知らない方はもしかしたら楽しめないかと思いますがご了承下さい。
作者より
【Vシネ仮面ライダーチェイサーより】
『もし、この時間軸で照井と泊達が再開したら?』
「「「..........」」」
事件現場が重い空気に包まれていた。
そこには手錠をつけられ地面に座っている剛を挟みながら冷や汗を流す進之介と霧子の姿があった。
「....あのぉ、照井警視、お願いですから....その....剛を許してやってはくれませんかね?」
照井の期限を損ねない様に進之介は低姿勢で言うが照井の怒気は収まらない。
「泊、お前の事は理解している。
俺の捜査を邪魔する様な奴じゃない事もな。
.......だが、だからと言って捜査妨害をしたこの男を許して良い道理にはならん!」
「ひっ!?おっかねぇ!」
「剛、貴方も謝りなさい!」
「嫌でも!?」
「でもももしも無いでしょう!
捜査妨害をするなんて何を考えてるのよ!」
何故、こうなったのか?
それはロイミュード051が起こした事件がきっかけだった。
泊達は051のコピー元である人間について捜査していたがその人物が死体と言う話を聞くと泊と霧子はそれを確認するため現場に向かっていた。
運が悪かったのは剛が一足先に現場についていた点だった。
「へぇ、まさか風都と東京都のちょうど境目で人が死ぬなんて....進兄さんも運が悪いなぁ。」
市を跨いだ事件はどっちが担当するかと言う畑争いに繋がりやすい。
少し離れた所でカメラを構えていた剛は現場を見て考える。
(今のまんまじゃ捜査が上手く進まないかもなぁ....
しゃーない、少し手を貸しますか!)
剛は軽い気持ちでシグナルバイクを取り出し仮面ライダーマッハへと変身した。
マッハには重加速を起こせる機能が搭載されている。
これを使って気付かれないように証拠や情報を集めれば進之介達の手助けになる。
そんな軽い気持ちだった。
剛にとって不運だったのはその現場に照井がいて剛は照井の事を二人から聞いていなかった事だ。
重加速でゆっくりと動く時間の中でマッハは高速で倒れている死体に近付く。
「さてと...ささっと調べて戻りますか。」
(剛が死体にカメラ構える。)
ガシッ!(剛の肩を照井が掴む。)
「は?」
ぐわっ!(力任せに剛が倒される。)
「痛っ!?....ってどうして重加速の中で動けるんだよ!」
驚きのあまり重加速の機能が停止してしまう。
「やばっ!?」
「貴様、何者だ?」
「そりゃ、こっちの台詞だよ。
重加速の中で動けて俺を倒すなんて本当に人間?」
「俺に質問をするな。」
「えー....話する気ゼロじゃん。」
「お前が何者が分からん以上、逮捕させて貰う。」
「凄いマッハで決まるじゃん。
でも捕まるわけには行かないんだよねっと!」
剛は照井の手を払うと飛び上がろうとする。
だが、それは叶わない。
何故なら照井に飛び上がった足を捕まれたからだ。
「ふん!」(照井が地面に剛を落とす。)
「えっ!ちょ!うわっ!?」(動揺により地面に落ちた剛のマッハドライバーが外れ変身解除される。)
「公務執行妨害も追加だ。
ここで逮捕する。」
ジャキ!(照井が剛の手に手錠をかける。)
このタイミングで進之介達が現場に到着した。
「お久し振りです照井警.....ってえぇぇ!?剛お前、何やってんだ!」
「進兄さん助けて!」
「剛!何で照井警視に逮捕されているのよ!」
「いや、姉ちゃんこれには...深い訳が....」
「この男が現場を荒らそうとしたので俺が止めた。」
「はぁ!?....ちょっと剛!説明しなさい!」
こうして剛と泊達に事情を説明された照井だが、それで納得する訳も無く今の状態となっているのだ。
「確かに市を跨いだ事件の場合、捜査権を巡って争うことはある。
だが、泊達から事前に連絡を受けていた。
だからこそ合同捜査として事件解決を行う様に俺は考えていた。」
「えっ!?....じゃあ...」
「剛.....お前のやった事は完全に無駄だって事だ。」
「そ...そんなぁ...」
ガックリと落ち込んでいる剛を照井は睨む。
「お前の主張は理解した。
だが、だからと言って捜査現場に勝手に踏み入ることが許されるわけではない。
調書を取り処分を下すまで風都署でお前の身柄を預かる。」
「えっ!?....あの照井警視、それは結構困るのですが」
「泊....お前の心配も分かる。
だが、特例で今回のことを許すことをすれば警察の平等性に疑問を与えてしまう。」
「でもだからって風都署に送られたら....」
「反省するまで留置所に送るだけだ。
何も取り調べをする訳じゃない。」
こうして、三人が話し合う中、剛が口走ってしまった。
「いや、ちょっと"現場"に入っただけで大袈裟な...」
(ちょっ!バカっ!)
(剛!アンタ何てこと....)
最悪のタイミングでの失言を聞いた進之介達は顔を覆いたくなる。
照井の耳に入らないでくれと願うが
「ちょっと現場に入っただけ.....だと?」
その言葉を聞いて雰囲気の変わった照井を見て失敗を悟った。
ドン!(剛の近くの地面を踏み抜く)
「ひょえ!?」
「現場を保存することは事件捜査を行う上で初歩中の初歩。
もし、それで証拠が失われ犯人を捕らえられなかったらどうするつもりだ?」
「それは...その....」
「仮面ライダーの力を使えるから問題ない....か?
その為なら事件現場を荒らしても構わないと?
貴様、警察を舐めているのか?」
「........」
「何とか言ったらどうだ?」
次元の違う詰めを見た進之介は懐かしさを霧子は危機感を覚える。
(懐かしいなぁ風都での研修で何度も見てきた照井課長の取り調べ風景....あれキツいんだよなぁ。
ちょっと犯罪者に同情しちゃうもん。)
「ちょっと泊さん!現実逃避をしないで下さい。
それにベルトさんも黙ってないで何か言ってくださいよ!」
今まで進之介の腰についたまま黙っていたベルトさんが話す。
『しかしねぇ、これはどう考えても彼に責任があるよ?』
「そんな事、言われなくても分かってますけどこのままじゃ剛が....」
『確かにここで剛が抜けるのは痛いな。
良し.....少し私が話してみよう。』
『ううん!....てっ照井警視。
彼はまだ若い。
それに彼に抜けられたらこちらのロイミュード事件解決が遅れるのも事実だ。』
「だから?」
『え?いやそのだから少しぐらい穏便に...』
「クリム・シュタインベルト....貴方が警察に多大な協力を行ってくれているのは知っている。
それで俺の部下を命を救われてきたからな。
だからこそ、貴方ならば警察の意義について良く理解していると思ったのだが.....俺の勘違いだったか?」
『いやいやいや!?もも勿論、警察の重要性は分かっているとも!
彼のしたことは許されないことだ!だからこそ!彼には事件解決の為に働いて貰うことが贖罪に...』
「貴様が刑罰を決めるのかクリム?......
貴様は法か?....違うだろう。
贖罪と言うのなら大人しく留置所に入ることこそが罰だ。
俺にそんな下らない質問を答えさせたいのか?」
『すいません。』
(((クリムが謝った!?)))
ベルトさんが意気消沈しながら霧子に顔を向ける。
『すまない霧子君。
私には無理だった....今の照井警視はちょっと恐すぎる。』
「諦めないで下さいクリムさん!」
『私にも不可能なことがあるとは.....知らなかったよ。』
「貴方も現実逃避をしないで下さい!」
そんな話をしていると現場が騒然とし始めた。
死んでいた筈の男が蘇ったからだ。
男の姿がロイミュードの素体へと姿を変える。
「アイツ、ロイミュードだったのか?」
そして、現場検証していた刑事を突き飛ばすと懐からガイアメモリを取り出した。
「ガイアメモリだと!?」
「Beast」
起動したメモリを首に指すとビーストドーパントへと変身する。
「嘘だろ!?ロイミュードがドーパントに」
ビーストドーパントに変身したロイミュードは興奮しながら跳び跳ねる。
『成る程、恐らくあのロイミュードが倒れていたのはガイアメモリの力に内部システムが一時的にショートしたからだろう。
そして再起動しメモリに適合した結果、ドーパントになれたのだろうな。』
「それがこの事件の真相って訳か。」
興奮したビーストドーパントは逃げ惑う刑事に後ろから飛び掛かる。
「危ない!」
進之介が向かおうとした瞬間、ビーストドーパントに
後ろを見ると地面が凹む程、強い力で踏みしめながら大剣を投げ付けた照井の姿があった。
(((貴方本当に人間ですか?)))
口から漏れそうな疑問を何とか押し込める。
照井はポケットから鍵を取り出すと剛の手錠を外した。
「え?」
「不本意だがここでお前を捕まえて目の前のドーパントを取り逃がす訳にはいかん。
お前にも力を貸して貰うぞ。」
そう言い終わると照井はアクセルドライバーを腰につける。
そして、彼の両隣に泊と剛が立つ。
「俺も手伝いますよ照井警視。」
『三人であのドーパントを止めよう。』
「へへっ!俺もちゃんと働くよ進兄さん達」
照井はアクセルメモリをドライバーに装填し泊はイグニッションキーを回しシフトスピードをブレスに装填し剛はマッハドライバーを開きシグナルバイクを押し込む。
「変身!」
「変...身!」
「レッツ...変身!」
三人の掛け声と共にエネルギーが巻き起こるとアクセル、ドライブ、マッハへと変身が完了する。
「さぁ、
2人の名乗りに剛も触発される。
「おっ!良いねぇじゃあ俺も....追跡!...」
しかし、剛が名乗りを始めた瞬間、ドライブとアクセルは敵へ向かっていった。
「撲め....って!?待ってよ進兄さん!」
こうして三人の活躍によりドーパントとなったロイミュードは倒されるのだった。
闘いを終えた三人は変身解除すると照井が告げる。
「お前達の状況を鑑みて....今、お前を逮捕するのは止めておこう。」
「えっ?それじゃあ....」
「だが、無罪と言う訳にはいかない。
そちらでの戦いが終われば風都でその力をちゃんと使える様に俺が"直接指導"する。
これでも仮面ライダーの先輩だからな。」
(げっ!マジかよ!?)
苦い顔をする剛を他所に進之介が言う。
「はい、照井警視にお任せします。」
「ちょ!?進兄さん!俺を見捨てるのか?」
「諦めろ剛。
照井警視の元でちゃんと常識を学んでこい。」
「えぇ....」
「剛と言ったか?
安心しろ。
あくまでルールを教える程度だ。
それを覚え実践してくれるのなら俺も文句はない。
再犯を防ぐことも刑事である俺達の責務だからな。」
照井の言葉を受けて剛は覚悟を決める。
「そうだな。
元はと言えば俺が悪い。
分かったよロイミュードの一件片付けたら風都に行くからその時はよろしく頼むね。」
「あぁ、任せろ。」
共に戦ったからこそ剛が悪い人間ではないと理解したのか照井の表情は明るい。
それを見た泊も笑う。
(良かったな剛。
きっと、照井警視ならお前の悩みも理解してくれる。)
照井と剛は復讐の為に力を求めた。
ある意味で似た存在。
だからこそ、彼ならきっと剛の闇にも真っ正面からぶつかってくれると泊は思っていた。
「さぁ、行け。
お前達の事件もまだ解決してないだろう?」
「はい、ありがとうございます。」
「前より良い顔をするようになったな泊。」
「えっ?そうですか?」
「あぁ、警察官らしい良い顔だ。」
「.....ありがとうございます。」
そうして進之介と霧子はトライドロンに戻っていった。
しかし、剛は途中で止まり照井に顔を向ける。
「あの....その....現場に勝手に踏みいってすいませんでした。」
「剛と言ったな?
焦る気持ちも分かるが少し落ち着け。
お前の周りには頼るべき仲間がいる筈だ。
心配してくれる姉もいるだろう?
大事にしろ....失ってからでは遅いからな。」
心の籠った忠告を受けて剛は言った。
「ありがとう....覚えておくよ。
絶対忘れない。」
「そうか。」
「あぁ、風都行ったらその時はよろしくな。
"福井警視"さん!」
剛が最後に告げた言葉を受けて空気がまた重くなる。
「え?何で?」
そして、ゆっくりと剛に近付くと照井は"笑顔"で告げる。
「俺の名前は"照井"だ剛君。
俺も理解したよ。
君が物覚えが悪いと言う事にね.....」
「え....あ.....」
「俺も君が風都に来るのを楽しみにしている。
.....あぁ、逃げようとは考えないことだ。
これでも人を追うのは得意だからな。
一番得意なのは捕まえることだが」
「では、"詩島 剛"君
次会うのは風都でだな。」
そう言うと照井は剛の元から離れていった。
後日、剛は約束通り風都に来て照井の元でミッチリとしごかれる事となり"照井"の名前とこの世界には絶対に逆らってはいけない人がいることを彼は心の底から理解するのだった。
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