もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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初めて会ったのはアイツが落としたメダルを俺が拾った時だ。
その時にヤミーが現れてメダルを手に入れる為に大暴れしたっけ。

アイツはその姿を見て渋々、俺にオーズドライバーとコアメダルを渡した。
俺は怪物から皆を守る為に変身した。

きっとこの時だ。
俺の……叶えたい欲望が叶ったのは……"どんな所にも届く自分の手"……それをくれたのはお前だったんだな"アンク"。


W×OOO 15.過去と絶望

 

クスクシエから逃げる様に外へ駆け出した映司は気が付くともう一人のアンクと戦った場所に戻っていた。

ここで俺はアンクに負けてドライバーを取られた。 

 

だが、不思議とその事に対して怒りは無かった。

感じたのは疑問。

もう一人のアンクと戦っている時、彼の顔は悲痛な表情をしていた。

俺を倒してドライバーを奪った時も同じ様に………

 

(アンク、どうしてあんな顔をしたんだ? )

「何か悩んでるのか映司?」

 

声のした方を向くとそこには顔に絆創膏が貼られ傷の手当を受けていた筈の翔太郎が立っていた。

「翔太郎さん!?

どうしてここに?」

「そりゃ勿論、探偵として優秀な俺の腕で……なんてな。

相棒が気を利かせてくれたんだ。」

 

翔太郎は映司の着ている服に指を指す。

そこには小さな丸いチップが貼り付いていた。

「相棒特製の発信機さ。

"この腕時計"(スパイダーショック)と連動しててな。

お前の位置が丸わかりになるって訳。

お前がアンクと言い争っている最中にくっつけたんだろうな。」 

 

そう言いながら翔太郎は映司の背後にある戦闘の跡を見つめる。

「酷いな……敵は相当強かったんだろう?」

「えぇ、正直ノブくんが戦ってくれなかったらどうなっていたか。」

 

「でも、お前が気になってるのは別の事だろ?」

「アンクが始めて戦うのを止めたんです。

口を開けばメダルメダル言ってるアイツが……」

 

「なぁ、映司。

お前本当はその理由について分かってるんじゃないか?」

翔太郎の問いに映司は沈黙で返す。

「クリスマスの時に言ったこと覚えてるか?

お前は自分が傷つくのに抵抗がない。

いつか、自分の命を捨てる選択をするかもしれねぇ……そう言ったよな?

アンクも俺と同じ様にそう思ったからメダルを渡さなかったんじゃねぇのか?」

「アイツに限って……そんな事は……」

 

(こりゃ、思ったよりも重症だな。)

映司の目を見た翔太郎は彼の考えがクリスマスの時から全く変わってないと理解した。

誰かを守る為に危険な場所や相手に向かっていく。

それはヒーローの持つ性質とも言えるがそれは決して自分の命を顧みないことではない。

 

翔太郎は荘吉から依頼人との約束を果たす上で必ず生きて帰って来る事を叩き込まれていた。

(この感じはどう見ても映司の過去に何かあったんだろうな。

"自分の命がどうでも良く思える何か"が……

それを知らなければ映司の悩みは解決しねぇ。)

 

「聞かせてくれねぇか映司?

お前がどうしてそうなったのかを……」

「嫌…俺は……」

 

「お前、前に言ってたよな"ライダーは助け合いだ"って……聞かせてくれ映司。」

翔太郎の真っ直ぐな瞳を見た映司はこれまでひた隠しにして来た自分の過去についてゆっくりと話し始めるのだった。

 

 

 

翔太郎が映司と話し合っている頃、フィリップはアンクの問いに答え様としていた。

(自分とそっくりな存在が現れていつか相棒を自分が殺すと言われたら……僕はどう考えるのだろう。)

 

そう考えて最もイメージしやすかったのは無名の身体がゴエティアに奪われていた時の事だった。

ゴエティアは翔太郎の心と魂を奪い殺戮者へと変えようとした。

 

そして、翔太郎を奪われた僕は感情的になって冷静さを完全に欠いてしまっていた。

そんな僕を救ったのは今は亡き"大道克己"だった。

怒りに支配された僕を説き伏せ翔太郎を取り戻すキッカケをくれたのだ。

 

今のアンクに必要なのはそんな存在でありそうならなければいけないのは自分なのだとフィリップは思い直す。

そして、真剣な目でアンクの問いに答えた。

「もしも、僕が君と同じ立場だったら動揺して冷静な判断が出来なくなるだろうね。

自分にそっくりな存在とは言えその人物の言った言葉は自分の罪を知る事に繋がる。

そして、罪を知ってしまったら人は"不安に支配される"。

"この選択は間違っているんじゃないか?"

"この選択を続けたからこうなってしまうのではないか…"

それは答えの無い問題だ拷問に近い。」

「じゃあ、解決策は無いって事か?」

 

「あぁ、"一人では解決出来ない"。

これは言わば一種の"パラドックス"だからね。」

 「パラドックス?」

 

「君と同じ姿をした人物が仮に未来から来た君だと仮定しよう。

そうしたら今の君は彼にとっては過去でありもう決定された未来をなぞっているだけになる。

もしそうだとしたら君の思いつく範囲の解決策では火野映司を救えない。」

「過去である俺がどれだけ足掻こうと未来は決まってるって事か?」

 

「あぁ、彼が君の言う通りのもう一人のアンクだとすればね。」

「じゃあ、俺は映司が死ぬのを黙って見てるしかねぇって訳か。」

 

ある種、絶望しか無い未来予測をアンクはフィリップに告げるがそれをフィリップは否定した。

「いや、そうはならない。」

「あ?どう言う事だ?」

 

「自分で自分の論理を否定する様で申し訳ないが恐らく君があったのは"君の未来の姿"じゃない。

もし、未来の姿だとすれば君に接触した段階で時空に歪みが生まれる。」

本来、過去と未来の自分が接触する様な事態は起こり得ない。

もしそれが起きたのならば正確に記録される筈の地球の本棚の歴史にズレが産まれてしまう。

 

「本当に君の言う通りならば今頃、アルケの起こした事態よりも面倒な事が起きている筈だ。」

「じゃあ、アイツは一体?」

 

「ここからは仮説だが恐らく平行世界の未来から来た君だろう。」

「平行世界?」

 

「あぁ、俗に言う"パラレルワールド"。

別の次元に僕達の住む地球と全く同じ物がありそこには僕達と同じ姿をした者達が生きている。

君の見たアンクはその世界にいる未来のアンクなのだろう。

そう考えればオーズドライバーがもう一つある説明がつく。

元々、オーズドライバーは800年前の王専用のドライバーだった。

それが二つあるのが何よりの証拠さ。

 

そして、その世界では火野映司は何らかの理由で命を落としたんだろう。」

(それで映司の身体に俺が入った。)

 

「更に言えばパラレルワールドだとすれば地球の本棚が異常をきたさなかった理由も納得がいく。

同じ姿をしていてもこれまで選択してきた事柄が全く同じになるとは限らない。

行動が変われば本棚に記載される知識も変わる。

現に君と未来のアンクは"別のページに書かれていた"。

つまり君と未来のアンクは似ているが同じではない存在と言うことさ。」

 

「つまり、同じでは無いなら未来も同様に違う物になる。

僕も力を貸す……だから君も相棒の事を諦めず僕を信じてくれ。」

そう言うフィリップの背中は翔太郎の様に自身に満ち溢れていた。

 

 

 

最初に"あの子"と会ったのはアフリカの村に着いた直後だった。

高名な政治家の子として産まれ祖父が旅好きだった事もあり色々な国を旅した。

 

裕福な国もあれば紛争や貧困で苦しむ国も沢山あった。

俺は何か出来ないかと思って色々な国を見て回りながらその人達の生活に関わっていった。

 

平和に一歩でも近付く様に沢山のお金を貧困地域や紛争地帯に寄付した。

大学を出て一人旅をしている時に彼女にあった。

彼女の名前は"ルウ"と言い紛争地帯で懸命に生きている女の子だった。

 

両親は紛争に巻き込まれ亡くなったらしく紛争地帯に落ちている弾薬や金属を売って生活していた。

そんな悲惨な現実で生きている子を俺はこれまで何度も見てきた。

瞳に怒りや憎しみを灯していたり自分が生き抜く為に打算的に生きていくしか無いそんな子達ばかりだったがルウは違った。

 

この村に来た俺を優しく迎え入れてくれて俺がこの村に入られる様に村長に説得までしてくれたんだ。

住む家や食事に関してもルウは助けてくれた。

ある時、俺はルウに聞いた「どうして俺にそこまでしてくれるのか?」と……ルウは当たり前の様にして答えた。

 

「えっ?だって困っている人がいるなら助けるのは当たり前だよ。

パパとママが教えてくれたんだ。

"人を助けられる人になりなさい。

人を助けて幸福を与える人間になればきっとルウの人生も幸せでいられるから"って……

だから映司を助けたのも私の為」

 

驚愕した。

いつ自分の命が失くなるか分からない世界でもルウの心には優しさが残っていた。

自分じゃなく他者に与えられるだけの優しさを………

それに比べて俺のやっている事は何だ?

 

沢山のお金を寄付して満足して色んな国を旅するだけ

彼女を見ると自分の行いが酷くちっぽけに感じてしまった。

(俺も彼女の様に幸福を与えられる人間になりたい。)

 

俺はそれから暫くの間、ルウと一緒にこの村で生活する事にした。

この村を本当に助けられる人間になる為に色んな事をした。

紛争で壊された家を村人と一緒に泥だらけになりながら直したり、グチャグチャになった畑を直してルウと一緒に作物の種を撒いたり……

 

地道で戦車が来ればまた壊されてしまっても俺達は何度も何度も立ち向かっていった。

そうして数ヶ月が経つと俺はもうこの村の一員として扱われていた。

俺は村人達に文字や数学を教える様になり村人達も俺を信頼してくれていた。

 

村のみんなで集まってご飯を食べていると村人が拾って直してきたラジオからニュースが流れた。

それは日本の政治家が海外でスピーチをしている報道だった。

 

そのニュースを聞いた村人の一人が俺に尋ねる。

「なぁ、エイジ?

この前教えてくれた苗字って奴……今ラジオでやってる奴とお前のが同じじゃないか?」

誤魔化しても良かった。

自分が有名な政治家の息子だって知れば目の色を変える大人をこれまで何度も見てきたからだ。

 

答えに悩んでいると隣でご飯を食べているルウの顔を見て決心した。

「うん、この政治家は僕の父親なんだ。」

 

シンプルに告げた言葉を聞いた村人は動きが止まる。

(やっぱり……無理か。)

そう諦めようとした所をルウが目を輝かせて話し掛ける。

「凄いねエイジ!!

だから、あんなに言葉も知ってて難しい計算も出来てたんだ。」

 

ルウの言葉に続き他の村人も話し始める。

「成る程なぁ……政治家って頭良くないと出来無さそうだもんなぁ。」

「だな。

お前の頭じゃ絶対無理だw」

 

「言ったなこの野郎!?」

「わわっ!よせって悪かったよw」

 

村人達がじゃれ合うのを見ながら映司は驚いた様に言う。

「えっと……嫌じゃないのか?

国が違うとは言え俺って政治家の息子なんだけど……」

 

この村の紛争は元々、政治家とその政策に反抗する者達が起こしたものだ。

その実情を知る村人達だからこそ罵倒され村から追い出される事も覚悟したが映司の問いにキョトンとしながら答える。

 

「だってエイジはエイジだろ? 

そりゃ、政治家の奴等はムカつくけどエイジはそいつ等とは何も関わりが無いじゃねぇか。」

「寧ろ、他国の奴なのに俺達の村の為にこれまでずっと必死になってくれてたんだぜ。

エイジを嫌ってる奴なんていねぇよw」

 

「あー、でも村長は自分の立場が脅かされるとか言ってたな。

バカだよなぁエイジがそんな事する訳無いのに……」

「でもよエイジが政治家になってくれたら世界はもっとマシになるんじゃねぇの?」

「あはは!かもなぁ!」

 

笑い合う村人を見ながら呆然としている俺にルウは話し掛けてくる。

「言ったでしょエイジ?

幸福を与える人間になれば自分も幸せになれるって……

エイジの頑張りを皆見てくれたんだよ。」

 

ルウの言葉を聞いた俺の目から涙が溢れ出した。

これまでと違い実感出来たんだ。

"俺の手で皆を救えている"って………

 

「あり……がとう……ルウ……。」

泣きながら言った俺の感謝の言葉をルウは笑顔で聞いていた。

 

だから……見逃してしまったんだ。

俺のこの話を"村長"が聞いていた事を……

 

 

それは突然起きた。

寝ていた俺は爆発と振動で目を覚ました。

紛争が近くで起こっているからこそその爆発が遠くではなく村の中で起きたのだと理解した。

 

俺は時計を見る。

(朝の5:00……爆弾を落とすにしたって早すぎる。)

 

爆撃を起こすならば皆が起きて働いているタイミングの筈だ。

どう考えても早すぎる……どうして

 

そんな事を考えていると村の近くでまた新たな爆発が起こる。

(ここにいる場合じゃない。)

 

俺は外に出ると周囲を確認した。

それは正に地獄の光景だった。

本来、爆撃される程の重要な拠点も無い小さな村だ。

それなのに目の前に広がっている光景は凄惨なものだった。

 

爆発に巻き込まれ下半身を失い亡くなった男。

皆で一生懸命に建てた建物が瓦礫となりその下には潰されて死んだであろう腕が伸びている。

 

寝食を共にし笑いあった人達が肉片に変わっていくその光景を見た俺は耐えられなくなりその場で吐いた。

「ウゲッ!?……はぁはぁ…ルウは?」

 

確かルウは朝から出掛けるって言っていた。

(ルウが危ない!)

俺は爆発に曝される村を走りながらルウを探した。

「ルゥ!何処だルゥ!」

 

目を凝らして辺りを探していると俺は彼女を見つけた。

紛争により半壊したビルの近くで彼女は蹲っていた。

俺の呼び声が聞こえたのだろうルウは俺の方に顔を向ける。

恐怖から涙を流していたが俺の顔を見た事で安心する。

 

「エイジ!」

「ルウ!こっちだ!」

 

俺がルウの伸ばした手を掴もうとしたその瞬間……

ルウの前で爆発が起きた。

近くで爆発を受けた事で巻き込まれた俺は吹き飛ばされる。

 

暫く意識が朦朧とし耳鳴りがするが何とか起き上がりルウのいた場所を見る。

"何も無い"……文字通り、そこにあった全てが爆発によって消し飛んでしまった。

 

「……ル……ウ?」

呆然としながら辺りを見渡すが何も無い。

そこにいた筈の少女や残っていたビルの残骸も何一つ無い。

すると、足元に何かを見つけた。

一輪の"白いダリアの花に焼けてしまったリボン"が巻かれている。

 

本来、暑いアフリカで咲くことの無いダリアだが半壊したビルの真下に何の偶然か一輪だけ咲いていたのだ。

ルウの手伝いでここに来た時に彼女に話した事を思い出す。

 

「あ……ぁ…」

 

昨日、ルウが言っていた。

「明日って"エイジの誕生日"だよね。」

 

それは気紛れだった。

アフリカに咲いたダリアが珍しくルウに話してしまったんだ白いダリアの持つ花言葉を……

 

"豊かな愛情" "感謝"

 

ルウは取りに来たのだ。

そして、それが誰の為なのか。

だが、真実を知るのが余りにも遅すぎた。

 

「アァァァアアァァァ!!!」

 

 

次に意識を取り戻した時、目の前に立っていたのは黒服を来た日本人だった。

彼が言うには俺はその後、反乱軍に人質として捕まっていたらしい。

俺が助かったのは反乱軍に身代金を払った結果だと教えてくれた。

 

説明してくれた黒服の人に俺は尋ねる。

「あの……村の人は?」

「反乱軍によって破壊され村の人も全員……」

 

それだけ伝えられた俺は呆然とするしか無かった。

俺は……何も救えなかったのだと理解したからだ。

 

だけど、今思えばそれだけの真実ならどれ程、良かっただろう。

 

病院から退院する時、病院で報道陣に囲まれた。

記者の一人からとんでもない事を言われた。

 

「……議員の息子さんである映司さんですよね?

"村人に裏切られながらも命懸けで村を守ろうとした事に対して"何かコメントはありますか?」

 

驚愕した……俺が善意で寄付していたお金は内戦の資金源にされていたんだ。

そして、村の人は俺が政治家の息子だと知ると反乱軍に俺を売って金に変えようとした。

それを知りつつも俺は村を守ろうとした……とこの記者は言うのだ。

 

俺が動揺で動けなくなっていると父が寄越したであろう車が俺を乗せて家まで連れて行かれた。

家の中には父と兄が椅子に座り俺に目を向ける。

 

俺の顔を見るなり父は落胆した表情で言った。

「全く、どれだけ私に迷惑をかければ気が済むのだ。

余計な出費を使わせて……」

その言葉に兄が同意する。

「本当だぞ映司。

しかも、お前の寄付した金が反乱軍の資金に利用されているなんて……そんなスキャンダルがバレれば俺達にどんな不利益が被るか少しは考えろ。」

 

まるで自分の立場しか興味が無い様な言葉を俺は受け続けた。

「まぁだが、都合良く反乱軍が村人を"全員始末してくれた"お陰で何とかなった。

カバーストーリーも作れた事で世論は私達に同情的になる。

これで次の選挙も続投出来るだろう。」

 

俺は混乱しながらも父に尋ねる。

「これは一体……どういう事なんだ父さん?」

それを聞いた父親が呆れた様に答えた。

 

「ハァ……お前が寄付していた会社が犯罪組織と繋がっていたんだ。

奴等はその金を反乱軍に回して戦争を引き延ばしていた。

 

お前の事を売ったのは村の村長だ。

お前を反乱軍に引き渡せば金になると思ったのだろう。

だが、奴等にとって村の価値などどうでも良い。

 

お前を連れ去る事が出来れば金に出来ると分かっていたんだ。

だから、村を襲撃し皆殺しにした。

そして、お前を誘拐し人質にしたんだ。

 

だが、そのお陰でカバーストーリーを作っても誰も不思議がらなかった。

何せ真実を知る者は全員死んでいるからな。

本当に助か……グッ!?」

 

俺は気付いた時には父の首を締め上げていた。

それを見た兄が俺を止めに入る。

「おい映司!!その手を離せっ!」

 

ふざけるなっ!!何が助かっただっ!!

ルウが……村の皆が死んだんだぞ!!

それを……そんな風にっ!」

「……ふん!それがどうした!

元はと言えばお前が禄に調べもせずに金を渡したのが原因だろう!!

尻拭いをしてやったのに……親に手を出すとはこの親不孝者がっ!!」

 

俺が原因だと言われ何も言い返せなくなった瞬間、締め上げていた手を振りほどかれ地面に倒された。

 

それから先の記憶は無かった。

ただ、全てがどうでも良くなった。

 

自分の身勝手な善意が村も人の命も奪った。

誰かを幸せに出来る力があったルウの命を……俺が奪ったんだ。

 

ルウの言っていた通りだった。

人に与えた幸せは自分に返ってくる。

ならば、"人に与えた悪意も自分に返ってくるのだ"。

 

俺はこれまで無自覚の内に何百人の人を殺したんだ。

戦争に使う金を渡したことで……

 

「それで俺は気づいたんです。

人が人を助けて良いのは自分の手の届く範囲だけだって……

手が届かないだけじゃなくてもし、自分の手から離れてしまったらそれは守りたい者を傷付けて奪ってしまうかもしれない。

 

だから、俺は手を伸ばすんです。

そして手を伸ばす為なら自分の全てを賭ける。」

 

「それがお前の"ビギンズナイト"って訳か。」

映司の話を聞いた翔太郎は帽子を深く被り目を隠した。

 

(とんでもねぇ話だ。

青年一人が背負える罪のレベルじゃねぇ……

映司、お前は俺等と出会う前……いや、仮面ライダーになる前からブッ壊れちまってたんだな。)

 

一人の青年が背負うには重すぎる痛み。

そして、それを背負ってしまったが故に彼のタガは外れてしまったのだ。

 

(映司はもう止まり方を知らねぇ……俺の言葉でも無理だろう。

でもだからって見捨てられる訳がねぇじゃねぇか!

どうすりゃ良い!どうすれば俺の言葉が届く?)

 

悩む翔太郎に浮かんだのはある日の記憶だった。

 

外伝 続編の投稿に関して

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