もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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W×OOO 13.条件と援軍

 

クスクシエでは無名を加えた面々で事態についての話し合いが行われていた。

 

「成る程、現状はアルケの計画通りに事が進み、鳴海 荘吉や大道 克己が復活しており自分達の敵になっている.....と」

無名の言葉にフィリップと京水は同意する。

 

「あぁ、翔太郎の動揺具合から見ても彼はダミードーパントでは無く本物の鳴海 荘吉だと言える。」

「そうね。

私の所も同じよ。

.....本物の克己ちゃんだった。

そんな克己ちゃんに本気で殺されかけるなんて悪い夢を見てるみたいだわ。」

 

周囲の空気は暗く衝撃的な内容だった。

特に死んだと知らされていた父親が生きており敵となって翔太郎を痛め付けたと聞いた亜樹子はショックで顔色が悪くなっておりフラつく身体を包帯姿の照井が支えていた。

 

無名は次に互いに沈黙しあっているアンクと映司に目を向けた。

「では、貴殿方についてもお聞きして良いですか?」

その問いにアンクが喧嘩腰に答える。

「あ?何でテメェに話さなきゃならねぇ?

そもそもテメェはアルケと同じ超越者の連中だって言うじゃねぇか。」

 

「厳密に言えば差違はありますがそれを否定できる証拠は出せませんね。」

「アルケに寝返るかもしれねぇ奴なんか信用できるかよ。」

 

それを聞いた比奈がアンクを諌める。

「ちょっとアンク!?」

「泉 比奈さんでしたよね?

構いませんよ。

急に現れた僕を信じろと言う方が難しいことなのだとは重々理解しています。

.....ですが、そんな仲間割れを起こして勝てる程、敵は甘くありません。

アンクの言った通り、僕もある意味で超越者です。

 

彼等の恐ろしさは十分と理解しています。

特に"今のお二人"を戦力として数えるのは此方も不安です。」

 

映司とアンクの二人を見ながら言われた言葉にアンクは噛みつく。

「あ?」

「本音を言わなければ分かりませんか?

映司さん、貴方は過去に会った時から"何も変わっていない"。

自分の命を危険に晒なければ人を救えないと思っている。」

 

「別に....そんな事は!?」

「では、どうしてそんなに感情を荒立てているんですか?

昔の貴方ならば平然としていた筈だ。

OOOの力を失ったのがそんなにショックですか?

それが無ければ何も守れない.....昔に戻ってしまうと」

 

ガタン!

映司は立ち上がると無名の胸ぐらを掴み上げた。

予想外の行動にそれを見ていた比奈や後藤が止めに入る。

「ちょっと映司君!落ち着いて」

「冷静になれ火野!!」

 

「貴方に.....俺の何が分かると!?」

「少なくとも!.....そんな怒りで自分を見失いかけている貴方ではOOOの力を取り戻しても最高の結果は生まれない。

貴方は"仮面ライダーOOO"ですか?

それとも"火野 映司"なのですか?」

 

「どういう意味です?」

「言葉のままです。

どちらが本当の貴方なのか....その答えが出たらまた話しましょう。」

 

無名の言葉を受けた映司は何も言い返せずにクスクシエを後にした。

そして、次はアンクへと目を向ける。

「さて....貴方の場合は火野 映司とは別ベクトルの悩みを抱えている様ですね。」

「俺は映司とは違う....お前の安い挑発なんざ乗らねぇぞ。」

 

「貴方は映司さんと違い"変わりました"ね。

火野 映司を仲間として信用しているのですね。

だからこそ、"コアメダルを渡せなかった"。」

無名の言葉を聞きアンクの顔は歪む。

「テメェ....どうしてそれを.....」

 

「貴方の葛藤はきっと(フィリップ)が解決してくれる筈です。

どうでしょうか?」

その問いにフィリップが答える。

「僕は構わないよ。

彼とは前から話してみたかったんだ。」

 

そう言ってフィリップはアンクに目を向けると二人でクスクシエを出ていった。

 

その姿を見た照井が尋ねる。

「そんな悠長に構えてて良いのか?

こうしている今も装置は起動しているのだろう?」

「そうですが何事も準備は必要です。

後手に回っている今だからこそ改めて策を練るべきなんですよ。

それにアルケの目的が他の超越者全員の復活である以上、直ぐにその望みは達成されません。

あの装置は歴史を逆回しに進んでいきます。

宇宙創生の時代まで戻るとなればそれ相応の時が掛かるでしょうから.....

兎に角、今は戦える仲間を集める必要があります。

アルケには死者を復活させて自由に操る力がある。

先ずはそれを何とかしなければ....」

 

「アルケの持つ本の記憶を置き換える力.....か。」

「えぇ、ですが鳴海 荘吉や大道 克己の一件をみる限りそれだけとは限らないでしょう。

別の力が働いてより洗脳が強化されていると見るべきです。

恐らくですがアルケの持つ力ではないそれこそ別の能力を持った敵でしょう。」

 

「可能性があるとしたらアルケの部下であるアケチか。」

「それか、アルケにメモリを与えられたグリードの誰かですね。

僕の知る歴史ではグリードにそんな力はありませんでした。」

 

そこまで話すと今度は知世子からコーヒーを渡された真木が答える。

「成る程、ガイアメモリですか。

確か、クリスマスの時に映司君達がドーパントとヤミーが融合した怪物と交戦した記録がありましたな。」

「アルケはその知識を本棚で知りグリードにガイアメモリの力を与えた.....成る程それなら説明がつきますね。」

 

そう言うと無名は真木の隣の席に座る。

「真木さん....僕達に協力する気はありますか?」

「それはどういう意味ですか?」

 

「言葉のままです。

貴方の事は"本棚の知識"で知っている。」

そう言うと真木は目を少し開くと言葉を返した。

「ならばその次に言う私の言葉も想像できるのではありませんか?」

 

 

真木 清人は世界を美しいまま終末を迎えることを求めているマッドサイエンティストだ。

そんな彼にとってアルケの起こした計画は彼の要望に最も願ったものとも取れた。

だが、無名はそれは違うと断言できた。

 

「いいえ、アルケの求める結末は"超越者以外の生命全てを犠牲にした終わり"です。

全てが無になり訪れる終わりではなくある一つの種だけが生き残る終わり....それは貴方の望む終わりとは"ズレている"。

確かにアルケの計画が成功すれば人類どころか地球そのものが消滅するでしょう。

 

ですが代わりに超越者が復活し終わりとなる筈の時間がまた流れていく。

それを貴方は許せますか?」

「..........」

 

「表立った理由がいるのなら鴻上会長からの命令にしましょう。

別に我々の仲間になれとは言いません。

不本意な滅びを止める為に一時的に共同戦線を張る。

それならば貴方としても都合が良い筈ですよね?」

無名から出された条件を聞き真木は暫く考える。

 

「....一つだけ"条件"を出しましょう。

それを叶えてくれるのならば貴方の言う通りに動いても良い。」

「その条件とは?」

 

「一度だけ私の願いを貴方が叶えてください。」

「それは.....」

 

「ご安心を..."本願"(善き終末)は私の力で叶えます。

それ以外の手伝い程度の物です。」

 

それを言われた無名は考える。

(終末思想を持つ真木の事だ。

きっと、ろくな事じゃないが今はあの男の力が必要になる。

仕方がありませんね。)

 

「良いでしょう。

その条件でお願いします。」

「はい....先ず私は何をすれば良いでしょうか?」

「急務はバースドライバーの修復です。

後藤さんの持っていたドライバーは前の戦闘で破損してしまっていますから.....」

 

「良いでしょう。

丁度、ラボにパーツがあります。

これから戻って修復を.....」

「それには及ばないぜ真木博士。」

 

そう言いながらクスクシエの扉を開けたのは背中に大きな荷物を背負った伊達だった。

伊達の姿を見た後藤が驚きながら尋ねる。

 

「伊達さん!.....どうしてここに?」

「いや、それがそこの真木博士を探している途中で鴻上会長から連絡があってよ。

"「ドクター真木の居場所が分かったよ伊達君!

すまないが一度、鴻上コーポレーションに戻りこの"荷物"を持ってそこに向かってくれたまえ!」とか言われてこの大荷物背負ってここまで来た訳よ。」

 

真木は伊達が下ろした荷物を見つめると合点が言った様に告げた。

 

「成る程、これは貴方の仕業ですね無名?」

そう言われた無名はイタズラの成功した子供の様に笑いながら言った。

「やっぱりバレちゃいますか。」

「これだけあからさまならばそう疑うのが当然かと思いますが.....」

 

無名は翔太郎達と合流するに辺りこれ迄のコネクションを総動員してあらゆる人物に連絡を取った。

鴻上会長もその一人だった。

 

「現状、貴方をラボに戻すのはそれだけでリスクになります。

ですから一時的にこの店をお借りして前線基地にしようと思いましてね。」

 

その言葉を聞いた比奈や後藤が驚く。

 

「えっ!?でもそれじゃあ知世子さんが.....」

「そうだ。

彼女を危険に晒す事になる。」

 

この懸念に無名が答える。

「その心配は無い様にします。

と言うよりもそうならない様に"援軍"を呼びましたから....」

「援軍?」

 

そう疑問を言うとクスクシエの扉がノックされる。

敵の可能性を考慮し無名以外が警戒する中、無名は平然と扉を開けた。

すると、そこには"赤いジャケットを着た男"と"緑色のスーツ"を着たメガネをかけた男"、"黒いドレスを着た女性"が立っていた。

 

彼等を見ながら無名が話し掛ける。

 

「お久し振りですね"ハート"さん"ブレンさん"メディックさん"。」

「まさか、本当に復活しているとはな。

お前にまた会えて嬉しいぞ無名。」

「孤島での借りを返しに参りましたわ。」

「ここの守りに関しては任せてください。

私達は"堅実"で"優秀"で"最強"ですか....らあっ!?」

 

「あらぁ!久し振りじゃなぁぁい!!ブレンちゃゃん!!」

 

ブレンを見た京水はまるでミサイルの様にブレンへ一直線に突っ込み顔面を彼の胸へと埋めた。

 

グフッ!?...あっ...貴方は京水さん.....お....お久し振りで...ブギャ!?

 

ブレンは続けて話そうとしたがそれを京水の自慢の胸筋が顔面に刺さり阻まれてしまう。

 

「本当よぉぉ!!それより何処にいたの心配したのよぉ!元気でやってるの?

....あらぁ!貴方がハートね!

見れば見る程、良い男....滾ってくるわぁ。

ウルゥァアァイ!

ウルルルゥウアァァァイィ!!

 

ハートに向かってまるで"原始人の様に吠え始めた"(ブ○ーザー)京水に向かってレイカは飛び上がる。

 

いい加減にしてよ京水!

少しは場を考えろってのっ!」

 

その勢いのまま京水の頭にレイカの踵落としが炸裂すると頭に星でも浮かぶようにフラフラし始める。

「良い....キック....だわ....嫌い....じゃ....な....アフン。」

そのまま京水は頭に大きなたん瘤を作りながら気絶するのだった。

 

「その....すまん。」

「アタシも謝る...ごめん。」

 

謝るNEVERの面々にハートは笑いながら答える。

 

「仲が良さそうで良いじゃないか。

これから共に戦うんだ。

仲違いするよりずっと良い。

改めて俺の名はハート、こっちはブレンとメディックだ。」

そう言いながらハートは照井の元へ向かう。

 

「あの時は礼を言うのを忘れてしまっていたな。

メディックを助けてくれて感謝する。」

「泊が守りたかった者を助けたかっただけだ。

礼は要らない。」

 

「そうか....ならばその礼はここを守る事で返そう。」

照井と無名の会話を見てロイミュードと呼ばれる三人が味方なのだと彼等を知らない者は理解した。

 

各々の顔合わせが終わると無名が指示を行う。

「先ずは戦力の補充を行いましょう。

敵の戦力が未知数ですから此方も動かせる者達を出来るだけ増やしたい。」

 

「洗脳の対策はどうする?

戦力を集めても操られれば意味がないぞ。」

照井の問いに無名は答える。

「そこに関しては少し考えがあります。

バースドライバーの修理とリバースドライバーの対策は真木博士に任せます。

その代わり僕は洗脳対策に動きますよ。」

 

その言葉を聞いた照井は納得すると次は京水達が尋ねる。

「私達はどうすれば良いかしら?

ぶっちゃけ、戦闘以外で役に立つのは難しいと思うけど.....」

「それを話す前に未来ちゃんに会わせて貰えますか?」

 

「それは構わないけど未来ちゃんなら今、ミーナが寝かせている筈よ。」

「保険をかけておきたいんですよ。」

 

無名のその言葉にNEVERの面々は従い上の階に案内された。

何時もは映司やアンクが使っているスペースだがそこには小さな赤ん坊とその子を見守る様に座っているミーナの姿があった。

「無名....」

「お久し振りですミーナさん。

.....その子が?」

 

その問いにミーナは笑顔で答える。

「えぇ、私と克己の子供....未来って言うのよ。

二人で考えたの。」

「未来....とても良い名前ですね。

お二人らしい想いが籠っている。」

 

"死者として生きた克己"と"実験動物として過ごしたミーナ"にとって手に入らない自由....それは未来。

だからこそ、自分達の子供にはそうなって欲しくないかはそう名付けたのだろう。

無名は寝ている未来を見つめる。

自分の身体にセルメダルを埋め込まれたとは思えない程、安心した顔で寝ていた。

 

「僕もお二人の残した命は守りたい。

.....ですが、これから言うことはきっとミーナさんやNEVERの皆さんにとって受け入れがたい提案でしょう。

未来ちゃんとミーナさんの安全は僕が約束します。

こんな言葉を信じてくれなんて言う資格が無いのは分かっています。

......でも!」

「"良いよ私は無名に従う"。」

 

葛藤する無名とは裏腹にミーナは無名の瞳をしっかりと見つめながら答えた。

「前に克己が言ってたの。

"無名は胡散臭い所はあるが一度約束したことは絶対に守る。"って....だから貴方が私達の安全を約束するなら信用する。」

「.....ありがとうございます。」

 

「それで...未来に何をするつもりなの?」

「現状集められる情報を精査しアルケが次に打つであろう策を想定しました。

結論は戦力の分断、僕達をのどちらかを切り離し動ける戦力を減らし計画成功の障害を減らすことがアルケの次の一手になると思います。」

 

それを聞いた京水が言葉を続ける。

「戦力の分断....となれば必要なのは私達を切り離せるだけのエサを用意する事よね....まさか!?」

「はい...恐らくですが大道 克己が未来ちゃんの命を狙っているのはその為です。」

 

NEVERは傭兵と言う特性上、仕事を感情ではなく損得勘定で見ることが出来る。

しかし、そんな彼らでも感情的になる事がある。

「NEVERの関係者....ここで言うのなら"未来ちゃんやミーナさんにマリアさん"...それに"芦原さんの家族"も該当します。」

「確かにその人達が狙われたら私達は動かざるを得なくなるわね。

ムカつくけど、有効的な作戦だわ。」

 

「.....ちっ!胸糞悪い。」

納得する京水の横ではレイカが舌打ちをしていた。

そこに無名が捕捉を行う。

「もっと胸糞悪いのはその作戦事態は僕達では止めようがないってことですね。」

「何で?そこまで分かってるなら待ち伏せでもすれば...」

 

レイカの言葉を京水が否定する。

「克己ちゃん..."エターナルメモリ"の存在ね。」

「はい、ガイアメモリの機能を完全停止するあの力をここで使われたらそれこそ本末転倒です。

だからアルケの策に乗るしかない。

 

.....ですが、"何も全て相手の思い通りに動くつもりはありません。"

予定通りに動いている時こそ相手に油断が生まれる。

その油断を突く仕掛けをこれから行います。」

 

 

そう言って無名は自分の計画の"一片"を二階にいる人に告げるのだった。

 

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