鴻上から話を聞いていた京水のケータイに芦原から着信が入る。
「はい、どうしたの芦原ちゃん?」
『京水か。
メダルを吐き出す怪物について心当たりはあるか?』
「芦原ちゃんどうしてその事を!?」
『やっぱり知っている様だな。
実はソイツらが風都で園咲 若菜を襲った。
その時に銀色のメダルを埋め込まれた。』
「そうだったの....実はこっちも未来ちゃんがその怪物....ヤミーって言うんだけどそこで同じ目に遭わされて....」
『そうか。』
「実は今、鴻上コーポレーションで色々と面白い話を聞けてね。
ちょっと手を貸してくれると嬉しいんだけど....」
『やはりそうか。
そう言うと思って俺は風都をもう出ている。
ドライバーも持っているから場所をメールしてくれ。』
「分かったわ。
それじゃあ、今から送るクスクシエってお店で会いま...!?」
そうして京水が話していると突如、鴻上の顔が険しくなった。
その変化に気付いたレイカが尋ねる。
「どうしたの?」
「何者かがこのビルに侵入したらしい。
ライドベンダー隊が手も足もでなくやられた。」
「アルケって奴が送ってきた刺客?」
「あり得るわね。
鴻上さんここにアルケが狙う者ってあるかしら?」
「.....800年前の王が始めて使った三枚のコアメダル。
目的は分からないがアルケが狙うとしたらそれだろう。」
「分かったわ。
今はそれを奪われない様にするのが先決ね。
業腹だけどこれ以上、奴らの思い通りにさせる訳には行かないわ。
行くわよレイカ。
....ごめんなさい芦原ちゃん悪いけど」
『鴻上コーポレーションだったか?
直ぐに向かう。』
「助かるわ芦原ちゃん!」
そう言うと京水は電話を切った。
「侵入者が通るルートは?」
京水の問いに秘書が答える。
「ここです。」
「ありがとう。
出来る女って感じね...でも私の方がおっぱい大きいんだからっ!」
「はい?」
「気にしないでただの嫉妬だから....ほら行くよ京水!」
京水の小声の嫉妬を無視した二人は目的の場所へと向かうのだった。
話を聞いていた伊達もミルク缶を背負うと後に続こうとするが鴻上に止められる。
「伊達くん何処に行く気かね?」
「ここでじっとしていられる程、大人じゃなくてね。
代わりのバースドライバーを貰って加勢しに行くのさ。」
その言葉を聞いた鴻上はバツの悪そうな顔をする。
それを見た伊達に嫌な予感が走った。
「あれ....どうしたの社長さん?」
「実はね伊達くん。
リバースドライバーの開発をドクター真木に命じたのは私なのだ....勿論洗脳された状態でだがね。」
「そりゃそうだろ。
だから敵にドライバーが渡ってるんだろ。」
「そのリバースドライバーなのだが....どうやら開発を優先させる為に予備のバースドライバー開発を私が止めさせてしまったらしくてまだ完成してない!」
「はぁ!?」
「しかも、開発を終えた彼に長期休暇を与えているようで何処にいるか皆目検討がつかない!」
「ちょ!?...ちょっと待ってくれよ!
だとしたら俺は生身でアイツらと戦わなきゃ行けないってことか?」
「そう言うことになるなハッハッハッハ!」
「いや、笑い事じゃねぇだろ!?
クソ、こうなったら真木博士探すしかねぇ!
何か手がかりとかねぇのかよ!?」
「全く分からん!!」
「自信満々に言うんじゃねぇよ!?」
伊達は大急ぎでドクター真木の捜索を始めるのだった。
映司を連れていかれた後、カザリはノブナガに引き続き鬣による攻撃を行っていた。
だが、ノブナガは鎧の怪人の頃からの特殊能力で一度受けた攻撃は対応できるので直ぐ様、迎撃策を取る。
セルメダルをドライバーに装填し新たなガジェットを生成した。
「
ノブナガの胸部に透明な球体のパーツがついた鎧が展開されるとそこから赤い球体エネルギーであるスフィアが展開されカザリの鬣が爆発を起こした。
しかし、スフィアの内部にいたノブナガにダメージはない。
「無駄だ。
このスフィアを破ることは出来ない。
これで仕舞いだ。」
ノブナガはカザリの胸部に向かって勢い良く槍を突き立てた。
槍の刺さったカザリはまるで糸の切れた人形の様にだらんとしていた。
そんなカザリの身体からアルケの声か聞こえてくる。
『お見事、流石は日本でもっとも強欲と言われた"魔王信長"だな。』
「その声....聞き覚えがある。
お前がアルケだな?」
『その通り、しかし立派になったものだな。
私が君を見つけた時はまだ培養前の試験管にいる細胞だったが.....』
ノブナガは鴻上が作り出したホムンクルスだった。
信長のミイラに宿る強い欲望とセルメダルを掛け合わせた人造生命体.....そうなる筈だった。
『培養される前の細胞だったお前と私は取引をした。
....覚えているか?』
「あぁ.....」
『ならば話は早い。
私は約束を果たした。
今度は君が約束を守る番だ。』
「良いだろう....俺を連れていけアルケ。」
ノブナガは変身解除すると展開されていたスフィアが消滅する。
すると、ノブナガは倒れているキチョウの元へ向かうと頬を優しく撫でた。
「少しの辛抱だ。
お主は"必ず"迎えに行く....待っておれ。」
「え?」
二人の会話を聞いていたアンクが間に入る。
「おい、どう言う事だ説明しろ。
お前は敵とグルだったのか?」
「お主に話すことはないアンク。
少なくとも今の"迷っているお主"にはな。」
ノブナガの迷っていると言う言葉にアンクは動揺する。
「俺が何を迷うって言うんだ。」
「では何故お主は映司にコアメダルを渡すことを渋ったのだ?
連れていかれた時は簡単に渡したのにカザリとの戦いでお主はメダルを渡すことを拒んだ。」
「それは!?」
「そんな迷いを戦場に持ち出しあまつさえ映司を危険に晒した。
あやつの性格はワシにも分かる。
お主が何を考えたのかも想像はつくが....その迷いを戦場に持ち込むような奴をワシは信用しない。」
そう言ったノブナガは背を向けるとアルケにより操られたカザリの元へ向かい、その力でその場を後にする。
それをアンクは睨み付けることしか出来なかった。
アルケにより次元の狭間へと転移させられた無名は
「つまり、アルケの狙いは時空間その物を逆転させて超越者達を蘇らせる事なのですか?」
「僕達が調べた限りではね。
でも、そう考えるとちょっと分かんないことが出てくるんだよね。」
無名の問いにソウゴが答える。
「分からないこと?」
「うん、僕や士さんの力はアルケじゃなくてロノスって言う超越者が元々持っていた力だったんだ。」
「そして奴は超越者としての滅びから抜け出す為、わざと自分の力を手放した。
地球に適合できる様に弱体化しこの世界に存在できる様になった。
手放した力は
「そう言う意味で言えばアルケも同じと言えるけどね。
アルケは欲望の力をコアメダルとオーズドライバーに変えた。」
「そこまで分かって何が疑問なのですか?」
「"ロノスの行動"だよ。
ハッキリ言うと今回、アルケの計画が成功したのはロノスの力が大きい。
アルケはロノスの力を再現する装置を作れたけどその装置には実際に力は無い筈なんだ。」
そこまで話すと士が話を引き継ぐ。
「いくら力を模倣しようとしてもあくまで偽物。
ロノスの力が装置に実際に入っていなければ時空間が戻るなんて現象は起こせない。」
「と言うことは今、アルケの使っている装置には....」
「あぁ、"俺とソウゴから奪った力"が入っている。
しかし、ロノスはそれだけ行動しているのに表舞台に出た形跡が無い。」
「つまりアルケとロノスは協力していないんですか?」
「そう、今回の事件はあくまでアルケが起こしロノスは裏で協力している。
アルケと"コンタクトを取らず"にね。」
「アルケは狡猾で頭が良い。
今の財団Xを動かしているのはアルケであり俺達は何度も奴と闘ってきた。
本当ならば俺達がお前の世界に行き介入したいのだがどうやらそれは難しい。」
「どうしてですか?
貴方には"オーロラカーテン"の力があるでしょう。
それを使えば.......」
「ロノスが奪ったのは俺達の覚醒した力その物でな。
今の俺達はその力の大部分を失っている。」
「そう、本当ならタイムマジーンを使ってそっちの世界に行きたかったけど力を奪われた影響で存在が消えてしまってるんだ。」
「つまり、二人は力を奪われて弱体化しているから手助けできないと?」
「そう言うことだ。
だから、お前に託すことにした。」
そう言うと士は"仮面ライダーデーモン"の姿が写った"ライダーカード"をソウゴは"仮面ライダーデーモンの顔が描かれた"ライドウォッチ"を取り出した。
「僕達の力は奪われたけど受け継いだライダーの力は残ってる。
これは元々は君の力だ。
士さんと俺の力を君に託して君だけでも元の世界に戻す。」
「僕は僕の世界に戻れるのですか?」
「あぁ、俺達の力を吸収すれば一時的に肉体を手に入れられるだろう。
だが、あくまで一時的だ。
力を使い過ぎるとお前は消滅してしまう。」
「具体的に言えばエクストリームの力は使わないでね。」
そう言うと二人の手にあったライダーカードとライドウォッチが光り球体のエネルギーに変わると無名の身体に吸収されていった。
「先ずはアルケの計画を阻止しろ。
ロノスはアルケの計画を成功させたがっている。
奴の計画を潰そうとすればきっと表舞台に出てくる筈だ。」
「計画を潰すと言ってもどうすれば.....」
「僕達の力を内包した大きな砂時計の装置がある。
それを破壊すれば奪われた力は僕達の元に戻る。
そうすれば君の世界に行ける筈だ。」
そう言うと無名の前にオーロラカーテンが出現した。
「頼むよ仮面ライダーデーモン....いや無名。
この世界を救ってね。」
ソウゴはそう言うと無名の背中を押し彼をオーロラカーテンの中に進ませるのだった。
アルケの力で地下奥深くにあるアジトである祭壇まで到着したノブナガは周りを見渡す。
そこには巨大な砂時計を模した装置とその中央の玉座に金色の光を放つ水晶の様な結晶が置かれていた。
その結晶からアルケの声が響く。
『ようこそ...."始まりと終わりの場所"へ』
「何?」
『君達や仮面ライダーのお陰で
そう言われたノブナガは砂時計の装置を見つめるとアルケの言っている言葉の意味が分かった。
「砂が...逆に昇っていっている?」
『この砂は時の流れを表している。
これまで過ぎていった時がゆっくりと戻り始めているのだよ。』
「何故そんな回りくどい事を?
お主の力ならば一気に時を戻せるだろうに....」
ノブナガの問いにアルケは笑う。
『ふふ....それでは時空間が不安定になるだけだ。
少し説明してやる。』
アルケはセルメダルを宙に浮かすと魔法陣が出現しメダルは卵へと姿を変えた。
『卵の中身を"時間"...そして外を守る殻を"時空"と考えろ。
大抵の悪党は殻である時空を壊して時間に干渉する。
中身の時間をより多く手に入れればそれだけ時間を操る力を得られる。
だが、そんな大きな衝撃を与えれば殻は砕けて中身は漏れ出てしまう。』
「つまりそれは世界の崩壊を意味すると言うことか?」
『その通り、まぁこれはあくまで例えだ。
この空間には沢山の
お前の目の前にある装置は卵の殻にヒビを入れずに穴を空けられるのだ。
だが安全を期す為にわざと小さな穴を空けて中身を手に入れている。』
「だが、それでは手に入る中身の量もたかが知れているのではないか?
そんな悠長にやっていることを仮面ライダーが見逃すとは思えんが.....」
『ふっふっふ....そこが"卵と世界"の違いだ。
時間とは流動的で受動的だ。
あらゆる事象や事柄が複雑に絡み合い繋がっている。
それを人間は歴史と呼ぶ。
歴史を作るのは人が生きた時間とそれを伝えようとする後世の者の意思だ。
「.....話が見えんな。
それがこの計画にどう関係するのだ?」
『つまりだ。
人の歴史とは時間に密接に関わっておりそれは時に時空の概念すら越える。
ならば時を手に入れたいなら"人の歴史を手に入れれば良い"。
止まってしまった"人の歴史"をな......』
「....まさか!?」
ノブナガはアルケの目的を理解し戦慄する。
もしそれが出来るのだとしたらそれは神すら越える所業だからだ。
「"死した人の歴史"を呼び出したのか....この世界に」
『...."正解"だ。
死と言う運命でピリオドを打たれた者の歴史は時間に"大量に保管"されている。
それを抜き取りこの世界に解き放つとどうなる?
答えは"その者の死んだと言う歴史その物が無くなるのだ"。』
「そんなことをすればそれこそ時空と言う殻が割れてしまうのではないか!」
『いや、一度に大量の歴史を抜きとらなければ問題ないそれこそ一人ずつゆっくりとな....
それにもう"何人か"はこの世界に解き放っている。
今頃、外は大騒ぎだろう。』
アルケはそう言うとノブナガ目の前に二枚のコアメダルを出現させる。
「これは......」
『覚えているだろう?
私は君の願いを二つ叶えた。
一つは君自身が肉体を得ること....そしてもう一つは"君と同じ世を生きた者達も同じ様に蘇らせる事"だ。
私はこのコアメダルを使い!アケチとキチョウ"....そしてノブナガ...君が産まれる切っ掛けを作り出した。
そして、このコアメダルは私の身体を作る重要なパーツとなる。
さぁ、君のメダルを返して貰おうか?』
アルケがそう言うとノブナガは自分の胸に手を当てる。
するとノブナガの胸から一枚の黒いコアメダルが出現した。
「恩には恩を....仇には仇を....お主のお陰でワシはノブナガとして蘇れた。
故にこの恩をここで返そう。」
ノブナガはそう言うとアルケに黒いコアメダルを投げ渡した。
アルケはそのメダルを空中で停止させる。
『これで三枚....ついにこの日が来た。』
アルケは自ら自分自身の精神が入った結晶を破壊する。
すると中から一本のガイアメモリが飛び出すとコアメダルに向かっていく。
「
起動したメモリとコアメダルが融合すると全身が黄金色の鎧を纏った怪人へと姿を変えた。
その鎧からは黒いコアメダルの力の根元であるどんな力も通さない"堅牢"の力が込められていた。
アルケは手を握りその感覚を確かめる。
「ふむ....思ったよりも悪くはないな。
だが、少し"地味な見た目"だな。
こうしようか。」
アルケはそう言って指を鳴らすと全身が装飾されていく金色の鎧には宝石や銀色の彩飾が施され背中には赤と金を基調としたマントが現れた。
また、結晶が置かれていた玉座も姿を変える。
石の玉座がまるでダイヤモンドの様に輝くとアルケは王としての風格を出しながら座った。
「これで良い。
私の目的は成った。
後は
アルケは不敵に笑いながらノブナガを見つめる。
「さて、果たすべき契約は終わったがお主はどうする?
何なら私の配下に.....」
「.......ワシはノブナガだ。
誰の下につくつもりもない。
覚えておけアルケ....天下を取るのはこのワシだ。
その邪魔をするならばお主とて斬る。」
ノブナガからの敵対宣言を受けたアルケは満足した顔をする。
「あぁ...それでこそ魔王信長だ。
そうでなくては面白くない。
では、今度会う時は敵同士だな。
また会える日を楽しみにしておこう。」
そう言うとアルケは指を鳴らしノブナガを元いた場所へ瞬間移動させたのだった。
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