もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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地球を眺めているコスモスの表情は暗い。
「私が……皆に感情を与えなければ」
「君にそんな悲しい顔は似合わないぞコスモス。」

優しく励ますアルケだがコスモスの顔色は変わらない
「……アルケ、でも私のせいで皆に寿命と言う概念が生まれてしまった。
本来は死が存在しない私達に……」
「だが、そのお陰で私は本当の意味で"欲望"を理解出来た。
私は君に本当に感謝しているんだコスモス。
それにタナハとゴエティアが君の為に動いているんだそう悲観することも無い。
きっと、彼等なら良い案を出してくれるさ。」

「……優しいんだねアルケ、ありがとう。」
コスモスの言葉にアルケは笑う。
「当然だ。
私は欲を司る超越者だぞ?
私は欲する物は全部手に入れる。
君の笑顔を取り戻す為ならばタナハやゴエティアと同じく私も骨を折るよ。」


あの時に見せてくれたコスモスの優しい笑顔を私は忘れない。


W×OOO 22.感謝と遺憾

 

風都各地で奮戦が起こる中……

照井を乗せたトライドロンは風都タワーに向けて進んでいた。

付近の怪人をトライドロンで吹き飛ばしながら何とかタワー付近まで進むが目の前で起こった爆発を受けてトライドロンは停止した。

 

照井と凜子は車を降りて泊を確認する。

「泊、大丈夫か!」

目を向けた先には"タイプワイルド"に変わったドライブがいた。

「あぁ、あの爆発が起こる前にタイプワイルドに変身したからダメージは無い。」

「でもさっきの爆発って一体……」

 

そう言いながら上空を見るとそこにいたのは空を飛ぶ巨大な怪物の群れだった。

"仮面ライダー龍騎"で登場したミラーモンスターや"仮面ライダー響鬼"で現れた魔化魍、それに"仮面ライダーキバ"で現れた六柱のサバトと呼ばれる巨大なファンガイアが風都タワーを守る様に蠢いていた。

 

『あの巨大な生物達は風都タワーを守る様に動いている。

恐らくあの爆発は私達をタワーに近付けさせない為の威嚇だろう。』

「でもだからって止まる訳には行かねぇぞベルトさん。」

 

そんな話をしていると上空のミラーモンスターがドライブに向かって突進してくる。

『来るぞ進ノ介!』

「あぁ!迎え撃つ!」

 

「お前はじっとしていろ"泊!"」

「その声は!?」

 

懐かしい声に泊は振り向く。

そこにいたのはライドベンダーから飛び上がり右手に装着されたドリルでミラーモンスターを迎撃する仮面ライダーバース、後藤 慎太郎の姿だった。

 

泊は久し振りに再会した仲間の姿に驚く。

「その声、やっぱり後藤だよな?

てか、お前仮面ライダーになってたのかよ!」

「世間話は後だ泊!

ダメージは与えたがすぐに反撃してくるぞ。」

 

後藤の言う通りミラーモンスターはドリル攻撃で怯みはしたが健在であり反撃に出ようと魔化魍やファンガイアを連れて突進したきた。

「うおっ!?

どうやら敵さんを怒らしちまったみたいだな。」

「反撃が間に合わない…泊!大門を守れ。

俺は照井警視を……」

 

 「ENGINE MAXIMUMDRIVE」

 

「ハァッ!!」

 

後藤が言いかけた言葉を遮る様に仮面ライダーアクセルに変身した照井のマキシマムドライブが発動する。

 

エンジンブレードから放たれた"A"の形をした斬撃は矢の様に飛んでいきミラーモンスターを貫く魔化魍を巻き込みながら大爆発を起こした。

 

アクセルに変身した照井を見て大門は尋ねる。

「照井警視、身体は大丈夫なのですか?」

「お前達が休ませてくれたお陰で大分回復できた。

感謝する。」

 

そう言いながら照井は後藤と泊の隣に立つ。

「俺は風都タワーに向かう。

泊、後藤、大門お前達は周辺で待機しながら他の者達の援護に回ってくれ。」

『なっ!?一人であそこに行く気かね?』

「照井警視、いくら何でもそりゃ無茶……」

 

「「分かりました。」」

 

照井の意見に無謀と言ったクリムと泊の2人と違い後藤と大門はアッサリ了承する。

「はぁ!?大門、後藤…お前ら」

「照井警視が動くのなら何とかなるわよ。

それに私がついていくには邪魔になるし…」

「仮面ライダーとして戦っている経験値は我々よりも圧倒的に上だ。

照井警視がそう判断したのなら俺は従う。

その前にこれを…無名から貴方への贈り物です。」

 

そう言って後藤に渡されたメモリを照井は手に取る。

「これがあるならば遠慮なく振り切れそうだ。」

 

照井はアクセルメモリを抜くと受け取ったデバイスにメモリをセットする。

 

「ACCEL REIGNITION」

 

そして、そのデバイスをアクセルドライバーに装填した。

「三人とも俺から離れていろ。

………変……身!!」

 

照井が勢い良くスロットルを回す。

 

「BOOST ACCEL」

 

瞬間、照井の周囲から熱風が爆発する様に発生した。

熱の差から照井の近くで蜃気楼が起きており彼の身体は揺らめいて見える程だ。

そして、照井の身体が変化し白いアーマーと背中に大型ブースターを付けた仮面ライダーへと変身が完了した。

 

"仮面ライダーアクセルブースト エクステンデット"

それは井坂との決戦の際に照井が引き起こした奇跡の形態でありアクセルの最強フォームと言っても差し支えない能力を秘めた姿だった。

先の戦いで破損したブーストメモリを無名が地球の本棚の力を使い復元したのだ。

 

照井は風都タワーの頂上を見つめる。

大切な人を救う為、事件を止める為に足に力を込める。

(待っててくれ直ぐに追いつく。)

背中のブースターにも火が灯り凄まじい轟音と共に照井の姿は"消えた"。

 

「なっ!?」

「消えた?」

「いや、上を見ろ!」

 

後藤の声を受け上を向くとそこには照井が一瞬の内に空へと飛び上がっていた。

その姿を見た怪物達は照井を地に落とそうと突進してくるが……気付いた時には照井は怪物達の背後にいた。

そして、それを知覚した頃には怪物の身体に致命の斬撃を受けた事を理解し爆発を起こした。

 

「これならば行けるか……

さぁ、振り切るぜ!」

 

照井は一気にギアを上げて加速する。

その凄まじい速度に照井の姿は"光る矢の様にも見えた"。

その矢を叩き落とそうと怪物達は追い掛けようとするがそれよりも速く怪物の身体を射抜いていく。

 

接近戦は不利と感じた怪物の中で六柱のサバトと呼ばれる巨大なファンガイアは照井を追う様な追尾式な光弾を無数に放つが本気で加速したアクセルブーストは追ってくる光弾の速度を追い越しながら立体的に攻撃を回避しつつ自らに攻撃を仕掛けてきた六柱のサバトに向かっていく。

 

危機感から咄嗟に接近してくる照井を強靭な両腕を回転させて叩き落とそうとするが腕を振るった瞬間、"六柱のサバトの両腕"は切断され宙へと舞った。

そして、照井は六柱のサバトの頭部にエンジンブレードを突き刺すとブースターを吹かしながら一気に急降下した。

その一撃で身体が半分になった六柱のサバトは爆発を起こす。

 

だが、その爆発に誘き寄せられる様に空中にいた他の怪物達が集まってきた。

「数が多いな纏めて相手をするのは面倒だな。」

「なら、雑魚減らし手伝ってやろうか?」

 

空中から聞こえてきた声に照井が目を向けるとそこにいたのは照井と同じく空を駆ける"仮面ライダースナイプレベル コンバットシューティングゲーマー3"だった。

 

その声を聞いた照井が尋ねる。

「お前はもしかして花屋か?」

「遠目で見てたがデタラメな強さだな照井さん。

風都タワーを目指してたみたいだが……」

 

「所長が、風都タワーに囚われている。」

「!?……ヤバいのか?」

 

「…………」

花屋の問いに沈黙で答えた照井の表情を見て事態の危険性を花屋は理解した。

「分かった。

空の奴等は俺が引き受けるから照井さんは真っ直ぐ風都タワーまで向かってくれ。」

「だが……」

 

良いからとっとと行け!!

"迷って失ってからじゃ遅いんだ"。

俺の事は心配しなくて良い。

俺だって仮面ライダーだからな。」

 

花屋はそう言うと照井に向かってくる怪物に突進していく。

両腕のガトリング砲である"ガトリングコンバット"が火を吹く。

ガトリングから放たれた炸裂光弾は怪物の身体に直撃するが倒し切れる程の威力は無い。

だが、花屋にとって倒す必要は無い。

此方に目を向けさせれば良いのだ。

 

数台の怪物はそのダメージの煩わしさからターゲットを照井から花屋へと変える。

「そうだこっちに来い!!」

花屋は追ってくる怪物にワザと近付き接触スレスレの飛行をしながら照井をまだ追おうとする怪物に接近する。

 

花屋はガトリングを当てつつ怪物の周囲を回っていると花屋を追ってきた怪物が照井を追っていた怪物と激突し揉みくちゃの状態となる。

 

花屋は素早くドライバーに装着したガシャットを引き抜きキメワザスロットに装填する。

 

キメワザ!!

 

エネルギーチャージされるガトリング砲を怪物に向けながらキメワザスロットをもう一度押す。

 

JET CRITICALFINISH(ジェットクリティカルフィニッシュ)

 

「落ちろっ!!」

 

引き金の引かれたガトリングから無数の光弾とミサイルが発射され怪物の塊に着弾する。

その攻撃に耐えられず中心の怪物が爆発するとそれに巻き込まれ周囲の怪物も誘爆した。

自分が一人で戦える事をまじまじと見せられた照井は覚悟を決める。

「花屋……ここは頼む!!助かった。」

 

照井は花屋を無視して真っ直ぐ風都タワーへ飛んでいく。

(助かった……か。

それは俺のセリフだぜ照井さん。)

 

花屋はゲーム病治療に失敗し一人の女性を救えなかった事で衛生省からその対応の問題点について指摘された時の俺は正しく絶望の淵にいた。

命を救えなかった絶望感とその患者の許婚がいた事を知った罪悪感。

医師免許の剥奪も仕方が無い……そう思っていた彼を助けたのが照井だった。

 

照井は当時の花屋の行動や治療中の不可解な点を指摘しこの事件にはまだ裏がある事を示しそして衛生省に進言したのだ。

「彼は医者としてとても優秀です。

優秀故の傲慢さもあったでしょうがそれでも生命を救うことには常に真摯に取り組んでいました。

だからこそ、今回の事件には不可解な点が多い。

医師免許剥奪を行い事件を終わらすのではなくちゃんと事件を解決させる為にここは医師免許は剥奪ではなく一時的停止としてくださいませんか?」

それを聞いた衛生省の高官が照井に尋ねる。

 

「ですか、もし本当に彼の医療ミスが原因ならばどうなさるのですか?」

その問いに照井は迷いなく答える。

「その時は私が責任を持って彼を逮捕しその判断を行った責任を取り警察を辞めます。」

 

照井の警察手帳と辞表を賭けた訴えは衛生省に伝わり花屋は医師免許の一時停止処分となった。

それを聞いた花屋は照井に問い詰めた。

「何て事してんだよ照井さん!?

自分の辞表を賭けてまで俺を助けるなんて……」

「俺にはお前が傲慢さから医療ミスを起こしたとは思っていない。

この事件はちゃんと調べるべきだ。」

 

「でもその為にアンタが犠牲になる事はないだろう!?

これは俺の問題なんだ………だから」

「花屋…"図に乗るな"。

俺がお前を助けたのはこれまで治療をしてくれた馴染の医者だからではない。

この一件について警察官として不審を感じたからだ。

確かに医療ミスは許されない事だ。

事、お前の様に命に真摯に向き合っている医者にとってはな。

どんな状況でも救えなかったのならば自分の責任そう考えるのも分かる。

 

だが、それでお前が裁かれて何が変わる?

もし、俺の予想通り今回の医療ミスが誰かがお前を陥れる為にやったのならばそいつは今後必ず何かしでかす。

そんな事を刑事である俺が許す訳、無いだろう?」

 

あの人は医者としての俺を救ってくれた。

だからこれは恩返しだ。

俺をまだ医者として信じ頼ってくれている人への……

 

「さぁ、来いよ怪物共。

あの人の邪魔はさせねぇし誰も犠牲になんてさせねぇ。

"ミッション開始"だ。」

啖呵を切った花屋は新たに集まってきた怪物に向かっていくのだった。

 

 

 

その一方、無名のいる街ではアーマードライダー達が怪人達と戦闘を繰り広げていた。

 

ある者は人を守る為に力を振るい……

 

ある者は自らが開発した力の性能を確かめ……

 

またある者は与えられた任務を忠実に実行する為、力を使い……

 

またある者は手に入れた力に酔い痴れていた……

 

(スゲェ、これが戦極ドライバー……いや、ロックシードの力かっ!!)

 

仮面ライダーシグルドに変身するシドは溢れ出る怪人を両手に持った小斧である"チェリーチョッパー"で切り裂き自らの力を示す様に怪人を痛め付ける様に仕留めていった。

「オラ、どうしたどうしたぁ?

んな弱いと張り合いがねぇなぁ!!」

 

シドはドライバーのカッティングブレードを一度下ろす。

 

「チェリースカッシュ!!」

 

チェリーチョッパーにエネルギーが、充填されるとシドはそれを怪人に向けて投げる。

放物線を描きながら敵を複数切り裂き爆発させるとチェリーチョッパーはシドの手元に戻った来た。

 

(良いぞこの力があれば俺は…)

 

そんな中、シドが目を向けるのは白いアーマードライダーとして戦う呉島 貴虎の姿だ。

(人類救うだと前々からウザったいと思ってたんだ。

今なら奴を襲っても事故に出来そうだな。)

 

シドは仮面の奥で不気味に笑い斧を振り上げた瞬間、貴虎の持つ無双セイバーが此方に向いた。

(マズイ、バレたか!?)

 

動揺するシドに待っていたのは銃声だった。

ドドドン!!

その音共にシドの近くにいた怪人が倒れる。

「なっ!?」

 

そこで自分が奇襲されそうな所を助けられたのだと理解した。

「気を抜くな。

一体一体はは雑魚だがその分、数が多い。

奇襲が来る可能性も予測しろ。」

 

それだけ言うと貴虎は自らの戦いに戻る。

その行動がシドの琴線を更に逆撫でた。

(俺の事なんて眼中にも無ぇってか。

その余裕そうな態度がムカつくんだよ。)

 

シドは元々違法な薬物を捌く売人だった。

(力と財力……それに品格まで一級品ってか?

巫山戯んなよそんなもの圧倒的な力でぶっ壊してやる。

だが、まだだ。

悔しいが今は貴虎の方が上か…)

 

シドは己の野心がバレぬ様に取り繕う。

悪い助かったぜ(何時か殺してやるよ)貴虎。」

そして、また戦いに戻るのだった。

 

 

その姿を観察していた仮面ライダーマリカに変身している耀子はシドの野望を看破していた。

(あら?思ったよりも我慢が出来るみたいねシド。

この一件はプロフェッサーに報告するべきかしら?)

 

そう考えた耀子だが直ぐにその思考を否定する。

(いえ、プロフェッサーなら恐らく分かっているのでしょう。)

「さて、私も仕事をしなくちゃね。」

耀子は手に持った扇型の武器である"桃華扇"を構える。

 

すると、扇の先端から鋭い刃が現れた。

耀子は襲い掛かってくる敵の攻撃を扇で払い刃で斬りつけていく。

自慢の体術を織り交ぜながら敵を蹂躙するその姿は正に武術家と言うに相応しかった。

 

「へぇ、斬るのには優れていそうだけど他には何か無いのかしら?」

耀子は遠くの怪人に向かい扇を振るった。

すると、扇の刃が勢い良く飛び怪人の身体に突き刺さる。

「遠距離にも対応している訳ね。

デメリットを上げるなら装甲が薄い所かしら

プロフェッサーへの報告がまた増えそうね。」

 

冷静に自分の武装とロックシードの性能について分析し終わるとドライバーのカッティングブレードを二回下ろす。

 

「ピーチオーレ!!」

 

扇に集まるエネルギーに目をやりつつ耀子は敵に狙いを定める。

そして、踊る様に走り出すと複数の敵を蹴りながら桃華扇を振るいエネルギーを纏った刃が敵へと降り注いだ。

一直線に舞い終わった耀子が足を止めるとその背後には刃で串刺しになった怪人のみとなり爆発し消滅した。

 

「プロフェッサーはより多い実践データを欲している。

さぁ、もっと戦ってもらうわよ。」

耀子は仮面の中で獰猛に笑うのだった。

 

 

一方、仮面ライダーデュークである凌馬は戦いながらも冷静に周囲の戦況を分析していた。

(まぁ、予想はしていたが戦況は芳しくないな。

増え続ける敵に対してこちらの戦力は4人。

これはいつ崩れても可笑しくないか。)

 

付近を軽く見渡しながら凌馬は襲ってくる怪人に対処していく。

手に持ったレモンレイピアを巧みに操り攻撃をいなし追撃を加え敵の流れを貴虎に向く様に調節していく。

(シドはやはり戦闘向きじゃないな。

ロックシードのパワーでゴリ押ししてる。

耀子の方は身体能力の高さから格闘戦にいきがちだね。

やはり、ドライバーを使っても持ち前の戦闘能力によってアーマードライダーの性能も変わる様だ。)

 

そう分析しながら貴虎に目を向ける。

その戦い振りを見て貴虎は思わず笑ってしまった。

「ははっ!普通ならば崩れても可笑しくない戦況をたった一人で持たせるか。

やはり、惜しい本当に惜しいよ貴虎。」

 

凌馬の目の前で起きていたのはたった一人で怪人の軍団に対処し殲滅している高虎の姿だった。

無論、ダメージ無く切り抜ける事は出来ていない。

仮面ライダー斬月の武器である盾"メロンディフェンダー"やアーマーには無数の傷が付いている。

 

だが、それでも貴虎の動きに鈍りは無く寧ろ洗練されより速く鋭くなっていった。

「効率の良い戦い方をその場で作り出し実践する。

素晴らしい戦闘センスだ。

それだけでなく周囲の被害を抑える様に動いている。

あれだけの軍勢を一人で相手にしながらシドにまで気を回すなんてやはり素晴らしい素質だ。

正に一騎当千の活躍だ。」 

 

そうしていると貴虎が此方に目線を向けてきた。

これはまだ二人でヘルヘイムの森を調査していた時に行っていた貴虎の合図であり凌馬だけがその意味を理解した。

 

 「了解だ友よ。」

 

凌馬はカッティングブレードを勢い良く3回振り下ろす。

 

「レモンスパーキング!!」

 

直後、凌馬は前へと走り出し怪人の集団に突撃していく。

襲ってくる敵をレイピアで的確に処理していくと貴虎が無双セイバーを構えていた。

「飛べ凌馬!!」

 

凌馬は大きく飛び上がる。

すると、貴虎が振るった斬撃が放たれた。

(貴虎があの合図を出す時は大技を使用したい時だ。

そしてその時、彼が最も恐れているのは………)

 

「背後からの攻撃だね貴虎。」

凌馬は貴虎の背後の怪人に向けてレイピアを高速で振るう。

 

凄まじい轟音と共に貴虎の放った斬撃が敵を切り裂き凌馬の突きは貴虎の背後を確実に守る様に現れる怪人の命を奪っていった。

 

凌馬が地面に着地すると貴虎を見つめる。

そこにはたった一線の斬撃で怪人の集団を真っ二つに斬り裂いた彼が認めた男が立っていた。

肩で息をしていながらも無双セイバーを構えその目には強い意思が籠もっている。

 

「久々に懐かしい合図をくれたね貴虎。」

「予想よりも量が多くてな。

"少し数を減らしておきたかった"。」

 

(ざっと見て数百の敵を一刀で斬り伏せておいて"少し"か。

相変わらず君は………)

「本当に惜しいよ貴虎。」

 

戦極凌馬は自らの研究と才能に最大の自身と確信を持っていた。

自分の作ったドライバーこそが人を神の領域へと導ける。

だか、いくらハードが良くても中にあるソフトが脆弱では意味が無い。

シドの様な者が戦極ドライバーを使った所で神へと到れるとは思っていなかった。

 

彼にとって最もその資格と可能性があったのが呉島 貴虎だった。

(私の研究を理解し賛同してくれた。

それだけでなく君自身のポテンシャルが私の求める神へ到れる人間に相応しかった。

だからこそこの出会いは運命であり君こそが私のドライバーを使い神になると本気で思っていた。)

 

だが、運命とは皮肉な物だ。

彼は人を救う救世主として相応しい

いや、相応しすぎる精神性を持っていた。

自らが神になるのではなく人類の救済を第一に考え行動していたのだ。

 

(君は真に私の理解者では無かった。

とても悲しい現実だが受け入れなければいけない。)

 

だから、私も考えを変えた。

私のドライバーで神になるのならばもう誰だろうと構わない。

 

「私の研究こそが唯一無二。

それを証明するのが私の仕事だ。」

そう呟く私に貴虎が告げる。

「何を言っている?

お前の研究は人類を救う為にある唯一無二の物だ。

そんな証明はもうされているだろう?」

 

(あぁ、貴虎……やはり君は)

心に残る失望感に仮面で蓋をして凌馬は貴虎と並び立つ。

「とはいえ状況は好転していないどうする貴虎?」

「決まっている。

助けられる命があるのならば救う。

その為ならばこの身をいくらでも使おう。」

 

そう言って敵に向かっていく貴虎の背を見ながら凌馬は小さく呟く。

 

 

 

「あぁ………本当に惜しいよ貴虎。」

 

二人の間にある溝はもう修復できない所まで来ていたのだった。





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