからメモリを抜くと倒れる紫米島の手を掴み手錠をかけた。

「紫米島 甲斐、ガイアメモリ所持及び使用の罪....加えて十年前の紫米島一家斬殺事件の容疑者として現行犯逮捕する。」

 

そうして片方の手錠を自分の腕にかけるとそのまま意識を失った。

 

 

 

 

学校での戦いの一方で無名は暴走する水島との戦いは苦戦を強いられていた。

 

無名が黒炎を、放ち水島を焼くが痛みが無いのか気にせず無名を狙い攻撃してくる。

(くっ!これでは黒炎は反って邪魔だ。)

 

無名は黒炎を消す近接戦に移行した。

デモンドライバーを使い変身したデーモンはドーパントの時と違い黒炎やゲートの操作は出来るが武器の生成は出来ない。

 

その分、黒炎の出力は上がっているが暴走している水島を止める事は出来なかった。

(あの最終コードは恐らくシープメモリの性能を限界まで引き出している。

普通なら消滅してもおかしくない威力の黒炎を当てているのに倒せないのはその為だろう。

本当は武器で戦うのが一番だが仕方がない。)

 

無名はヒットアンドアウェイでダメージを与えては水島の攻撃を回避する行動を続けていた。

しかし、ダメージを与えられているようには見えなかった。

(やはり、ダメか。

時間をかけて相手の自滅を狙うのも手だが獅子神が学校へ向かった以上、悠長に構えてはいられない。

マキシマムに賭けるか。)

 

無名はデーモンメモリをドライバーから抜くとマキシマムスロットへ装填する。

 

「DEMON MAXIMUMDRIVE」

 

両足が黒炎を纏うと無名は飛び上がり挟み込むように水島を蹴り上げた。

突如、爆発と共に水島は黒炎に包まれる。

 

しかし、水島は黒炎の中から無名の首を掴み持ち上げた。

「あ....くっ!」

無名は掴み上げている水島を殴り付けるがダメージが無いのか手を離すどころか更に強く締め上げた。

 

「貴様っ!.....無名を離せ!」

獅子神の重力から解放された克己が拳銃を水島で放つ。

だがダメージが無いどころか相手にもされない。

 

「この程度では気も引けないか。

ならばっ!」

克己は懐からナイフを取り出す飛び上がり黒炎に包まれた水島の顔面に突き立てた。

 

当然、傷1つ付かないが克己の目的は違う。

「ぐっ!....うぉぉぉぉ!」

黒炎が、克己に燃え移る痛みに耐えながら克己はナイフの柄を思いっきり殴り付けた。

 

その衝撃がナイフを伝わり水島の脳天へ繋がる。

それにより水島の動きが一瞬鈍くなった。

無名はその好機を見逃さず、掴んでいる首を両手足で絡めとると黒炎で背中に翼を生成するとその推力で身体を回転させた。

 

掴んでいる腕が無名の回転により捻れミシミシと音を鳴らし最後にボキッ!と折れる音が聞こえると握られていた手から解放された。

無名は燃えている克己を抱えて水島から距離を取ると黒炎を解除する。

 

「ゲホッゴホッ!克己さん!大丈夫ですか?」

「なん....とか...な。

それよりも....アイツ(水島)は?」

 

克己の問いに無名が答える。

「腕を折りましたが、全く問題ないって顔してますね。」

無名の言う通り水島は折られた腕に全く意識を向けていなく、折れた腕を振って無名に攻撃を仕掛ける。

 

それを回避しながら援護する克己と今後について話す。

「僕のマキシマムが...効かない以上、倒す手段は"1つ"しかありません。」

「だが、それは危険すぎるとお前が言ったんじゃないか!」

 

「えぇ、ですがここでこれ以上、時間をかける方が危険です。

恐らく、獅子神は学校に到着した筈です。

その後に何をするのかは分かるでしょう?」

「だが、もしもまた乗っ取られたら....」

 

「その時は前に説明した通り....お願いします。」

無名は水島の顔に黒炎を放つと距離を取り周囲を黒炎で、囲った。

 

無名は目を瞑りドライバーに触れる。

すると、直ぐに待ち人が現れた。

 

 

「まさか、私を呼びだすとはな。」

 

そう言って無名の前に赤い鎖で両手足を繋がれたゴエティアが姿を現した。

その姿は無名と瓜二つだが髪の毛が白く表情が死んでいた。

 

「力を貸して貰いますよゴエティア。」

 

「私をここに封印した者のセリフとは思えませんねぇ.....あなたに力を貸して何のメリットがあるんですか?」

 

「貴方の大切な存在(コスモス)と会えるチャンスを上げます。」

 

「ほぉ、私の前で彼女の事を対価とするとは....そんなに消されたいのですか?」

 

「貴方と問答をしてる暇はない。

乗るか反るか....今答えを出してください。」

 

そう言われたゴエティアは無表情だった顔を変え笑う。

 

「良いでしょう貴方の悪巧みに協力して上げますよ無名。

私の人形だった貴方が何を成すのか見定めて上げますよ。」

 

 

そう言ってゴエティアは無名の手を掴んだ。

その瞬間、現実世界の無名はデモンドライバーを再展開した。

 

「DEMON」

 

すると身体の右側が変化していく。

複眼が赤く変わり腕と足の装甲が鋭利になる。

そして、変身完了すると二人は話し始めた。

 

『「さぁ、運用試験を始めよう。」』

 

 

 

無名の右側に精神が移行したゴエティアは右手を握り感覚を確かめる。

『成る程....Wのシステムを応用したわけですか。』

 

メモリに精神を乗せて別の身体に写すのは仮面ライダーWが持つWドライバーにある標準機能だった。

 

『それを改良して地球の本棚から私の意識だけをメモリと繋げて君の身体に送っている。

作った私が言うのも何だが随分と優秀じゃないか。』

 

しかし、無名はゴエティアと会話をするつもりはない。

 

「無駄話をする程、暇じゃありません。

あれを止めるのを手伝って貰います。」

そう言って無名は水島を指差した。

 

『......ほぅ!、面白いな。

メモリの力を暴走させているのか?

それも、残った細胞を燃料にして....これではコイツが消えるのも時間の問題だろう。』

 

「それでは時間がありません。

今すぐ彼を戦闘不能にする必要がある。」

 

『それは無理な相談だな。

言わばあれは導火線に火がついた爆弾そのもの....余計な衝撃を与えれば当たり一面、焼け野はらになるぞ?』

 

「それでも貴方なら何とか出来る筈でしょう?

その為にここに呼んだのですから....」

 

『.....まぁ良い。

雑な方法だが増え続けるエネルギーを逆に利用して奴を細胞ごと消滅させれば爆発する筈のエネルギーを消失させることが出来る。

 

だが、かなり危険な賭けだぞ?奴のメモリを直接破壊しないといけない。

武器も無い以上、接近して直接攻撃するしかない。

失敗すれば至近距離で爆発を食らうハメになる。

いくらお前が変身していてもその爆発には耐えられない....確実に死ぬぞ?』

 

ゴエティアの警告に無名は答える。

「それでも....僕は逃げません。

それが僕の求める結果を手に入れる為に必要なリスクなら受け入れます。」

 

『ふふっ.....あっはっは!

良いじゃないか!単なる人形かと思っていたら存外まだ楽しめそうだ。

良いだろう私もお前の無謀な賭けに乗ってやる。』

 

 

「合図は黒炎が消す時です。

行けますか?」

『私を誰だと思っている。

お前こそ忘れるなよ....今のレベルでは精々使えても能力は3つだ。

それ以上使えばお前の安全は保証できない。』

 

「随分と親切ですね。」

『それはそうだろう。

今後、大切に使う予定の身体だ。

無闇に傷を付けられたら困る。』

 

「貴方に渡す気はありませんよ。」

『そうなれば良いがな....そろそろ行くか?』

 

「えぇ、始めましょう。」

無名が指を鳴らすと水島の顔を覆っていた黒炎が消える。

それと同時に無名を発見した水島は突進してくる。

 

『動きが単調だな....やはり命令を下す存在がいなくなると弱いなこの手の兵器は....』

そうゴエティアが表すると水島の突進を回避する。

 

そして、先程まで無名が周囲に放出した黒炎へと誘い込む。

『では始めようか...."ジーン"起動。』

 

ゴエティアがそう言うと水島の周りの黒炎が燃え上がり水島を包むとジーンメモリの力で黒炎を水島の細胞に変化させ地面と融合させていく。

 

『足止め出来て精々数秒だな....早く見つけないとな。』

「分かって....ますよ!」

 

無名はゴエティアから分けられたジーンメモリのリソースを使いメモリの位置を確認する。

意識を集中したお陰もあり位置の特定に成功したが、その瞬間、水島は地面との融合している身体を無理矢理引き剥がすと殴りかかってきた。

 

『"ゼロ"起動.....おっと!その一撃は当てられると困るなぁ。』

水島の攻撃をゴエティアはゼロメモリの力で無効化する。

 

「メモリの場所は見つけました。

メモリブレイクします。」

そう言って無名は黒炎で翼を作り空へと飛び上がる。

 

『生半可な攻撃じゃ、アイツを貫くことは不可能だ。

少しサポートしてやろう"メタル"起動....最大出力(マキシマムドライブ)

 

「DEMON MAXIMUMDRIVE」

 

無名の足が銀色に光りその周りを黒炎が囲んでいる。

無名は狙いを付けるとそのまま急降下しながらキックを放った。

 

勿論水島も迎撃の為、両手を突き出すがメタルにより強化されたツインマキシマムは水島の防御を貫通すると正確にメモリへと攻撃が到達した。

 

すると、体内でメモリが火花を放ち水島の身体が発光するとその熱により完全に肉体が消滅した。

 

水島を倒したことを確認した無名は片膝をつく。

「はぁはぁはぁ......」

『成る程、あの男の身体に集まるエネルギーに向けてブレイクしたメモリを押し込んだのか。

その結果、体内のエネルギーがメモリを通して肉体内で放出され細胞を1つ残らず消し去った。

 

細胞を消費してエネルギーを生成するシステムの関係上、燃料が無くなればこれ以上、エネルギーは生成されないと......全く面白いことを考える。』

 

そう言うゴエティアに克己が銃を向けた。

「無名から離れて貰おうかゴエティア。」

『久し振りだな大道 克己.....暫くみない内に随分と老けたんじゃないか?

前の様に身体から覇気を感じないぞ?』

 

「聞こえなかったのか?

さっさと、無名の身体から出ていけ....さもないと」

『懐に入っている"スイッチ"を押す....か?』

 

「!?」

『如何にも考えそうなことだ。

暴走したら自分事、消すつもりなのだろう?

安心しろ...."今回は"大人しく帰ってやる。

だが、忘れるな。

私の力を利用すると言うことがどんなリスクを伴うのかを....そして私はこのままでは終わらない。

必ず目的を果たす.....ぞ......』

 

そう言い終わると無名の右側の複眼が元の色に戻り変身解除された。

その瞬間、克己は無名に駆け寄る。

「無名!無事か?」

「えぇ、何とかですがね。」

 

「そうか、今すぐ動けそうには...無いな。」

「すいません。

予想よりもかなり力を使ってしまいましたからね。

ドライバーとメモリも暫くは使えません。」

 

 

水島を倒すことは出来たがその為に切り札であるゴエティアとのシンクロをしてしまいそれがメモリとドライバーにかなりの負荷をかけていた。

恐らく、数時間は再変身は不可能だろう。

 

「仕方がない。

獅子神のことは仲間と仮面ライダーに任せよう。

彼等を信じるしか俺達に出来ることはない。」

 

そう悔しそうに語る克己に無名は無言の肯定を行うしかなかった。

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