蛮野との戦闘に勝利したドライブは変身解除するとハードと進之介は分離した。
お互い疲労から地面に倒れながらも顔は満足げであった。
「はぁはぁ....やったなハート。」
「あぁ、お前のお陰だ....進之介。」
『ナイスドライブだ二人。』
人間とロイミュード違う存在でありながら互いの健闘を称え会うその姿はこれから先の未来へ希望を抱かせてくれた。
そしてそれはロイミュードを敵視していたベルトさんにも変化を及ぼした。
(ハート達がロイミュードを統率してくれるのなら....もしかすると出来るかもしれない。
人類とロイミュードが共に歩く未来も....)
そうベルトさんが考えている間、ハートはギリギリ動く首を回しメディックに目を向けた。
「メディック、お前も助けられて良かった。」
「ハート様....私を助けていただき感謝します。
泊 進之介様....貴方にも感謝を...」
「ははっ、そんな真面目に感謝されると何か照れ臭いな。」
そんな話をしていると急に身体が重くなる感覚に襲われる。
「なっ!?これはどんより?」
「違う....重加速じゃない。」
『その通り、これは重加速を改良し作り出した。
名付けるなら"超重加速"と言った所か?』
「その声は.....蛮野!」
『バカな!?確かにコアを破壊した筈だ。』
『あぁ、確かにコアは破壊された。
だが、バックアップを用意してないとは言ってないぞ?』
そう言って目の前に一体のシフトカーが現れる。
見た目はシフトスピードと瓜二つだがカラーリングが金と赤色になっていた。
そのシフトカーから蛮野の声が聞こえてくる。
『シフトカーは重加速の空間で動けるようにコアドライビアが搭載されている。
私の技術があればそこにロイミュードと同程度の思考データを取り込めるメモリを作る事など雑作もない。』
「蛮....野.....」
『貴様らには感謝している。
不完全であったゴルドロイミュードの完成に協力してくれたのだからな。』
「何だと?」
『この戦闘によりゴルドロイミュードは完成した。
このデータさえインストールすれば強力なゴルドロイミュードを私の手中に収められる。』
『どういう意味だ蛮野?』
『冥土の土産に教えてやる。
ハイエンドモデルのゴルドロイミュードはあの一体だけではない。
これから先の計画に備えて複数体作り終えている。』
「「「!?」」」
『後はお前達をこの工場ごと始末するだけだ。
破壊されたゴルドロイミュードには起爆剤が大量に仕込んである。
お前達を縛り付ける超重加速発生装置には一つ欠点があってな。
余剰エネルギーを逃がすために電磁パルスを放つのだ。
まぁ、シフトカーやロイミュードには支障が無いレベルだが.....』
『ゴルドロイミュードに搭載した起爆剤には反応してしまう。』
突如、工場から爆発が起こり工場に火の手が上がり始めた。
『あっはっは、こうして話している間に爆発が始まった様だな。
何れはこの爆発と炎が工場を包み込み、お前達を焼くだろう。
ロイミュードのコアすら破壊される様に調整したからなぁ。』
「蛮野....きっ...さまぁ...」
『最後に笑うのは私なのだよ。
では、去らばだドライブそれに裏切ったロイミュード共.....お前達は私の偉業を地獄から眺めていろぉ!!』
言い終わると蛮野の意識を備えたシフトカーは工場から出ていった。
爆発により燃え上がる工場内で超重加速を受けている進之介やハート、メディック達は焦りを隠せないでいた。
「ベルトさん...トライドロンを呼べないのか?」
『さっきから呼んでいるのだが応答がない。
恐らく、蛮野が通信を妨害する装置も併用して起動していったんだ。』
「メディック...動...けるか?」
「申し訳...ありません。
身体が全く....動きませんわ。」
そうしている間にも炎が辺りを包み出していた。
その影響で酸素が少なくなり進之介の意識が薄れていく。
『進之介!しっかりするんだ!』
「ベ....ルトさん。」
(マズイこのままでは進之介の命が....)
ベルトさんは何度もトライドロンに連絡を送るが返信がない。
(頼む!特状課でも誰でも良い!
早くこの現状に気付いてくれ!)
工場が爆発した時、外でもその光景を確認できていた。
内部に特状課の泊 進之介がいることは知っていたが工場内に入ることが出来ないでいた。
一つは生身の身体では入ることが出来ないこと....
もう一つはその装備を持ったG3Xの部隊が突如、現れた"魔進チェイサー"と呼ばれる怪人により全滅させられたからだ。
爆発を見て焦る霧子はトライドロンの中で進之介に通信しようと何度も行っていた。
「泊さん...お願い...出てください!」
そう願っている霧子だがトライドロンに火花が起きてそこに目を向けた。
魔進チェイサーがブレイクガンナーを此方に向けていた。
それを怪人化したブレンが腕を掴み止める。
「止めなさい。
貴方も蛮野に操られているだけだ。
これ以上、罪を重ねては行けない。」
「....邪魔をするな。」
チェイサーは掴まれた腕を引き剥がすとブレンの胸部をブレイクガンナーで殴り付ける。
それで吹き飛ばされたブレンだったが直ぐに立ち上がると生成した毒をチェイサーに放つ。
チェイサーはそれを回避しながら"チェイサーバットバイラルコア"を取り出すとブレイクガンナーに装填する。
『
チェイサーの背中からメカメカしいコウモリの羽根が現れるとブレイクガンナーを持つ手に合体し弓の形に変形した。
変形が済むと弓をブレンに向かって構えるとエネルギー弾を放った。
ブレンは毒の壁を作り防御しようとするが直ぐに貫通しブレンの肩を貫いてしまう。
「うぐっ!」
「ブレン....蛮野様からお前達は排除するように命令されている。
ここでコアを破壊する。」
そう言いチェイサーがブレンに弓を向けるとブレンの前に霧子が銃を構えて立ちはだかった。
「!?」
「なっ!無茶ですお逃げなさい!」
「貴方をここで殺させる訳にはいかない。
私は警察官よ。
例えロイミュードでも無闇に命を奪わせたりはしないわ。」
立ち塞がる霧子にチェイサーは弓を向けるがここでチェイサーは頭を抑えて苦しみ出す。
彼の頭の中に封じられていた記憶が甦る。
雨の降る街で他のロイミュードを倒していく自分の光景....鏡に写る自分の姿は魔進チェイサーの姿ではない。
ドライブと同じ姿をしている黒と紫色の戦士。
そして、雨に濡れる女性の姿....
顔を見るとそれはさっきまで銃を向けていた
「俺は....一体....ぐっ!....」
「どうしたの?彼は一体.....」
そうしているとチェイサーに蛮野から通信が入る。
「.....はい蛮野様。
ここでの任務は終えた。
もう、お前達に用は無い。」
チェイサーは地面にブレイクガンナーを放ち火花と煙を起こすとその場から姿を消した。
「一体、何が....それよりも今は泊さん達を!」
霧子はトライドロンに乗り込み工場へ突撃しようとするがブレンに止められる。
「あの爆発ではいくらトライドロンでも無事では済みませんよ!」
「退いてください!
私は相棒を助けにいかないといけないんです。」
「貴女が死ぬ事を彼らは望んでいるのですか!」
「それは....でも!」
「私だってハートを助けたい!
でも、私が行けば足で纏いになる。
それが分かるから進めないのです!」
「ブレン.....分かりました。
でも、何時でも動けるように近くにはいたいんです。」
「....安全なルートを私が選定します。
それとトライドロンには複数のモードがありますよね?
それでテクニックの時に変わっていたモードにして欲しいのです。
あれならば大抵の事はこなせる筈です。」
「分かりました。
でも、どうやれば良いのか。」
「私も手伝います少々無茶をしますが....」
そう言うとブレンはトライドロンに自分の毒を流し込み強制的にテクニックのモードへ変形させた。
そして、霧子を連れて工場ギリギリまで向かうのだった。
倒れているハートと進之介を見つめながらメディックは涙を流す。
(悔しい....私のせいでこうなってしまったのに何も出来ない。
彼らを回復する事も助ける事も......)
メディックの回復能力は強力だが蛮野に洗脳を解きハートの腕を治した影響で力を使い果たしてしまっていた。
加えて超重加速の空間の中で最も影響を受けているのがメディックだった。
ハートは何とか動こうと足掻くことが出来ているがメディックは指一本すら動かせないでいたのだ。
(守りたい....救いたいのに...救えない。
私は結局何も出来ないの?)
絶望しかけていたメディックが見たのはハートの目だった。
こんな状況でも自分や進之介を助けようとしている。
その目を見てメディックの心が動く。
(救いたい...私はどうなっても良いから...彼らの命を....)
その感情がメディックに奇跡を呼び起こした。
本来ならば超進化に必要なデータは足りていないのにも関わらなった。
だが、自分の死を背負いながらも誰かを助けたい想いが短い時間だけ奇跡を起こした。
メディックの身体からエネルギーが溢れ出す。
これまで動くことが出来なかったメディックが立ち上がるとハートと進之介の二人を触手で掴み上げた。
「メディック?」
「ハート様、貴方はロイミュードにとって必要な存在。
彼等の上に立つ王となって貰う為にもここで死んではいけません。
それは人類を守護する仮面ライダードライブである泊 進之介様....貴殿方も同じです。」
その言葉を聞いてハートの心に不安が起こる。
「メディック、何をするつもりだ?」
メディックは触手を駆使して爆発で空いた外への穴に二人を移動させていく。
「止めろメディック!お前も一緒に来るんだ!」
「申し訳ありませんハート様。
お二人を助けるだけで精一杯なのです。」
「止めろ....止めてくれ。
俺の為に犠牲にならないでくれ。」
「貴女の為だけではありません。
お二人が生き残ってくれれば蛮野の野望を阻止できます。
あの男の計画は下劣で用心深い。
ですからハート様、泊 進之介様を信じて上げてください。
彼ならばロイミュードを差別せずに真っ直ぐ、見てくださる筈ですわ。」
外へと触手を伸ばしきると拘束を解いた。
地面に落下する進之介だがその身体をトライドロンの腕(テクニックモード)が受け止める。
「メディック....お願いだ。
死なないでくれ。」
涙を流すハートにメディックは優しい笑顔で告げる。
「お二人の勝利を.....願っています。
ハート様....ごきげんよう。」
その瞬間、ハートの身体を離すと穴の近くで爆発が起き炎がメディックを包んだ。
「メディックぅぅぅぅ!!」
手を伸ばしながら落下するハートをトライドロンが捕まえると二人を地面に優しく下ろした。
進之介には霧子、ハートにはブレンが駆け寄る。
「泊さん!起きて下さい泊さん!泊さん!!」」
霧子が進之介の頬を叩くとその痛みで進之介は意識を取り戻した。
「痛ったぁ!....ってここは?」
『気が付いたか進之介。』
「ベルトさん?....確か俺は蛮野を倒して....それで」
『蛮野の仕掛けた罠で工場が爆破され進之介は意識を失ったんだ。』
「そうか.....!?ハートとメディックは?」
進之介は起き上がり周りを見渡すがそこには涙を流しながら地面を殴るハートとそれを介抱するブレンしかいなかった。
「メディック....すまない。
俺は....俺はっ!」
「ハート様、申し訳ありません。
私がもっと有能だったのなら....」
「違う!....俺が....俺が..もっと....」
その姿を見て進之介はメディックに何があったのか理解した。
(救えなかったのか....俺は....取り零しちまったのか!)
進之介の手にはシフトスピードが握られていた。
「クソッ!」
悔しさで地面を叩く進之介をベルトさんが励ます。
『君は出来ることをした。
警察官として仮面ライダーとして...ベストな行動を取ったんだ。』
「でもメディックを!.....ハートの仲間を助けられなかった。」
『だが!.....救える者は救ったんだ!
責任を感じるのは君ではなく私だ。
私がロイミュードへの偏見を無くしもっと彼等と協力できていれば.....だが、出来なかった!
私は蛮野の目線でしかロイミュードを見れなかったんだ!
責められるのならばそれは私だ。
....だから、進之介...君は....』
「そんな風に!.....思えるかよ。
助けられた命があったんだ!
俺は....俺達は....その命を」
「取り逃しちまったんだ。」
絶望に沈む空気の中で、二人の戦士は吠える。
怒りと悲しみ、失望と懺悔の感情が入り交じりながら二人はただ吠えるだけだった。
「「うぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」
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