「さらばだ....克己。」
天十郎と共に落ちていく堂本を見つめていた克己は怒りを抑えるように歯を食い縛る。
(俺が不甲斐ないから仲間を犠牲にする策にするしか無かった。
俺がもっと強ければ.......もっと.....もっと!)
感情の高ぶりがメモリの力を強くさせる。
消え行く身体と未来への強い願い........
皮肉なことにこの二つが揃ったことで今の克己は原作の克己と同じ存在になった。
結果としてメモリは彼の願いを受け入れた。
26本のガイアメモリのマキシマムを使いこなせるポテンシャルが遺憾無く発揮される。
周囲を舞っていたエネルギーはエターナルへと吸収され遂にはサブタワーのエネルギーを全て吸い付くした。
エターナルの永遠の力は無尽蔵に近いエネルギーすら手中に置いた。
克己は気合いと共にエネルギーを解放させる。
「うぉぉぉぉあぁぁぁぁ!!」
解放されたエネルギーがエターナルの全身を伝う。
その姿は原作のAtoZの時に敵だった克己が最後に見せた姿とそっくりだった。
全身を覆うエネルギーは克己の身体を粒子に変える時間すら止めてしまう。
「この力ならば....いける。」
克己はサブタワーを周りにある二つのサブタワーを見つめる。
エネルギーの制御さえ出来れば後は簡単だ。
何故、サブタワーが3つもあるのか?
それは3つに分散しなければ安定できない程の強力なエネルギーを第二タワーが放出しているからだ。
第二タワーからのエネルギーを分割し3つのサブタワーが放出することで安定させているのだ。
もし、その全てのサブタワーの機能が反転したらどうなるのか。
サブタワーのエネルギーが第二タワーに逆流する。
元々"無理矢理"開けた穴だ。
エネルギーが逆流すれば穴は自然と閉じる。
流れが止まった水が平面に戻るように....そうすれば今起こっているガイアインパクトは止められる。
後は無名やWが何とかしてくれるだろう。
そう考えていると下からエネルギーが膨れ上がるのを感じる。
そして、克己の目の前にボロボロになりながらも這い上がってきた天十郎をの姿があった。
「はぁはぁ....余計なマネばかりしやがって.....何処まで私の邪魔をすれば気が済むんだぁ!」
天十郎は怒りのまま槍を振るう。
その槍を克己は片手で掴み止めた。
槍には肉体をデータ化させるエネルギーを纏っていたが今の克己には全く効かず槍を握り続けている。
「バ....カな....!?」
絶句している天十郎を見ながら克己は槍を握り潰す。
「無駄だ。
今の俺はお前と同じくこの地球のエネルギーを使える。
データ化させる力も効くことはない。」
「だっ....だが私のタワーメモリは塔から直接エネルギーを供給できる。
私のエネルギーの方がお前よりも純度が高く強い筈だ。」
「俺のメモリはエターナル....永遠を司るメモリだ。
例え地球から産み出される膨大なエネルギーだとしても俺の永遠に終わりはない。」
克己から放出されるエネルギーを見た天十郎は理解した。
自分の操るエネルギーよりも純度が高く強いことに....
だが、その真実を天十郎は認められない。
「ふざけるなぁ!私は王なのだ!
進化した人類を導く統率者となるべき存在なんだ!
そんな私が負ける?....傭兵無勢に?
嫌だ....認めない...認めてなるものかぁぁ!」
天十郎は槍から手を離すとタワーから複数の槍を生成し克己へ放ち続ける。
克己は回避する様子もなく手を翳すと槍が克己の前で止まり粒子となって消えてしまった。
「もう、お前では俺には勝てない。
これまでのケリを付けてやる。」
克己はマキシマムのエネルギーを解放する。
克己の周囲に緑色のエネルギーが放出されそれがエターナルエッジに集約している。
集められたエネルギーが折り重なり緑から白色へと変わっていく。
そして、克己は飛び上がると回転しながらエターナルエッジを振るった。
エターナルエッジから放たれた3つの斬撃は3つのサブタワーに直撃した。
それにより三つのサブタワーは機能を停止してしまう。
そして、克己は持っていたエターナルエッジを天十郎に投げ付けた。
天十郎はそれを防ごうとバリアを貼るが破られてしまう。
天十郎は破られた側から新たなバリアを貼り続ける。
何枚ものバリアを破ったエターナルエッジは天十郎の胸の前で止まる。
何とか耐えた.....そう思った天十郎は克己の姿を見て絶望する。
何故なら、克己はエターナルエッジに向かい空中からキックを放ったからだ。
克己のキックはエターナルエッジに向かう。
天十郎はそれを防ごうと全てのエネルギーを使う。
しかし、そのエネルギーを貫きエターナルエッジに蹴りが当たると最後のバリアを砕き天十郎へと直撃した。
その威力は凄まじく二人はタワーから地面に向けて急降下すると激突した。
地面のコンクリートが砕け克己の足の下にはタワーメモリを砕かれ絶望の表情のまま意識を失う天十郎の姿があった。
天十郎のメモリが砕けた瞬間、サブタワーから爆発音が鳴った。
機能が完全に停止しエネルギーが逆流したのだと理解する。
「はぁ....はぁ....やったか....」
克己は天十郎から歩いて離れる。
(後は....無名達に任せるだけだな。)
克己の終わりを示す様に全身を覆っていたエネルギーが消失していく。
それと共に身体の崩壊が再開した。
「克己っ!?」
自分の名を呼ばれ目を向けるとそこにはミーナがいた。
「ミーナ...どう...して!?」
「貴方が勝つのを見て....いてもたってもいられなくたったの」
「そう....か...。
ミーナ、俺はやったぞ。
完璧に作戦を....こな...した。」
そう言って倒れる克己をミーナが抱き締める。
「克己?...克己!!」
泣きながら抱き締めるミーナを見て克己はメモリを抜いて変身解除する。
「克己?」
「ミーナ....ありがとう。
俺の我が儘を聞いてくれて....最後まで....仮面ライダーでいさせてくれて....すまない。
君と生きる未来を....産まれてくる子を見ずに死ぬことを....許してくれとは言わない。
こんな事を....言える立場じゃないのも....分かってる。
だが....それでも...俺達の子を頼む。」
「.....うん、任せて克己。」
「....ありがとう。
なぁ、ミーナ....消える時まで俺と話してくれないか?
死ぬなら....ちゃんと"覚えたまま"....死にたい。」
そう言うと克己はミーナと話し始めた。
二人と出会った日....一緒に過ごした時間について
仲間との思い出....フィリップや翔太郎...そして無名との思い出....
話していく内に二人の顔は自然と笑顔になる。
ミーナの涙も自然と収まり楽しかった記憶だけがその場に溢れていった。
「なぁ....ミーナ。」
「何?克己。」
「俺は.....幸せだった....」
「私も貴方に会えて良かったわ。」
「そう...か....ミーナ...お袋を...頼む。」
「分かってるわ。
未来と一緒に三人で生きていくから....」
「それなら....安...心..だ。」
身体がもう持たない。
克己の声も小さくなり聞き取ることすら難しくなった。
それでもミーナは耳を傾ける。
「......ミーナ。」
「何?....克....己..?」
「...愛している」
その言葉を言い終わると克己は目を瞑り身体が完全に粒子となり消えてしまった。
空へ舞う粒子を見ながら溢れる涙を堪えながらミーナは言った。
「"私もよ"....克己。」
克己に倒された天十郎は急な痛みに目を覚ました。
「こ....こは?」
目を覚ますとそこは風都第二タワーの地下にある装置の側だった。
「どうして...ここに...?」
立ち上がろうとするが身体が動かずに驚く。
「一体、何がどうなっているだ!?」
焦る天十郎に上から聞こえない筈の若菜の声が聞こえる。
『まぁ、天十郎が失敗することは分かっていたわ。
何せ彼には"分不相応な野望"があるのですから...
だからこそ、彼を使ったのだけど』
「どう言うことだ?」
『私が彼を側に置いたのはもう一度、"ガイアインパクト起こす"為よ?
そもそも、あの程度のガイアインパクトでゴエティアが満足するとでも?
最初の穴は呼び水よ。
急に開けられた穴を安定させて次の一撃に備えていたの
ねぇ?開けた穴を修復不可能まで広げるにはどうすれば良いと思う?
それはね"大きな異物"を押し込めば良いのよ。
その異物に反応して吐き出そうともがいて弾き出されれば穴は広がり大きくなる。
乱暴にやればやるほど大きく酷く広がるのよ。』
『だから、必要だったのよ。
"超越者じゃない普通の人間であり地球の力を蓄えたメモリを使う失っても何の問題もない人間"がね。』
そこまで聞こえた天十郎は若菜がやろうとしていることを理解し戦慄する。
「嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁぁぁぁ!」
天十郎は発狂して逃げようともがくが動くことが出来ない。
まるでその姿は死刑執行を待つ罪人の様に無様な姿だった。
「死にたくない!死にたくないぃぃ!誰かぁ!助けてくれぇぇ!」
天十郎は誰もいない地下空間でそう叫ぶがその声は誰にも聞こえない。
そんな彼の目の前にメモリブレイクされた筈のタワーメモリが現れた。
「ひぃ!嫌だぁ!死にたくないよぉぉ!私はっ!こんなところで!死ぬ存在じゃ無いのにぃぃ!」
天十郎は芋虫の様に這いタワーメモリから離れようとするがタワーメモリはゆっくりと彼の元へ近付くと彼の身体にメモリが入った。
彼の身体がタワードーパントに変わると全身を地球のエネルギーが覆った。
「ヒィィィィ!」
脅える天十郎を余所に彼の身体は地球の本棚を繋ぐエネルギーの流れの中に放り込まれた。
送られる直前、天十郎は手を伸ばした。
しかし、その手を掴んだのは自分が殺した"妻と秘書"....彼女らは絶望する私を嘲る。
天十郎は地球の底へと堕ちていく。
その中で見たのは赤い空間と黒で彩られた空間の中にいる"無名の姿"。
そんな彼が私を見てこう言った。
「ありがとう...これで私の願いが叶うよ。」
満面の笑みを私に向ける無名を見て私は息を吸うのも忘れた。
恐ろしいくも禍々しいその顔を見て私は声に鳴らない脅えた表情で言った。
「この....悪...魔....。」
そして、天十郎だった存在は地球の中心で解放され膨大なエネルギーの流れの中に放り込まれた異物として認識され肉体と精神の全てを破壊された。
その影響は凄まじかった。
例えるならウイルスに身体の免疫が過剰に反応してしまう。
そうすればどうなるか?
それによって傷口が広がってしまうとも知らずに.....
天十郎と言う異物は地球に修復不可能なレベルの傷を付けるのだった。
Another side
若菜との戦いは戦闘の形にすらなっていなかった。
無名は黒炎を纏わせた刀で斬りかかりWはルナトリガーによる援護射撃を行っていた。
だが、そんな二人の攻撃は若菜に届く前に停止し霧散するのだ。
黒炎とルナトリガーのエネルギー弾を無効化すると若菜は指をWへと向ける。
その瞬間、Wの手からトリガーマグナムが弾かれると身体が若菜の方へ向かっていった。
「ヤベッ!」
「そう簡単に奪わせはしないですよ。」
無名が黒炎のゲートを展開するとWの前に出し彼を自分の背後に転移させた。
それにより、若菜の力も解除される。
「全く、厄介なメモリですわね。
私は来人と話がしたいだけですのに....」
「話がしたいのならメモリを置いて武装解除して話しませんか?
次いでにこのタワーを出てカフェにでも行けば完璧でしょう?」
「あら、無名でもジョークを言うのですね?
それともミュージアムを出ている間に学んだのかしら?」
内容だけで見れば陽気な会話をしている二人だが無名は若菜への警戒心を加速させていた。
(おかしい。
彼女が本気を出せば僕達はもっと窮地に立たされている。
なのに通常形態のWと僕で戦えていると言うことは明らかに手を抜いている証拠.....だが、何故だ?
ガイアインパクトはミュージアムの悲願。
ゴエティアに洗脳された彼女ならば是が非でも達成したい筈なのに....)
そう考えていると若菜が笑う。
「二人とも顔が強張ってましてよ?
もっと楽になさって....まだ暫くは御話し出来る時間があるでしょうから」
その言い方にフィリップが尋ねる。
『姉さんそれはどういう意味?』
「あら?だって貴方達がNEVERを使ってサブタワーを破壊するのは分かっているんですもの.....
彼方の決着はあと少しと言った所かしら?」
「「!?」」
「随分と驚いているわね二人とも....まさか、宇宙の巫女になる私がそんな事すら見抜けないとでも?」
作戦が見破られていることに同様を示しつつも無名は一呼吸置いて話し出す。
「仮に知っていたのならどうして対策しなかったのですか?
今の口ぶりだとわざと見逃したと聞こえたのですが...」
「当たり前じゃない。
まぁ、天十郎が失敗することは分かっていたわ。
何せ彼には"分不相応な野望"があるのですから...
だからこそ、彼を使ったのだけど」
「使った?」
「あの男はガイアインパクトが終わった後の世界で王になるつもりだった。
尊大な夢物語だけどガイアインパクトは全人類の為の偉業よ。
そこにそんな不純な考えを持たれては困るわ。
だけど、彼のミュージアムに置いての功績もバカに出来ない。
だから、彼には役目を与えたのガイアインパクトの要となる重要な役目をね。」
そこで若菜が話し出した内容はとんでもない物だった。
『異物である人間を地球のエネルギーと繋がる穴へ落とす?....そんな事をしたらどうなるか姉さんなら分かるでしょう!?』
「えぇ、異物を追い出そうと拒否反応を起こし広げられた穴が更に大きく開くのよ。」
「バカな!そんな事をすれば地球を修復出来なくなる。
ガイアインパクトを起こす前に地球が破壊されてしまう!!」
「いいえ、そうなる前に私たちが融合すれば良いのよ。
一人だけだったら無理だったけど無名とゴエティアがいれば地球が破壊されることはないわ。」
事の重大さに焦るWと無名を余所に若菜は笑う。
「それにもう"手遅れ"よ。
彼方の決着はついた。
サブタワーの機能が停止し分けられていたエネルギーがメインタワーへと帰るそのタイミングで異物による爆発を起こせば完璧でしょう?
おめでとう天十郎はNEVERに敗北したわ。
でもね...この勝負は」
「私達の勝ちよ。」
若菜の勝利宣言と共に地下深くから凄まじい轟音と地震が起こる。
地震が収まるとこれ迄とは非にならないエネルギーがタワーを駆け抜けた。
許容量を完全に越えたエネルギーはタワーから漏れ出し地面を伝う。
タワーを中心に地面をひび割れの様にエネルギーの亀裂が走り抜ける
そして、大きく広がった亀裂は地球の本棚の奥深くのエリアまで到達していた。
突如、無名の身体に悪寒が走った。
声が出せない程の圧を翔太郎やフィリップも感じ取る。
「なっ!?...こ...れは...」
『ま...さか!?』
彼等は圧を受けた正体を知ることとなった。タワーに流れ込んだエネルギーが集約すると人の形を為していく。
型どり終わると緑色のエネルギーは光を収め中から一人の男か現れた。
服装や見た目は無名と全く同じだが唯一瞳の色だけ違う。
全てを飲み込み喰らってしまうかのような赤い瞳。
その目が彼がこの世界にいる事実をまじまじと二人に知らしめていた。
彼は二人に目を向けると笑顔で言う。
「この姿で会うのは初めてだな?
では改めて自己紹介をしよう。
私の名前はゴエティア.....地球最古の悪魔であり嘗ては超越者と呼ばれていた。」
ゴエティアの自己紹介を無視しながら無名は呆けたように言った。
「バ...カな....あり得ない。
何故、お前がこの世界に僕の身体を使わずに顕現できているんだ?」
「何だ?久し振りの再開なのに随分と寂しい事を言ってくれるじゃないか。
お前とは二人で一人の関係だったんだがなぁ.....」
「質問に答えろ!どうやってお前はこの世界に来れたんだ!」
「やれやれ、何時もの冷静さが見る影もないな。
だが、疑問を残したままにする方が気分が悪い。
良いだろうその質問に答えてやる。
単純な話だ。
天十郎の身体を使ったんだ。
奴がこちら側に堕ちてきた時を見計らい肉体の大部分データ化した。
無茶な賭けだったがお陰で私が表舞台に出る肉体が手に入った訳だ。」
「そんな.....」
「だが、選ばれたフィリップや無名の身体じゃないからね。
何れ拒絶反応が出てしまう...だからこうする。」
ゴエティアは両手にエネルギーを集めるとそこから"ガイアドライバーⅡ"とデーモンメモリを作り出した。
ゴエティアはドライバーをつけてメモリを起動する。
「DEMON」
メモリをドライバーに装填するとゴエティアはデーモンドーパントへと姿を変えた。
『そんな....まさか...』
「驚くのはまだ早いぞ.....XTREAM。」
ゴエティアがそう呟くとデーモンドーパントの身体は変わり胸から瞳のようなクリスタルサーバーが現れた"デーモンエクストリームドーパント"へと変わった。
「んなの反則だろうが。」
「反則?....得てして世界とは不平等で反則的なものだろう?
さぁ、ヒーローよ。
抗ってみろ....本当の絶望に」
ゴエティアはそう言って二人のヒーローを見つめる。
地獄の様な光景で彩られた絶望に彼等は立ちすくむことしか出来なかった。
外伝 続編の投稿に関して
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