もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第二百十九話α「ロイミュードの心は何処にあるのだろうか?」

最初に進之介とハートが狙ったのはメディックでは無く二体のゴルドロイミュードだった。

 

進之介が取り出した"ハンドル剣"でゴルドロイミュードに斬りかかる。

進之介の斬撃がロイミュードの装甲を傷付けていくが数手、当て終わる頃には学習し攻撃を回避し始められる。

 

「コイツら、前会った時より強くなってないか?」

『恐らく、大量に集められた戦闘データを解析しパターン化したのだろう。

普通の攻撃では直ぐに対応されるかもしれん。』

 

「なら、普通じゃない攻撃ならどうだ?」

ドライブは新たなシフトカーを手に取るとシフトブレスに装填する。

 

『タイヤコウカーン』

 

DIMENSION(ディメンション)CAB(キャブ)

 

ドライブのタイヤが黄色と黒の模様に変化するとそこからタイヤが半分に分かれて上半身が落下する。

普通ならホラーな光景だがこれがディメンションキャブの能力でありタイヤ越しに空間を分けて移動する事が出来る。

 

分かれた上半身と下半身はそれぞれ動かすことが出来るのを利用してそれぞれが別の動きをしてゴルドロイミュードに攻撃を仕掛けた。

『成る程、確かにこれなら対応される前に倒せる。』

「あぁ、一気に行くぞ!」

 

進之介がゴルドロイミュードにトドメを刺そうとした瞬間、メディックの身体から現れた触手がドライブを吹き飛ばしディメンションキャブの能力を解除させる。

「ぐあっ!」

「そう簡単には行かせませんわ。

さぁ、傷を治してまた戦うのです。」

 

メディックが治癒能力を発動しゴルドロイミュードの傷が治るとそれに伴いメディックが苦しみ出す。

「いやぁぁ!」

「メディック!」

 

「どう言うことだ?どうして治した方が苦しんでいる?」

「蛮野の策略だ。

今のメディックは誰かを治療する度に身体を傷付けてしまう。

だから、ゴルドロイミュードに手を出せないでいたんだ。」

 

「何だって!?」

『それでは人質と変わらないじゃないか!?

自分の発明品をそこまで貶めるなんて蛮野.....そこまで堕ちたか。』

 

「感傷に浸ってる場合じゃないぞベルトさん!

このままじゃ、長期戦になってメディックが苦しむだけだ。」

『そうだな。

タイプスピードでの戦法は相性が悪そうだ。

ここは少し強引に行こう。

進之介!"タイプワイルド"だ。』

「分かったベルトさん。

来い!"シフトワイルド"」

 

進之介が手を伸ばすと黒くガッシリしたシフトカーが現れ進之介の手に収まる。

進之介はそのまま流れるようにシフトカーを交換しシフトブレスに装填するとイグニッションキーを回しシフトカーを展開した。

 

DRIVE type WILD(ドライブ タイプ ワイルド)

 

変身音が鳴るとドライブの真っ赤な装甲から黒く重工な装甲へと変化し肩からはめられたタイヤは右肩に合体し肩当ての様になった。

パワーとスタミナが高いタイプワイルドならベルトさんが言った様にある程度の無茶がきく。

 

変身が完了すると今度は別のシフトカーが進之介の手に収まった。

「これは....フッキングレッカー?」

『ダメージを回復されるとメディックにダメージが行くのならばダメージが回復できない位置まで飛ばしてしまえば良い。』

「そう言うことか!

ハート暫く、ゴルドロイミュードの相手を頼んだ。」

 

「分かった!任せるぞ!」

進之介がシフトカーを装填している間、二体のゴルドロイミュードとメディックの足止めをする。

その間にタイヤ交換を終えた進之介がフッキングレッカーの能力を発動する。

 

進之介の腕から牽引用のワイヤーロープが放たれると二体のゴルドロイミュードを締め上げるとタイプワイルドの力を使って上の壁まで投げ飛ばした。

『ハート!何でも良いから奴らを壁に固定しろ!』

「良し....これでどうだぁ!」

 

ハートが工場の鉄パイプを抜き取ると上空のゴルドロイミュードに渾身の力を込めて投げる。

ハートのパワーが乗った鉄パイプはゴルドロイミュードの装甲を貫通し壁まで貫いた。

結果、ゴルドロイミュードは上空に固定されてしまう。

 

「何て野蛮な事を!?」

「回復には行かせないぞメディック!」

進之介がメディックにハンドル剣を振るう。

「蛮野様の邪魔をするなんて....神への反逆よ!」

『人は神にはなれない。

そして、神である必要もない。

何故なら生物の理から外れた"化け物"を我々は神と呼ぶからだ。』

「ベルトの姿になっても人にしがみつくんですの?」

 

『それが....私がまだ生きている意味だからだ!

"私は人として"蛮野を止める!

それが彼の友だった私に出来る最後の事だからだ。

だから、この姿になっても闘う。』

「俺もそうだ!

刑事として仮面ライダーとして目の前で起こっている悪と犯罪を許す訳にはいかない!

だから、先ず君を救う。」

 

「救う?私は救われる事など....」

「ある!蛮野の手から君を救う。

その為に俺は来たんだ!」

戦っているメディックの背後からハートが現れると彼女を羽交い締めにして動きを止める。

 

「離....しな...さい!」

「断る!俺もブレンも君を救う為に来たんだ!

進之介...頼む!」

 

「分かったハート。

ベルトさん!」

『今解析したメディックを洗脳しているチップはコア深くに付けられている。

これを破壊するにはチップを一瞬で消し去る"破壊力"とコアを傷付けずに撃ち抜く"正確さ"が必要だ。』

 

「精密作業ならシフトテクニックの出番だな。」

進之介が緑色のシフトカーである"シフトテクニック"を呼び出すとイグニッションキーを回しシフトブレスに装填した。

 

 

DRIVE type TECHNIQUE(ドライブ タイプ テクニック)

 

すると、全身が緑色の装甲に変わり首の部分にタイヤが嵌め込まれタイプテクニックへの変身が完了する。

進之介はテクニックの頭部に備え付けられた分析装置を起動するとメディックのコアを確認する。

 

胸の中心部に009と書かれたコアが見えておりその周りが赤と青のコードで絡まっておりその中心に黒い何かが取り付けられていた。

「これが洗脳に使っているチップか。」

『あぁ、その様だな。

だが、随分とコアに近い何度もトライ出来る余裕はないだろう....チャンスは一回だけだ。』

 

「あぁ、分かってるさベルトさん。

来い!ドア銃、マックスフレア!」

進之介か呼び掛けるとドア銃とマックスフレアが現れそれをキャッチした。

進之介はドア銃にマックスフレアを装填すると構える。

 

『ヒッサーツ』

 

ベルトから流れる声を聞きメディックは危険を察知し全身から触手を展開する。

身体を抑えることだけしか出来なかったハートは触手が進之介に向かうのを止められなかった。

闇雲に振るわれる触手を進之介は無視してドア銃を構え続けていた。

 

触手が身体に当たり傷を付けようとお構い無しに....

『進之介.....』

「ベルトさんハート....俺の事は気にするな。

人質となっているメディックは絶対に俺が救う。

だから、今は彼女の心配を....」

 

その姿を見たハートは進之介と無名を重ねる。

(自分が傷付こうと誰かの為に戦える。

それが人間でもロイミュードでも関係無く......

どうやら、俺はまだ泊 進之介を過小評価していたみたいだな。

彼は"人間であり刑事でありまた仮面ライダー"なんだ。

ならば、俺も彼女を救う為に出来る事をする。)

 

「うぉぉぉぉぉ!」

 

突如、吠え始めたハートの身体から蒸気と大量の熱が放出される。

ハートの持つ特殊能力である内燃機関を限界以上まで解放する形態"デットゾーン"。

その凄まじい力は使用者であるハートでも完全にコントロールは出来ない。

 

だが、それが今は好都合だった。

放出される熱と力によりメディックの触手が焼き切れ進之介への攻撃が止む。

 

「行けぇ!泊 進之介ぇ!」

 

「うぉぉぉぉぉ!」

 

吠える進之介がドア銃の引き金を引く。

圧縮されたマックスフレアのエネルギーがビーム状になりメディックに向かって照射される。

放たれたビームがメディックに当たると人形の糸を切ったようにメディックは動かなくなり人間態の姿へと戻る。

 

意識を失い倒れるメディックにハートと進之介は駆け寄るのだった。

 

 

 

工場内を爆走するトライドロンは警備に回されているゴルドロイミュードを片っ端から轢きながら前へと進んでいた。

荒々しい霧子の運転にトライドロンに乗っているブレン(人間態)はハンカチで口を抑えながら耐える。

 

ひぃぃ!?何て横暴で粗雑でがさつな運転をするんですか!

本当に刑事なのですか貴女は?」

「仕方ないでしょう!?

安全運転で蛮野を逃がすよりも多少危険でもスピードを上げる必要があるのよ!

それに貴方もロイミュードならこれぐらい雑作も無いでしょう。」

 

「私は他のロイミュードと違い知的で繊細なんです!

人間に個性があるように我々にも....って!

前を見てください前ぉぉぉ!!

ブレンの嘆願も空しくトライドロンはナビで示された最短距離を進みコンクリートの壁をぶち抜くと制御室であるメインコンピューターへと到着したのだった。

 

トライドロンから降りた霧子は対ロイミュード用の弾丸が入ったリボルバーを構える。

「.....クリア。

取り敢えず、周りに敵はいなさそうね。」

「信じられない....これが無名と同じ人間の所業なのですか。

やはり、人間は理解しがたい。」

 

「ブレンと言ったかしら?

ボサッとしてないで手伝ってください。

ハートにもそう言われたんでしょう?」

「言われなくてもやりますよ。

全く....人使いの荒さはハートみたいですね。」

 

ブレンはそう悪態を付くとロイミュード態に変化しメインコンピューターに自ら生成した毒を被せた。

「何をやっているの?」

「私の毒にはシステムをクラックし掌握する能力があります。

これを使い今、活動しているゴルドロイミュードの機能を停止させました。

コアが無い操り人形はこれで無効化出来る筈です。」

 

「コアが無い?....それってどう言う意味」

「我々ロイミュードは肉体となる"バイラルコア"と魂に該当する"ナンバリングコア"の二つがあります。

肉体の方はいくらでも生産できますがナンバリングコアは"108体"しか存在せずそれ以上は増やせない様に蛮野に作られています。

つまり、今外で活動しているゴルドロイミュードの総数とナンバリングコアの数は合わないのです。

恐らく蛮野は命令を聞き行動するシステムを組み込んだ操り人形を作りそれをメディックが指揮していたのだと思います。」

 

「文字通り、世界征服の駒として使うつもりだったのね。」

「それもあるでしょうが、私は蛮野の目的は別にあると思います。

ゴルドロイミュードには相対した敵の能力や行動パターンを学習する機能が付けられていました。

もし、私達やドライブとの戦闘データが目的なのだとしたら....」

 

『相変わらず素晴らしい洞察力....私がブレンの名を与えた事だけはあるな。』

突如、聞こえてきた蛮野の声に二人は警戒心を上げる。

「メインコンピューターは停止させました。

もう操り人形は使えません。

貴方の敗けです蛮野。」

 

『ふっ....アレが止められるのは想定の範囲内だ。

奴等の目的はあくまで時間稼ぎなのだからな。』

「やはり、目的は我々とゴルドロイミュードとの戦闘データですか。」

 

『その通りだ。

戦闘能力を極限まで引き上げるG4システムを組み込んでいてもお前達の強さは驚異だ。

ならば、どうするか?

"学んでしまえば良い"。

相手の能力を戦闘パターンを学べば差は埋まりG4システムを持つゴルドロイミュードが敗北することはない。

お前達のお陰で素晴らしいデータが取れた。

これでゴルドロイミュードはまた完成に一歩近付く。

何れは"超進化"にも至るだろう。』

「超進化?」

 

『何だクリムならとっくに気付いていると思ったが....まぁ良いだろう説明してやる。

私の作り出したロイミュードには成長の段階がある。

初期はバイラルコアで肉体を得た素対の状態。

"下級ロイミュード"と呼ばれる状態から始まり、色々なデータを学ぶことで"上級ロイミュード"へと進化する。

ハートやブレン、メディックがその個体に入る。

そして、上級になったロイミュードが更にデータを吸収し限界を超えると"超進化"と呼ぶ究極の進化を行うことが出来るのだ。

私がお前達を生かしているのはその超進化へ至る可能性があるからだ。』

「私達に超進化をさせて貴方に何のメリットがあるのです蛮野。」

 

『そこまで教える義理はない。

さぁ、そろそろ始めるとしようか。

喜びたまえ.....お前達は歴史的瞬間に立ち会えるのだからな。』

そう言うと工場がライトアップされそこに一体のゴルドロイミュードが映された。

『コイツは他の"ゴルドロイミュード00"。

あらゆるロイミュードを統率できる性能を持ったハイエンドモデルだ。

これにはこれまでの戦闘データを解析し作り出した最高のプログラムが内蔵されている。

後はコアが入れば起動できる。

そう...."私と言うコア"が入ればな。』

 

「まさか!?...させません!」

ブレンが生成した毒をゴルドロイミュードに放つがそれが到達する前にゴルドロイミュードから放たれた衝撃波で吹き飛ばされてしまう。

 

動き出した蛮野の意識が入ったゴルドロイミュードが話し始める。

『あぁ、何て素晴らしい性能だ。

これこそ私が....人類を管理するこの蛮野天十郎が扱うに相応しいっ!』

蛮野の魂が完全にゴルドロイミュードに移ると身体が光り素対の姿から変化した。

その姿はロイミュードとして機械的な意匠を残しながらも何処かドライブに近い形をしていた。

 

自らの身体が完成したことに喜んでいると彼の身体に火花が上がる。

その方向に目を向けると霧子が蛮野に向けて拳銃を向けていた。

『実の父親を撃つとはとんだ親不孝者だな。』

「貴方は私の父であると同時にロイミュードを利用してテロを行う犯罪者です。

私達、家族の事を想うのなら自首してください。」

 

それは霧子が出す家族故の最後の両親だった。

悪に堕ちたとしても血の繋がっていた家族だ。

「弟を....剛の為にも...お願い...父さん。」

嘆願する霧子の顔を見た蛮野は顔を伏せる。

 

 

『あぁ....霧子。

お前は本当に家族思いだな。

お父さんは嬉しいよ.....だがその程度ならばお前は"要らない"な。』

「危ない!?」

 

突如、蛮野が霧子に手を向けると転がっていたゴルドロイミュードの残骸が一斉に霧子に襲いかかってきた。

間一髪で気付いたブレンが間に入り彼女を助ける。

 

『私の偉業を邪魔するのならば例え家族であっても敵だ。

もう少し頭が良かったのなら利用しても良かったんだがやはりあの女()のせいだな。

下らない正義感に支配されてしまうとは....お前は用無しだここで死ね。』

蛮野が指を弾くとゴルドロイミュード達が赤熱し爆発を起こした。

 

爆発が晴れると地面には黒焦げになった霧子だった焼死体とブレンの物であろうロイミュードの素体の破片が落ちていた。

『さて....ハート達の所にでも行くとするか。』

蛮野は興味が無くなった様にその場を後にする。

 

蛮野が出ていくと"焼死体の身体が崩れ始め毒液の姿"に戻った。

すると、トライドロンの後ろから傷付いたブレンと彼に肩を貸す霧子が現れた。

「毒で作った死体が上手く行ったみたいですね...ぐっ!」

「ブレン!貴方どうして?」

 

霧子を爆発から守ったのはブレンだった。

自分の身体を盾にしながら爆発の威力を使いトライドロンの裏に隠れると毒で作った死体を用意した。

そのお陰で霧子は助かったのだ。

 

「さぁ、私にも分かりません。

何故、人間なんかの為に盾になったのか。

ただ、家族の話を聞いて少し懐かしくなったのかもしれませんね。」

 

これは蛮野の反乱を止めた頃の話。

互いに勝利ついて喜んでいる中、ブレンは京水と話していた。

「私には不思議です。

貴方達、NEVERは死を克服した超人兵士の集団だと聞いています。

それなのに生きている事を喜びあっている。」

 

「あら?いくら私達が不死身に近くても痛いし死ぬのは怖いわよ。

だって、死んだら克己ちゃんや皆に会えなくなってしまうじゃない?

私はね生前、仲間だと思っていた奴に裏切られて殺されちゃったの。

けど、お陰で次の人生は満足で満ち溢れてるのよ。

優秀でイケメンの克己ちゃんでしょ筋肉マッチョメンの堂本ちゃん、クールなスナイパーイケメンの芦原ちゃん.....それにちょっとムカつく事もあるけど大事な仲間のレイカ。

私の人生はね一度死んでから充実し始めたの。

ずっと一緒にいたい...."恋人と言うより家族"みたいなものね。」

 

「家族....それはそんなにも大切なものなのですか?

私達、ロイミュードには家族がいません。」

「そうかしら?私には貴方達、ロイミュードも立派な家族に見えるけど」

 

「そうなのですか?」

「えぇ、共に生きたいと思える間柄になれた。

その者達と生きていくのもまた一つの家族よ。

ハートやメディックは貴方にとってそんな存在なんじゃないかしら?」

 

ブレンは考えたこともなかった京水の言葉に何も言えないでいた。

「.......」

「そんな深く考えなくても良いわ。

何れ、時間が答えを教えてくれるもの」

 

 

(今なら分かりますよ京水。

貴方が私に何を言いたかったのか。)

 

人について多生なりとも理解できたブレンは立ち上がろうとする。

「今は蛮野を追いましょう....あの男の事だ。

きっとろくな事をしな....ぐっ!?」

「無茶よブレン!

貴方はダメージを受けすぎている。

今は貴方を安全な場所へ動かすことが優先だわ。」

 

「しかし!?」

「メインコンピューターを破壊したのならコアのないゴルドロイミュードは動かないんでしょう?

それだけでも十分な成果よ。

後は泊さんとハートを信じましょう。

ありがとうブレン。

それに対ロイミュード用の弾丸で傷一つ付かなかった私が行っても今は足手まといになる。」

 

そう言って唇を噛み締める霧子を見てブレンも納得した様に言った。

「分かりました。

私も戦闘能力で言えばハートに劣ります。

今のままでは私達は足手纏いになりますね。

戻りましょうか。」

 

そうして霧子はブレンをトライドロンに乗せると戦線から一時離脱するのだった。

外伝 続編の投稿に関して

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