もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第二百二十六話α「特状課はどうなったのか?」

蛮野が、起こしたテロ事件は一応、解決した。

 

主犯である蛮野には逃げられてしまったがそれでも警察内部としては成果はあった。

蛮野と繋がっていた仁良の摘発や照井警視の功績が認められ今後の立場が変わっていくだろう。

 

そして、その恩恵は特上課にも来ていた。

特上課のオフィスには新たな機材と最新設備が置かれていた。

西城やりんなさんがその設備に頬擦りしながら丁寧に扱っている姿を見てそれがどれだけの価値があるのか進之介達にも理解できた。

 

「改めて見てもすげぇなベルトさん。」

『蛮野の事件で最も活躍したのは特上課と照井警視だからね。

まぁ、警視の一声もあっただろうが当然の成果だよ。』

 

その変化には霧子も驚いていた。

「凄い...ロッカーや机まで新品になってる。」

 

「それだけではありませんよ。

先の件の功績で特上課は本庁直属の組織に格上げされました。

まぁ、それだけ上層部がロイミュードを危険視してるとも言えますがね。」

そう言いながら本願寺課長も部屋に入ってきた。

 

「危険視ですか....」

「えぇ、本庁肝いりの"G3X"を妨害があったとは言え簡単に無力化されてしまいましたから.....必然的にロイミュード事件を解決してきた我々への期待も高まり今になって厚遇してきたと言ったところでしょうか?」

 

本願寺の読み通り、本庁はこの事件を解決できたことは喜んではいたがロイミュードへの対抗策への不備を重く見ていた。

 

「照井君のいるチームにも追加予算が降りたと聞いています。

彼方も彼方で対策は打つでしょうが此方の事は我々、特上課が何とかするしかなさそうです。

...あぁ、それと特上課が本庁直属になった影響で追田さんも一課への連絡係から一課と特上課を繋ぐ実質的なパイプ役として認められまして一課と特上課の仕事を兼任して貰うことになりました。」

 

「それってどういう....」

「こう言うことだ進之介。」

 

その声を受けて進之介達が振り向くとそこには部下を従えた追田の姿があった。

追田が指示を出して部下をオフィスから退室させると話し始めた。

「捜査一課で"特上課との協力を目的とした班"が設立されてその班長に選ばれたんだ。

これからは大手を振って特上課と協力出来る。

改めて宜しくな進之介....それと"ベルトさん"。」

 

追田のその言葉を受けて一瞬の沈黙が会ってから進之介と霧子は驚く。

 

えぇぇぇ!?どどどどうして追田さんがベルトさんの事を!?」

『私が特上課の皆に伝えた。

因みにここにいる面々には君がドライブだとも明かした。

今後の事を考えると警察内部で隠しておくのはデメリットの方が多いと考えたからね。

 

だが、知っているのはあくまで特上課の面々だけだ。』

 

「仕方ねぇよ。

よりにもよって裏切り者が捜査一課の課長だった仁良だったからな。

寧ろ、捜査一課にいる俺を信用してくれて感謝しているよ。」

そう言って笑う追田に進之介は言う。

 

「追田さん....俺...」

「進之介、これまで俺をドライブになっても助けてくれてありがとうな。

でも、今度は俺達がドライブを助けられる様に頑張るからよ。

だから....その...」

 

そう言いかけた瞬間、後ろから現れたりんなが二人に荷物を押し付ける。

「はいはい、青春シーンやってる暇があったら荷物運ぶの手伝って!」

「うおっ!?重いじゃねぇか。

一体、何なんだよこれは?」

 

「科捜研が使っている最新の分析装置よ。

性能は良いんだけど重いし配線が大変なのよ。

それにもう、説明は終わったんでしょ?

なら、とっとと部下を呼び戻して手伝って二人とも...」

りんながそう言うのを聞いて二人は笑う。

「あはは、やっぱり変わんないなぁりんなさん。

追田さん、荷物運びますか。」

「ふん!まぁ、そうだな。

これからも宜しくなお前ら」

 

追田と進之介はりんなから渡された機材を運んでいくのだった。

そんな中、ベルトさんのドライバーに連絡が入る。

(ん?ハーレー博士からメールが来ているな。

マッハドライバーが完成したことと.....それを持って剛が日本へ向かっている?

何とかしてやってくれ....か。)

 

そのメールを見たベルトさんは悩む。

(話を聞く限り()はロイミュードと父親を憎んでいる。

ハートとの共闘を終えた今、彼はハート達を認められるのだろうか?

少し心配だな。

シフトデットヒートの開発もまだ終わってない。

....いかんなまた一人で悩んでしまっている。)

 

ベルトさんはこれまでの事を鑑みて自分が余りにも情報を伝えてないことを理解しまた反省していた。

(情報を隠してまた"後悔"はしたくない。

やはり、話しておくべきだな。)

 

『進之介、霧子....少し時間はあるかな?』

ベルトさんは進之介と霧子の二人を離れたところに呼び剛の事について話した。

 

「つまり霧子の弟が今、アメリカで新しい仮面ライダーとして活動してるってのか?」

『あぁ、私の師匠であるハーレー博士の元で新型ドライバーを使って仮面ライダーとして活動している。

どうやら、アメリカにもロイミュードが活動していてなその対応をして貰っているんだ。』

 

「どうしてもっと早く教えてくれなかったんですかクリムさん。

剛が仮面ライダーになっているだなんて!?」

『私が剛君の存在を知ったのはマッハドライバーのテスターとして選ばれた後だった。

本人とも連絡して姉のためにもテスターを辞退してくれる様に相談したが....ダメだった。

蛮野とロイミュードの始末は自分でつけると言ってね。』

 

「そんな.....剛....」

ショックを受けている霧子に進之介が言う。

「霧子、お前ちょっと休んでこいよ。

いきなり、色んなこと言われてお前も混乱してるだろ?」

 

霧子はその言葉に従い進之介達から離れていくとベルトさんへ話し始めた。

「なぁ、ベルトさん。

正直、剛はハートの存在を許せると思うか?

人間とロイミュードの共存.....その夢を応援できると思うか?」

『......難しいだろうね。

剛君はお姉さんと似ていて責任感が強い。

過去のグローバルフリーズや今回、蛮野が起こした事件にも思うことはある筈だ。

だからこそ、自分で決着をつけたいと思い....ネクストシステムの力を求めたのだろう。』

 

「ハートと対話する前の俺だったらきっと、剛に協力していただろうが人間に対して敵意を持っていないロイミュードがいるのを知った今では難しいな。

勿論、蛮野や人間に悪意をもたらすロイミュードを許す気はないがロイミュードだからと言って全員を敵と思うことは俺には出来ない。」

『分かっているよ。

私もハートの話を聞き自分の間違いに気づいた。

もし、剛が全てのロイミュードを敵視したままでいるのなら....止めるべきだ。

大きな過ちを犯してしまう前に』

 

そう言うベルトさんに進之介は思い付いた案を言う。

「なぁ、照井警視に相談してみるのはどうだ?

あの人ならきっと何か良いアドバイスをくれると思うんだ。」

『.....そうだな進之介。

照井警視に連絡しておくよ。』

 

「あぁ、頼む。

さてと!俺達も戻って手伝わないとなベルトさん。」

そうして二人は特状課へと戻っていくのだった。

 

 

 

 

無名が関わり変わったWの歴史が周り回って他のライダーの歴史を改変させた。

その結果がハッピーエンドかバットエンドが知る者はまだいない。

 

だが、確実にその変化はこれから先の物語を変えていくだろう。

 

そして、その物語が語られることはない。

 

何故ならこれから後の物語はWではなくドライブの物なのだから......

 

 

 

Secret side

 

古びた城の扉を開けたのは黒のタキシードスーツとシルクハットと杖を持ち背中にマントを羽織った年老いた一人の老人だった。

 

フラフラになり息をするのも辛そうにしながらもその目だけはギラギラと燃えて獲物を探していた。

 

「はぁ....はぁ....情報が正しければ...ここに...」

 

彼の名は"ゾルーク東条(とうじょう)、かつて"アルティメットルパン"の名で巷を賑わせていた世紀の大怪盗だった。

 

しかし、今は老いと共に全盛期の力を失い朽ち果てるのを待つだけの存在となっていた。

 

東条はそんな自分を認められなかった。

 

 

世紀の大怪盗として世間に名を轟かせた私の末路は老いによる死なのか?

 

否.....違う。

私はこんなところで忘れ去られて消える存在じゃない。

 

自分の名をこの世界にもう一度、轟かせて生きた証を残せないで死んでなるものか!

 

そう考えていた東条の行き着いた答えが"老いることの無い身体"を手に入れることだった。

 

彼は色んなコネや方法を使い調べた。

そして知ったのだ"ロイミュード"と言う存在を.....

 

 

そして、この古城に一体のロイミュードが封印されている情報を手に入れた東条は遂にそれを見つけたのだ。

 

棺に納められた金属の身体を持ったロイミュードの素体

通常のロイミュードと違い頭部が赤くなっており胸のプレートには"ZZZ"の文字が刻印されている。

 

「これ....が....私の求めた....老いぬ肉体....」

「ふーん、そんなに年老いてもこれを見つけられるなんて人間の力はやはり凄いね。」

 

「誰だ!」

東条は声の聞こえた方へ杖を向ける。

そこにはフードを被った青年が東条を見ながら笑顔で告げた。

「始めまして僕の名前はロノス。

分かりやすく言えば悪い組織を作った悪い存在かな。

んーでも、僕個人はそんな悪いことしてないんだよなぁ.....でも組織は悪いからなぁ....君はどう思う"ゾルーク東条"?」

 

「私の名を知っているのか!?」

「勿論、そしてこれから先の未来もね。

君は自分の意識をその機械の身体に転送して英雄の称号である"仮面ライダー"の名を手に入る為、仮面ライダードライブに挑戦状を突きつける。

一度はその名を手に入れるけどサイバロイドボディZZZの精神支配に抗えず......ってこれじゃネタバレだね。

あんまりやり過ぎると嫌われそうだからこれでおしまいね。」

 

意味は分からないがこの"少年の形をした何か"は常軌を逸した化物の様な物だと直感的に理解した。

だが、それでもゾルーク東条は余裕の笑みを浮かべる。

 

「随分と無粋な現れ方をするな君は......

良いかね?

男は常にジェントルであるべきだ。

美しく華麗に仕事をこなすこの私の様にね。」

「.....へぇ、凄いね。

そんな事を僕を目の前にして言えるなんて驚いたよ。

ふふっ!気に入ったよ!」

 

ノロスは笑って東条に近付くと刃のついた金色のミニカーと此方も金色で彩られたブレイクガンナーを渡してきた。

 

「.....これは?」

「"ルパンガンナー"と"ルパンブレードバイラルコア"って言ってね。

これを使えば仮面ライダーと対等に戦える様になる。

元の筋道なら君が作り上げる筈だったけど通る筈だった道筋(物語)からかなりズレちゃってね。

だからまぁ、その補填をしに来たんだ。

これを使って君が変身しドライブから仮面ライダーの称号を奪うと良い。」

 

それを受け取った東条はロノスに目を向けようとするがそこに誰もいなくなっていた。

幻覚だったかと疑うが手に残るルパンガンナーが今の事が現実だったと教えてくれる。

 

「ロノスと言ったか。

奴はこれを補填と言っていたな。

良いだろう。

"今"はお前の筋書き通りに動いてやる。

私がアルティメットルパンとして完全復活するために....」

東条はサイバロイドボディZZZに触れる。

この冷たい身体にこれから自分の魂を刻み込む。

 

人としての私は今ここで死ぬだろう。

だが、アルティメットルパンは死なない。

私は世紀の大怪盗として復活する。

 

「では、始めようか。」

 

東条はそう言って笑いながら古城で人間としての命を終わらせるのだった。

 

 

【原作との変更点】

 

・ゾルーク東条にルパンガンナーを渡したのはロノス。

目的は物語が変わったことによるバタフライエフェクトを出来る限り、減らすことだった。

結果として東条はサイバロイドボディに精神を移行させると彼から渡されたルパンガンナーを使い仮面ライダールパンへと変身し怪盗行為を再開、アルティメットルパンとして特状課と仮面ライダードライブに挑戦状を送るのだった。

 

・サイバロイドの噂を聞いた蛮野はその力を手に入れる為、チェイスを差し向ける。

また、ハート達も新たに現れたロイミュードを調べる為、行動を始める。

 

・剛もこのタイミングで帰国し原作通りベルトさんの蘇生に手を貸すのだった。

 

・特状課が認められ原作よりもより密接に事件に関われるようになった。

・泊達、特状課にロイミュードと協力できる余地が残った。

・ハート達は人類を支配するのではなく共存する派閥となった。

 

・チェイスは蛮野の洗脳を受けているので原作よりも救出の難易度が上がった。




これにてガイアインパクトの際に起きたドライブの事件は終わります。
この後にオマケとして一話分、ドライブの話を投稿しますので楽しんでいただけると幸いです。


作者より

外伝 続編の投稿に関して

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