フィリップが消えて一年が経った。
俺はその間も探偵として仮面ライダーとしてこの街を守り続けてきた。
でも、未だにお前が恋しいよ....フィリップ。
第二百三十四話 孤独なJ/漆黒のライダー
風都の路地裏を逃げ回る少女と彼女に手を引かれる少年は追手から逃げ続けていた。
「
「姉ちゃん!でも俺もう....」
そんな事を話していると逃げていた先の地面に火花が起こり二人は尻餅を付いてしまう。
「全く逃げ足だけは速いな
そう言いながら現れたのはドーパントの集団だった。
「ったく、面倒かけやがって....お前がメモリを盗んだりしなけりゃこんなことにはならなかったのによ。」
そう言うドーパントに唯は怒りを現す。
「元はアンタ達が私たちの両親を襲ったのが原因でしょう!?」
「それだってお前の弟が俺達の商売を見ちまったのが始まりだろうがよ。
弟を殺さないことで手打ちにしてやろうと思ったのに反抗しやがって....その事に"ヘッド"は酷くお怒りだ。
メモリの回収とお前達二人の命がご所望らしいぜ。
ってことでメモリの在処を言え....そうすれば苦しませずに殺してやるよ。」
「おやおや....随分と下劣な現場に出くわしてしまったようだ。」
そう言いながら
「お前は最近、噂になってる"風都の騎士"か?」
「噂になってるのだとしたら光栄だね。
私はこの街を愛する一人の市民だよ。」
「風都の騎士だろうがどうでも良い。
ヘッドの命令は絶対だ。」
「成る程、戦う覚悟は出来ているようだね。
....ならば相手になろう。」
ナスカドーパントの言葉を合図に周りのドーパントは一斉にナスカドーパントに攻撃を加える。
「"超防御"」
しかし、色が変わったナスカドーパントが生成した盾が全ての攻撃を完璧に防ぎきる。
「なっ!?マジかよ!」
「次はこちらから行こう......."超高速"」
ナスカドーパントは色をまた変えると姿が見えなくなる程の速さで一瞬、動くと元の位置に戻った。
その一瞬で話していたドーパントの背後にいたドーパントの集団から火花が上がると体内からメモリが砕けて飛び出し人に戻ると地面に倒れた。
「強すぎるだろ....」
「残るは君だけだな。
君達が最近、風都にメモリをばら蒔いている
この際だヘッドの正体と目的を喋って貰おうか。」
「はっ!嫌だね。
ヘッドは何れミュージアムを越える組織の頂点に立つんだ。
その邪魔はさせねぇよ!」
すると目の前にいたドーパントは急に地面を水の様に変えて潜ると背後にいた少女の腕を掴む。
「姉ちゃん!」
「ヘッドがお前に会いたがってる。
アジトまで来て貰うぜ。」
「待て!」
ナスカドーパントは追いかけようとするがそれよりも、速くドーパントは少女を連れて地面に潜って消えてしまった。
「くっ、逃がしたか。」
ナスカドーパントはドライバーからメモリを抜き取ると人の姿に戻った。
その人物は少年に話し掛ける。
「あの子は君のお姉さんなのか?」
「....うん。
何時も僕の事を心配してくれてる。
今回の事だって本当は僕が!?」
「話は分かった。
ここは危険だ。
この名刺に書かれた場所に行くと良い。
そこに、"左 翔太郎"と言う男がいる。
霧彦からの依頼だと言えば彼も応じてくれるだろう。」
少年は渡されたしわくちゃの名刺を見る。
「"鳴海探偵事務所"?」
「そう僕と同じように風都を愛する正義の味方さ。」
何時もの様に冷たい風が吹きずさむこの風都に場違いな怒声は似合わねぇ.....特に俺のようなハードボイルドにはな。
だから、俺は怒ってねぇしこれは怒声じゃねぇ単なるクレームだ。
「一体どーなってるんだっ!?あぁん?」
「すっ...すいませんって!」
翔太郎は目の前のペットショップの店員を怒鳴っていた。
「おめぇ言ったよな?
「いやいや!?僕は言ってないですって!?」
「んだと...この」
「はい、翔ちゃんストップストップ!」
二人が言い争っているとサンタの帽子を被った男が間に割り込んでくる。
「おいおいサンタちゃん!
どうなってるんだよ?」
「今は店長って呼んでよ。
それよりもごめんねぇ....ほらこれで今回は許して....ね?」
サンタが差し出したネコ缶を受け取ると翔太郎は言う。
「しゃーねぇな。
サンタちゃんの頼みだ聞いてやるよ。」
「ありがとう翔ちゃん!」
「でも、次はちゃんと仕入れといてくれよ。
レジェンドデリシャスゴールデン缶!」
「もちOK!」
そうして去っていく翔太郎を見てペットショップ店員が尋ねる。
「一体誰なんですかあの人?」
その問いにサンタはカッコつけながら答える。
「左 翔太郎....どんな危機も救ってくれる。
この街の...."顔"さ。」
ネコ缶を抱えながら翔太郎は事務所に帰るとそこには車椅子に乗った若菜と照井、亜樹子、そして見たことのない少年がいた。
翔太郎を見て亜樹子が言う。
「あっ!翔太郎君帰ってきたんだ。」
「おぅ!若菜さんも来てたんだな。」
「えぇ、ミックを預かって貰っているから彼の様子を見にね。
それと、皆へのお土産もね。」
そう言って若菜が指差した方には綺麗なショートケーキが置かれていた。
警察の捜査にも協力的な若菜はこれまでの状況や境遇を鑑みて保護観察処分を受けた。
無事病院から退院は出来たが筋肉が衰えてしまったらしくまた動ける様にリハビリを行っている。
「そう言えば無名の飼ってた"リーゼ"って小猿の調子はどうだ?」
翔太郎の問いに照井が答える。
「奴なら"赤矢"が飼っている。
園咲 若菜と同じく保護観察状態で暇らしくてな本人が申し出た。」
「そうか....ってかそこのガキは誰だ?
まさか、照井の子供とかか?」
翔太郎の問いに照井は軽い溜め息をつきながら答える。
「はぁ、左。
俺に下らない質問をするな。」
そこに亜樹子か補足を入れる。
「依頼人だよ翔太郎君、直々のご指名でね。」
「あん?どう言うことだ?」
そう言うと少年が翔太郎に一枚の名刺を見せる。
「これって.....」
「霧彦って人に言われたんだ。
左 翔太郎って言う探偵に頼めば姉ちゃんを探してくれるって....」
「霧彦が!.....そっか、アイツ元気なんだな。」
風都第二タワーでの決戦では顔すら会わせなかったから無事なのか分からなかったが元気なようで翔太郎は安心した。
「霧彦からの紹介なら安心だ。
それで姉ちゃんを探してくれって言うが家出でもしたのか?」
「ううん....姉ちゃんはEXEって言う奴らとつるんでたんだ。」
EXEの言葉を聞いて照井が話しに入る。
「待て....今、EXEと言ったか?
お前の姉さんはEXEと関係しているのか?」
詰め寄る照井に少年が慌てる。
「落ち着けって照井!びびっちまってるだろ。
悪いなこの兄ちゃんは"警察"の人なんだ。」
「警察.....じゃあ姉ちゃんを捕まえるの?
.....イヤだ!」
少年は翔太郎を押すと事務所から出ていってしまった。
「あっ、待って君っ!」
亜樹子が逃げる少年を追いかける様に事務所を後にする。
しかし、追いかけようとしない翔太郎に若菜が尋ねる。
「ねぇ、彼の事追わなくて良いの?」
「問題ねぇ亜樹子もいるし保険つけておいた。」
そう言うと翔太郎はスパイダーショックを操作して画面を見せた。
「さっき、発信器をつけておいたんだ。
これがあれば大丈夫さ。
それよりも照井、EXEって何なんだ?」
「.....ミュージアムが崩壊した後、"獅子神が起こした事件"は知ってるだろう?」
「あぁ俺はその時、風都にいなかったが相当ヤバかったらしいな?」
「あぁ、だが獅子神もサラも俺達、警察が逮捕した。
しかし、その影響で街のハングレや不良がチームを作り残ったガイアメモリを回収して売買を始めたんだ。
それを一手に行っているのがEXEと呼ばれる組織だ。
噂ではかなりのメモリが奴等の手に渡っているらしい。」
「マジかよ。
チッ!ったく最近の餓鬼は面倒臭い事しやがるな。」
「今回、俺がここに来たのも左達にEXEの情報を共有して捜査に協力して貰う為だ。
奴等はどうやらミュージアムの情報を持っているらしくてな。
一体どれだけのメモリを所有しているか分からない。
気を付けてくれ。」
「分かった。
んじゃ、俺は依頼人の坊主を追うとするかEXEって組織に姉ちゃんが捕まっているなら何れ弟を捕まえに来る筈だからな。」
「あぁ、頼む。
こっちも捜査は進める。」
翔太郎は照井との話をつけると若菜にネコ缶を渡した。
「後でミックに謝っといてくれ。
お前の狙ってた猫缶手に入れそびれたって......」
「ふふ...えぇ分かったわ。
何なら顔も引っ掻いて良いって言っておく。」
「おいおい、勘弁してくれよ。
事務所でゆっくりしていってくれ。
……じゃ」
そう言って翔太郎が事務所を出ると若菜は不安そうな顔をする。
「やっぱり....まだフィリップ君の事を忘れられてないのね。」
若菜は見逃さなかった。
事務所から出ようとした瞬間、フィリップのラボに目を向けて何か言い掛ける翔太郎の姿を.....
「当然だろう。
左にとってフィリップとは自分の半身と言っても過言じゃない関係だった。
亡くした家族の痛みが癒えるには時間が掛かる。
それは君も同じだろう園咲 若菜。」
「えぇ.....今でも思うの。
もし、まだ私に超越者の力が残っていたらきっと自分の命を賭けてでもフィリップを救おうとしただろうって....でも私にもうそんな力は無い。
只の人間になった私に出来るのは残ったミックの世話ぐらい.....自分の無力さが嫌になるわ。」
「それは....皆同じさ。
俺も所長も左も......」
その頃、逃げた少年、晶を追いかけていた亜樹子は窮地に陥っていた。
少年を囲む様に風体の悪い青年達が立っており亜樹子は咄嗟に晶を庇う様に前に出た。
「あ?テメェ誰だよ?」
「アンタ達、子供相手にカツアゲ?
そんな事する暇あったらどっかゲーセンとかで遊んできなさいよ。」
「なめてんのかテメェ?」
ロン毛の男が亜樹子を睨みつけるがそれを止めるように真ん中の男が言う?
「おい待てよ。
ヘッドも言ってただろ?余計な死体は増やすなって....
アンタが誰か知らないけど
俺達が用があるのはそこの晶ってガキだ。
大人しくここから消えるって言うならこっちも手荒な真似はしなくて済むんだが.......」
「晶君は家の依頼人になるかもしれないのよ。
はいそうですかって渡すわけにはいかない。」
「はぁ.....なら、アンタを消すしかねぇか。」
真ん中の男がメモリを取り出すと起動した。
「
首にメモリを指すと背中にドリルの様な殻を背負ったドーパントに変身する。
それを見て晶が言った。
「お前は姉ちゃんを拐った怪物っ!」
一人がドーパントになると周りを囲っていた者達もメモリを起動し身体に挿す。
「Anomalocaris,Bat,Chicken,Diamond,Explosion,Finger,Glass,Injury」
亜樹子は大量のドーパントに囲まれ驚く。
「どっ、どんだけメモリを持ってるのよ!?」
「これも全てヘッドのお陰さ。
EXEに入るだけでメモリが貰える。
それにな功績を残せばこんな物まで渡してくれんだぜ。」
ハーミットクラブドーパントは小さなポリバックに入ったカプセルを見せつける。
それに見覚えのあった亜樹子が言う。
「それって...エンゼルビゼラじゃん。
どうしてアンタがそれ持ってるのよ!」
「ヘッドからの褒美さ。
唯を連れてったからな。
お前らの分の薬もあるんだ!絶対捕まえろよ!」
その声に周りのドーパントは興奮している。
彼等もエンゼルビゼラによるジャンキーなのだろう。
絶体絶命.....そう見える姿だが何時だって切り札は遅れてやって来るものだ。
ドーパントの頭上をハードボイルダー飛び抜けると亜樹子と晶の周囲を一瞬する。
それに驚いて距離が空くのを確認するとバイクを止めた。
「誰、お前?」
その問いにヘルメットを取り帽子を着けた翔太郎が答える。
「俺か?俺の名は左 翔太郎。
風都の悩みを解決する探偵さ。」
「は?その探偵が何の用なんだよ?」
「この餓鬼は俺の依頼人だ。
詳しい内容を聞いてもないのに逃げられてな。
追ってたらここに来たって事さ。
それよりもお前らのガイアメモリ....一体どうやって手に入れたんだ?
盗んだにしても能力の高いメモリばっかり使ってるじゃねぇか。」
「素直に話す訳ねぇじゃん。
....もう良いやどうせ死体が一つ増えるだけだ。
おい!コイツも殺るぞ!」
この声を聞いて目の色を変えたドーパントを見た翔太郎も覚悟を決める。
「やれやれ悪いことしてる餓鬼を仕付けるのも大人の役目か。」
翔太郎はドライバーを腰に着けると懐からメモリを取り出した。
「"行くぜフィリップ"......いけねぇまた癖が」
「はぁ?何それ?」
翔太郎は相手の言葉を無視してメモリを起動する。
「JOKER」
「.....変身。」
翔太郎がベルトを展開すると肉体が変化し漆黒の生体装甲を纏った戦士へと姿を変える。
「お前は!?」
「仮面ライダー......"ジョーカー"。」
翔太郎はゆっくりと敵のドーパントに指を向けて言い放つのだった。
「"さぁ....お前の罪を....数えろ"。」
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