「このままではロイミュード達を逃がしてしまう。
もう一度、突入をするべきだ。」
「だが、また装着員が錯乱したらどうするんだ!
今度はどんな被害が起こるのか検討もつかないぞ。」
「仮にG3の部隊を使わない選択をしたら生身でロイミュードと戦わないと行けない。
それでは作戦実行は不可能です。」
「ではこのまま黙っていろと言うのか!」
「安全が確保されていないのにG3も使えないでしょう!」
解決策が決まらない中、腕を組み黙っている仁良課長は心の中でこの状況を喜んでいた。
(良いぞぉ....このまま作戦が長引き結論が遅くなれば蛮野が逃亡する隙が出来る。
作戦失敗の責任を問われたら錯乱したG3Xの装着員と特上課の
奴からの報告ではドライブにも重傷を負わせた。
くくっ....良いぞ良いぞぉ。
もっと、長引けぇ....)
そんな事を考えていると作戦会議室の扉が乱暴に開かれる。
「なっ!?何だ一体!?」
そう言って開け放たれた扉を見ると片手に仁良の部下を胸ぐらを掴んだ照井が入ってきたのだった。
照井の顔を見た仁良はビビりながら尋ねる。
「てっ....照井警視....こっこれはどういう事で...」
照井は仁良を睨みながら告げる。
「俺に質問をするな。」
「ひっ!」
そうしていると照井の後ろから本願寺と西城が現れる。
「きっ....貴様らは特上課のっ!」
驚く仁良に本願寺が告げる。
「仁良課長....もう止めませんか?
貴方が今回の事件を起こした事はもう分かっているんですよ。」
「なっ!何を言っている!
私を愚弄するのか!」
動揺する仁良に照井が言う。
「お前が関わっていないのならこれはどう説明する?
西城....画面に例の映像を」
「はいボス!」
西城はノリノリで自分のノートパソコンを操作すると画面に怪物が人間の姿に戻る映像が流れる。
「こっ....これは!」
「お前なら誰か分かっているだろう?
コイツは
元は風都の生活安全課にいた刑事だったがある日を境に転勤している。
この転勤命令を出したのはお前だな仁良.....
見て分かる通りコイツはガイアメモリを使っている訳だ。
そして、丸山が転勤を命令されたのは獅子神の組織が崩壊し始めた辺りからだ。
偶然にしては出来すぎているんじゃないか?」
「わっ....私は知らない!
丸山がガイアメモリを使って"ドーパント"になっていただなんて....」
「まだ白を切るのか....俺が何の証拠もなくここに来ると思ったのか?
西城....次のデータだ。」
「はい!」
そこで流れたのは丸山と仁良が話していた携帯の音声データだった。
そこには丸山が仁良の指示でドライブとG3Xの妨害を行ったことが話されていた。
そして、極めつけが『お前がしくじったら私は蛮野が持っていく映像が流されるんだそれだけは避けないと行けない。
この際、何人犠牲が出ても構わないから作戦を失敗させるんだ!』
この言葉が確定となり仁良の周りにいた人が離れる。
「な....んで....これが.....」
「俺がここに来たのはこの事件の捜査もあるが獅子神の組織から離れた構成員である丸山を捕まえることだった。
まさか、貴様と繋がっているとは思わなかったがな。」
「仁良、お前がガイアメモリだけでなくドーパントも知っていたと言うことはミュージアムとも何か関係があるのか?」
「........」
「だんまりか。
ならば、お前を逮捕してじっくりと取調室で尋問させて貰う。」
そう言って仁良に手錠をはめる為、近付こうとすると仁良が叫ぶ。
「丸山ぁ!!俺を助けろぉ!」
その言葉が聞こえた瞬間、作戦会議に来ていた警察官が苦しみ出し発狂する。
「うぁぁぁぁぁぁ!!」
「来るなぁ!助けてくれぇ!」
「しっ、死にたくなぁい!」
発狂して暴れ始める警察官を照井と本願寺が抑えてる間に仁良は西城を突き飛ばして扉を抜けて逃走し始めた。
「くっ!やはり仕掛けていたかっ!」
「照井警視!ここは我々で何とかします貴方は仁良を追ってください。
逃げた先に丸山もいる筈です。」
「だが!」
「我々だって特状課の一員です....早く!」
本願寺の言葉を受けて照井は仁良を追っていった。
残ったのは本願寺とパソコンを抱えている西城だけだった。
「ももも勿論、何か作戦があるんですよね?」
西城が本願寺に尋ねるが本願寺は大量の汗をかきながら言う。
「.....究ちゃん。
何か良い作戦無いかな?」
「えぇぇぇ!?嘘でしょぉぉぉ!」
何の作戦も無い事を話す本願寺と西城は焦りを隠せずにいると錯乱した警官が二人に襲い掛かる。
そこに白衣を来た男が現れると空中で回転しながら回し蹴りを当てて錯乱する男を気絶させた。
「ありゃ!ここでも警官が暴れてんのか。」
「きっ...君は?」
尋ねる本願寺に男は答える。
「監察医の
何か急に警官が暴れ出し始めたんで無事な奴だけでも助けようと動き回っていてここに来た感じですね。」
九条 貴利矢は仮面ライダーエグゼイドに置いて監察医でありつつ仮面ライダーレーサーとして活躍した男であるがこの世界では鋭い洞察力と分析力を買われて警視総監が率いるチームの分析官として抜擢され照井と共に派遣されていた。(これは余談だが花屋も優秀さと照井との交流があり医療班として別のチームに配属されている。)
錯乱したG3Xの装着員や霧子を診察し外的要因により錯乱したことを突き止めたのも九条であった。
「照井さんが出てったって事は犯人を追ってるんでしょう?
助太刀しますよ特状課の皆さん。」
そう言うと九条は錯乱している他の警官に目を向ける。
「ちょーっとノッて動くから痛いだろうが我慢してくれよ。」
そう言うと九条は錯乱している警官を相手に本願寺と協力して鎮圧していくのであった。
尚、この鎮圧作業により本願寺のギックリ腰が再発し事件解決まで動けなくなってしまった。
「はぁはぁはぁ.....クソッ!何でこんなことにぃ」
仁良は錯乱している警官を尻目に逃げ回っていた。
こんな筈ではなかった。
仁良の計算ではこのまま事件が迷宮入りする筈だったのに照井のせいで全て台無しになったのだ。
(もう、警察には居られない。
照井にバレた以上、全てがバレるのは時間の問題だ....ならばっ!)
仁良は外に出ると大声で叫ぶ。
「丸山ぁ!早く来いぃ!」
その声を聞いて
「そんなに大きい声で叫ばなくても分かりますよ。
てか、照井にバレちゃったんですね。」
呆れ気味に砕けた口調で丸山が言うと仁良が怒る。
「うるさいっ!元はと言えばお前が変身している姿を取られるのがいけないんだろう!」
「責任転嫁は良くないですよ?
それにあの場所で変身して暴れさせることを決めたのはアンタでしょう仁良さん?」
「う.....ぐぅ。」
「まぁでも、遅かれ早かれバレてましたし逃げられただけ良しとしましょう。
アンタの事だ。
逃げる算段は準備しているんでしょう?」
「.....セーフハウスに逃亡用の資金と足がつかない車がある。」
「その場所を教えてくれますか?」
「ダメだ、俺を連れて行かなければ話さん。」
仁良の目を見た丸山は溜め息を付く。
「はぁ....メモリの力を使っても情報は引き出せないですからねぇ。
仕方が無い。
良いでしょう貴方を無事に運んで上げますよ。」
そんな話をしていると照井が仁良達の元へ追い付いた。
「見つけたぞ仁良それに丸山だな?」
その問いに丸山が答える。
「ありゃりゃ、もうそこまでバレてるんですか。
参ったなぁこれは.....」
「お前がセブンスの幹部として獅子神と組んでいた事も分かっている。
風都署での汚職の隠蔽や関係者の始末をしていたのは貴様だろう?」
「そこまで分かってるなら隠す意味もないですね。
その通りです。
獅子神の指示で色々とやりましたよ。
"キメラメモリを使った実験"の時は大変でしたねぇ。
警察からメモリとドライバーを奪い取るのには苦労しましたよ。」
「.....正義にヒーローメモリとドライバーを渡したのはお前だったのか。」
「えぇ、お陰で良いデータが取れたみたいで獅子神は喜んでましたよ。
まぁ、今となってはどうでも良い話ですが....」
「何故だ?お前は警官の筈だろう?
何故、警察官が犯罪に荷担した!
セブンスに入りメモリを売り捌く等、到底許される事ではない!」
「熱いですねぇ....アンタみたいなのがきっとまともな刑事なんでしょうね。
でも私にとって警官とは"ビジネス"なんですよ。
自分の利益を出す為の手段であり道具。
この立場を使えば合法非合法問わず金を稼ぐのは難しくない。
法の抜け穴を自分でつけますからね。」
その言葉を聞いた照井は怒りから手を握る。
「お前のような奴が.....警察を名乗るな。」
「どうせもう名乗れませんよ。
それに貴方も名乗れなくなる。」
そう言われると照井の顔の前に手が現れて照井を掴んだ。
「なっ!?」
「トラウマメモリの利点はトラウマを与える手を"不可視化出来る"所なんですよ。
このメモリのフルパワーは受けた人間を簡単に廃人に出来ます。
折角ですから味わってみてください。」
丸山がそう言うとトラウマメモリの力を発動し照井の心のトラウマを彼の心に映し出した。
すると、照井は糸が切れた人形のように一点を見つめて動けなくなってしまう。
その姿を見て仁良が丸山に尋ねる。
「や.....やったのか?」
「まぁ、最大級のトラウマを与えましたからもし復活するにしても数ヵ月はかかるんじゃないですか?
さぁ、今の内に行きますよ......!?ぐっ!」
そう言ってその場を後にしようとした丸山は突如、起こった痛みに頭を抑える。
「ど....どうした丸山!?」
焦る仁良だが後の光景にさらに驚くこととなる。
それは顔に当てられた腕を握りながら立ち上がる照井の姿だった。
それを見た丸山は頭を抑えながら驚く。
「ばっ...バカな!?
あのトラウマを受けて直ぐに正気を取り戻すなんてあり得ない!?」
「確かに随分と悪趣味な物を見せられたな。」
照井が見たトラウマは家族が井坂によって殺害される光景だった。
悲痛な声を上げながら殺される家族、それを笑う井坂の姿を見させられた。
だが、その後の光景が逆に照井の心を呼び覚ましてしまった。
"鳴海亜樹子が井坂に殺されそうになる瞬間"を見た照井は幻影の井坂を殴りつけた。
照井の心を折る為に見せたトラウマが逆に照井の怒りを引き出し闘争心に火をつけてしまった。
そうして現実世界に引き戻された照井は顔を掴んでいる手を握ると顔から引き剥がした。
「下らない小細工で俺を止められると思うなよ。」
その時の照井は普通に言い放ったつもりだっただろうがその顔は本人でも気付かない程、怒りが漏れ出しておりそれを見た仁良は足が生まれたての小鹿の様に震えてしまっていた。
照井は残った手でアクセルドライバーを取り出すと腰につけた。
井坂との決戦の後、照井のアクセルメモリは力を使い果たした影響で変身できなくなっていた。
その為、無名が改修をしていたが照井が風都を離れた後に完成したのかメモリとドライバーを送ってくれていた。
だが、やはり起動にはアクセルメモリの復活が必要らしくトライアルメモリも調整はしたもののアクセルメモリが復活するまでは使わない方が良いと言われていた。
だからこそ、照井はアクセルに変身出来ず、泊が重症になっても助けられなかったのだ。
なら何故、照井はドライバーを付けたのか?
それは幻影を破った瞬間、まるでエンジンに火が灯るように胸に閉まったメモリが熱くなるのを感じたからだ。
照井はアクセルメモリを取り出して見る。
メモリはまだ白いが中心部の色合いが赤くなっていたのだ。
(漸くエンジンが掛かったと言ったところか....)
そう考えると照井は丸山に伝える。
「丸山....どうやらまだアクセルメモリは不調のようでアクセルにはなれそうにない。」
そう言って照井はアクセルメモリを仕舞う。
「だから、"手加減"は出来ん。
覚悟しておけ。」
そうして照井は"トライアルメモリ"を取り出すと起動した。
「TRIAL」
久し振りに聞いたガイアウィスパーと動作ながらも照井はドライバーにメモリをセットするとスロットルを思いっきり回した。
「変...身」
照井の声と共に照井の肉体が変化すると青い装甲をしたアクセルトライアルへと変身が完了する。
その姿を見た仁良と丸山は驚愕する。
「アンタがかか....仮面ライダーぁ!?」
「まさか、風都を守る仮面ライダーの片割れであるアクセルが貴方だったとは思いませんでしたよ。」
そんな驚きを余所に照井は二人を睨みつけて言った。
「さぁ、振り切るぜ。」
先手を取ったのは照井だった。
トライアルの速度を使い一瞬で丸山との距離を詰めると拳を振るった。
丸山は両手を使いガードするがドカン!と言う音と共に丸山は後方へ吹き飛んだ。
ガードに使った腕が痺れているのか両腕が下がる。
「なんて威力のパンチだ!?」
丸山は痺れて下がった腕を見つめながら言うがこれには照井も内心驚いていた。
アクセルトライアルは攻撃力を犠牲に速度と手数を増やして対応する形態だ。
井坂を倒す前の照井の攻撃だったならば丸山も吹き飛ばずに耐えられただろう。
だが、ブーストメモリによるアクセルメモリとの適合率の急上昇によってそれに付随してトライアルメモリのパワーも上がっていたのだ。
今の照井のトライアルならば徒手空拳だけでもドーパントに致命的なダメージを与えられるほど強くなっていた。
拳を受けた丸山もそれが分かっていたのか切り札を切った。
突如、丸山の前にチョッキを来た市民達が集まり出したのだ。
動き出しそうとする照井を丸山は止める。
「止まってください動いたら彼等の命はありませんよ?」
「何?」
「彼等には"爆弾付きのチョッキ"を来て貰っています。
そして、手には起爆スイッチも.....そしてここにいる全員、私のトラウマメモリの影響下にいる。
貴方が少しでも変な動きをすればメモリの力を発動し発狂させて爆弾を爆発させます。」
「人質と言う訳か。」
「えぇ、本当はドライブに使いたかったんですが仕方ありません。」
「....全部で"9人"か。」
「はい、ドライブがいくら素早くても9人の爆弾解除は出来ないでしょう?
ですから私達が逃げるまで諦....ぐあっ!?」
そこまで話した丸山だが急接近した照井のキックをくらい地面に倒れてしまう。
「警察官が人質を使って脅すとは....もう許さん。」
「バ...カがっ!爆弾のスイッチは私も持っているんですよ!」
そう言って丸山はスイッチを押して爆弾を起動した。
ドーパントになっている自分やアクセルにはダメージは無いだろうが人質を見捨てて殺したと言う結果は残る。
そう思い起動させた爆弾だが爆発が聞こえたのはチョッキを着けていた市民達では無く上空からだった。
「何っ!?」
「俺が人質を見捨てて貴様を殴ると思うか?
全員分の爆弾を外して上空に投げさせて貰った。」
「バッバカな!貴方の速度でそれをやったと言うのですか?」
「お前に近付いた速さが俺の"フルスピード"だと思ったか?」
照井の言葉に丸山は戦慄する。
丸山に殴り掛かった時の照井の速度は丸山の目で追えるものでは無かったがそれでも爆弾を着けた9人の人質に対応できるスピードでは無いと思っていた。
だが、実際は人質9人の爆弾を外し上空に投げつけ克つ丸山を蹴れる程の余裕があったのだ。
規格外の速さを手に入れたトライアルに変身した照井は丸山に告げる。
「余り貴様らに時間をかける訳には行かない。
これで決めさせて貰う。」
照井がトライアルメモリを抜き取るとスイッチを押して上空に放り投げた。
その瞬間、丸山の身体が空中に吹き飛ぶとまるでピンボールの玉の様に上下左右に吹き飛ばされていく。
凄まじい衝突音が数秒続くと空中にあったトライアルメモリが姿を消し地面に照井が現れるといつの間にか手に持っていたトライアルメモリのスイッチを押した。
「TRIAL MAXIMUMDRIVE」
「2.5秒....それがお前の絶望までのタイムだ。」
突如、爆発が起こり丸山の身体から砕けたトラウマメモリが排出されると地面に落下した。
照井は死なないように丸山を受け止めると気絶した丸山に言った。
「お前には余罪がたっぷりとある。
刑務所でじっくりと吐かせてやるから覚悟しておけ。
.....そしてお前もだ仁良。」
照井は逃げようとした仁良の腹部を軽く小突く。
「ごへぁ!」
強くなったアクセルトライアルの小突きでも普通の人間からすればプロボクサーのパンチぐらいには重い。
それを喰らった仁良は腹部を抑えながらゲロを吐くとそのまま意識を失った。
変身を解除した照井は二人に手錠をかける。
「風都署の残した膿がこんな所にも来ているとは.....風都は大丈夫だろうか?」
照井が考えているのは風都の事だった。
翔太郎達と連絡を取っていた事もあり彼方の状況も把握している。
(ガイアインパクトの阻止には間に合わないと言われて俺は風都を離れたが.....やはり心配だな。)
照井の頭には先程のトラウマで見た亜樹子の顔が浮かぶ。
本当なら直ぐにでも風都に戻りたい。
だが、俺には警察官としての仕事がある。
「さっさと蛮野を捕えて、この事件を解決して見せる。」
照井はそう意気込むと携帯で付近の警官に裏切り者である仁良と丸山の捕縛を伝えるのだった。
『現状解説』
※照井がアクセルへの変身が可能になった。
だが、メモリが起動しただけでアクセルには変身できない。
ブーストメモリもまだ修復が済んでいないので今回、使えるのはトライアルメモリのみ
※メモリとの適合率が上がりトライアルが強化された。
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