「左......」
モニターの中でエナジードーパントの攻撃を受けて倒れた翔太郎を見て照井は呆然とする。
それを見た伊豆屋は先程とは打って変わって笑顔になった。
「あぁ....素晴らしい...その顔だ。
私は貴方のその顔が見たかったんだ。
己の信じた者が奪われ呆然とする貴方の顔がね?」
「!?.....貴様ぁぁぁ!!」
怒りと憎しみから伊豆屋に掴みかかろうとするがその前に伊豆屋は口から大量の血を吐き倒れてしまう。
「伊豆屋!!」
「かはっ!....やはり、持ちませんかぁ。
私の身体はメモリとエンゼルビゼラと大量に服用したことでボロボロだったのですよ。
何時死んでも可笑しくはなかった。
それを知ったのは伊坂先生が貴方に殺されたことを知ってからです。
だから決めたんですよ。
"私が味わった以上の苦しみ"を貴方にも与えようとね......ふふ!
大成功です!
私の企みを見抜けなかった結果、貴方は友をこの街は仮面ライダーを失った!
これを全て貴方のせいですよ照井 竜。」
愉快そうに伊豆屋は笑うが笑い声の端からどんどん吐血していく。
「どうやら、私もこれで終わりみたいですね。
しかし、満足いく結果を貰えましたよ照井 竜。
......では....さ....よう...な....ら」
伊豆屋は満足そうに目を瞑ると息を引き取るのだった。
エナジードーパントからの凶弾を受けて倒れている翔太郎に向かって亜樹子は駆け寄っていく。
撃たれたばかりなのか身体は暖かいが心臓のある胸部の服に"二つの穴"が空いておりそれがどういう意味なのか亜樹子は否が応でも理解してしまった。
「そんな....翔太郎君....翔太郎君!」
翔太郎の身体を揺さぶるが起きることはない。
「あひゃひゃひゃ!無駄だぜ!
心臓をぶち抜いたんだ。
こいつが仮面ライダーでも心臓に穴が空いたら助からねぇだろう?
EXEに刃向かった当然の罰さ。」
「アンタね!?」
反抗しようとする亜樹子にエナジードーパントはレールガンを向ける。
「おいおい....何、刃向かおうとしてんだよ?
今度はお前が死ぬか?」
そうして向けられたレールガンが放たれようとした瞬間、その銃口を晶のタックルにより弾かれてしまう。
「なっ!?」
「止めろ!....もうこれ以上、誰も傷つけさせない。」
「このクソガキがぁ!
上等だ!....次の犠牲者はお前にしてやるよガキ!」
エナジードーパントが邪魔をした晶の頭にレールガンを押し付ける。
亜樹子は晶に向けて叫ぶ。
「晶くん!逃げて!」
晶はそれでもエナジードーパントを睨み付けた。
「僕だって....この街の人間だ!
お前みたいな街を泣かせる奴を僕は許さない!
僕だって....戦えるんだ!」
「「
二人の声が重なると翔太郎は晶に向けられていたレールガンを弾き突如飛来したエクストリームメモリがエナジードーパントの顔面にタックルした。
「エクストリームメモリ....何で?」
晶を守りながら投げ掛けられた翔太郎の疑問に答えが帰ってくる。
エクストリームメモリからデータが放出されるとそれは翔太郎が最も会いたい"相棒の姿"へと変わった。
「フィリップ.....」
驚愕する翔太郎にフィリップはまるで悪戯が成功した子供の様に笑いながら告げた。
「やぁ、翔太郎。」
「お前....どうして?」
「"無名"が....僕に"身体"をくれたんだ。」
そう言うとフィリップがこの状況の説明を始めた。
「データの海に消えた僕を無名達が見つけ出してくれたんだ。
そして、僕の精神を復元させると無名が僕に自分の身体を与えてくれたんだ。
無名はゴエティアに僕の細胞を使って作られたクローンの様な存在だ。
だから、拒否反応も出ずに動ける。」
「なら....どうして直ぐに現れなかったんだ?」
「完全に復元が終わったのが君がEXEと戦っている最中でね。
君が撃たれるのを救うのに体一杯だったんだよ。」
そう言ってフィリップは翔太郎の服を指差した。
「無名の身体を使って甦った副次的効果で僕もある程度、デーモンメモリの"黒炎"が扱える様になってね。
黒炎を使って放たれた弾丸と翔太郎の身体を間に起こる事象を消し飛ばしたんだ。
上手く行ってくれて本当に良かったよ。」
フィリップがそう言うとその姿を見た晶が呟く。
「貴方が、翔太郎兄ちゃんが言っていた相棒のフィリップ?」
「青山 晶くんだね?
君のことはエクストリームメモリの中から見ていたよ。
お姉さんを救う為に振り絞った勇気は称賛に値する......って翔太郎酷い顔になっているよ?」
そう言われた翔太郎は確かに酷い顔になっていた。
失ったと思っていた相棒が復活した喜びとこれまで一人で頑張っていた彼の感情が爆発し涙と鼻水でボロボロになっていたのだ。
それを見た翔太郎は相変わらずと言った顔をした。
「全く、僕がいなくなって少しは鳴海 荘吉の様なハードボイルドになったかと思ったがまだまだハーフボイルドだね翔太郎。」
「ズビーッ!うるせぇよ....フィリップ。
これは...あれだ!新手の花粉症だよ花粉症!」
その光景を見た亜樹子も涙を浮かべながら笑う。
「ふふっ!やっぱり翔太郎君はハーフボイルドは一番だよね!」
「誰がハーフボイルドだコラぁ!」
「あー!怒った怒ったぁ!」
「ふふっ....亜樹ちゃんも久しぶりだね。」
「....うんおかえりフィリップ君。」
「あぁ、ただいま。」
そう言い終わるとフィリップは呆然としている若菜の元へ向かう。
「姉さん....お久し振り。」
「フィリップ?....本当にフィリップ君なの!?」
「あぁ、心配を掛けてごめん。
僕は.....」
そう言い掛けた瞬間、若菜はフィリップを抱き締めた。
「会いたかった。
生きてて本当に良かった。」
「....うん僕も嬉しいよ姉さん。
これからはずっと一緒だよ。」
二人が互いに生きていることを確認しあっている中、忘れ去られた者が怒りながら叫ぶ。
「おい!さっきから何なんだよ!
俺を無視してんじゃねぇよ!」
キレるエナジードーパントに翔太郎が言った。
「あ、すっかり忘れてたぜお前のこと」
「.....テメェもう許さねぇ!!
全員まとめて地獄に送ってやる!」
「生憎、君の思い通りにはならないよ。
君のことはもう"検索"を終えている。
強化アダプターによって通常のエナジードーパントよりは強くなっているみたいだが君の野望が叶う事は無い。
....何故なら"僕達"が止めるからだ。」
フィリップはそう言うと取り出したWドライバーを翔太郎に差し出す。
「左 翔太郎....僕と言う悪魔ともう一度、相乗りしてくれるかい?」
「....あったり前だろフィリップ!
俺達は二人で一人の探偵でありこの風都を守る仮面ライダーだ。」
翔太郎は涙でグシャグシャになった顔を拭くとフィリップからWドライバーを受け取り腰に装着する。
すると、フィリップの腰にもWドライバーが出現した。
帽子を被り直した翔太郎がいつもの様に言う。
「行くぜフィリップ。」
「あぁ、翔太郎。」
「CYCLONE」
「JOKER」
「「変身」」
フィリップがサイクロンメモリを装填すると翔太郎のドライバーにメモリが転送される。
翔太郎がジョーカーメモリを装填するとベルトを展開した。
「CYCLONE JOKER」
翔太郎の身体を緑の紫のエネルギーが包むと彼の身体は変化し仮面ライダーW サイクロンジョーカーへと変身が完了した。
その瞬間、意識を失い倒れるフィリップの身体を亜樹子が支える。
「あぁ、これこれ!やっぱりこれが無いと」
フィリップの身体を支える亜樹子が懐かしそうに言う。
「だな。」
翔太郎がその言葉に肯定すると目の前のエナジードーパントに目を向けると指を差す。
『「さぁ、お前の罪を数えろ」』
「....ふっざけんなぁ!?」
散々、無視され続けた後にそんな言葉を投げ掛けられたからからだろう。
ブチキレながらWにレールガンを放つがWの風を纏った蹴りがレールガンの弾丸をいとも簡単に弾き飛ばす。
「!?」
「さぁ、どんどん行くぜ!」
『あぁ、翔太郎。』
そう言うとWはエナジードーパントに向かっていく。
失われたこれ迄の時間を埋める様に昔の様に互いの思いを重ねながら戦う。
メモリを切り替えていきヒートメタル、ルナトリガーに変わり戦うWはとても強く風都を守る仮面ライダーとして頼もしく見えた。
今のWは原作最終回のWと比べても色んな意味で桁違いだった。
原作よりも様々な意味で強化された翔太郎と無名の身体を使い完成されたデータ人間となったフィリップ。
その二人が変身するWは別次元の強さを誇っており"強化アダプター程度"では歯牙にすら掛からない。
絶望的な真実を理解させられられたエナジードーパントは吠える。
「クソが!こんなことあってたまるかっ!
こうなったらあの
苦し紛れのエナジードーパントが二人を人質にしようと動く前にルナトリガーの光弾が彼を襲った。
『そろそろ決めるとしよう翔太郎。』
「あぁ、ハードボイルドに決めるぜ。」
「CYCLONE JOKER」
Wはサイクロンジョーカーに戻ると馴れた手付きでジョーカーメモリをマキシマムスロットに装填する。
「JOKER MAXIMUMDRIVE」
Wの周囲で突風が発生すると彼の身体が風の力で浮遊していく。
そのまま、一回転して両足をエナジードーパントに向けると必殺技が放たれた。
『「JOKER EXTREAM」』
半分に分割し放たれる必殺キックの二連撃はエナジードーパントが放ってくるレールガンや放電を突破し彼の胸部へと叩き込まれた。
その瞬間大爆発を起こすとメモリとアダプターが破壊されて体内から排出される。
人間の姿に戻ったEXEのヘッドは目の下に隈が出ながら気絶するのだった。
「決まったな。」
『そうだね翔太郎。』
そう言うとWはドライバーからメモリを抜いて変身解除しフィリップとの再開を喜ぶのだった。
Another side
フィリップが復活したことで笑顔になる翔太郎と亜樹子を地球の本棚から見つめる無名も同じ様に笑顔になっていた。
「良かった。
これで彼等の物語は前に進んでいける。」
原作では若菜が自らの身体を犠牲にしたことで復活したフィリップ。今回はその方法が取れなかったのだが、その問題を解決してくれたのが超越者であったゴエティアとコスモスだった。
「まさか、最後の最後に貴方達に助けられるなんて思いませんでしたよ。
感謝の言葉を言いそびれたのが悔やまれますね。」
そう言う無名の周りには誰もいない。
ゴエティアもコスモスもフィリップ復活の為に残った力を全て使い果たし本の記憶の中へと姿を消した。
では何故、無名は一人で地球の本棚に残ったのか?
(超越者と言う存在がいる以上、こんな事件が起きる可能性は否定できない。
彼等の残した力は強大だ。
この地球の本棚だって超越者が残した遺産とも呼べる物だ。)
地球にある全ての知識を閲覧できるこの力が悪の手に渡ればどんな惨劇が起こるか想像も出来ない。
だからこそ、無名は決めたのだ。
この地球の本棚を守る番人になろうと.....
これはフィリップには出来ない仕事だ。
何故なら彼には現実世界で相棒と共に悪と戦って貰わないといけない。
だから僕が代わりにここを守り抜く。
あらゆる悪意から......
「表の世界は任せましたよ。
代わりにここはもう一人の悪魔である僕が守っていきますから......」
無名は一人の空間でそう言うと地球の本棚の力を使い現実世界の様子を眺めるのだった。
Secret side
森の中を必死に走る集団が目に映る。
彼等の顔は必死であり生きる為に走り続けていた。
草や木が当たり皮膚を切ろうと構わない。
例え全身、傷だらけになったとしても"奴"に捕まるよりは何倍も良いのを理解していたからだ。
男は伊豆屋と同じく伊坂のシンパだった。
彼と他のメンバーは伊豆屋の作戦に賛同し伊坂を蘇生させる為、ミュージアムが保有していた研究室に行く必要があった。
その為にEXEのメンバーに扮して園咲家の最後の一人となった園咲 若菜の生体情報が必要だった。
それを手に入れたシンパ達は早速、ミュージアムが隠していた研究室のロックを解除する。
しかし、ここで予定外の事態が起きたのだ。
ロックを空けた研究室の内部に
研究者の服装ではなく関係者ではないのは明らかだった。
「誰だお前は?」
シンパの問いに男は答える。
「名などどうでも良いだろう?
それよりもお前達はここにある物で何をするつもりなんだ?」
「貴様には関係ない。
我々の邪魔をするなら排除するだけだ。」
シンパがガイアメモリを出すのを見て男は溜め息をつく。
「はぁ....結局、ロノスの予言通りか。」
そう言うと男は両手を力強く握り構える。
すると、腹部に黒い触手の様な物が現れると大きくパーツが展開されたドライバーが現れた。
そのまま、左手を顔の横に伸ばし右手をドライバーの上部に添える。
「変身」
小さいが覚悟の籠った声と共に両手を逆方向に伸ばすとドライバーが変形し黒い装甲に覆われ中心が緑色に輝くドライバーへと変わった。
すると男の身体は"銀色のバッタの姿をした怪人"に一度変化するとそこから更により人型に近くなった存在に変わると変身が終わった。
"仮面ライダーSHADOW MOON"へと変身が終わった男黒い複眼で見つめながらゆっくりとシンパ達に近付いていく。
彼等もドーパントになり応戦しようとするがそれは無駄なことだった。
シンパはドーパントの力を使いただ暴れているのに対してSHADOW MOONは強大な怪人の力を制御し合理的に敵を排除していく。
急所を的確に潰すSHADOW MOONの前にはシンパの屍が積み上がった。
その強さに恐怖したシンパの一人がその場を逃亡し今に至る。
変身していてはバレる可能性が上がる為、ガイアメモリは身体から抜いてただ逃げるために走り続けた。
しかし、突如その歩みが止まってしまう。
....いや、自ら止まったのではなく何かの力で動けなくなったのだ。
背後を見つめるとそこには複眼を緑色に光らせながら手を此方に向けるSHADOW MOONの姿があった。
「すまないがロノスから一人も逃さずに命を奪えと言われている。
それと、ここの研究所も完全に消さないといけないんだ。」
「ひっ!...なっ、何の為にそんな!?」
「さぁな。
だが、ロノス曰くこれから先のストーリーでお前らがいると困るらしい。
だから、本当にすまないがここで死ね。」
「まっ!?」
パキッ!骨が折れる音と共に最後のシンパの首が180度回ってしまった。
動かなくなった敵を見てSHADOW MOONは念動力を解除するとシンパの遺体は地面に崩れ落ちた。
そんな遺体に目を向けることなく研究所の入り口へと戻った。
研究所の壁を思いっきり殴るが傷一つ付かない。
「ミュージアム特製の研究所は厄介だな。
やはり壊すにはこれを使うしかないか。」
そう言うとドライバーに両手をかざす。
ドライバーが展開されると中心で緑色に光り輝く"二つの石"が現れた。
一つは信彦が最初から持っていた"キングストーン"でもう一つは並行世界のシャドウムーンと戦い勝ち取った"月の石と呼ばれるキングストーン"だった。
二つの石はお互いに引き合うとより一層輝き始める。
すると、ドライバー付近に黒と銀で彩られたパーツが浮遊し始めた。
信彦は左手を天高く掲げ構える。
奇しくもその動作は"仮面ライダーブラックRX"の変身動作を反対にしたものだった。
「変身」
信彦がそう言うと先程まで浮遊していたパーツがドライバーに合体する。
すると、SHADOW MOONの身体に金属で出来た装甲が追加されていく。
先程までのSHADOW MOONが銀色のバッタの戦士だとすれば今は銀色の甲冑を纏った戦士へと変わっていた。
変身を終えた信彦はキングストーンに貯めた力を右足に込めると周囲の建物を巻き込む形で回し蹴りを放った。
放たれた蹴りの衝撃が建物に伝わると支えていた柱が粉砕され下から潰れる様に建物が音をたてて消え去った。
自分の周囲をエネルギーシールドで守っていた信彦は瓦礫から飛び上がると変身解除する。
「これでロノスの計画が進む。
そして、俺の願いも.....」
信彦は跡形もなくなった研究所に背を向けて歩き始めるのだった。
【仮面ライダーSHADOW MOON エルレシス】
BLACKSUN世界の信彦が並行世界のシャドームーンから奪い取った月の石と融合したことで産まれた新形態。
見た目はSHADOW MOONの身体にシャドームーンの装甲を鎧の様に着込んでいる。
念動力や身体能力が更に強化され必殺キックには空間を切断する力がある。
外伝 続編の投稿に関して
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