もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第二百四十一話 復活のW/W-B-X

 

風の街、風都(ふうと)......

この街は不幸も幸福も全て風が運んでくる。

 

そんなこの街の闇に差し込む一筋の光りが探偵である俺達って訳だ....今日も悩みを抱えた依頼人が事務所の扉を叩き...パコン!!

 

痛ってぇな亜樹子!

人がハードボイルドに決めてる所を邪魔してくんじゃねぇよ!

 

「何がハードボイルドよ。

さっさと迷い猫の捜索の報告書完成させてよね。」

「あのなぁ、フィリップも戻ったってのにどうして迷い猫の捜索なんてやってんだよ!?」

 

「はぁ!?...翔太郎君が輝くのは猫探してる時でしょう?

何勘違いしてんのよ。」

「あんだと亜樹子!?やんのか?」

 

「へぇ、所長であるこの私に勝てると思ってるの?」

 

シュ!(勢い良く翔太郎の頭を狙う亜樹子のスリッパの音。)

「甘ぇ!」(振り下ろされるスリッパを片手で受け止める翔太郎。)

 

パコン!(それを想定していた亜樹子がもう一つの手に持っていたスリッパで翔太郎の顎を刈り取る音)

「痛ってぇ!?」

 

「常に二の手、三の手を用意する。

....お主もまだまだよのぉ翔太郎。」

仙人の真似をしながら告げる亜樹子に苛立っているとフィリップが事務所に入ってきた。

 

首に巻いている緑色のマフラーを取りながら言った。

「二人とも何をしているんだい?」

「聞いてくれよフィリップ!

亜樹子がよ....って!?」

 

話をしようとする翔太郎を押し退けて亜樹子がフィリップに用意していたコーヒーと菓子を取り出した。

 

「ようこそフィリップ様、お早いお着きで....」

「亜樹ちゃん。

何もそんなにへりくだらなくたって」

 

「そうだぜ亜樹子。

そんな事しなくたってフィリップは変わらねぇだろう?」

「うっさいわね!今のフィリップ君は翔太郎の相棒でありこの"鳴海探偵事務所のオーナー様"なんだから余計なこと言わない!」

 

フィリップは復活してから若菜と共に生きる道を選んだ。

若菜と共に園咲家の罪を償っていこうと決めた。

その為にフィリップは探偵業で稼いだお金を資金源に株を始めて大儲けするとそのお金を使って若菜と一緒に住む家と鳴海探偵事務所の土地と負債を買い上げたのだ。

 

(フィリップ曰く、これまで世話になったお礼であり権利書関係は亜樹子に渡している。)

 

 

翔太郎がフィリップの首に巻かれていたマフラーを指差す。

「若菜さんからか?」

「あぁ、最近寒くなってきたからってプレゼントしてくれたんだ。」

 

「そうか、ちゃんと家族として上手くやれてるんだな。」

「お陰様でね。

そう言えば京水さんが翔太郎が何時、またバーに来てくれるのかって催促してきたけど....」

 

「うげっ!?マジかよ。」

「相当気に入られたみたいだね翔太郎。」

 

無名の元で働いていたNEVERのメンバーにも変化があった。

無名が拠点としていた建物とカフェは売り払い、その元手で風都の寂れたバーを買った京水とレイカはそこで働きミーナとマリア、そして若菜は近くの孤児院で一緒に働いていた。

 

其々が自分の道を歩んでいく中、照井も新たな進展があった。

亜樹子と正式に婚約したのだ。

 

亜樹子の左手の薬指には照井から貰った婚約指輪が輝いていた。

 

(何で亜樹子は婚約できて俺には相手がいないんだよ....ったく)

 

心の中で悪態をつきつつも翔太郎とフィリップは二人の報告を聞いてとても喜んでいた。

 

この幸せもこれまで死んでいった仲間が切り開いてくれたものだ。

 

無名や克己が命を懸けた価値はあったと俺は思う。

 

そう考え黄昏ている俺の考えを察したのかフィリップが話し掛けてくる。

「守っていこう翔太郎。

僕達が手に入れたこの時間は決して僕らだけの物じゃない。

あらゆる苦悩や苦痛の先で漸く手に入れた結果だ。

 

残された僕達はそれを守る義務がある。

それが死んでいった者へのせめてもの恩返しだ。」

「あぁ、そうだよなフィリップ。

....さてと!全員揃った事だし早速、依頼を片付けようとするか。

亜樹子、今日は何件依頼が入ってるんだ?」

「えーっとね。

猫探しが5件、犬探しが8件、それに壊れた配管の修理も1件入ってるよ。」

 

「犬猫探しが全般じゃねぇか!

しかも、最後の配管に至っては探偵の仕事でも無ぇだろうが!

配管業者に連絡しろよ。」

「仕方ないでしょう?

竜君が頑張ったお陰でガイアメモリ関係の仕事がめっきり減っちゃってるんだから!

仕事があるだけマシよマシ!」

 

「はぁ....こんなのちっともハードボイルドじゃねぇや。」

「文句を言っても始まらないだろう翔太郎。

配管の方は僕がやっておくから君は犬と猫の件を頼むよ。

実は配管関係でまだ検索できてない項目があるんだ....ゾクゾクするねぇ。」

 

「おいおい、検索にかこつけて仕事ほっぽりだすのは止めてくれよなマジで.....」

そう話していると事務所のチャイムがなった。

亜樹子が扉を開けるとそこには喪服を着た女性が立っていた。

 

「あの....知り合いからここを紹介されたんです。

実は知人が何人も謎の不振死を遂げていて生き残った人の証言を聞くと皆、怪物を見たと言っているんです。

 

ここは風都で起こる不可解な事件を扱う探偵だと聞いています。

是非、依頼を受けてくださらないでしょうか?」

 

その話を聞いたフィリップと翔太郎は彼女の前に出る。

 

「勿論だ。

依頼人の命は絶対に守る。

俺達はこの風都のトラブルシューターだからな。」

「謎の不振死が次々と起こる怪奇事件....ゾクゾクするねぇ。

早速、検索をかけてみよう。」

 

その姿を見た女性が尋ねる。

 

「あの....お二人で捜査をしてくれるのですか?」

 

「勿論、僕達は二人で一人の探偵だからね。」

「俺ら二人ならどんな事件も解決して見せる。

例え怪物が出たとしてもな。」

 

翔太郎はそう言うとラックにかけていた帽子を手に取ると頭に被る。

彼等は今日も風都を守るために奔走する。

 

時に探偵....時に仮面ライダーして

 

 

彼等は犯罪者に常に問いかけ続けるのだ。

 

 

 

さぁ、お前の罪を数えろ。

 

 

END......?




【あとがき】

本作をこれまでお読みいただきありがとうございました。
ハーメルン初投稿の作品のため不備も多かったかと思いますが楽しんでいただけたのなら幸いです。

これにて本作品は一度完結します。

しかし、読者の方には回収できてない伏線にやきもきされる方もいるでしょう。

・獅子神やサラはその後どうなったのか?

・ロノスの始めようとしてる計画とは?

・結局、無名は地球の本棚にいるままなのか?

こちらの答えですが実は僕の中ではある程度、形になっており整理がついたら作品として投稿しようと思います。

そこで、質問なのですがこの外伝的な作品をもう一人の悪魔のこのままここに投稿するか新規投稿として出すかで悩んでいます。

見やすさを考えたら新規投稿として出す方が言いと思うのですが皆さんの声を聞かせてください。
何時もの様にアンケートを出しますので答えていただけたら幸いです。

では改めまして最後まで読んでいただきありがとうございました。



筆者より

外伝 続編の投稿に関して

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