絶望と希望は相反している様に思えるが共通する事がある。
それは許容を越えた絶望と希望は人に"畏怖"|の感情を刷り込むのだ。
故に神を感じた人は畏怖を感じ祈る。
"絶望"ならば"救い"を.....
"希望"ならば"信仰"を.....
だが、もしその絶望が...救いすら介入しない程の終わりなのだとしたら人は果たして感情を持っていられるのだろうか?
ゴエティアと若菜が現れた姿を見た無名は理解することを拒んでいた。
想定する中でも最悪....いや、想定すらしてなかったからだ。
ゴエティアが現実世界に顕現するには無名の身体が必要であり逆を言えばそれしか手段が無いと思っていた。
そして、それは地球の本棚で検索した結果からも示されていた。
ゴエティアは種を説明したがそれを聞いても理解できなかった。
そして、ゴエティアがデーモンドーパントに変身しエクストリームを発動した。
エクストリームへと変わったゴエティアは自らの身体を見て笑う。
「ふふっ素晴らしい。
これならば君とも対等に戦えそうだ。」
「何故、エクストリームが使えるんだ?
エクストリームを使える程の適合率が上がっていたのか?」
無名の疑問にゴエティアは答える。
「確かにその通りだ。
だから、"肉体その物"を変えたのだ。
そして、これがガイアインパクトが行き着く一つの答えでもある。」
「答えだと?」
「そうだ。
地球の記憶と溶け合うことで人の身体を捨てて記憶の一部となる。
そして、その力を身に宿す....私のようにな。」
「つまりは人の姿を捨て去ったと言うことか?」
「捨てたと言うよりはより上位の存在になる為に人の身を贄として使うだけだ。」
「人じゃなくなるのなら結局同じじゃねぇか!」
ゴエティアに翔太郎が反応する。
「それの何が問題だ?
お前達、人間も元は猿から進化した存在だろう?
猿としての身体を捨て去り人へと変わった。
それがお前達が歩んだ進化の歴史だ。」
『そうだとしても、それは生きていく為に行った進化だ。
ガイアインパクトの様な望んでない進化ではない筈だ!』
「望む望まない関係なく行われるのもまた進化だ。
お前とてその進化の過程だと自覚しているのかフィリップ?
データ人間.....お前と人とは違う進化を遂げた存在ではないか。」
『それは....』
「まぁ良い。
これ以上の問答は時間の無駄.....意味は無い。
私の計画も最終段階だ。
さぁ、無名。
私と一つになろう。」
ゴエティアがそう言って近付いてくるがそれをWの銃撃が止める。
「んな事、誰がさせるか!」
「ふむ....少し教育が必要か。
「あら、誰に命令をしているのかしら?
私は宇宙の巫....女!?」
そこまで言いかけるがゴエティアが手を翳した瞬間、黙ってしまう。
「少し傲慢に調整しすぎたな。
黙って私の命令をこなせ....
ゴエティアがそう言うと若菜は黙ったまま無名へと向き直った。
それを見たフィリップは怒りを露にする。
『姉さんに何をしたんだゴエティア!!』
「そう吠えるな。
聞きたいのならば力付くで聞けば良いだろう?
"Train"...."Zone"起動。」
ゴエティアがそう言うとWとゴエティアの空間が反転し白黒の世界へと変わる。
「ここならば好きに暴れて問題ない。
さぁ、
私を満足させてくれ。」
ゴエティアはそう言って笑いWを迎えるのだった。
ところ変わって無名と若菜も戦闘を開始していた。
無名は黒炎を纏わせた刀を振るい若菜と戦うが若菜の周りを舞うエネルギーが集まり無名の攻撃を防ぐ。
「無駄よ。
貴方の攻撃が私に当たることはないわ。」
「最初っから諦めたら意味がないと思いますけどね?」
「貴方の黒炎についてはもう検索は済んでいる。
事象を消失させる炎でも私に触れる前に払い落とせば良い。
私が作り出したエネルギーは無限に発生し私の身体を守り続ける。
黒炎がどれだけ強くでも私には当たらない。」
「なら、その謎のエネルギーについて検索して対抗すれば良い。」
無名は戦いながら地球の本棚を開くと検索を始めた。
(キーワードは..."エネルギー"..."盾"..."無限"...)
キーワードを選択しながら無名は刀を振るい続けていく。
(くっ!.....該当する項目が多過ぎて絞れない。)
そうしていると無名の身体が急に吹き飛ばされ壁に激突する。
「くっ!」
「私が攻撃しないとは言ってないわ。
貴方を殺すことは出来ないから......そうね。
意識を失わせましょうか。」
「"Thunder"...."Lightning"...."Paralysis"...起動。」
若菜がそう言うと彼女の頭上に球体の雷が現れる。
「速度と麻痺を付与した雷よ。
少しでも触れれば貴方でも意識を失うわ。」
「それは...嬉しくない事実ですねっ!?」
無名が回避を行うと無名が立っていた地面に雷が当たる。
(速い!気を抜けば殺られる。)
無名はアームドライザーを操作すると刀の形から黒炎に変わり大型の盾へと変化する。
その盾を使い若菜から放たれる雷を防御した。
「確かに黒炎の特性を持った盾ならば雷の能力は無効化出来るでしょうが、それでは何れ貴方の黒炎のストックが切れて負けるだけですわ。」
「えぇ、このまま続けばそうでしょうね。
そうすれば貴女はゴエティアの目的通り、貴女は宇宙の巫女になるだけです。」
「....何が言いたいのかしら?」
「おかしいと思いませんか?
貴女を巫女にしたいのならばどうしてここでゴエティアが現れたのだと思いますか?
それも態々、別の肉体を変換してまで....」
「私を動揺させようとしてるのでしたら無駄ですわよ。
ガイアインパクトを完遂させるのが私の望み......」
「それも貴女の本心ですか?
思い出してください。
貴女の過去を人生を.....」
「何を言って....」
「貴女は何故、風都でアイドルを始めたのですか?
何故、フィリップを追うようになったのですか?」
無名が尋ねる度に若菜は頭を抑えて苦しみ出す。
「本当は分かっている筈だ。
覚えている筈だ!
貴方が僕を連れて風都でショッピングをしたことも!
ミュージアムの幹部でいることに悩んでいたことも!」
「黙....りなさい。」
「リーゼを助ける為に組織を裏切った事も
そこでフィリップに真実を話したことも....風都タワーで貴方がフィリップと話した事...」
「あぁぁぁぁぁ!!」
発狂した若菜から大量のエネルギーが溢れ出すとそれが数々の記憶の力が発動していくとその力が無名へと放たれる。
その攻撃を無名は盾で必死に受ける。
「ぐっ....くっ!」
「五月蝿い五月蝿い!!私の心を乱すな!入り込もうとするな!
私は園咲 若菜。
ミュージアムを導く宇宙の巫女....」
「違う!それは貴女の望む姿ではない。
ゴエティアや父親が抱いた理想でしかない。
僕もそうだ...ゴエティアにスペアとして作られミュージアムの科学者として生きてきた。
だけど、そんな僕でも人を救いたい。
仮面ライダーとして救える命を救いたい!
そう思った!そう願った!
だから、貴女もなれる筈だ自分の望む自分にっ!?」
そこまで言いかけた時、攻撃に耐えられなくなった盾が崩壊する。
無名は自分に向けられた攻撃を黒炎を展開し防御するが完全ではなく余波が無名の身体を穿っていく。
だが、それでも無名は引かない。
(ここで引いたらもう僕の声は届かない。
だからこそ、ここしかない!)
無名はメモリをマキシマムスロットに差し込む。
「DEMON MAXIMUMDRIVE」
無名はマキシマムを発動し黒炎を全身に纏うと若菜に向かって突撃した。
あらゆる攻撃が無名に向かうが黒炎が肩代わりしてくれる。
(炎が消える前に若菜さんの元に辿り着く。)
防御せず最短距離をただ真っ直ぐ進んでいく。
しかし、それを阻む様に無名の身体を鋼鉄の壁が挟む。
消耗し残った黒炎では直ぐに鋼鉄の壁を無効化出来ない。
それが分かっているからこそ、無名はダメージ覚悟で無理矢理、壁を開き前へと進んだ。
壁を壊し片手だけ抜け出すと若菜の頭を掴む。
「お願いです。
若菜さん、もう一度考えてください。」
無名の願いへの返答は若菜から放たれた強烈な衝撃波だった。
吹き飛ばされる身体を若菜が手を伸ばすと急に引き留められその衝撃を全身で受けてしまう。
そのまま、若菜が手を手繰り寄せると無名の身体は彼女の元へ向かう。
「わ...かな....さ..」
「貴方の言葉には騙されない。
私こそが宇宙の巫女....これこそが私の望んだ運命よ。」
若菜はデモンドライバーに手を伸ばしメモリを引き抜くと無名の変身が解除された。
その瞬間、無名は意識を失ってしまう。
「貴方にはまだ役目がある。
ゴエティアと融合すると言う役目がね。」
若菜が指を動かすと無名の身体をケーブルが締め上げて拘束が完了すると地面に下ろした。
若菜は無名から奪ったデーモンメモリを見つめる。
(貴方は私の何を知ってるのよ無名?)
答えの無い疑問を浮かべその疑問が若菜に変化を及ぼした。
(ゴエティアは確かに信用できない。
ガイアインパクトが完了した後、何か仕掛けてくるかも知れない。
その為の切り札としてこのメモリは必要ね。)
若菜はデーモンメモリに自分のエネルギーを流し込み細工を施すと無名の懐にメモリを戻した。
その直後、ボロボロになったWがゴエティアと共に隔絶された空間から帰ってくる。
「彼方も仕上げに向かっているようね。
私も向かわないと.....」
若菜は縛り上げた無名を能力を使い持ち上げるとゴエティアの元へ向かうのだった。
異空間に転送されたWは目の前のゴエティアに警戒しながら銃を向けていた。
「今更、ルナトリガーで私に対抗できるとでも?」
「んなもんやってみなくちゃわかんねぇだろ。」
翔太郎の言葉にゴエティアは溜め息をつく。
「はぁ....どうして貴様の様な愚か者がコスモスの力を得たんだ。
ここだけは全く理解できない。」
『コスモス?....君が言っていた超越者の事か?』
「無名から聞いていたか。
まぁ、良いだろう終わりまでは時間がある。
少し話してやろう。」
「まだ我々が超越者として存在していた時.....
超越者の中でも強力な力を持った者は他の者を束ね長として呼ばれていた。
私もその長の一人だ。。」
「長の下に付く者は其々が長の能力に近い力を持つ者が集まっていた。
私の場合、悪魔や罪に纏わる力を持った者達が私の下についた。」
「コスモスはそんな中で異端の存在だった。
長になる力を持ちながら上にも下にもつかず一人の超越者として存在し続けた。
そんな姿に私や他の長も虜になった。
だが、我等がコスモスを奪い合う事は無かった。
それはコスモスは全員に分け隔てなく接し感情と言う力を与えたからだ。」
『しかし、そのせいで君達は滅びたと無名から聞いている。』
「まぁ、そこは否定できないな。
皆、コスモスを愛し彼女の為になるなら全てを捧げた。
信じられるか?
善性や正義を司る超越者ですら彼女の虜になり願いを叶える為に動いたのだ。
それだけの魅力が彼女にはあった。」
「お前の目的はコスモスを生き返らせる事なんだろ?」
「陳腐な言い回しだがまぁ、間違ってはいない。
しかし、彼女は死んではいない。
らはるの記憶の中に幽閉されているだけだ。」
「幽閉?」
「あぁ、左 翔太郎にデモンドライバーを使わせた時、私は間違いなくコスモスの意思を知覚した。
だが、いくら探しても彼女は地球の本棚には現れなかった。
だが、いることが分かれば後は此方に来れる様に道を作れば良いだけだ。
このガイアインパクトがその道の役割をしてくれる。」
「その為にお前はミュージアムに協力したのか!」
「それ以外に理由など無い。
悠久にも等しい時間を過ごしてきた私に残った唯一の願いだ。
私や他の仲間も願った事.....これを叶える為ならこの世界を何度作り替え破壊しても構わない。」
「んな事、俺達が許せるかよ!」
翔太郎はそう言うとゴエティアに向けて光弾を発砲した。
ルナトリガーの追尾弾がうねりながらゴエティアに向かうがゴエティアの身体をすり抜けていくと弾は消失した。
動揺しながらも追撃を行おうとするがその前にトリガーメモリにゴエティアが触れるとWの左半身の色が消失しメモリは力を失ってしまった。
「なっ!?」
「EternalとDeathを複合した力だ。
トリガーメモリは今後使用禁止だ。」
『不味い翔太郎、メモリを変えて距離を取れ!』
「くっ!」
翔太郎はゴエティアの手を払い退けるとメタルメモリを装填した。
「LUNA,METAL」
「悪足掻きが余程、好きなようだな。
仮面ライダー.....何度リセットを繰り返してもここだけは変わらない。」
「当然だ身体一つになっても喰らい付いて倒す。
その心そのものが.....」
「"仮面ライダーだから"か?
うんざりするほどリセットする前の君達から聞いたよ。
何度、リセットされても君達は向かってきた。
翔太郎やフィリップのどちらかも洗脳しても片っ方が同じ台詞を吐きながら戦った。
そして、私に勝てずリセットを受け続けた。
.....良いだろう。
そんなに仮面ライダーとして殉じたいのなら望み通りにしてやる。
ただ、貴様らには最上の絶望を味わって貰おう。」
ゴエティアは地面に手を付ける。
「古来より悪魔が得意としている能力は炎の操作や人間との契約があるが最もポピュラーな奴が抜けている。
......それは"死者の復活"だ。」
「何っ!?」
「
突如、ゴエティアの周りから人骨が這い出てくる。
全身が出終わると身体が再生していき肉や臓器、皮膚まで再生した。
その姿を見た翔太郎とフィリップは絶句する。
何故なら、目の前に現れたのはメモリ犯罪で救えなかった者達の姿をしていたからだ。
「さぁ、血と臓物にまみれた絶望から這い上がって見せろ仮面ライダー。」
そう言うゴエティアの顔は分かりやすく狂喜の顔で歪んでいた。
まるで"天敵同士を放り込んだ動物のゲージを眺める子供の様"に......
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