もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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W×OOO 17.始まりと進軍

 

それは突然起こった。

地面や空中に時計の模様が浮かびそこから大量の怪人や怪物が現れたのだ。

その姿を知る者が見れば全員、過去に仮面ライダーに倒された怪人達だと分かる。

 

暴れ回る怪人達は目に映る人間を構わずに襲っていた。

そんな怪人達を仮面ライダーリバースに変身したノブナガが次々と斬り伏せていく。

 

「ふん!」

「アレは……仮面ライダー!?」

 

驚く人にノブナガは激を掛ける。

狼狽えるな!

まだ出てくる敵は少数じゃ! 

あの物の怪の前ではバラバラになるのは危険だ。

何処かに集まり体制を……」

 

そう話しているとビルのモニターが明るくなり鴻上光生が映し出される。

『皆さんこんにちはっ!!

鴻上ファウンデーション会長、鴻上光生です。

現在この街で未曾有の怪物が暴れ回る事件が起きています。

事態の緊急性を鑑みて特例として我が社の避難シェルターを一般の皆様にも開放いたします。

また、この事態を解決する為に警察にも動いて貰っていますので市民の皆様は問題が解決するまでシェルターへの避難をお願いします。』

 

その映像を見たノブナガは感心する。

(ほぅ、流石だな。

これでワシも思う存分暴れられる。)

 

「今の言葉を聞いたな?

お前達は他の者を連れて早くシェルターとやらに移動しろ。」

「はっ……はい!」

 

そう言うとノブナガ以外の面々が避難シェルターへと向かう。

だが、その歩みを怪人や怪物が見逃してくれる事はなく逃げようとする人間たちを追い掛け始める。

 

「全く……貴様らの相手はこのワシだぞ!」

そう言いながらノブナガは人を襲う怪人達に刃を向ける。

しかし、それよりも早く放たれた"コイン型のエネルギー弾"が怪人達に命中した見るとそこにはバイクに乗った翔太郎と映司、そしてフィリップとアンクがおりその間でバースバスターを放った後藤と伊達の2人がいた。

 

「お主等は……」

「やれやれ、無名から急に連絡が来た時には焦ったがどうにか間に合ったみたいだな。」

「気を抜かないでください伊達さん。

まだ、敵は大量にいるんですから……」

 

緩んだ発言をした伊達を後藤が諌める。

 

対して映司とアンクは気不味そうに互いに沈黙していると翔太郎は映司にフィリップはアンクの肩を叩いた。

 

「色々と言いたいことはあるだろうが今は飲み込め。

そんなギスギスしてたら勝てる戦いも勝てなくなる。」

「翔太郎の言う通りだ。

大丈夫だ君達には僕達がついている。」

 

そう言われるとアンクが映司に言った。

「おい、映司。

俺には"まだ"お前の力が必要だ。

オーズドライバーは俺が取り返してやる……だから………」

「また一緒に戦ってくれないか……とアンクは言いたいんだ。」

 

「なっ!?俺はそんな事っ……」

 

否定しようとするアンクの口をフィリップが抑える。

(映司、お前も相棒を信じて見ろよ。

昔のお前みたいに………)

 

そう耳打ちされた映司は何か覚悟を決めたのかアンクに向き直る。

「アンク!……俺はこの手で届く範囲の命を救いたい。

その為なら自分の命を賭けても良いと今でも思っている。

"でもそれだけじゃダメなんだ"。

もっと沢山の人を救う為にも俺は自分の命も守らないといけない。

でも……俺にはそれが出来ない。

……だから!」

 

「"俺の命はお前に任せる"」

「!?」

「俺がもし命を捨てそうになったら殴ってでも止めてくれ。

アンクにとってもオーズの力は必要だろう?

悪い取引じゃない筈だ。」

 

自分の命を相手に託す。

それがどれだけ信頼してないと出来ないことかはグリードであるアンクでも理解出来た。

 

「良いのか?

俺に命を預けるなんて言って……お前は俺の事を信用してないんだろ?」

アンクの疑問に映司は真面目に答える。

「まぁ、そうだね。

人の命よりもメダルを優先するアンクの考えには今も納得出来ていない。

でも、翔太郎さんと話して俺のやり方も正しいとは思えなくなった。

だからって俺自身が考えを変えることは出来ない。

なら、俺に…オーズに価値を持っているアンクに託すのは悪い考えじゃない。

そう思ったんだ。」

 

普通とは言えない結論に思考回路。

これがもし翔太郎が言われたのならば簡単には納得しなかっただろう。

だか、元々"利用する側とされる側"として協力していたアンクならばこの提案に乗ると映司は理解していた。

 

それを言われたアンクは映司の腹を殴る。

「ぐっ!」

「これでこの前の件はチャラだ。

とっととドライバー取り返すぞ映司。」

 

「……うん、そうだなアンク。」

そう話しているとその中にノブナガが入る。

「お主等はアルケを止めるのか?」

 

その問いに翔太郎とフィリップが答える。

「当たり前だろ。

こんな街を泣かせる事件はさっさと解決するしかねぇしな。」

「あぁ、その為に準備をしたからね。」

 

「ほぅ、その準備について聞かせて貰おうか?」

「えぇ、構いませんよ僕も貴方と話してみたかったですから……」

 

ARMS MAXIMUMDRIVE(アームズマキシマムドライブ)

 

上空から無名の声が聞こえると暴れ回る怪人達に黒炎の矢が降り注ぐ。

黒炎に焼かれ消滅する怪人を見ながら"仮面ライダーデーモン"は地面に着地する。

 

その姿を見たノブナガが言う。

「お主が無名か。

アルケが警戒している人物だと聞いたが……」

「始めまして貴方がノブナガですね。

僕も貴方について聞きたいことが山程ありますが先ず確認を……

貴方は今でもアルケの協力者ですか?」

「奴との契約はもう終わっている。

今のワシは奴を倒し天下を取ろうとする武士に過ぎない。」

 

「天下……つまり貴方はアルケを倒しこの国を支配したいと言う事ですか?」

「そうだ。

過去のワシは志半ばで命を散らしてしまった。

だからこそ、今度こそ天下を取りこの世界を平定させる。

……そうすれば"あやつ"は今度こそ穏やかな生を謳歌できる。」

 

ノブナガの言葉を聞き無名は考える。

(やはり、この世界のノブナガはただのホムンクルスじゃない。

"戦国時代を生きた織田信長"の記憶を受け継いでいる。

となればアケチやキチョウも同じく戦国時代の記憶を持つ可能性が高いか。

しかし、何故アルケはそうしてまでホムンクルスの数を増やしたんだ?)

 

疑問が無名の頭に浮かんでいるとノブナガが尋ねる。

「次はお主が答える番だ。

お主等のやった準備とは何じゃ?」

「アルケは計画を完璧に成功させる為にこの街から戦力を分散させようとしました。

復活させた鳴海荘吉や大道克己を使ったのは戦力を風都に送り分散させるのが目的だった筈です。

 

そして、何方の計画も阻止しなければこの地球は時間逆行に耐えられず消滅する可能性が高い。

だからこそ、僕はそれを想定して作戦を立ててきました。

風都に送る戦力は後藤さんと照井さん……そして、NEVERのメンバーです。」

 

そう言うと無名は後藤にブーストメモリを手渡した。

「後藤さん、これを持って照井さんの元へ……翔太郎さんの話が本当ならば彼にはこのメモリが必要です。」

後藤は手渡されたブーストメモリを握る。

「今回の策では僕はこれ以上、照井さん達に援護は出せません。

故にこの戦局に変化を及ぼせるのは後藤さん貴方だけです。

このメモリを渡せば照井さんならばアルケがどんな計画を立てようと阻止出来る筈です。」

「分かった。

絶対に照井警視に渡してみせる。」

 

そう言うと後藤は映司からライドベンダーを借りるとそのまま風都に向けて走り出して行った。

そして、無名はノブナガに尋ねる。

「ノブナガさん、アルケの装置がある場所に心当たりはありますか?」

「俺が連れてこられた時は特殊な能力で瞬間移動したから詳しい場所は分からん。

だが、アルケのいた場所は広く薄暗い岩壁の中だった。」

 

「岩壁の中、となると地下か……それか別の場所に能力で移動したか。

どちらにしても移動に使うポータルがある筈です。

そこを探し出せば……」

『その必要はないぞ無名。

望みの品は地下にある。』

 

アルケの声が空から聞こえると先程まで鴻上を映していたビルのモニターが変わり黄金と宝石が散りばめられた甲冑を着た怪人が姿を現した。

『この姿で会うのは初めましてだな。

改めて私の名は"アルケ"。

この世の欲望の始まりであり終わりに位置する超越者だ。』

「あれが……アルケ。」

「グリードとは比べ物にならねぇ力を感じる。」

「アレがこの世界に残っている超越者か。」

 

それぞれが思い思いに言葉を紡ぐ中、アルケは話を続ける。

『先ずは感謝を述べよう。

君達のお陰で私はこの肉体を手に入れられた。』

そう言うアルケに無名が尋ねる。

「貴方の目的は他の超越者を蘇らせる事で間違いはありませんか?」

 

『その通りだ。

私達がどうして肉体を捨てたかは知っているだろう?

コスモスが私達に感情を与えた結果、我らは滅びへと向かっていった。

……あぁ、勘違いしないでくれ。

コスモスから感情を得た事を私は後悔などしていない。

それは他の超越者全員がそう言うだろう。

感情を得た事で私の欲望にも新たな発見が生まれたのだ。』

「では……何故?」

 

『決まっている同胞を救う為だ。

我々唯一の過ちは滅びを受け入れた事だ。

"地球や世界など捨ててしまえば良かった"のだ。

どうせ、"また何度でも創り出せる"。

我々にはその力があるからな。』

その言葉を聞いた翔太郎が怒りを顕にする。

「ふざけんな!!

何の罪もねぇ人達をそんな理由で殺そうってのか!」

 

『罪が無いだと?

私からすればお前達人間は我々の力を都合良く使っている寄生虫ではないか。

力を使うだけでは飽き足らずそれで争いを生んでいる。

お前達、仮面ライダーがその象徴だ。

我等の力を使い破壊や戦争を引き起こしている。

それに巻き込まれ死んだ人間もいるだろうに……』

その意見をフィリップが否定する。

「それは違う。

確かに人は君達、超越者の力を使って生きているかもしれない。

だが、破壊や戦争だけしている訳では無い。

少なくとも僕ら仮面ライダーは人を救う為にこの力を使っている。」

 

『まぁ、それは認めよう。

だが、その戦いに終わりは来るのか?

人は欲を得た事で進化してきたが同時に暴走する様になった。

欲望に歯止めが効かなくなりより"もっともっと"と求める様になった。

どれだけ歴史が進み文明が発達しようと人はその呪縛からは逃れられない。

お前達のやっている事は所詮は対処療法でしか無く根本的な解決にはならないのだ。』

「だから、滅ぼすのですか?

そうだとすれば貴方も力に飲まれた人間と何も変わりませんね。」

 

無名の言葉をアルケが否定する。

『いいや、お前達の存在は同胞が復活した暁に全員蘇らせるつもりだ。

今度は完璧な状態で作り直してやる。

争いの無い平和な世界をプレゼントしよう……だからどうかね?

一度だけ世界の滅びを静観するというのは……』

その言葉を映司が否定する。

「悪いけど必死に生きようとしている人の手を取らない選択肢は俺には無いよ。

それに、君達が約束を守る保証もない。」

 

『君達はコスモスの愛した作品だ。

私は同胞を大切に思っているが故にこの約束を反故にする心配はない。

アンク、何なら君の願いも叶えてやろう。

私ならば君の存在を簡単に作り変えられる。』

アルケの提案をアンクは鼻で嗤う。

「はっ!生憎、信じて手を貸しても裏切られるのは"800年前"に経験済みでな。

自分の欲望は自分で叶えるって決めてるんだ。」

 

それを聞いたアルケは残念そうに呟いた。

『そうか……あぁ、惜しいなぁ。

非力な人間でありながら他者を救おうと行動出来る存在は貴重だ。

その命の輝きは黄金ですら霞ませる。

故に君達は"負ける"。』

「どういう意味ですか?」

 

無名の問いにアルケは答える。

『私の計画を挫くには戦力がいる。

それこそ、大量の仮面ライダーが……だからこそお前達の敗北は決まったのだ。

お前達の戦力を分散さえすれば私の勝ちは揺るがない。

この街も悲惨だろうが"風都"はもっと酷いぞ?』

風都の事を言われた翔太郎は感情が昂る。

 

「テメェ……風都で何をしようとしてやがる!」

アルケの策が読めない翔太郎だが逆に無名はアルケの言葉を聞き彼の次の一手を理解してしまった。

「やはり、そう"来ますか"。

確かに有効な一手だ。

此方の戦力を分断せざるを得ない。」

 

苦々しい顔をしている無名にフィリップは尋ねる。

「無名……アルケは一体何をしたんだ?」

その言葉に無名は口を開くのだった。

 

 

 

「ハァ……ハァ………クッ!」

身体に走る痛みと火花を耐えながらアクセルに変身した照井はバイクモードになり風都へ向かって突っ走っていた。

度重なるダメージ、特にスカルから受けたマキシマムがかなりのダメージを身体に残していたが照井は止まることは出来ない。

 

最愛の女性を救う為、今は一分一秒の時間が惜しく貴重だった。

そうして走っていると風都のシンボルである風都タワーが視界に入る。

(もう少しだ。)

 

照井はスロットルを回し更に加速しようとすると突然、発生した波動を受けて吹き飛ばされる。

「ぐっ!?……何だ一体?」

照井が目を向けた先に合ったのは"見覚えのある塔"だったが本来それがある事自体あり得ない。

何故ならあの塔は最後の戦いで完全に破壊されてしまったのだから………

 

「"風都第二タワー"?……どうして」

そう思いながら辺りを見回すと復旧した風都タワーにも異変が起きていた。

2つのタワーが緑色のエネルギーを放っておりその周りには大量の怪人が現れていた。

 

その光に照井は見覚えがあった。

これまで翔太郎やフィリップ、そして無名と阻止して来た滅びと進化をもたらす地球の光。

 

 "ガイアインパクト"

 

2つのタワーから放たれる光は照井に事の重大さを認識させるには充分だった。

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