もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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テラーメモリを求め風都第二タワーを駆け上がっていく井坂。

そんな彼を止めようとミュージアムの者達が襲い掛かるがその軍勢をまるで地面に集まるアリを踏み潰す様に理不尽に蹂躙していく。

毒素の限界を超えた井坂が変身するウェザーは通常のドーパントの強さを大きく逸脱していた。

死屍累々の光景を広げる中、アクセルトライアルがそれを止める為現れる。

「井坂っ!」
「ほぅ、君も此方に来ましたか。」

「もう、お前に殺人はさせん!
ここで逮捕する。」
「逮捕?.....逮捕ですか!?
...ふふ....あっはっはっは!これは面白い"復讐しか無い"君が私を逮捕できるのですか?」

「俺に質問をするなっ!」
照井はエンジンブレードで井坂を遠ざけると距離を取った。



第二百五話 2つのA/潰えた炎

井坂と照井の戦いを遠巻きで見ていた翔太郎に落ち着きが無い。

ずっと嫌な予感が拭えない。

 

探偵の頃から大事にしている直感がトラブルが起こることを暗示していた。

 

(早く何とかしねぇと....)

 

あせる翔太郎の前にバイクに乗った無名が現れた。

「遅くなりました。

照井さんは大丈夫ですか?」

「まだ井坂と戦えてるみたいだが戦況は芳しくねぇ俺達で救援に向かうぞ。」

 

翔太郎と無名はドライバーをつけるとお互い変身した。

 

「XTREAM」「DEMON」

『「変身」』「変身」

 

その声と共に変身が完了した二人が歩みだそうとすると急に景色が暗くなり全く知らない場所へといきなり転送された。

 

「何がどうなってやがる!」

そう言って驚く彼等に若菜は冷たく声をかけた。

「ようこそ....そして"平伏しなさい"。」

 

その言葉を受けたWとデーモンの身体はまるで鉛の塊をを上から落とされた様に錯覚する程の重さで地面に膝をつけた。

「ぐっ....身体が重ぇ....」

『恐るべき催眠能力だ。

Wになっても逆らえないだなんて......』

 

その状態から助け船を出したのは無名だった。

身体から黒炎を発生させるとWと自分を包んだ。

すると、先程までの重さが嘘の様に身体が軽くなり立ち上がることが出来た。

 

「黒炎の事象無効化能力ね。

厄介な力だこと...」

『姉さん止めてくれ!正気に戻ってくれ!』

フィリップの悲痛な叫びを受けて若菜は笑う。

 

「悲しまなくて良いわ来人。

もうすぐ私達は一つになるんだから....そしてこの"地球に住む人類"に進化の力を与えるのよ。」

若菜の言葉に無名が尋ねる。

「地球に住む人類?....当初のガイアインパクトの予定は風都全域に及ぼすだけだった筈....どうやって?」

 

「あぁ、貴方はゴエティアから詳細を聞いてなかったのね。

まぁ良いわ。

この際だから教えて上げる。

どうせもう止められないのだから....」

 

「この風都第二タワーには地球の記憶へ直結するデータの通り道を作る装置が内蔵されている。

そして、周囲に建てられたサブタワーにはその穴を大きく広げて固定する楔の役割がある。

これを使って広がった穴から手に入れた大量のデータを私と来人がコントロールする。

そして、この"地球全域"にそのデータを解き放って人類を全て進化させるのよ。」

 

「そんな事は不可能だ。

ミュージアム当初の予定だったガイアインパクトはあくまで地球と完全に一体化する事で地球の記憶を自由に引き出す存在になることが目的だった筈です。

いくら、フィリップと融合したとしても貴女一人ではその膨大な力には耐えられない。

いくら、クレイドールと言う器があったとしても....」

 

「随分と詳しいわね?

お父様がそこまで貴方に話すとは思えないけど....でもその通りよ。

私と来人だけだったら持たないでしょうね....でも"貴方"がいるわ。」

「え?」

想定していない言葉に無名は疑問符を浮かべる。

 

「ゴエティアが私に施した施術は私の身体を超越者と同じ者へと変える事だった。

"超越者の肉体の記憶を持った存在"と"データ人間になれる精神"....それが"二人"いればこの計画は完遂できる。」

「....まさか!」

 

「ふふっ、ええそうよ。

私が"宇宙の巫女"なら貴方は"宇宙の覡"(かんなぎ)

原初のアダムとイブの様に二人で行う地球生物の大進化、それがゴエティアが提案しお父様が了承した新たな"ガイアインパクト"よ。」

 

 

計画の全容を聞かされた瞬間、地球の本棚の奥底に閉じ込められている筈の悪魔が笑った気がした。

僕を嘲笑うように.....

 

"だから無駄だと言っただろう?"

そんな幻聴が聞こえてきそうだった。

 

若菜の言った計画を否定しようと無名とフィリップは地球の本棚の力を使い戦闘中ながら検索を始めた。

 

だが、それを待っていたように残酷な答えが簡単に提示された。

本棚からの回答は"Possible"(可能)と書かれた一冊の本だった。

 

そして、その計画を聞かされた翔太郎も放心状態になっていた。

(地球にデカイ穴を開けて人類を進化させるだって!?

意味が分からねぇ....何でそんなことを....)

 

そうやって動揺していると若菜が玉座から降りて無名とWに手を差し出す。

「さぁ、一緒に行きましょう来人、無名。

私達、家族の力があればどんな困難だって解決できるわ。

そして、進化した人類を私達で"統治"するのよ。

人類を導く"超越者"として.....」

 

そう言われ動揺して手を伸ばそうとするフィリップの手を翔太郎が止める。

「フィリップ!正気に戻れ!」

「邪魔しないでくれるかしら?"エターナル"起動。」

 

若菜がそう言うとエターナルの力が発動しWの変身が解除される。

止めようとフィリップに手を伸ばすが若菜が虫を祓う様に手を降ると翔太郎は吹き飛ばされてしまう。

 

「フィリップ!」

そして若菜がフィリップに手を触れる瞬間、無名の手がそれを阻止した。

「何故、貴方が邪魔をするの無名?

来人と同じく地球の本棚に入れる貴方なら分かる筈よ。

この計画ならば人類に誰も犠牲を出さず進化させられると....」

 

しかし、無名の返答は若菜の予想を反していた。

「何故、超越者が地球に存在できると貴女は思うのですか若菜さん?」

「え?」

 

無名はゴエティアに肉体を奪われている時に地球の本棚の深淵でゴエティアの正体と過去について調べていた。

そんな彼だからこそ分かった若菜の話の齟齬。

 

「"完璧な超越者"は地球に存在できない。

だからこそ、超越者は精神体となって地球の本棚と言うデータの空間に存在せざるを得なかったんです。

僕の身体は来人さんのデータとゴエティアのデータを掛け合わせて作られています。

超越者としてみれば半端な存在でありデータ人間としての側面が強いです。

貴女はゴエティアに作り変えられて超越者になったと言ってましたがだとしたら何故、この地球に存在できるんですか?」

 

地球で超越者が存在できる肉体を作るためタナハは神を作り人間を作り出した。

だが、完全に適合する肉体はついぞ現れなかった。

ゴエティアが僕を作る時もきっと何度も失敗してはリセット(地球の本棚の書き直し)をした筈だ。

 

だが、若菜に行った施術を最初から知っていたのなら何故これまで使わなかったのか?

そこまで考えた無名はある結論に至った。

 

「貴女は僕と同じく半端に超越者の力が使えるだけだ。

もし、ゴエティアの言うとおりガイアインパクトを行えば肉体が耐えきれなくなり消滅する。」

「そんな事は無いわ私こそ完璧な超越者なのだから....」

 

「では調べてみますか?

先程の検索ではガイアインパクトの成功だけを出すようにキーワードを選んだ。

次は選ばれた僕達の生死について検索をかければ答えが分かる筈です。」

 

そう言って調べようとした瞬間、拍手しながら天十郎がタワーへと入ってきた。

「流石は元ミュージアムの幹部。

言葉巧みに宇宙の巫女を騙そうとするとは恐れ入りましたよ。

だが、あまり動揺させるのも可哀想だ。

ここからは私が相手をしましょう。

若菜様、お父様からの伝言です。

"大事な用があるから屋敷に戻るように"と.....」

 

その言葉を言われた若菜は動揺しながらもフィリップ達から離れる。

「.....また会いましょう来人、無名。」

そう言うと力を使い若菜は姿を消した。

 

若菜が消えると天十郎は不快感を露にする。

「困るんですよねぇあまり彼女を動揺させると....」

 

「お前の目的は何なんだ雨ヶ崎 天十郎。」

「目的ですか?

ガイアインパクトの成功ですよ。

何のリスクもなく進化できるならその恩恵に預かりたいじゃないですか。」

 

「そうなれる確証なんて無い。

ゴエティアが裏切れば計画は破綻する。

貴方も死ぬかもしれないのにか?」

「そうですねぇ....ですが仮にそうなったとしても私は生き残れます。

これのお陰でね。」

 

天十郎は懐から金色のガイアメモリを取り出した。

「私がミュージアムに忠誠を誓う時、願ったのは生き残れるチャンスがあるメモリを渡して貰う事でした。

人類の強制進化は確かに魅力があります。

しかし、貴方の言う様に裏切り者が出たら危険を伴う。

それを分かっていたからこそ琉兵衛様はこのメモリを私に与えた。」

 

Tower(タワー)

 

天十郎はガイアドライバーⅡをつけるとメモリを装填し展開した。

そして、ドーパントになった天十郎は指を鳴らすと先程までいた風都第二タワーから一瞬で"サブタワー"のある街へと移動した。

「!?」

 

「ここなら、暴れても問題ないでしょう。

あぁ、安心してください。

計画の要である来人様と無名様は生かしておきます。

ですが、あまり余計な動きをされると面倒ですから少々、痛め付けさせて貰いますよ。」

 

そう言って天十郎は細いタワーの形をした槍を生み出すと無名、翔太郎、フィリップに向けた。

 

そして、翔太郎とフィリップはもう一度、Wに変身すると天十郎に向かっていくのだった。

 

 

 

井坂と照井の戦いは井坂の圧倒的優勢で進んでいた。

トライアルの速度は井坂にとって何の脅威も無くなっていた。

照井は高速で動き井坂を翻弄させながらエンジンブレードを振るうが井坂はそれを片手で捕らえる。

 

「何っ!」

「超スピードからの攻撃.....毎度毎度、芸がありませんねぇ。」

 

井坂はそう言うとエンジンブレードを掴んだ手から雷と嵐を産み出し照井を包み込んだ。

四方八方から来る攻撃に回避が出来なくなった照井はトライアルのマキシマムを発動しようとするが嵐の中に飛び込んできた井坂がそれを止めた。

 

「何っ!」

「今の私は完全に力を自分の物にしています。

自分の攻撃で傷つく程、愚かではありませんよ!」

 

井坂の言う通り毒素を完全に克服した彼の身体は嵐と雷の中にいても傷一つ付かない。

その一方、照井の身体にはダメージがどんどん蓄積していった。

 

「クソッ!ならばっ!」

 

「ENGINE MAXIMUMDRIVE」

 

照井はダメージを耐えながら手に持ったエンジンブレードのマキシマムを至近距離で井坂に放った。

爆発が起き周りの嵐が止む。

 

そして、そこに現れたのは無傷の状態で照井を見つめる井坂だった。

「バカなっ....マキシマムを受けて無傷だなんて!?」

「言ったでしょう?芸がないと....そんな力任せの攻撃で私を殺すことなど不可能です!」

 

そう言い井坂は照井を吹き飛ばした。

立ち上がった照井はトライアルメモリをドライバーから引き抜きブーストメモリを取り出すとアクセルメモリをセットした。

 

「BOOST」

 

金色の姿に変わった照井を見た井坂が呟く。

「ほぉ、新しいメモリを手に入れましたか。」

井坂は照井に嵐と雷のエネルギーをぶつけるが照井はエンジンブレードを振るいエネルギーを完全に吹き飛ばした。

「成る程、これまでとは違うと言う訳ですね。

ふははは!そうじゃなきゃ面白くありません!」

 

そう笑った井坂は拳を握り照井へ向かっていく。

照井もそれに答えるようにエンジンブレードを握り直し攻撃を始めた。

超近距離から放たれる攻撃を両者はガードせず受けていく。

 

ブーストメモリによりマキシマムクラスまで強化された攻撃を井坂は受け天候の力を破壊に全て回した攻撃を照井も受ける。

 

井坂はその攻撃を毒素で進化した肉体の耐久力で受け止め照井はブーストメモリにより強化されたアクセルメモリの自己進化による回復能力で受けた側から回復を行った。

 

相手を破壊する音がけたたましく流れる中、決着の時は訪れた。

お互い示し合わせたかの様に離れると井坂はウェザーのエネルギーを右手に集約させた。

太陽の持つ熱のエネルギー、津波の圧力、台風の荒々しさ、そして雷の破壊力...その全ての力が混ざり折り重なり一つとなっていく。

 

そして、井坂の拳はあらゆる災害を集約させた。

対して照井はドライバーのクラッチを握る。

 

「BOOST MAXIMUMDRIVE」

 

全身のエネルギーが拳に集約する。

その目的はただ一つ、井坂の持つウェザーメモリの破壊に向けられた。

背中のブースターに火が灯りアイドリングし始める。

 

合図があればお互いにその拳を振るうだろう。

暫しの静寂が過ぎ、両者とも地面を蹴り上げた。

タワーの地面に亀裂が入り両者は急激に加速するとその拳を振り抜いた。

両者のエネルギーがぶつかり合い爆発を起こすと土煙が巻き起こった。

 

 

そして、煙が晴れたことで決着を確認する。

照井の拳は井坂の顔面スレスレをすり抜け対して井坂の拳はアクセルのドライバーに当たるとブーストメモリと内部のアクセルメモリを完全に破壊し変身解除された"照井の腹部を貫いた"。

 

「.....カフッ!」

照井は口から血を吹き出すと薄れ行く意識の中、井坂を見つめる。

「貴方には感謝していますよ照井 竜。

貴方が私にぶつけてくれた憎しみや怒りが私を強くした。

毒素を受け入れた先のステージに上がれたのは紛れもなく貴方に触発されたからだ。

"追われる者は追う者よりも強くあろうと思わねばならない......何故ならそれが強者の役目"だからです。

人類も動物もそうやって進化してきたのですから...」

 

照井は最後の力を振り絞ってエンジンブレードを持ち上げると井坂の首に振るった。

しかし、速度も力も乗っていないその一撃は軽く井坂に捕まれてしまう。

 

「死の間際でも私への復讐を挑むとは敬意を評しますよ。

さぁ、もうお眠りなさい永遠に....」

井坂は振るわれたエンジンブレードを握り潰し照井の腹部に放った拳を力一杯引き抜いた。

その衝撃でドライバーが外れ地面に照井の鮮血が撒き散らされると照井は糸が切れた人形の様に倒れてしまった。

 

今までの瀕死の攻撃を幾度もなく受けてきた照井だが井坂の一撃はまさに必殺と呼べるものだった。

瞳から光が失われていく....復讐により燃え上がり仮面ライダーとなり熱量を増した照井の命の炎が失われていく。

 

井坂はそんな照井を一瞥するとタワーを昇っていく。

その姿を見つめながら照井の心臓は完全に止まった。

 

 

 

風都第二タワーで戦闘が起こる中、

園咲 琉兵衛はタワーから姿を消していた。

 

彼は風都タワーの見える小さな喫茶店に足を運んでいた。

その手にはラッピングされた一輪ピンクの花が携えられている。

 

店に入る前に身嗜みを確認する。

急いで来てしまったから髪が乱れている。

琉兵衛は花が潰れない様に優しく脇に抱えると喫茶店の窓で身嗜みを整えた。

 

(ここに来るのは久し振りだな。)

 

この喫茶店は琉兵衛にとって思い出深い場所だ。

"人生で最も愛した人"と出会えた場所なのだから....

 

呼吸を整えて琉兵衛は喫茶店の扉を開けた。

古ぼけた鈴の音が昔の記憶を呼び起こす。

 

カウンターから少し離れた席で彼女はコーヒーを飲んでいた。

空気を入れ換える為、軽く開けられた窓から風都の優しい風が中に入ってくる。

 

その風に当てられた彼女の髪が美しく靡いた。

それを見た私は一瞬で心を奪われたのだ。

 

そして、また私は見惚れてしまっていた。

同じ様に風に靡く髪と優しく口を付けてコーヒーを飲む最愛の女性を目の前にして.....

 

呼吸を忘れていた事に気付いた私は平静を装いながら声をかける。

「遅れてしまったかな"文音"?」

 

その声を聞いた彼女は私に向かって振り向くと優しい笑顔で告げた。

「ふふっ....そうね。

また"数分"遅れたわね貴方.....」

 

 

原作では憎しみあっていた二人が喫茶店で再開する。

その意味を知る者は誰もいなかった。




Another side

沢芽市の一角に立つ巨大ビルである"ユグドラシルタワー"。
そこの会議室には一人の男が席に座っていた。
その周りには青色のホログラムで象られた人間が周りの席に座っている。

『では報告を聞こうか狗道(くどう)所長。』
一人のホログラムがそう告げると狗道が話し始める。

「はい、当初の問題であった"ヘルヘイムの果実"のロックシード化はミュージアム、スマートブレイン両名から提供された技術により解消しました。
これで"プロジェクトアーク"の問題点はほぼ解決したと見て良いでしょう。」

狗道 供界(くどう くがい)、彼はユグドラシルコーポレーションの所有する研究所の責任者だった。
突如、この世界に現れたジッパーから現れた亀裂...通称クラックから謎の果実とそれを産み出す森が現れた。

その実を"ヘルヘイム"と呼びヘルヘイムを産み出す森を調査する中、森がこちらの世界を侵食している事を知りそれの解決をするために動いていたが止めることが不可能だと分かると侵食されても人間に被害の出ない方法を模索した。

そこで産み出されたのが"戦極ドライバー"であった。
狗道の部下である戦極 凌馬(せんごく りょうま)が作り出したドライバーはヘルヘイムの実を"ロックシード"と呼ばれる生体デバイスへと変化させられたがそれを維持することが出来なかった。

しかし、ユグドラシルコーポレーションのスポンサーの一人である財団Xから紹介を受けミュージアムと取引をしたことでロックシードの固定化に成功したのだ。

「後は戦極ドライバーとロックシードを使ったライダーシステムの試験運用だけです。」
『それが済めば戦極ドライバーの即時、量産体制に入れる訳か....現段階での総数は分かるのか?』

「このまま、トラブルが無ければプロジェクトを本格的に始動する時には"1億5千万".....最終的には"三億"までならドライバーの生産が可能です。」
『当初の計画と比べたら倍には増えたがそれでも三億か....三億人の人類のみが生き残り後は滅びる。
何とも残酷な真実だな。』

『えぇ、ですから我々は吟味しないといけないのです。
ヘルヘイムに侵食されても生きられる優秀な人間を選別しなくては......』
『当然だ....その為に我々がいるのだから』


まるで自分達が神にでもなったかのように話す彼等だがそれは自分達が当然ドライバーを使いヘルヘイムに侵食されても生き残れると本気で思っているからに他無かった。

この異様な空間に異議を唱える者はいない。
何故なら、ここにいる者は自分が優秀な存在だと信じて疑っていないからだ。
そんなホログラムの者達を狗道は心の中で冷たく嘲笑う。

(私達のシステムが無ければ滅びるしかないのにもう生き残った気でいるとは....やはり人間は愚かだ。
だが、それは私も同じか....)

狗道は自分の手を見つめる。
ヘルヘイムの事や実の効力を調べる為にどれだけの人間を犠牲にしてきたのか。
もうこの手は人の色をしていない。

犠牲になって死んだ人間の血と臓物にまみれ汚れた赤黒い手.....どんなに洗っても取れないその醜い手は狗道が犯してきた罪を自らに見せつける。

(人類が救われるには罪が多すぎる。
私もこの周りの奴らも生きるに値しない。
何故それが分からないんだ?)

狗道の考えとは裏腹に話はどんどんと進んでいく。
『それで戦極ドライバーのテスターは誰が行うんだ?』
(狗道)が行います。
この計画の責任者である私自らの手で.....」


そう言う狗道の目はこの中にいる人たちの誰よりも暗く濁っていた。

そうだ.....だからこそ奴は人を越えられた。
何時だって生物を進化させてきたのは"想い"だ。

部外者の乱入でどうなるかヒヤヒヤしたが大筋の流れが変わらなければそれで良い。

「さぁ、新しい選定が始まるぞ。
俺もうかうかしてらんねぇ。」


独特なローブを着た男はまるで"蛇の様"に空間を移動すると狗道達のいた場所から姿を消した。

そして、誰も彼がいたことすら気付かなかった。



〈ユグドラシルコーポレーションの目的〉
戦極ドライバーの開発向上の為にミュージアムに協力した。
お陰で最終生産の数が倍に膨れ上がったが計画を変更することはない。

そして、原作通り狗道が実験の最中に消滅し鎧武の物語が始まっていく......

外伝 続編の投稿に関して

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