『本当に宜しいのですね来人様?』
そう尋ねるメイカーにフィリップは答える。
「あぁ、それで姉さんを...家族を救えるならね。」
優しく告げるフィリップを見ながらメイカーは理解を示した。
『承知致しました。
全ては園咲家の者の為に......』
そう言い終わるとフィリップはメイカーと共に孤島から消えるのだった。
仮面ライダージョーカーへと変身が終わった翔太郎を若菜は頭を抑えながら睨み付ける。
「罪を数えろですって?....ふざけないで!私にそんな、下らない事を聞くんじゃない!」
苛立ちのまま手を降ると地面を抉りながら衝撃波が翔太郎を襲う。
しかし、その衝撃波を翔太郎は左手で受け止めて握り潰した。
「なっ!?」
「今度はこっちから行くぜ!」
翔太郎が飛び上がると握り込んだ左手を若菜に振り下ろした。
「そんな攻撃当たる訳無いでしょう!」
若菜が翔太郎の前にシールドを展開する。
Wのパンチすら止められる強度のシールドを生成し余裕を見せるがそのシールドを翔太郎の拳が簡単に砕き貫いた。
「何で!?」
若菜は驚きながらも直ぐにシールドを再展開するがそのシールドを砕くとその拳が若菜の座っていた玉座に直撃した。
直撃した玉座は砕け、座っていた若菜は立ち上がり翔太郎から距離を取った。
「何故、Wでも砕けないシールドの筈なのに....」
若菜はジョーカーメモリについて検索を済ましておりジョーカー単体での変身も調べ尽くしていた。
だからこそ、自分に勝てる要素が無いと油断していた。
実際、ロストドライバーを使っていたら翔太郎に勝ち目は無かっただろう。
しかし今、翔太郎が使っているのはデモンドライバーであり尚且つ無名がスペアとして作っていたデモンドライバーに翔太郎が変身していたデータを使い再調整した一品だった。
このデモンドライバーで仮面ライダージョーカーに変身すると洗脳されていた頃の強さをそのまま使うことが出来るのだ。
感情により強さが変わるジョーカーメモリとそれに最も適合する左 翔太郎をそしてメモリの力を更に強化解放したデモンドライバーによる仮面ライダージョーカーは通常のジョーカーとは一線を化す強さを発揮していた。
目的を果たす為なら過去の罪すら飲み込み戦うその覚悟を決めた翔太郎は若菜すら油断できない程の強さとなっていた。
「貴方が私の予想よりも強いのは理解しましたわ。
でも、だからと言って私に勝てるなんて思わないことですわ。」
若菜は嘗て克己を仕留めた力を発動する。
突如、翔太郎の周りが暗くなるとあらゆる力の指向性が一斉に翔太郎へと向かっていく。
エネルギーが極度に圧縮されて起こるビッグバン。
星と宇宙に滅びを与える原初の力には永遠を司る克己ですら手も足も出なかった。
絶望的な状況なはずだが翔太郎は笑う。
「上等だ!俺だって指加えてこの日を待ってた訳じゃねぇんだよ。」
翔太郎は"ファングメモリ"を取り出すとフィリップの様にメモリ形態へと変形させるとマキシマムスロットに装填した。
「FANG MAXIMUMDRIVE」
マキシマム状態を発動させると翔太郎は更にファングホーンを三回弾いた。
「FANG MAXIMUMDRIVE」
ファングメモリの特性である単体でマキシマムを発動できる機能を使い翔太郎は擬似ツインマキシマムを再現する。
ツインマキシマムが発動した瞬間、両足にファングの牙が生成されエネルギーが集まっていく。
「何故、ファングメモリを?
あれには牙の記憶しか入っていない筈よ?」
「俺のジョーカーメモリの切り札の力をファングメモリのマキシマムに込めれば切り札の力を留めた牙が出来上がる。
それならこの空間をぶった切れるんじゃねぇのか?」
翔太郎の問いに若菜は笑う。
「バカじゃないの?
ツインマキシマムを一人で発動するだけでなくジョーカーの力すら付与させるつもり?
それが成功したとしても莫大なエネルギーに貴方が耐えられる筈無いじゃない。」
若菜の言う通り、翔太郎の身体は大量のエネルギーに耐えきれず肉体が悲鳴を上げていた。
それが若菜にも分かっているからこそそう結論をつけたのだ。
「貴方にこの空間は壊せない。
膨れ上がるエネルギーに飲まれて死になさい左 翔太郎。」
しかし、若菜の予想を反して翔太郎は両足で円を描く様に振り抜くと研ぎ澄まされた牙のエネルギーが作られた黒い空間に亀裂を空けた。
「どうして....どうして動けるの!?
貴方は普通の人間よ....平凡で弱く、来人のお陰で漸く仮面ライダーになれる程度の存在なのに....何故私の予想を越えるのよ!?」
若菜は常に地球の本棚で検索を繰り返していた。
ガイアインパクトを成功させる為にそれに関わる情報を何度も調べ続けてきた。
その過程で左 翔太郎についても調べた。
これまで仮面ライダーだった者と比べても非力だった。
大道 克己の様に訓練された戦闘技術は無く鳴海 荘吉の様な決断力もない。
照井 竜の様な化物じみた肉体も無く無名や来人の様に地球の本棚の力も扱えない。
何にも持っていない平凡な人.....それが左 翔太郎の全てだった。
なのにも関わらず今、翔太郎は若菜を追い詰めていた。
そして、彼女にとって最も確実に仕留められる。
ビッグバンを擬似的に起こす技を使っても彼はそれに抗おうとしていた。
彼を中心に恐ろしく強い圧力がかかっている筈だ。
エターナルの力でも無効化出来ない程の.....
勿論、ジョーカーの力ならある程度は軽減できるだろうが若菜の予想では指一本すら動けなくなる筈だった。
だが、現実は翔太郎が放った攻撃により付けられた斬撃が彼女の生成した空間を破壊しようとしていた。
圧力をかける関係上、あの空間内は密閉されてないと行けない。
でないとかかる圧力に空間が耐えられないからだ。
その間にも翔太郎はファングメモリのマキシマムで生成した巨大な牙状のエネルギーで空間を切り裂いていく。
それが功を奏したのか若菜は空間の保持に力を割き翔太郎への圧力が少し減る。
(今だっ!)
翔太郎は若菜に向かって歩き出す。
最初はゆっくりだったが徐々に速度が上がり走り出そうとする。
「!?来るんじゃないわよ!」
若菜が衝撃波を翔太郎に放つ。
翔太郎は避けられず真正面から攻撃を受けるが気合いで痛みを耐えて若菜の元へ進んでいく。
「来るなっ!....来ないでよ!」
若菜は残ったリソースを全て使い衝撃波を立て続けに撃っていくが覚悟を決めた翔太郎はそれを食らいながら前へ前へと進む。
「何で!?どうしてよ?
貴方の何処にそんな力があるのよ!?」
「んなもん....俺が知るかよ。
若菜姫の言う通り俺は凡人だよ。
でもな...凡人だって凡人なりのプライドがあんだよ。
道理だとか計算とか....知らねぇ!
ただ、一度決めたことは何がなんでも貫き通す。
身体一つになっても....風都を泣かす奴は許さねぇ。
俺は探偵で仮面ライダー....風都を泣かす奴を俺とフィリップで止める!
それが例え神だろうが関係ねぇ!
その覚悟が....俺の..全てだ!」
十分な距離まで接近できた翔太郎は飛び上がった。
その瞬間、両足の牙のエネルギーが変形し両足を覆いドリルの様な形へと変形する。
「今度こそ、アンタの罪を数えさせる!
若菜姫.....いや園咲若菜!!」
「うぉぉぉぉぉ!!」
「
翔太郎の放ったキックは若菜の放つ衝撃波を貫くと彼女の身体に当たる。
身体の表面をファングの牙が削る。
火花を上げながら前に進もうとするがそれを若菜が許すことはない。
「私はっ!宇宙の巫女になる存在よ!
こんなところで殺られるなんてあり得ないわ!」
若菜は腕を変形させ槍を作り上げると翔太郎のドライバーへ突き立てた。
バキン!という音と共にドライバーにヒビが入る。
(ヤベェ!ドライバーが!?)
「これで私の勝ちよ左 翔太郎!」
笑う若菜へ翔太郎は言い放つ。
「上等だ!俺のドライバーが壊れるのが先か。
それとも、クレイドールのメモリが砕けるのが先か。
勝負と行こうじゃねぇか!」
「なっ!?そんな事をすれば貴方も無事じゃ済まないわよ!」
「んなこと怖がって仮面ライダーが出来っかよ!
それに俺は運だけは強いんだ!
これはある意味チキンレースだ。
どっちか退いた方が負ける...なら俺は止まらねぇ!
突き進むだけだ!」
「あんた....バカじゃないの!?」
考えてもいなかった返答を受けて若菜は本気で焦る。
(この攻撃....手加減して受けていたらメモリが砕かれる!)
若菜は生成していた黒い空間を解除する。
その瞬間、翔太郎にかかっていた負荷が消え去る。
(防御関係のメモリを総動員すればっ!)
若菜姫は地球の本棚から該当するメモリの力をインプットし現実世界へとアウトプットしていく。
それは翔太郎の攻撃を防ぐ為に次々と使われていく。
(何で!?どうして防げないの!
攻撃を防ごうとする度にその力を凌駕していく。)
若菜を守るために生成した力は翔太郎の必殺技を阻もうとするがドリルの様に回転するファングのエネルギーが削りながら前へと進んでいく。
「うぉぉ!!届けぇぇぇぇ!!」
「止めろぉぉぉぉ!!」
翔太郎の決死の一撃は若菜姫の身体を着々と進んで行く。
(マズイ!メモリが...砕かれる!)
突如、絶体絶命な若菜の背後から力を感じる。
無理矢理、動かされた若菜は背後に倒れる事となり、翔太郎の攻撃を若菜を倒した人物が代わりに受ける。
「なっ!?....どうしてアンタが?」
その姿を見た翔太郎は驚く。
その隙を逃さなかった。
握り込んだ拳でドライバーを打ち抜かれ爆発が起きる。
煙が晴れるとそこにはドライバーを破壊され変身解除した翔太郎と和歌なの代わりに攻撃を受けながらドライバーを破壊し"テラーメモリ"をメモリブレイクされた"園咲 琉兵衛"が地面に倒れ込んでいた。
「痛み...分け...だな?」
倒れ伏している琉兵衛の元へ若菜が走って近付くいていく。
「お父様っ!!」
「おぉ....若..菜..。
お前が無事で...私は...嬉しいよ。」
若菜へ笑いかける琉兵衛だが、その顔に生気が乗っていない。
若菜を倒すつもりで翔太郎が選択したツインマキシマムは超越者を倒す為に放った攻撃だ。
普通の人間....ドライバーをすら使っていない者に対して明らかに過剰となる威力を誇っていたのだ。
タワー内で戦いを見ていた琉兵衛は翔太郎がツインマキシマムを発動した段階でテラーメモリを身体に指して若菜の元へ走っていた。
琉兵衛本人もあの翔太郎の攻撃を受ければただでは済まない事は分かってはいたが自分の身を犠牲にしてでも娘も守りたい感情が勝ち彼女の代わりに翔太郎の攻撃を受けたのだ。
結果、琉兵衛は自分の命と引き換えに若菜を助けることが出来た。
薄れ行く意識の中で琉兵衛は若菜の顔に触れる。
「最後に...お前を....守れて...良かったよ...若菜。」
「嫌....そんな....お父様っ!」
「若菜....お前がこれから...どんな選択を...しても...私は....お前を....愛....し...て..」
そこまで言いかけていた琉兵衛は目を閉じてしまう。
若菜の手から父親の命が消える感触がした。
超越者故の感覚が父親がどうなったのか理解することが出来た。
「嫌ぁぁぁぁ!!お父様ぁぁ!!」
大切な存在を失ったショックに若菜のメモリが反応する。
エネルギーの激流が若菜の肉体を通してタワーへと伝達されていく。
そして、タワーから一筋のエネルギーの光が放出された。
それは道となり来人のいる孤島へと向かう。
「何だ...一体?」
「お父様がいない世界なんて興味ないわ!
来人と融合してガイアインパクトを始める!」
「なっ!?止めろ!」
「黙れ!全てお前が悪いのよ!」
感情のまま放たれたエネルギーの余波で翔太郎は吹き飛ぶと上から落下した瓦礫に挟まれてしまう。
「ぐあっ!....フィ...リップ」
翔太郎は光に飲み込まれていく相棒に手を伸ばしながら気絶してしまう。
そして、若菜とフィリップの融合が始まってしまった。
Another side
実の父親の死を隠れながら見ていた冴子は愕然とする。
「そん....な....お....父...様。」
そんな彼女を加頭が支える。
「しっかりしてください冴子さん!」
「でも....お父様が....」
「問題ありませんよ冴子さん。
貴方が園咲 若菜から力を奪えば地球の持つあらゆる力を使うことが出来ます。
そうすれば父親を蘇生させることなど雑作もない。
ですから、今こそ動くべきなのです。
宇宙の巫女の力を奪い取り貴女がこの世界を統べる女王となる為に....」
「そう....ね....そうだわ。
私があの力を手に入れれば...そうすれば!」
自分を安心させる様に言葉を紡ぐ冴子の身体を支える加頭の顔は冴子に見えない様にしながら笑っていた。
(何て"良いタイミングで死んでくれたんだ"琉兵衛さん。
お陰で冴子さんの心を私に向ける事が出来る。
若菜さんから宇宙の巫女の力を奪うには私のメモリの力が必要。
感謝しますよ。
今この瞬間から冴子さんは私に依存する。
あぁ、とても幸せだ。
冴子さんを精神的にも支えられるのはもう私しかいないのだから....)
そんな考えを悟られないように加頭は冴子へ告げた。
「仮面ライダーも倒れた今がチャンスです。
さぁ、行きましょう。
今こそ、力を奪い取る時です。」
加頭に背を押され冴子はタワーの隠し通路を空けると若菜の元へ向かうのだった。
外伝 続編の投稿に関して
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