克己達は、襲ってくるヴィレッジの超能力者から逃げ続けていた。
「コイツら!何であんなヤツの言うこと聞いてるのよ。」
レイカが襲ってくる奴等を蹴って遠ざけながら叫ぶ。
「コイツらにとってプロスペクトと言う男はそれだけ恐ろしい存在なんだろう。
見ろ!コイツらの目には恐怖しか写ってない。」
克己も襲ってくる奴等を撃退しながらレイカに伝える。
いくら、襲ってくる奴等が超能力者でも廃村に住んでいる奴等は能力が弱くNEVERである自分等ならば充分に相手をすることができた。
だが、ここで二人の体に変化か起きる。
身体が重くなり細胞に違和感が出てきた。
「!?これって」
「酵素切れか...いよいよまずくなってきたな。」
二人に不調があったのがバレたのか超能力者達は一斉に攻めようとする。
しかし、それを追い付いたミーナが止めた。
「止めて皆!」
ミーナの姿を見た面々は皆、攻撃を止める。
「退くんだミーナ。コイツらを始末すればヴィレッジから出られるんだ。」
「そんなこと嘘よ。
プロスペクトは私達もヴィレッジから出すつもりなんて無い!
言っていたわもうすぐ"選別"を行うって...」
選別と言う言葉を聞いた者達は皆怯え出す。
どうやら、もう戦い処では無いようだ。
「ミーナ、その選別とは何だ?」
克己の問いにヴィレッジで行われていることや選別についての詳しい話がされるのだった。
「電磁パルスによって能力が弱い者を殺して選別するって....イカれてるわ。」
レイカの侮蔑を込めた言葉に克己も答える。
「俺達、NEVERでも電磁パルスを食らえば一たまりもないだろうな。
だが、効率的だ....家畜の選別としてはな。」
家畜と言う言葉にヴィレッジの超能力者が反応する。
「お前らみたいな傭兵に俺達の気持ちなんて分からない!」
その意見にレイカが反論する。
「戦おうともしないあんたらにうちらの事、批判されたくないんだけど」
「おっ、お前達はドクタープロスペクトの恐ろしさを知らないんだ。」「そっ、そもそもお前達が来なければこんなことに...」「俺は...死にたくない」
選別か行われる事実に皆がパニックになり始める。
「皆、落ち着いて!」
ミーナの声も届いていない。
その喧騒にレイカも巻き込まれ一触即発の危機に陥る中、何かの音が聞こえた。
音の方に顔を向けると克己がハーモニカを吹いていた。
その曲は不思議と落ち着き安らぎを与える音楽となっていった。
吹き終わると克己が話し出す。
「どうだ?良い曲だろ?
これはお袋が昔眠れない俺の為に用意してくれたオルゴールの曲だ。
名前は知らないがこれを聞くと落ち着くからお前らにも聞かせてやったわけだ。」
「俺はNEVERと呼ばれる化学の実験で生まれた化け物だ。
そこにどんな意図があったにしても俺が化け物である事実に代わりはない。
酵素が無ければ死人に戻り記憶を覚えておくためにもこの酵素が無いと何も出来ない。」
「死人である俺達は"過去"すら自分の物じゃないんだよ。」
新たに開発された再生酵素により記憶の保持と再生が可能になったが、それでもそれが無ければ記憶すら出来ず死体に戻ってしまう無力な存在なのだと
克己は誰よりも理解していた。
「だが、それでも俺は生きることを選んだ!
例え過去が自分の物じゃなくても未来....明日だけは自分の手で決めて手に入れることが出来る。」
「記憶が戻って俺には夢....いや野望が出来た。」
「俺達の様な実験体や化け物が明日を選び生きていける世界を作る!
俺はその為に足掻き続けるってな。」
「なぁ、死人である俺の方が明日と未来を求め続けているってのは一体、どういう了見なんだ?」
さっきまでの喧騒が嘘のように皆、静かになっている。
「おい、ミーナ。
プロスペクトってヤツを殺せばその計画は止まるのか?」
「え?....多分、プロスペクトがこのヴィレッジの全てを管理しているから」
「なら、決まりだな。
どうせ、このまま待ってても死ぬだけだ。
だったら、こっちから会いに行ってやるよ。」
克己がそう言い進もうとするとレイカが止める。
「待ちなよ克己....あんた勝算あるの?」
「そんな事を聞いてどうする?」
「別に....ねぇ、あんたの野望だけどそれには私達も入っているの?」
「当たり前だろう。
俺は誰一人見捨てるつもりはない。」
「....そっか。」
そう言うとレイカが懐から一本の注射器を取り出す。
それは緊急用に渡された携帯酵素だ。
そして、それを克己へと渡した。
「良いのか?」
その問いにレイカは笑って答える。
「私もアイツ気に食わなかったの。
私の分までぶっ飛ばして」
克己は自分とレイカの携帯酵素を手に取ると体に突き刺した。
そして、目を開けると覚悟を決めるのだった。
「ゾンビにしては優しい光景だなぁ。」
遠くから聞こえた声に振り返るとレイカが見えない力で遠くへ飛ばされる。
「レイカ!」
克己が追おうとすると付近の地面が爆発する。
そして、現れたのはロイドとシオンの二人だった。
彼等の横でレイカは捕まっている。
「道案内ありがとう。
貴方のお陰で簡単に見つけられたわ。」
自分がつけられていた事にミーナはショックを受けているがロイドは気にせず良い放つ。
「お前らとのゲームをもっと面白くしてやる。
プロスペクトからの粋な計らいだ。
この女を返してほしければ"西の研究所"に来い!
タイムリミットは1時間だそれ以上、時間かければこの女の命は無い...まぁ、もう死んでるけどな。」
そう言い終わると二人とレイカは超能力で空を飛びその場を後にするのだった。
「ぐっ!クソッ。」
そう言ってレイカを助けようとする克己をミーナが止める。
「待って克己!これは罠よ。
それに西の研究所には何もない。
電磁パルスの制御装置もプロスペクト本人も東の研究所よ。」
「どちらかを俺に見捨てさせるのが狙いか。」
プロスペクトの狙いが分かり顔を歪ませる克己に、先程、話していた老人が声をかける。
「君は、ドクタープロスペクトを殺せるのか?」
「おじさん、こんな時に...」
ミーナが静止しようとするが老人は止めない。
「頼む。答えてくれ!」
克己は深呼吸をし心を落ち着けると答える。
「.....俺は約束を破るつもりはない。
例え、死んだってプロスペクトを殺すさ。」
その言葉の熱意に老人は満足したのか答える。
「そうか....良し。
西の研究所に囚われたお主の仲間はワシらに任せてくれ。
必ず助け出してせる。」
「本当か?」
「あぁ、その代わりにプロスペクトを殺してワシらをヴィレッジから解放してくれ!」
「あぁ、わかった。」
そして、東の研究所には克己、
西の研究所にはミーナとヴィレッジの仲間がそれぞれ向かうのであった。
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