もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第二百二十五話α「事件が終わり何が起きたか?」

 

蛮野の起こした事件が解決し特状課は何時もの喧騒を取り戻しつつあった。

 

何時ものようにパトロールに向かう泊達を本願寺課長は優しく見送ると携帯で照井に連絡を取っていた。

 

「まぁ、ここまでが照井君が帰った後に起こった事件の顛末だね。」

「そうでしたか.....すいません。

俺も本庁から戻る様に言われてなければ防げたのですが...」

 

「仕方ないですよ。

まさか、"仁良の収監された刑務所が襲われる"なんて思わなかったんですから....」

 

照井は仁良と丸山を刑務所に収監すると本庁に戻り移送手続きを行っていた。

そこを狙ったのか刑務所を魔進チェイサーが強襲し仁良と丸山が連れ出されてしまったのだ。

 

「私達も懸命に探したのですが何の手掛かりも残っておらず....申し訳ない。」

「起こってしまったものはどうしようもありません。

刑務所を襲ったのは魔進チェイサーと呼ばれる怪人だと聞きましたが...」

 

「えぇ、蛮野により洗脳されたロイミュードだとクリムからも聞いています。」

「となると、やはり二人を逃がしたのは蛮野....一体何の目的が?」

 

「それは分かりませんがこのまま逃亡を許すつもりはありません。

彼等を指名手配し情報を募っています。

それと表立ってではありませんがハート達とも協力して捜索しています。」

「そうですか。

では、申し訳ありませんが丸山についてもそちらでお任せしても宜しいですか?」

 

「分かりました。

そちらも風都に戻って大変でしょう。

此方は任せてください。」

「ありがとうございます。

では、また何か分かりましたら連絡します。」

 

そう言うと電話が切れる。

携帯を閉じた本願寺は日課の占いを見ながら今後の行動を考えるのだった。

 

 

 

もう、誰も使わなくなった建物を拠点としているハートとブレン、メディックはフリーズと対面していた。

「生きていたようで嬉しいですよハート。」

「フリーズ....お前の事は聞いている。

洗脳が解かれたロイミュードを集めて人類に反抗する勢力を集めているとな。」

 

「あぁ、その事ですか?

その通りですよ。

とは言え人類側にはドライブがいるのでまだ戦力は足りませんが...」

「ふさげないでいただきたいフリーズ。

貴方はハートの考えを知っている筈です。

彼の事を裏切るつもりですか?」

 

「裏切るとは人聞きが悪いなブレン。

私もハートと同じくロイミュードの未来を憂いているのですよ。」

「その結論が人類への反抗だと貴方は言うのですか?」

 

「えぇ、蛮野や無名の様な人類がいる以上、我らロイミュードの安寧は確約できません。

少なくとも彼等を倒せる力は持っておくべきだ。

そうなれば人類から反抗される心配はない。」

「フリーズ....貴方は人類を殲滅するつもりなのですか?」

 

「メディック、私は人類が必要以上の力を持つことを危惧しているのだ。

人は我々、ロイミュードと違い力を持つと増長するからね。」

「それはお前達も同じなんじゃないのか?」

 

ハートはフリーズに見えるように新聞紙を投げ渡した。

そこにはロイミュードや強盗や恫喝をしている光景やドライブがそれを止める為に戦う写真が写っていた。

 

「蛮野に洗脳を解かれたロイミュードの中でこの様な事件を起こす輩を見つけた。

調べてみればお前の指図らしいなフリーズ。」

「........」

 

「力を持つと増長する....俺達、ロイミュードも同じ道を辿っている思えるのだが....それに何の目的でこんなことをするんだ?」

「ふっ、全ては超進化の為です。」

 

「超進化だと?」

「貴方も理解している筈だ。

ロイミュードは人の感情を学び進化する。

そして、その感情が限界を超えると究極の進化を迎えるのです。

私はその仲間を増やそうとしているだけです。

どうですかハート?貴方達も超進化をしてみませんか?」

 

「その口ぶり....お前も超進化をしたのか?」

「えぇ、この通りね。」

 

フリーズは怪人の姿になると全身が金色に変わり身体から発せられる力も格段に上がっていた。

その姿を見てハート、ブレン、メディックは驚く。

「これが....超進化。」

えぇ、そうです!限界を超えた者が手に入れる頂の力!これがあれば人類など恐れる必要はない。

私はこの力で全てを....」

 

「何をそんなに急いでいるんだフリーズ?」

「急いでいる?どういう意味ですか?」

 

「確かにお前の力は目に見えて上がった。

なら、何故そこまで急ぐんだ?

その力があれば仲間を守ることは出来る筈だろう?」

ハートの問いにフリーズは不服な顔をしながら答えた。

 

「"屈辱"....それが私を超進化せしめた感情です。

蛮野に意思を奪われ操られ無名に敗れたあの日から私の屈辱は始まりました。

蛮野が表舞台に現れる度に私の屈辱は増えていった!

あんな愚物に操られたとは自分の不甲斐なさがね!

そして、進化したのです!

しかし、この進化には代償が伴った。

 

忘れられないのですよこの屈辱がっ!

人に操られた記憶がね。

今回、蛮野を見て改めて理解しました人は変わらない。

奴等は私を操った存在のままだった!

だから滅ぼすのです。

それが嫌ならば私達、ロイミュードに従えば良いそうすれば!」

「同じだぞ"フリーズ"。

力があれば支配しても問題ないその考えはお前の嫌う蛮野と変わらない。

確かにお前は超進化しただろうがその感情に余りにも"支配され過ぎている"。」

 

「..........」

「一度冷静になるべきだ...そうすれば少しは!?」

 

突如、フリーズがハートに向かって氷の針を放つ。

しかし、それをブレンが毒で打ち消しメディックが触手を展開してフリーズを攻撃した。

 

フリーズはその触手を凍結させると距離を離す。

「流石はハートの腰巾着だ。

素早い判断ですね。」

「ハートに手を出すとは一体どういう了見ですか?」

「貴方の針の力は知ってますわ。

まさか、ハート様の記憶を消そうとしたのかしら?

だとしたら許しませんことよ?」

 

メディックの言葉を聞いてフリーズは笑う。

「ふふ!私の針は人間にしか通用しません。

"ハートのコアを破壊しようとした"だけですよ。」

「「!?」」

 

ハートを殺そうとしたとフリーズが告げた事でブレンとメディックの雰囲気が変わり辺りが殺気に包まれる。

 

「その言葉はもう看過できませんね。」

「待てブレン!メディック!

.....フリーズ、それが君の結論なのか?

俺を殺してどうするつもりなんだ?」

 

「貴方が人間との融和を考えていることは知っています。

それに傾倒する同士がいることもね。

邪魔なんですよ貴方の存在が.....

"人類を力により支配する私の目的"とってね。

ですが、安心してください。

ここで殺せなかった以上、まだ貴方は殺しません。

今は蛮野もいることだ彼を消したら次は貴方だ。」

「逃がすとお思いですか?」

 

「ハッキリ言っておこう。

超進化していないお前達では私に勝つことは出来ない。

その確信があるから一人で来たのだ。

ハート、我々、"フリーズ一派"は人類支配の為に貴方から離反します。

次ぎ会う時は敵同士だ。」

そう言うとフリーズは周囲に極低温の風を発生させて姿を消した。

 

「ハート!奴を追います!」

「落ち着けブレン。

悔しいが奴の言う通りだ。

今の俺達ではフリーズには勝てない。」

 

「ですが!」

「だから、我々も"超進化"を目指す。

そして、奴等を止める。

手を貸してくれるか二人とも?」

 

「それをハートが望むなら私は従います。」

「私もハート様の考えに賛同しますわ。」

「ありがとう二人とも」

 

礼を言ったハートだがその心は晴れない。

(蛮野が生きている以上、衝突は避けられない。

本当なら仲間同士で争っている場合ではないのに....

どうして仲良く出来ないんだ。)

ハートはそう心の中で憂いながら時を過ごしていくのだった。

 

 

 

 

Another side

 

地下鉄が走るトンネル内にロイミュードが掘り進めた空間があった。

内部には大量の機材と複数のゴルドロイミュードの素体、そして、タブレットを動かす稼働したゴルドロイミュードとそれを見つめるチェイスがいた。

 

そこに蛮野の意識が入ったシフトカーが入ってくる。

 

『進捗はどうだ"004"?』

 

ゴルドロイミュードに向かってシフトカーが尋ねる。

 

「順調です蛮野様。

回収した"ハイエンドモデルのゴルドロイミュード"は何時でも稼働できます。

蛮野様の命令で開発した新たなバイラルコアも完成致しました。」

『よろしい。

では、実験体を呼んでこよう。

チェイス....奴等を連れてこい。』

 

蛮野がそう言うとチェイスは歩いていきコードで縛らせ口を塞がれた仁良と丸山を連れてきた。

『口を開かせてやれ。』

蛮野の命令を受けたチェイスは2人の口を開けるようにすると仁良が叫ぶ。

 

「おおおお前達!!わっ私にこんな事をしてただで済むと思うなよ!」

『ふん!刑務所に入れられて起きながら良くそんな口が叩けるな?』

 

「その声は.....蛮野か?

私達をどうするつもりだ?」

『喚くな。

お前達を助けたのは私だぞ?

少しは感謝したらどうだ。』

 

自分達を助けたと言う言葉を聞き今度は丸山が話す。

「私達を助けたと言うことは何かしら利用価値があるってことですよね?

その目的を聞いても?」

『....ほぅ?仁良がスカウトしたと言うから愚物かと思ったが予想よりも頭が回るようだな?

良いだろう教えてやる。

お前達には私の研究に付き合ってもらう。』

 

「研究?」

『今回の戦いで私は多くの事を知った。

"ゴルドロイミュードの有用性"に"ドライブシステムの利点"......そして"人間とロイミュードが融合できる可能性だ"。

ハートがドライブと融合しただけで"ハートとドライブの力をコピーしたゴルドロイミュード"を超える力を発揮した。

 

004にその研究を任せたがどうしても足りないデータがある。

それは人間とロイミュードが融合する実際のデータだ。

あのドライブはデータ収集する間も無く私のゴルドロイミュードは破壊されてしまったからな。

 

ハイエンドモデルが破壊されるとなると此方も警戒しなければならない。

他のロイミュードのボディと違ってハイエンドモデルは004を除いて四体しかないからな。

 

そこでお前達の出番だ。』

 

蛮野がそう言うと004が"赤い色をしたバイラルコア"を二人の前に差し出した。

 

『これは"ネオバイラルコア"。

人間とロイミュードを融合させる力がある。

お前達にはこれを使いロイミュードを成長させて超進化を促して貰いたい。』

 

「それが何故、超進化に繋がるんだ?」

『人間の感情を吸収することでロイミュードは進化する。

その中で限界以上感情を吸収するとロイミュードは超進化を行えるのだ。

進化を誘発させるには強い感情が必要だ。

 

だからこそ、お前達の持つ悪意があればロイミュードが効率的に進化すると思っただけだ。』

 

「成る程、理解したよ。」

『それでは二人の答えを聞こうか?』

 

「だっ誰がお前の言うことを....」

仁良がそう言いかけた所、丸山が被せる。

「大人しく言うことを聞いた方がいいと思うよ仁良さん。」

 

「なんだと!?」

「あの人の話が本当なら悪意を持つ人間なら誰でも良い。

極端な話、そこら辺の犯罪者でも代用できるからね。

私達を選んだのは協力する可能性が高いからだけだ。

多分、断ったら殺すでしょ?」

 

「!?」

丸山の冷静な意見に仁良が驚く。

 

「自分のアジトがバレてるんだ。

私達を逃がしたとしてもデメリットが多すぎる。

ここは言うことを聞く以外の選択肢は無い。

 

でも、私達を長く利用したいのが救いかな?」

 

『ほぅ.....何故そう思う?』

「私達に使うネオバイラルコアについて詳しく話した。

しかも、目的がロイミュードの超進化だともね....だとしたら私達は使い捨てにせず超進化できる個体を作り出さないといけない。

そう貴方も思ってるから話したのかと思っただけだよ。」

 

丸山の意見を聞いた蛮野は笑う。

 

『お前の事は調べた。

確か前は風都でガイアメモリを売っていたらしいな?』

「正確には私の組織がね.....今はメモリもないし」

 

『ガイアメモリの力に適合できたのならお前とロイミュードが融合すれば面白い変化を起こしそうだ。』

「そう言うってことは私は採用と思っても良いのかな?」

 

『勿論、歓迎するよ丸山 純。』

蛮野がそう言うと丸山を縛っていたコードが外れる。

 

『さぁ、残りは君だけだ仁良.....君はどうする?』

 

蛮野は仁良にそう尋ねるがその背後ではチェイスがブレイクガンナーを構えており元より仁良に選択肢など用意されていなかった。

 

死への恐怖を受けて仁良の心は完全に折れてしまう。

蛮野のシフトカーの前で仁良は土下座すると言った。

 

「全て貴方の命令にしたがいますぅぅ!

ですからぁ命だけわぁぁぁ!」

『ふふっあっはっは!良いだろうその土下座に免じてこれまでの不遜な態度は許してやろう。

さぁ、ネオバイラルコアを受け取りロイミュードとの融合実験を始めろ。

チェイス!選別していたロイミュードと会わせてやれ。』

 

チェイスは頷くと二人を連れてその場を後にした。

話を終えた蛮野は004に向き直る。

『では、我々も実験を始めようか?』

「はい、蛮野様。」

 

すると、004の身体が変質しコピーした人間の姿へと変わる。

その姿はかつて生きていた頃の"クリム・シュタインベルト"その者だった。

 

004は蛮野が必要になる可能性を考慮してグローバルフリーズを起こす際に洗脳したロイミュードを使い暗殺したクリムをコピーさせていた。

 

では、何故直ぐに使わなかったのか?

ロイミュードのコピーは人間の考えなはや思考もコピーしてしまう。

無駄な正義感が残っていたら利用できないと思っていた蛮野は004を徹底的に改造し正義感を喪失させ蛮野に対して絶対的な忠誠をプログラミングしたのだ。

 

その集大成が004が作り出したドライバーとシフトカーだ。

見た目は黒いドライブドライバーと黒いシフトブレスでありドライブドライバーと同じくシフトカーを使える。

 

004が用意したシフトカーも見覚えがあった。

形はシフトワイルドとシフトテクニックだがカラーリングは真逆であり金と銀をメインしてワイルドは黒、テクニックは緑色の差し入れが入っていた。

 

『私は天才だクリムだからこそ、有用な物は例え私が作っていなくても認めよう。

ドライブシステムは素晴らしい。

重加速への対応に汎用性が高いシステム。

兵器としての可能性も秘めている。

 

一つ残念なのはお前が自分の開発した物に臆病になりすぎている。

これ程の力を守るだけにしか使わないのは愚かだ。

私が手本を見せてやろうクリム。』

 

そう言うと蛮野はドライブシステムを使った新たな力を自らの手中へと収めるのだった。




【原作との相違点】

敵陣営が増えて"蛮野の勢力"、"ドライブの勢力"、"フリーズの勢力"、"ハートの勢力"が活動し始めた。

仁良と丸山は蛮野の元、部下として活動する。

004の知識を使いバンノドライバーが更に強化され複数のフォームを獲得する。
(スピード、ワイルド、テクニック)

外伝 続編の投稿に関して

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