臨時休業と書かれた看板を見ながらドクター真木は大きく目を開きながら項垂れていた。
「まさか....こんな事に...なるとは」
ドクター真木は肩に乗せた人形に向けてそう話し掛ける。
話し掛けた人形は悲しむ様に顔を手で覆っていた。
彼がクスクシエに足を運んだのは偶然の重なりからだった。
数週間前、研究が一段落ついた彼が偶然ドライブをしているとクスクシエと書かれた看板を持って立っている2人の女性を見掛けた。
その一人を目にした彼の動きは止まった。
失った筈の姉と瓜二つだったからだ。
(因みにこの時に前方不注意で車をぶつける事故を起こしてしまった。)
それから私はクスクシエの店を何度も調べ足を運ぼうかと悩んでいると二つの目の偶然が起きた。
私が歩いていた道でクスクシエのクーポン券を彼女が配っていたのだ。
私がそのクーポン券を受け取ると私の肩にある人形であるキヨちゃんに目を向けた。
私は恐れた....端から見れば奇怪な人形を肩に携えた男だ。
姉に似た顔の彼女に失望や怪訝な目で見られるのだけは避けたかった。
だが、そんな私の考えとは裏腹に彼女は私の人形を「可愛らしい」と言い「今度一緒にお店に入らして」と言ってくれた。
嬉しかった......もう戻ることの無い幸福な記憶が私の心を満たした。
偶然などそう何度も続かない。
そうだ....これは偶然ではなく運命なのだ。
(クスクシエに行こう。)
そう決心した後の私の行動は早かった鴻上会長に長期休暇を打診したら新たなドライバーの開発を条件に承諾して貰った。
どう言う意図かは分からなかったがバースドライバーを戦闘用に更に改良した物が必要だったらしく私はクスクシエに行く希望の為に頑張った。
そのお陰かリバースドライバーは二基とも完成し無事に鴻上会長へと渡せた。
そして、私は残った休暇を使い様々な準備を重ねいざクスクシエに向かうと臨・時・休・業
私は絶望した。
この世界に神はいないのか?
確かに私は善き終わりを求めてはいるがこんな終わり方はあんまりではないか.....
「仕方がありません....また来ましょう。」
真木がそう言って踵を帰そうとすると急に扉が開き中から待ち望んでいた
「
「うわっ!?ビックリした....あれ?貴方は確か....」
知世子は真木の肩に乗っかっている人形を暫く見つめると彼の事を思い出した。
「あぁ!!....クーポン券受け取ってくれた人ですよね?
もしかして、お店に来てくれたんですか?」
「えっ...えぇ....ですが見たところ臨時休業の様で....」
そう言いながら真木は開いた扉の中を見るとそこに知り合いを見つけた。
「どうして後藤君がここに?」
尋ねられた後藤は包帯を巻いていた動きを止めて真木の方に目を向ける。
「貴方は....真木博士!」
「えっ!?何々、後藤君と知り合いなの?」
知世子の問いに後藤が答える。
「ええっと....同じ職場の同僚です。」
そう答えると知世子は真木に笑顔を向けて言った。
「なぁんだぁ!後藤君の知り合いなら大歓迎よ。
真木さんでしたよね?良かったら中にどうぞ。」
真木が後藤の同僚だと知ると知世子は真木の腕を掴み店内へと招き入れた。
店内に入り真木の姿を見た照井は驚いた様に言う。
「お前は
問い掛けられた真木も照井を見て思い出した様に言う。
「貴方は確か照井 竜ですね?
風都にある超常犯罪捜査課の....」
「俺を知っているのか?」
「えぇ、まぁ鴻上会長から色々と聞かされていましたから....」
そんな話をしていると扉が開かれ中に傷付いた翔太郎の両肩を背負ったフィリップと無名が現れる。
それをみた亜樹子が声を上げる。
「どうしたの翔太郎君....って無名さん!?一体どうして....」
「その話は後程....今はそれよりも翔太郎さんの手当てを....貴方は真木 清人さんどうしてここに?」
無名に問われた真木は人形を見つめながら答える。
「成り行きで....そういう貴方は無名さんですね?
ミュージアムの幹部だった方だと記憶していますが....」
「確かに過去はそうですが今は違います。
丁度良かった貴方にも協力して欲しかったんです。」
そう話すと扉から比奈とアンク、キチョウ....そしてNEVERの面々が入ってきた。
京水は無名を見るなり飛び掛かる。
「!?...無名ちゃゃゃゃゃん!!」
無名はダイブしてくる京水を華麗に回避する。
そのせいで京水は硬い地面と包容を行った。
「ぶへっ!?ちょっとどうして避けるのよ!」
「久しぶりですね皆さん。
僕がいない間に色々と遭ったようで....」
「まぁね、何でか克己が敵になってるし....意味分かんない。」
無名の問いにレイカが答えた。
「ねぇ!?ちょっと!」
「芦原さんもお元気そうで....でもどうしてこの街に?」
「内の娘がメダルを撒き散らす怪物に襲われた。
その中で園咲若菜の身体にもメダルが押し込まれてな。
事態の全容を知る為にも仲間の元に来た訳だ。」
「成る程....合点がいきました。」
「無視?...もしかして私無視されてるの?」
そんな事を話していると今度はフィリップが芦原に尋ねる。
「姉さんの身体にメダルが....それは本当なのか?」
「あぁ、だが身体に異常は無さそうだった。」
「埋め込まれたセルメダルはあくまで座標を固定するだけの役割ですから....装置が起動した今はもう存在がなくなっている筈です。」
「やはり、何か知っているんだな無名。」
「えぇ、アルケの目的も...おおよそですが」
「.....泣くわよそろそろアタシ。」
無視され続ける現状に本気で泣きそうになる京水を尻目に焦燥とした表情をした映司が中に入ってきた。
その表情を見たアンクが尋ねる。
「おい映司、ドライバーはどうした?」
「......ごめんアンク。
アイツにドライバーを奪われて...!?」
ドライバーを奪われた事を言った瞬間、アンクが映司の顔を殴り付けた。
殴られた映司は机にぶつかりながら地面に倒れ比奈は映司の傍に駆け寄る。
「映司君!?
ちょっとアンク!アンタ何やってんのよ!」
「うるせぇ!
映司、お前それがどういう意味か分かって言ってんのか?
奴等に対抗できる力を奪われちまったんだぞ!」
「....分かってるよ直ぐに取り返す。」
「オーズになれねぇ只の人間のお前に何が出来るって言うんだ?」
「そんなのやってみなくちゃ分かんないだろ?」
「はっ!お前が足掻いたところで無駄死にが精々だろうが...!?」
そう言うと今度は映司が立ち上がりアンクの顔を殴る。
「確かに只の人間だけど命ぐらいなら賭けれるよ俺は...」
「ぐっ!?....映司、テメェ!」
互いににらみ合い殴り合いが始まるところだったがそれを"比奈と京水"が止める。
「どけ!」
「落ち着いてアンク!!
さっきから変だよ....映司君に対して特に」
「京水さんそこを退いてくれませんか?
俺、アンクに用があるんです。」
「あら、アタシも映司ちゃんみたいなイケメンとは是非、御近づきになりたいけど今はダメよ。
だって貴方の目..."死兵"と同じなんですもの...」
「!?」
「過去に大切な者を失ったのかしら?
そう言う目をした人を私は戦場で何人も見てきたわ。
自分の命を犠牲にしてでも目的を為そうとするその目。
悪いけどそんな目をした人をほおっておけるほど私、残酷にはなれないのよ。
それに今は兎に角、情報を共有すべきよ。
ただでさえ私達は後手に回っているんだから....」
その言葉を聞き落ち着くと無名が話し始めた。
「先ずはそちらで起こった事を話してください。
その後に僕が知った事実をお伝えします。」
こうして、無名達は互いの情報を交換し事態を理解しようとするのだった。
アルケの元から離れたノブナガはビルの屋上から街を眺めていた。
平穏に見える街並みだが目を凝らせば辺りでは着々と異変が起きていた。
「先ずは...乱れた城下の平定だな。」
ノブナガはリバースドライバーを着けるとセルメダルを投入しビルから飛び降りた。
「.....変身。」
落下しながら仮面ライダーリバースへ変身が完了すると異変の起こっている場所へ向かった。
「はぁ.....はぁ...何なんだよあの怪物は!?」
街に現れた怪物から逃げていた一人の青年は呟く。
それは突然だった。
時計の針の音が聞こえたと思ったら急に周りに怪物が現れたのだ。
怪物は人間を見るなり襲う奴も入れば驚いて呆然とする者もいた。
青年は突然起こった恐慌から身を守るため逃げていたのだ。
だが、そんな青年を嘲笑う様に目の前に彼を追っていた"怪物達"が姿を現す。
土塊の様な見た目をした
(死ぬ。)
そう思った青年の前に
ノブナガはアンクを見ながら敵に対処する。
「お主はアルケの仲間ではなかったか?」
問われたアンクは襲ってくるミラーモンスターを殴りながら答える。
「あぁ、俺には俺の目的はあるがだからと言って無駄な犠牲を出したい訳じゃねぇっ!」
「成る程....では今のお主とは"手を組めそう"だな。」
ノブナガはそう言うとセルメダルをドライバーに二枚装填する。
「CELL BURST」
「しっ!」
ドライバーからエネルギーをチャージされた刀を襲い掛かる怪物に向けて走り抜ける様に振るっていく。
すると、ノブナガに斬られた童子と姫は爆発し落ち葉にオルフェノクは青い炎をあげて灰となって消えた。
残ったミラーモンスターはアンクの火球を浴び蹴られた影響で鏡の中に戻るとミラーワールド内で爆発を起こした。
目先の敵を片付けたノブナガは変身解除するとアンクが話し掛けてきた。
「俺とお前が手を組むだと?」
「そうだ。
お主の目的はアルケの装置を起動させることだろう?
つまり、もう目的は果たしている。
後は時間が来るのを待つだけだ。」
「そうだ。
だからこそ、お前に協力するメリットはない。」
「いいや、ある。
お主も見たであろう?
アルケの装置により確かに時間の流れは巻き戻り始めたがその悪影響が出ている。
先程、現れた怪物どもの様にな。」
アルケの装置が起動したことで死んだ存在がゆっくりと復活していっている。
だが、それは良いことばかりではない。
過去に葬られた怪人や怪物....犯罪者も含めて生き返る事になるからだ。
「ワシはこの世界で天下を治めたい。
その天下に過去の悪や闇が残るのは邪魔だ。
そんな世界をワシはキチョウに見せる訳にはいかん。
故に取引じゃ、お主は復活するゴミどもの掃除を手伝え。」
「俺の見返りは?」
「死者を蘇らせるアルケの装置を....欲しくはないか?
お主が手を貸しアルケを討ち取った暁にはそれをお主にくれてやろう。
どうじゃ?」
「.....良いだろう。
お前に手を貸してやる。」
アンクの言葉を聞いたノブナガは笑う。
「決まりじゃな。
では共に行こうか。」
ノブナガはアンクを従えその場を後にするのだった。
装置を起動させたアルケは玉座に座りながら大道 克己と鳴海 荘吉の二人からの報告を聞いていた。
「成る程、さしもの仮面ライダーも人であることには変わりないか。」
「それで俺達はこれからどうするんだ?」
荘吉の問いにアルケは答える。
「装置が起動したからな。
兵隊はいくらでも湧いてくる。
その中で優秀な奴がいるなら此方に引き入れれば良い。
丁度、彼の様にな。」
アルケが目を向ける場所にはボロボロになりながらも此方に敵意を向ける
「流石はお前の部下だな大道 克己。
お前同様、蘇った瞬間に我を殺しに来たぞ。」
そうして目を向けられた堂本は克己に吠える。
「克己!いい加減に目を覚ませ!」
「目なら覚めてるさ。
お前も直ぐにアルケの道具になる。」
「!?....そんな事はさせない。」
堂本はメタルメモリをマキシマムスロットに装填しようとするがきらびやかに輝く鎖が堂本の動きを止める。
「あまり暴れるな。
お前にはやって貰わなければならない事がある。」
「舐めるなよ。こんな鎖っ!?」
堂本は鎖を引き千切ろうとするが突如、現れた脱力感に身体が動かなくなる。
「なっ!?」
「グリードメモリには相手の欲望を吸い力に変える能力がある。
そして、お前の身体に巻き付く鎖には他者に無力感を与える力を込めてある。」
そう言われた堂本は歯を食い縛りながら立ち上がる。
「とは言っても流石は仮面ライダー。
やはりこれだけでは不十分か。
"メズール".....やれ。」
「はい、アルケ様。」
アルケがそう命じると堂本の後ろからメズールが現れると一本のメモリを起動した。
「
メズールがメモリを挿すとシルクの様に決め細やかな布とに針の様な金属の装飾がついた服で全身を覆った。
すると、メズールは人間態へと変わるが現れた服はそのままであった。
メズールは針の装飾を引き抜くと堂本に向けて指で弾いた。
ピン!と言う音と共に放たれた針は堂本の胸に突き刺さる。
だが、刺さった傷口からは血どころか痛みすら感じない。
打ち込まれた針は糸でメズールの着る服に繋がっていた。
「貴方の心と私の心はこれで"繋がった"。
さぁ、私の望みを聞いて?」
メズールの言葉と共に針からエネルギーが堂本へ流れていく。
エネルギーを流し込まれた堂本の表情は歪む。
「くっ!....お....れは.....!?」
それを見たアルケは苦しむ堂本へ告げる。
「抵抗はするだけ無駄だ。
アドマイアメモリは対象の思考や固定観念そのものを変革する。
そして、メズールには私の力も渡してある。
お前が抗える可能性は0だ。」
堂本は苦しみながらも克己を見つめる。
「克...己...俺達は....NE...VER。
仲...間...だ.......」
堂本はそれだけ言って静かになると電源が切れた様に頭を倒した。
次の瞬間、堂本は目を覚ますとメズールを見つめる。
「ねぇ、貴方にとってNEVERはどんな存在?」
メズールの問いに堂本は答える。
「俺にとって....NEVERは....かけがえのない....存在.....だ。」
「そう、でもかけがえのない存在って"壊したくならない?"」
「そう...か?....いや、"そうだな"。
かけがえのない存在は....壊す為にある。」
その返答を聞いたメズールは笑う。
「その通りよ。
貴方のやることはそこの
「......あぁ。」
メズールからそう言われると堂本は克己の傍に歩いていった。
話を聞いていた克己はアルケに尋ねる。
「すると、俺の仕事は変わらずか?」
「そうだ。
お前の娘である未来を殺せ。
....そうすればNEVERの奴等は自ずと現れる。
計画を潰す可能性のある駒はなるべく排除しておきたいからな。」
「良いだろう。」
「...さて、次は鳴海 荘吉、君には別で頼みたいことがある。」
「....何だ?」
「今の俺の計画を邪魔する可能性があるのは"デーモン"、"W"、"アクセル"だけだ。」
「OOOは違うのか?」
「どうやら、此方の味方であるアンクが奴からドライバーを奪ってくれた様でな。
変身出来なければ驚異ではない。
Wとデーモンに関しては策がある。
問題はアクセルだ。
奴のメモリの力は油断ならん。
故に奴をこの街から引き離したい。」
「引き離すとは具体的にどうする?」
「奴の婚約者である"鳴海 亜樹子"。
お前の娘を"利用"しろ。」
「..........」
「どうした?
娘を使うのは嫌か?」
「....いや、了解した。
それでアクセルを何処に誘導すれば良い?」
荘吉の問いにアルケは答える。
「君の故郷である風都だ。
彼処にも"仕掛け"を施したからな。
楽しいゲームになることだろう。」
アルケはそう言いながらも頭の中では一人の人物を警戒していた。
(計画の邪魔になると思い次元の狭間に飛ばした筈だが.....どうやって戻ってきた?
奴はゴエティアが造り出した駒だ。
野放しには出来ん、私が直々に相手をしなければな。)
アルケは背後にある砂時計の装置に目を向ける。
(装置は順調に稼働している。
このままのペースならば直ぐに会えるだろうな。)
「再開は、直ぐそこだぞ同胞。
楽しみに待っていろ。」
アルケは装置に向かって呟くのだった。
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