もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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ZAIAが管理していた廃工場を遠くから見つめている"二人の人影"。

一人は赤いジャケットを羽織り右耳に特徴的なハートのイヤリングをつけている男。
もう一人は緑の服にシルバーのメガネを着けて左手にタブレットを抱えていた。


「ほぉ....警察も蛮野の居所を掴んでいたか。
だが、ここで暴れてくれるのなら好都合だ。」
赤いジャケットの男が下を見ながら言う。
「"ハート"、やはり"メディック"の信号がこの中から発信されています。」

タブレットを操作しながらハートにメガネの男が告げる。
「そうか.....奴らの突入の混乱に乗じてメディックを救出する。
他の友達(洗脳を解いたロイミュード)にもそう伝えておいてくれ"ブレン"。」

「分かりました。
.....大丈夫ですかハート?
顔色が悪いですよ。」
ブレンにそう言われたハートは心中を話す。
「蛮野を逃がしそのせいで大切な友達を奪われた挙げ句、グローバルフリーズを起こされたんだ。
俺達も蛮野を止めようと動いたが.....メディックを奪われ友達のコアを破壊され蛮野にも逃げられてしまった。」

「ハート....大丈夫です。
メディックも洗脳された仲間も今回で全員助ければ良いのです。
蛮野の粛清はその後でも十分間に合います。
ですから今回は仲間を助けることだけに集中しましょうハート。」
「.....そうだな。
ありがとうブレン。
さて、俺達も準備を進めよう。」

そう言って離れようとした時、下にいた泊 進之介に目がいった。
(お前も来ていたかドライブ。)

蛮野に洗脳された仲間が犯罪を犯し暴れている所をドライブが幾度も食い止めてきた。
そして、事件解決の為に暴れるロイミュードのコアの破壊もしてきている。

コアの破壊はロイミュードにとって死を意味する。
ハート自体も蛮野に操られているとは言え同族が犯罪を犯していることに少なからず罪悪感を抱いていた。

でも、だからと言ってハートにとってはこの世界に存在する数少ない108体の仲間なのだ。
だからこそ、ドライブとは何度も戦った。

そして、彼の正義も理解していた。
だからこそ、祈るように思った。
(今回だけは邪魔をしないでくれよドライブ。
これだけは失敗することは出来ないんだ。)

言葉にしないのはその想いが通じたとしても叶わないと内心で分かっているからだ。

人間に仇なす機械生命体ロイミュード。
故に倒さないと行けない。

そう思われていることはハート自身、1番分かっていたのだから......


第二百十五話α「暴走する理由は何故?」

突入の準備が着々と進んでいく中、泊を含む特状課は照井と共に現場に足を向けていた。

作戦の指揮は仁良課長がやるので照井は後方で事態の確認をしている。

 

展開される部隊を見ながら照井は分析した。

 

「出入口を塞いでから突入するセオリー通りのやり方か。

面白味はないが確実性がある良い作戦だ。」

照井は作戦をたてた仁良をそう評するとこちらのメンバーに話を加える。

「分かっているとは思うが俺の役目は君達をこの作戦に参加させることだ。

この作戦は絶対に成功させないと行けない。

その為の無茶は俺が責任を取る。

だから頼む俺達に力を貸してくれ。」

 

そう言っていると作戦が開始された。

G3ユニットを装備した刑事が展開を終えると廃工場に突撃した。

しかし、その突撃を分かっていたように中から金と黒に塗装されたゴルドロイミュードが現れる。

 

「姿を現したな。

各隊、目の前のゴルドロイミュードを殲滅しろ!」

仁良の命令を受けて者達はスコーピオンを構えて弾丸をゴルドロイミュードに向かって発射していく。

 

弾はゴルドロイミュードの身体に当たると装甲を壊していく。

弾を受け過ぎた個体はそのまま倒れて動かなくなった。

だが、数体のゴルドロイミュードが倒されてから動きが変わり始め、スコーピオンの弾丸を避け出し遂には完全に回避されるようになった。

 

その光景を見ていた泊達は驚く。

「どういう事だ?あのゴルドロイミュードに一発も当たらなくなったぞ。」

その疑問にタブレットを操作していたりんなが答えた。

「あの新しいゴルドロイミュードはかなり危険ね。

見て、G3マイルドに弾丸を受けたゴルドロイミュードからかなりのデータが送られてた。

恐らくこれはスコーピオンの威力と発射パターンについてよ。」

 

「つまり、ゴルドロイミュード達は倒されたゴルドロイミュードからデータを吸収し進化しているのか?」

「えぇ、照井警視。

これは通常のロイミュードとは違う。

今までのロイミュードは自我が確立した"個"として動いていたけど、ゴルドロイミュードは"集団でありながら個の意識を共有しているんです"。」

 

そう話していると追田がゴルドロイミュードを指差す。

「おい見てみろ!さっきまでと違ってスコーピオンの弾丸が効かなくなってるぞ。」

追田の言う通り、ゴルドロイミュードはもう弾を回避することもしなくなり何発も当たっているが然したるダメージが無いのか平然としている。

 

「弾丸の威力を分析して耐えられる様に自己進化した?

ゴルドロイミュードは相当危険ね。」

「確かにこの強さはG3マイルドでは荷が重いな。

どうやら、仁良もそう思った様だ。」

 

現場にケルベロスを装備したG3Xの部隊が配備されたのを見て照井は言った。

「ケルベロスの一斉掃射で片付けるつもりか。」

そう語った直後、誰も予想しない異常事態が起きた。

 

「あぁぁぁぁぁ!!」

 

「くっ!...来るなぁぁぁ!」

 

「消えろ消えろ消えろぉぉぉ!」

 

突如、G3Xの装着員達が発狂し始めケルベロスをゴルドロイミュードではなく周囲の味方に乱射し始めたのだ。

 

「アイツら何やってるんだ!」

「いきなり、発狂し始めた?」

 

驚く追田とりんなを他所に照井は仁良に吠える。

 

「一体どうした!何故、味方に攻撃している?」

『わっ....分かりませんいきなり発狂して乱射を』

 

「直ぐに止めるんだ!ケルベロスの弾丸は強力だ。

G3マイルドの装甲を貫通する。

このままじゃ死人が出るぞ!」

 

そう照井が命令している最中、周囲の空間が一瞬でどんよりして重くなった。

ロイミュード以外の周りの動きがゆっくりとなっていく。

 

「重加速だと!?」

 

泊は辺りを確認しながらそう言った。

仮面ライダードライブの使用するアイテムである"シフトカー"には重加速の空間を打ち消す能力があった。

そのお陰で泊は直ぐに重加速の空間で動くことが出来たのだ。

 

『進之介!錯乱しているG3Xの装着者を止めなければ危険だぞ!』

「あぁ、そうだな。

行こうベルトさん!」

 

『Ok!Start your engine!』

 

泊は変身がバレない様に皆から離れて移動すると"シフトスピード"を手に取るとベルトのイグニッションキーを回す。

ベルトから変身待機音声がなりシフトスピードを変形させると左手に着けた"シフトブレス"に装填する。

 

「変身っ!」

 

掛け声をかけてシフトスピードを前に倒すとベルトが変身を認識した。

 

 

DRIVE type SPEED(ドライブ タイプ スピード)

 

すると、泊の身体に赤い装甲が纏われていきトライドロンからタイヤが射出されると泊の胸部に装着され仮面ライダードライブ"タイプスピード"への変身が完了した。

 

ドライブの形態の中で速さに特化しているタイプスピードが走り出すと直ぐに問題の現場に到着した。

 

到着した現場では錯乱して暴れるG3Xとゴルドロイミュードに痛めつけられているG3マイルドの集団の姿があった。

「クソッ!やられ放題じゃねぇか。」

『G3XもG3マイルドも重加速空間でも活動は可能だがドライブほど軽快に動くことは出来ない。

進之介!先ずはゴルドロイミュードの動きを止めてG3マイルドの部隊を救おう。』

 

「分かったベルトさん!

なら、これだな。」

泊はパトカーの形をしたシフトカーを取り出すと変形させベルトのイグニッションキーを回しシフトカーをシフトブレスに装填し動かす。

 

『タイヤコウカーン!!』

 

JUSTICE(ジャスティス)HUNTER(ハンター)

 

直後、泊の胸部のタイヤが入れ替わり片手に檻状の武器である"ジャスティスゲージ"が装備される。

 

そして泊は流れるようにイグニッションキーを回しシフトブレスのボタンを押す。

 

『ヒッサーツ!』

 

ベルトから待機音がなる中、シフトブレスのジャスティスハンターを動かす。

 

 

FULL THROTTLE(フルスロットル)

 

「JUSTICEHUNTER」

 

 

泊はジャスティスゲージをゴルドロイミュードに向けて投げつけるとそこから鋼鉄の棒が何本も現れ襲っているロイミュードを囲うと天井に複製されたジャスティスゲージが合体し即席の檻が出来ると電流が流れゴルドロイミュードの動きを停止させた。

そして、その檻が壁となりG3マイルドの部隊は襲われなくなっていた。

 

『襲っているゴルドロイミュードはこれで足止め出来る筈だ。

その間にG3Xを止めよう。

暴走している人数は"6人"か。

恐らく、催眠状態に近いのだろう気絶させれば正気に戻るかもしれん』

「良しなら手早く抑えるぞ。」

 

泊は高速で動き暴れるG3Xに近付くと持っていたケルベロスを弾き飛ばし腹部を殴り付けた。

殴られた隊員は倒れて気を失った。

「手荒だが許してくれ。」

『良い判断だ。

だが、他の奴等が進之介に気付いたようだ。

此方にむけて撃ってきているぞ。』

 

ベルトさんの言う通り、仲間をやられた5人のG3X達は泊にケルベロスを向けると一切、加減無く弾丸を放った。

 

「うわっ!マジかよ!?」

泊は持っていたジャスティスゲージを盾にしながらG3X部隊に近付くと一人ずつ無力化していった。

 

「うらっ!....良しこれで残りは1人か。」

『!?....進之介ゴルドロイミュードが檻を破りそうだ。』

「何だって!?」

 

ベルトさんに言われゴルドロイミュードの方向に目を向けるとそこには新たに現れたゴルドロイミュードが檻に捕まったゴルドロイミュードを破壊しようとしている光景が映っていた。

 

「アイツらダメージお構いなしで檻を壊そうとしているのか。」

『不味いぞあの檻が破壊されたら避難しているG3マイルドの部隊に被害が....』

 

「あぁ、早くケリをつけて助けに......!?

おい、何してんだ!」

泊はG3Xの目の前に現れた存在を見て焦る。

そこには何かに怯えて逃げようとしている"霧子"の姿があったからだ。

 

『なっ!?何故霧子君がこんなところに』

「やべぇ、G3Xの銃が霧子に向いてる!?

おい霧子!そっから離れろ!聞こえねぇのか!」

 

泊は大声で叫ぶが霧子はそれどころではなく何かから逃げるように動いており目の焦点も合ってなかった。

そして、そんな中錯乱していたG3Xのケルベロスが霧子に銃口を向けたまま発砲したのだ。

 

「ヤバい!このままじゃ霧子がっ!」

『だが、ゴルドロイミュードも危険だ!』

 

霧子か襲われているG3マイルドの部隊.....どちらを取るか選択に迫られた進之介は決断した。

 

もう一度、イグニッションキーを回しジャスティスハンターの必殺技を発動させると檻をゴルドロイミュードに投げつけそして泊は霧子にむけて走り出すと自分の体を犠牲にしてケルベロスの弾丸を防いだ。

 

ケルベロスから発射される弾丸がドライブの装甲に次々と着弾していく。

凄まじい火花を上げながらも泊は後ろにいる霧子の為、根性で耐える。

 

「ぐあっ!....うっ!」

『進之介ぇ!』

 

ベルトさんも泊を心配する。

そして、ケルベロスの弾が切れると泊は装着者を殴り気絶させた。

しかし、耐え続けたダメージは深く倒れてしまう。

 

「う....あ....」

『進之介しっかりするんだ!』

 

そして、この最悪なタイミングで霧子は正気に戻ってしまう。

「えっ.....と...まり....さん?」

動揺しながらも自分の起こした現実を理解した霧子は倒れている泊を見ながら自分のしたことを思い出してしまった。

 

 

「いやぁぁぁぁぁぁ!!」

 

霧子はショックのままに叫び続ける。

『しまった.....進之介!早くマッドドクターを使うんだ!』

そして、ここで更に最悪の事態が起こる。

 

ジャスティスハンターを使い作り出した檻からゴルドロイミュードが一体抜けてきたのだ。

そして、叫び続ける霧子に目を向ける。

『くっ!霧子君早く逃げるんだ!』

 

「いや....泊さん....そん....な....」

しかし、霧子は倒れている泊に目を向けたまま動けない。

『進之介!頼む目を覚ましてくれ!』

 

しかし、その声は泊には届かない。

そして、霧子に標的を向けたゴルドロイミュードが手を伸ばす。

『止めろぉぉぉぉ!』

叫ぶことしか出来ないベルトさん。

 

この絶望的な状況で助けもいない。

 

霧子の首へと伸びるゴルドロイミュードの腕.....

そのまま霧子の首をへし折るかと思えたがそれを止めたのは怪人状態へと変身したハートだった。

 

「俺と引き分けておきながら情けないぞドライブ。」

そう言うと掴んだゴルドロイミュードの腕を握り潰しながら胸部を殴り付けた。

ハートのパワーを諸に受けた肉体に穴が空けながら吹き飛ぶと爆発する。

 

『お前は....ハートか。

どうして私達を助けた?』

ベルトさんの問いにハートは答える。

「勘違いするな。

俺も蛮野に用があったに過ぎない。

これは気紛れだ。」

 

そう言うと泊達の元を離れて廃工場へと向かった。

窮地を脱したベルトさんは救援を呼ぶ。

『本願寺さん!直ぐに救援を....霧子と進之介が危険だ!』

 

その言葉を受けて泊と霧子は救出されるのだった。

 

 

 

Another side

 

救出される泊や霧子を遠くから怪人が見つめていた。

「あぁー、これは助けられちゃうか。

ドライブを始末する命令だけど....これ以上は難しそうだな。」

 

そう言うと怪人は首に手を当てるとそこからガイアメモリが排出される。

メモリには"T"の文字が刻まれておりそのまま携帯を取り出すと上司の仁良に連絡をつける。

 

「俺です仁良課長。

すいませんドライブの始末はしくじりました。

ですがG3ユニットの部隊の半壊、それにドライブも重症を負わせましたし蛮野への義理立てはすんだんじゃありませんか?

......いえいえ、これは口答えじゃありませんよ。

....分かりました。

では、確実にドライブを仕留める為に仕掛けをしますので暫く離れます。

えぇ、直ぐ戻ります.....では」

 

電話を切った男は溜め息をつく。

「全く、獅子神と違って臆病すぎて大変だなぁ。

まぁでも今はそんな臆病者に頼らないと行けないのは辛いところだよな。」

獅子神の敗北が見え始めたセブンスの幹部の中には早々に見限った者もいる。

彼のその一人だ。

 

この男はメモリの力を使い自分を売り込んだ。

そして、仁良に拾われて彼の元で隠れていたお陰で自分が元セブンスのメンバーだとバレずに済んでいたのだ。

 

だが、照井がこの作戦に参加していたことは彼からしても予想外だった。

(風都署に関係してる奴に能力を見られるのは不味い。

そう言う意味で言えばドライブを殺すのは悪くないかもしれないな。)

 

彼は遠くからドライブが変身解除するのを見ていた。

(アイツは風都に研修に来ていた若い刑事だ。

思い出す前に始末するためにも確実に仕留める策を考えないとなぁ.....)

 

そうして考えた策を使う為、メモリをもう一度起動した。

 

Trauma(トラウマ)

 

メモリを首に指すと複数の人間の手で全身を覆った怪人へと姿を変える。

トラウマドーパントの能力は身体に付いた無数の手を分離しその手に触れた者が最もトラウマになっている光景を幻視させる。

 

触れることさえ出来れば相手のトラウマを確実に引き出せる。

そして、この警察と言う職業は便利だ。

この仕事に関わる人間は大なり小なりトラウマを抱えている。

触れたらどんな存在でも混乱し発狂する。

それがG3Xの装着員や優秀な女刑事(霧子)でもだ。

 

風都にいた頃はこれを使って警察内部でミュージアムに敵対する刑事を消していた。

故にこのメモリの使い方を熟知していた。

隠れながら分離した手で対象に軽く触れるだけで良い。

後は任意のタイミングで能力を発動すればパニックを起こすのは簡単だ。

 

そして、触れた者はストック出来る。

能力を一度、使えば再使用にはもう一度触れる必要があるのが弱点と言える。

 

(まぁ、生物以外に効かないのも立派な弱点だがな。)

 

だからこそ、彼はロイミュードがドライブを守った段階で手を引いた。

機械である彼等に自分の能力が効かないからだ。

 

(さてと....仕込みを始めますか。)

 

そう考えた彼は移動を始めた。

その姿を遠くから見つめているガジェットに気付かないまま........

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