もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第百九十八話 加速するB/獅子神の苦悩

殴りかかってくる獅子神の拳をWはビッカーシールドで防ぐ。

 

「クソッ、めっちゃ重いパンチしやがって!」

「お前に用は無い。

さっさと潰して来人様を頂く。」

 

「んなことさせるかよ!Wをなめんなっ!」

ビッカーシールドで獅子神の拳を弾くとプリズムソードで獅子神を斬りつける。

しかし、その攻撃で獅子神は傷1つ付かない。

 

「何っ!」

「そんな攻撃では傷1つ付かないぞ。」

 

「野郎!これならどうだ!」

Wはプリズムソードのボタンを押す。

 

「PRISM MAXIMUMDRIVE」

 

『「PRISM BREAK」』

 

エネルギーを集約させあプリズムメモリのマキシマムドライブを纏ったプリズムソードが獅子神の肩へと振り下ろされるが身体を傷つけることすら敵わず肩でソードを抑えていた。

 

『プリズムメモリのマキシマムすら効かないとは凄まじい防御性能だ。』

「俺を並大抵のドーパントと一緒にするな。

俺が本気を出せば仮面ライダー等、造作もない!」

 

獅子神はそう言うと両手を握りWに向かってラッシュをかける。

危険を感じたWはビッカーシールドで応戦するが一発一発放たれるごとに拳の威力が増し盾が吹き飛ばされそうになる。

 

 

「クソッ!抑え....らんねぇ..!」

そして、ビッカーシールドを吹き飛ばすと獅子神の拳がWの胸部へ叩き込まれる....筈だった。

 

「TRIGGER MAXIMUMDRIVE」

 

獅子神へ放たれた青い弾丸に気付きそれを弾く間にWは獅子神と距離を取った。

弾が放たれた方向を見ると二回から二人のライダーが降りてきた。

 

「トリガーのマキシマムドライブで傷1つ付けられないとは厄介だな。」

 

そう"青いライダー"(芦原)が言うと一緒に降りてきた"黄色いライダー"(京水)が答えた。

 

「流石は獅子神ちゃん....ミュージアムの幹部ってとこね。」

そして、その声にフィリップと翔太郎は聞き覚えがあった。

 

『君達は大道 克己の仲間だね?』

それに芦原が答える。

「あぁ、お前達のサポートをさせて貰う。」

「貴方達のメモリを使って変身させて貰ってるからそのお礼とでも思って頂戴。」

 

そう話していると獅子神が二人を睨み付ける。

「ミュージアムを裏切り無名に付いて行った反逆者どもが....生きて帰れると思うなよ。」

その脅しに京水が答える。

 

「あら、忘れたの?アタシ達、もう死んでるのよ。

今更、生き死に何て気にしないわよ.....それに私も怒ってるのよ。

何の罪もない子供を犠牲にして挙げ句の果てにその子らを人質に取るような真似して....プロ意識が欠けてるんじゃないかしら?」

「ふん!組織の為にどんな事も出来る。

それこそがプロと言うものだろう?」

 

「そうね...."無名と出会う前の私達"ならそう思ってたかもね。」

「何だと?」

無名の名前を出され獅子神は明らかな不快感を見せる。

 

それを、後押しするように芦原が続ける。

「"最小限の犠牲や行動で組織に利益をもたらす事が出来るのが一流でありそれを人はプロと呼ぶ"。

"始めから大量の犠牲を許容する時点でプロ失格".....無名ならきっとそう言うだろうな。」

「....貴様らっ!」

 

「あらっ!寡黙な賢ちゃんにしては珍しく言うじゃない。」

芦原の言葉にフィリップが食い付く。

『実に興味深い考えだ。』

「まぁでも無名なら確かにそう言うかもな。」

 

 

翔太郎が同意した瞬間、獅子神の威圧感が増した。

 

「どいつもこいつも無名...無名と....そんなに奴が大事なのか!俺の方が優れている!。

奴はミュージアムを裏切ったそれが全てだ!全ての筈なのに何故、俺の邪魔をする!

俺の人生の邪魔ばかりしやがって....お前らもだ。

無名に気に入られて調子に乗りやがって...全てが気に入らねぇ。

無名もそれについてくる有象無象全てがなっ!」

 

突如、獅子神の周囲の物体が浮き上がる。

そして、彼の周りを高速で回転し始めると回転する物体は熱を帯び赤熱していきそれがWと京水、芦原に向かって放たれた。

 

飛んできた攻撃を芦原はトリガーマグナムを使い迎撃していく。

その内の一発が赤熱した物体に当たると大きく爆発した。

 

その衝撃波は物体から離れていた三人の身体を吹き飛ばした。

『ちょっとの刺激で爆発するのか.....翔太郎!あれは受けちゃダメだ。』

「あぁ、そうみたいだなっと!」

 

そう結論をつけて三人は獅子神の攻撃を回避する。

だが、それは獅子神にとっても予想通りの内容だった。

獅子神は逃げ惑う三人を追う様に前へ出ると地面を殴り重力波を発生させた。

 

攻撃の回避に夢中になっていた三人は獅子神の重力波に当たり動きが遅くなる。

「二人とも危ない!」

京水がメタルシャフトでWと芦原を捕まえると重力波の範囲外まで投げ飛ばした。

 

その瞬間、赤熱した物体が獅子神と京水、目掛けて落下すると大爆発を起こした。

京水はその衝撃により吹き飛ばされるとコンクリートの壁に激突した。

 

「京水!」

その姿を見て心配した芦原が声をかけるが返事はない。

そうして爆発を起こしクレーターが出来た地面から獅子神が無傷で現れた。

 

「あれだけの爆発があったのに無傷なのかよ。」

驚く翔太郎に獅子神は笑う。

「当然だろう?

俺の攻撃に俺自身がダメージを受けるなど....やっと1人消えたな。

お前らは無名の下に着いた"敵"だ。

次はお前に死んで貰う。」

 

獅子神は芦原を指差す。

それを見て翔太郎は怒りを燃やした。

「ふざけんな!んなことで殺させてたまるかよ。」

『あぁ!僕達の前でこれ以上、犠牲は出させない。』

 

獅子神に向かってWの二人がそう返す。

だが、当の本人には何も響かない。

「どうせ止められないさ。

さぁ、王たる獅子の一撃に怯えるが良い。」

そう言うと戦闘が再開されるのだった。

 

 

 

傷を癒していたレイカは京水が吹き飛ばされたのを見て肩の傷を抑えながら向かっていた。

(死んで無いよね....京水。)

 

今回の作戦で一番、気合いを入れていたのが京水だ。

克己の覚悟や芦原の娘が狙われていること....そしてそれを指揮しているのが獅子神である事を聞いた京水は決めていたのだ。

 

 

そうして急いでいると学校の壁を貫通して中で倒れている京水を発見した。

 

「京水!....ねぇ起きてよ!」

レイカに揺さぶられて京水は目を覚ます。

「こ....こは?」

 

「学校の中、アンタが獅子神に吹き飛ばされてここに...」

「そう...なのね。」

 

「でもどうして無事だったの?

あれだけの攻撃、普通だったら消えてもおかしくないのに....」

「きっと、このドライバーのお陰でしょうね。

何でも私達の身体を第一に考えて作ったらしいから...」

 

そう言って京水はドライバーに触れる。

ドライバーが完全に破壊され火花が上がっておりマキシマムスロットには攻撃から生き残るために発動したルナのマキシマムドライブの形跡が残っていた。

 

「それよりも賢ちゃんは?

てかレイカ!アンタその怪我どうしたのよ?」

そう言って京水はレイカの傷を心配する。

「京水、落ち着いて!

芦原達ならちゃんと生きてる今はWと協力して獅子神と戦ってるとこ

それにアタシの傷もさっき酵素打ったから直ぐに回復するよ。」

 

「.....そう。

なら良かったわ。」

京水は分かりやすく安堵すると立ち上がった。

「ちょっと何してんの京水?

アンタも怪我を治療しないと....」

そう言って止めようとするレイカの手を振りほどく。

 

「ごめんねレイカ....でもアタシ獅子神ちゃんを止めたいのよ。

それがあの時、何を出来なかった私の罪滅ぼしだから....」

 

 

 

孤島での戦いの後、獅子神が気に入った京水は何度もアプローチをしていた。

その都度、ウザがられていたがそれをまた楽しかった。

ある時、偶然、獅子神と会って話したことがあった。

その時は獅子神も珍しく酒を飲んでいた。

 

「あらぁ!獅子神様っ!お久し振りじゃない!」

「.........」

 

「貴方に会えるだなんてこれは神の思し召しね。」

「悪魔の間違いじゃないのか?

人が折角、酒を飲んでいる時に....用が無いなら消えろ。」

 

「あん!いけずね。

それよりも最近、ミュージアムで評価を上げてるみたいじゃない。

凄いわねぇ。」

「何だそれは?嫌みか何かか?」

 

「違うわ純粋な賛辞よ。

私みたいな凡人じゃ一生かかっても出来ないことを貴方達はしてるのよ。

それに憧れるなって方が無理な話よ。」

「ふん!そんなものは当然だ。

寧ろ足りない....無名を越えるには何もかも....」

 

そう言って拳を握る獅子神を見て京水は尋ねた。

 

「ねぇ、どうして無名ちゃんをそんな目の敵にするの?

そりゃ同じ幹部だからって仲良くないのは分かるけどそれを抜きにしても明らかに意識しすぎている気がするんだけど.....」

「.....お前は自分の人生を誰かに利用され捨てられそうになった経験があるか?」

 

真剣な顔で尋ねられた質問に京水も真剣に返す。

 

「いいえ、私は仲間だと思ってた奴に殺されたけどその前までの人生は自分で決めて生きてきたつもりよ。」

「そうか、だが俺とサラは違う。

俺は獅子神家でゴミのように扱われサラは文字通り奴隷だった。

そんな俺達か最も恐れることは何だと思う?」

 

「それは"失敗"だ。

組織で成り上がる為には常に成功を....いや成功以上の成果が求められる。

だからこそ、俺もサラも形振り構わず仕事をこなし成功を積み重ねてきた。

 

だが、無名は違う。

奴は俺達と違って頭が良い....だからこそ少しの努力で俺達の仕事と同程度....いやそれ以上の成果を上げていく。

そんな事が続けばどうなると思う?

組織にとってどちらが有用か言わなくても分かるだろう。

 

形振り構わず進んだ結果、手に入れた力と平穏....それをアイツはちょっとした努力で踏み越えて手に入れていく。

そんな事を許していたら俺達の価値は完全に消えてしまう。

 

だが、奴にそんな事を言っても意味はない。

何故なら理解できないからだ。

奴は俺達よりも恵まれていている。

 

俺のようにゴミとして扱われたこともサラの様に奴隷だった事もない。

だから、俺達の恐怖や痛みが分からない。」

「だから、認められないの?

無名ちゃんの事を.....」

 

「あぁ、奴をこれ以上野放しにすれば俺の居場所を食い潰すだろう。

そんな事は....許せない。

この立場も力も部下も全て俺の物だ!

奪わせてたまるかっ!」

飲んでいた酒のグラスを叩きつけるその姿を見た京水は今にも潰れて消えてしまいそうな獅子神を見てどう声をかけて良いのか分からなかった。

 

 

 

(あの時、私がもっと何か出来ていればこんな事にはならなかったかもしれない。)

そう思っているからこそ京水は今回の作戦で獅子神を無力化して話の続きをしようと思っていたのだ。

 

そんな事を考えているとはレイカは知らない。

.....だが、長年共に戦った仲間の心情を察する事は出来た。

 

そして、レイカは京水の顔を思いっきりビンタした。

痛ったぁ!何すんのよレイカぁ!」

「少しは目覚ました?

アンタが獅子神にどんな思いがあるのかは私には分からない。

でもその我が儘で仲間が死にそうになるのなら私は止めるよ。」

 

「それは!」

「自分なら助けられたかもって思ってるならそれは傲慢じゃない?

無名だって救えない命があるのに私達みたいな頭の悪い奴が1人で立ち向かって救えると思ってるの?」

 

「じゃあ....どうすれば良いのよ!

克己ちゃんは死にかけて、茜ちゃんだってケガした!

それをやったのは獅子神の部下なのよ!

そんな奴を助けたいなんて言える訳無いでしょう!」

「言えば良いじゃん!アタシ達は仲間でしょ!

1人で抱え込むよりも数段増しじゃないの?」

 

 

そんな会話をしていると通信機から克己の声が聞こえてくる。

『お前ら無事か?』

『克己?....うん怪我はしてるけど皆、生きてるよ。』

 

『.....そうか、良かった。』

『そっちの状況はどうなの克己?』

 

『無名が獅子神の部下の水島を仕留めた。

だが、それに力を使い過ぎて変身は出来そうに無い。

そっちの獅子神はどうだ?』

『今は芦原とWが相手をしてる。

あんまり優勢とは言えてない。』

 

『だろうな....奴も無名と同じ幹部だ。

生半可な覚悟じゃこっちが危ないか。』

 

そう克己が話している中、レイカが告げる。

『ねぇ皆、京水からお願いがあるんだけど.....聞いてくれないかな?』

『ちょっとレイカ!アンタ勝手に....』

 

『どうしたんだ京水?』

克己に尋ねられた京水は自分の思いを話した。

獅子神を助けたいと思っていることを....

『奴には無名を含めていろんな人間が危険な目に合わされた。

それを知った上で言っているのか?』

 

『.....えぇ、確かに私達も獅子神ちゃんには確執があった。

でもだからって殺して全て解決するとは思えないのよ。

私の我が儘だってのも分かってる....それでも諦めたくないの。』

『それでどうするつもりなんだ京水?

ドライバーを失ったお前に獅子神を止められるのか?』

 

『それは......』

『"無理"だ。

そして、仮にドライバーが使えたとしてもお前じゃあ獅子神には勝てない。

お前1人の力じゃどうにも出来ない。』

 

『じゃあ、諦めろって言うの?克己ちゃん。』

そう言った京水の言葉に克己はため息をつく。

 

『はぁ、本当にお前は大事なところで何時も抜けているな。

違う....1人でダメなら俺達を頼れって言ってるんだ。』

『でも....それじゃあ』

 

京水がそう言って悩んでいると無名が通信に入ってきた。

『京水さん、無名です。

今でもNEVERは僕との契約は続いていますよね?

なら、命令します。

獅子神の無力化をNEVERに依頼します。

これなら貴方の願いも叶いますよね?』

『無名ちゃん....貴方....』

 

『ただ、死ぬのはダメです。

必ず全員、僕の前に集まってください。』

『....分かったわ。

貴方の依頼はNEVERが責任もって叶えるわ。

本当にありがとう。』

 

京水との会話を終えるとレイカが言ってきた。

『でも実際どうする?

獅子神の無力化って言ってもアイツ強すぎて私達じゃ敵わないんだけど....』

『えぇ、今の彼はドーパントとして"最高レベル"と言って良いでしょう。

能力を完全に制御していて一撃一撃が必殺レベル....当たったらアウトだと思ってください。』

 

『無名が言うと更に理不尽に感じるわね。

それじゃ、何も手が無いってこと?』

『いいえ、強力なメモリを使っている以上、その反動はあります。

その問題を解決しているのが"ガイアドライバーⅡ"です。

そして、そのドライバーを製作したのは僕です。』

 

『つまり、ドライバーを破壊してメモリを使えなくするってこと?』

『そうです。

ドライバーのお陰で獅子神とレオメモリの適合率は上がりました。

しかし、その反面ドライバー無しでは変身出来ない程、強くなってしまったんです。

昔の様にコネクターを埋め込んで変身しようとすれば肉体が持たなくなるでしょう。』

 

『なら問題は、ドライバーをどう壊すかだな?

獅子神の事だ....その考えを読まれたら直ぐに対策される。

チャンスは一回、それも獅子神の隙を狙って破壊するしかない。』

『獅子神に隙を作る....どうすれば?』

克己と無名が悩んでいると京水が言った。

 

『それなら私に考えがあるわ。

成功したら獅子神に隙を与えられる。』

そう言って獅子神を無力化して捕まえる作戦会議を行うのだった。

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