「やはり上手くは行かないか。」
自らの意識や力を本という媒体にして延命を測ると言うタナハの案を聞いたアルケはため息を付く。
「無理もないか。
今打てる最も最善な策ではある……だがそれでは私の欲望は満たせないんだよ。」
だが、だからと言ってこの案を止める気はない。
だから私は別のやり方で肉体を手に入れよう。
タナハの作った神に頼るのではなく私の力を使って……
「欲望に形を与え生物を創造するに事象を書き換える術がいるな……手っ取り早いのは変化の簡単な鉱物等の無機物を用いた変化……良し決まりだ。
タナハの産み出す
きっと使いこなし新たな進化が起こる筈だ。
何れは生物を生み出せる位には成長するだろう。
後は名前だな……うん?」
アルケは手元に金に目を向ける。
「金……"錬金術"……うん、響きも良く気に入った。
この術を錬金術と呼び地球に残してやろう。」
お前もお前で何か策を労するのだろうゴエティア?
この際だどっちが早く同胞を蘇らせるか競争しよう……
そして、私は錬金術を生み出したのだ。
風都タワーでスカルと戦闘を繰り広げていた霧彦は目の前の景色に驚愕する。
突如現れた石柱が発したエネルギーが死んだ二人の人間を呼び寄せたからだ。
一人はこの風都でメモリ販売のスポンサーとして影から街を操った財団Xのエージェントである
もう一人はガイアメモリの魔力に取り憑かれその力を使い何千人の人間を葬ってきたメモリの悪魔、
風都を闇に陥れた二人の悪魔が現れたことに驚愕していると加須が話し掛けてくる。
「また会いましたね須藤 霧彦さん。
「お前は財団X……どうしてここに?」
霧彦の問いに加須は答える。
「さぁ……ですが我々を復活させた存在は私達にこの風都タワーを守る駒となって欲しいみたいです。」
そう話す二人を他所に井坂は忌々しげに言った。
「この私を操り駒として使おうとは不愉快極まりない。
…!?」
そう言っていた井坂だが急に手が動き気絶している亜樹子に向けて雷を放った。
(しまった!?)
霧彦が攻撃を防御しようと動こうとする。
「隙ありだ。」
「SCULL MAXIMUMDRIVE」
しかし、それを読んでいた荘吉はスカルマグナムを展開させると銃弾を霧彦に向けて放った。
髑髏の形をしたエネルギー弾は井坂の放った雷を吸収し巨大化すると霧彦の身体に直撃する。
しかし、煙が晴れた先には無傷で立つ霧彦の姿があった。
「マキシマムの直撃を安々と耐えるか。」
「伊達に切り札として出し渋っていた訳じゃないからね。」
(助かった。
さっきのマキシマムで井坂の雷を巻き込まなければ彼女に攻撃が当たっていた。
でも、何故そんな事を?)
すると雷を放った井坂が自分の手を見つめながら怒りで震える。
「勝手に蘇らせられただけでは飽き足らず私の身体の自由まで奪うとは……実に不愉快ですねぇ。」
その言葉に加頭も同意する。
「えぇ、ですが我々ではこの支配に抗う術は無さそうだ。
私としてもこんな事はしたくないのですが……」
そう言う加須だが身体が勝手に動き始める。
霧彦に近付き徒手空拳での戦闘が始まる。
凄まじいパンチとキックの応酬の中、加須は霧彦の身体に触れるとユートピアメモリの能力を発揮する。
だが、相手のエネルギーを奪い取ろうとすると逆に発生したエネルギーで手を弾かれてしまった。
霧彦はお返しとばかりに回し蹴りを加須の腹部に当てた。
空気が歪む程の力で蹴られ身体が吹き飛びそうになるのを念動力と手にもったステッキを地面に突き立て速度を減速させた。
ステッキから火花と一線の凹みを作りながら停止した加須は蹴られた腹部に触れながら告げる。
「ユートピアメモリの能力を無効化するとは恐ろしい力を秘めていますねナスカメモリは……」
「そう褒めてくれる割にはダメージが無さそうじゃないか。」
「ユートピアメモリの力と言うよりも私達を呼び出した物質の力でしょう。
あの石柱から私の身体に力が流れるのを感じますので……」
加須は風都タワーに現れた石柱を見ながら告げた。
「ならばアレを壊せば君たちを倒せると言う事か。」
霧彦は石柱まで飛び上がり大剣に変化したナスカブレードを振り下ろす。
しかし、その一刀は井坂が身を挺して受けた事で防がれてしまう。
そして、加須が発火能力を使い霧彦に攻撃を加えるが霧彦の身体にダメージを与える事は出来ず手を振るった風圧で身体を覆っていた炎を吹き飛ばした。
井坂は身体に深々と突き刺さったナスカブレードを引き抜く。
袈裟から切られ腹部まで斬り裂かれた身体は凄まじい速度で回復する。
「ほぅ……素晴らしい能力のメモリをお持ちの様だ。
石柱の回復が無ければ真っ二つに斬られていた所ですよ。」
「それに私の攻撃すら全く意に介していない。
ナスカメモリについてはミュージアム経由で知ってはいましたがここまで強力なメモリだとは……少々侮っていました。」
「私としては油断してくれていた方が助かるのだけどね。」
軽口を叩く霧彦であったが内心では焦っていた。
(やはり三人を相手にするのはキツイな。
画竜点睛のお陰でダメージは受けていないが此方が攻撃しても石柱の能力によって回復されてしまう。
どうにかして打開策を打たなければ……)
霧彦の奥の手である画竜点睛は"無敵や進化"と言った不定形な力を具現化した形態でありその能力を発動している時は霧彦にダメージを与える事は不可能であり、また霧彦の使う攻撃は全てマキシマムクラスまで威力が底上げされている。
一見、完全無欠に見える能力だが無論、弱点も存在する。
一つが"変身時間"。
元々が無茶なイメージを具現化しているため、長時間その姿を保つには並外れた集中力と精神力を必要とした。
今の霧彦ではこの姿は保てて数分が限度だった。
二つ目が"奇襲や予想外の攻撃"。
ナスカメモリの能力は霧彦のイメージや想像力に依存している。
故に霧彦のイメージを阻害する何かが起きると能力が解除されてしまう。
(恐らくこのまま戦いを続けても決着はつかない。
寧ろ私が先に限界が来てしまうだろう。
それに人質が残っているのもマズイ。
このままではどうも戦いづらいな。)
万が一にも
だからと言って霧彦に敗北や逃走の考えはなかった。
霧彦は無名が消滅してから仮面ライダーとは違う風都を守る存在として戦い続けていた。
(私が引けばその後ろにいるのは何の罪もない一般人だ。
これ以上、誰かが傷付き涙を流させる事を私は許さない。)
「少し賭けに出るか。」
霧彦は全身から青いオーラを発すると地面に落ちているナスカブレードに手を翳す。
すると、ナスカブレードが独りでに浮き上がり霧彦の手に収まるとオーラを吸収したナスカブレードが光り出す。
その光景を見た井坂が興味深そうに言った。
「まだそんな新しい能力を隠し持っているとは……とても興味深いメモリだ。
出来ることならば手に入れて使ってみたいが……あぁ、クソっ!
やはり身体が言う事を聞かないか。」
井坂と加須は身体に刻まれた命令の元、霧彦の攻撃を迎撃しようとする。
霧彦はナスカブレードに纏ったオーラを二人に向けて放った。
始めに違和感に気付いたのは加須だった。
「この攻撃……まさか!?」
「気づいた様だがもう"遅い"。」
霧彦はニヤリと笑う。
彼の放った一撃は攻撃の為では無い。
放たれた斬撃は形を変え二頭の竜へと変わると井坂と加須の身体に巻き付いていく。
そして、巻き付いた竜は形を変え青色のエネルギーの球体へと姿を変えた。
やられたと思いながらも井坂は攻撃を行う。
だが、その一撃は展開された青色のエネルギーにより完全に霧散してしまった。
「そのエネルギーには私の身体と同じ力が込められている。」
「成る程、"あらゆる攻撃の無効化"ですか。
ダメージを与えられないのならば動けなくしてしまえば良いと……」
「あぁ、そして残るは
霧彦のナスカブレードがスカルに振り降ろされる。
スカルは一瞬の判断で近付くと霧彦の腕を抑え剣を振るえないようにする。
だが、それを読んでいた霧彦はナスカブレードを捨て徒手空拳でスカルを追い詰める。
スカルの不死性を持ってしても霧彦のナスカメモリが生み出した無敵の力は強力であり生体装甲にヒビが入る。
普通の人間……それこそこの相手が左 翔太郎ならば焦りから禄に相手を分析出来なかっただろう。
だが今、目の前にいるのは左の師でありどんな時も死者の様に冷たく冷静に判断と行動が行える鳴海荘吉だった。
(あれだけ強力な技がありながらこれまで使わなかったのには理由がある筈だ。
何かしらのデメリットがありそれが今の無理矢理な攻めに表れている。
だとすればやはり時間か。
ならば長く戦えない分、一発の大技に賭けてくる筈だ。)
戦いながらそう考えた荘吉はわざと攻撃を受けて隙を作る。
その隙を狙い霧彦はナスカブレードを持ち上げた。
(今だな。)
荘吉は地面を蹴り上げ霧彦との距離を一気に詰めて懐に入り込む。
(この距離ならばあの大剣を満足には触れないだろう。
そして、俺の拳の方が先に当たる。)
荘吉はロストドライバーのマキシマムスロットに素早くスカルメモリを装填する。
「SKULL MAXIMUMDRIVE」
発動したマキシマムのエネルギーが荘吉の構えた右腕に集約していく。
それを見た霧彦は言った。
「賭けに勝ったぞ鳴海荘吉っ!!」
霧彦は始めからナスカブレードで荘吉を倒せるとは考えていなかった。
("乱入者の二人"を押し止めるのにメモリの力をかなり使ってしまった。
画竜点睛が使えなくなるまでざっと見て"30秒"。
ここから仮面ライダースカルを戦闘不能にさせるには奴自身からカウンターを誘発させるしかない。)
霧彦はだからこそ無謀な攻めに出た。
画竜点睛が使える残り時間がある内にダメージを与える為に
そして、懐に入ってきたスカルを見て賭けに勝った確信を得た霧彦は空中でナスカブレードを捨てた。
そして、残ったエネルギーを全て右手に集約させる。
奇しくも両者の選択した攻撃は"右拳によるカウンターパンチ"だった。
(やはり、狙いは私と同じカウンターだったか。
だが、ここで相討ちになってもまだ画竜点睛の効果は残っている。
受けたダメージ量の差で私が勝つ!)
霧彦は拳を荘吉に向けて拳を振り下ろし荘吉は逆に振り上げた。
両者の拳のエネルギーがぶつかり爆発を起こす。
煙が晴れた先で最初に目に映ったのは驚愕の表情を浮かべる"霧彦"だった。
「バ……カな」
霧彦の拳は空を切った……その理由は
激突する筈だった荘吉の腕が振るわれた霧彦の腕を巻き込みながら肩の関節を極めていたからだ。
荘吉は霧彦がナスカブレードを捨てたのを見て直ぐに思考を回した。
(剣を捨てた……焦ったからじゃない。
最初から剣で仕留める気ではなかったな。)
そして、拳を固め振り降ろす姿を見て荘吉は"直感"に全てを任せた。
握っていた拳を緩め相手の腕に巻き付く様に伸ばす。
荘吉の肩の生体装甲を砕きながら霧彦のパンチが進んでいくがそれを無視して荘吉は身体を前へと進めて肩に手が掛かるとそのまま、腰を回転させて霧彦の肩関節を極めた。
その行動と右腕の痛みに顔を歪めながら驚愕する霧彦に荘吉は告げる。
「肩の肉を抉られて右腕は使い物にならないがまだ左手は残っている。」
荘吉は再度、左手でマキシマムスロットを押す。
先程までのマキシマムのエネルギーが左手に移る。
(マズイ回避しないと!?)
攻撃を避けようとする霧彦だったが突如、脱力感に襲われ元のナスカドーパントへと戻ってしまう。
「くっ!?もう時間切れか。」
「どうやら、そっちの切り札も尽きたみたいだな。
強化が解けてもあの二人を覆っている檻が消えない所を見ると強化形態でのエネルギーを檻の生成に使ったから変身が早く解除されたのか。」
荘吉はそう分析しながら左手の拳を構え霧彦の首に狙いを定める。
「いくらドーパントになり身体が強化されても人体の急所が弱い事には変わりはない。
これで"終わり"だ。」
そう言って拳を振るおうとする荘吉の背後で縛られている娘の亜樹子が叫ぶ。
「もう止めてお父さん!!
そんな事したら霧彦さんが死んじゃう!」
だが、荘吉はその声を無視して拳を振るった。
「お父さん止めて!止まってよ!
誰か止めて!このままじゃ……ダメなのに……助けて……
"竜くん"。」
「うぉぉぉぉ!!」
亜樹子の願いに答える様に現れた仮面ライダーアクセル、照井 竜は背中のブースターを加速させエンジンブレードを突き出し両者の間に入り込むと二人を強引に引き剥がした。
その影響で照井のブーストメモリが荘吉の元へ逆にスカルメモリの照井の方へ転がる。
変身解除した両者は立ち上がると互いに見つめる。
「また会ったな。
流石は仮面ライダー……この風都を守りに来たか?」
「いや……違う。」
そう尋ねられた照井は荘吉の言葉を否定しながらスカルメモリを手に取る。
「ここに来たのは所長を……"亜樹子"を救う為だ。
俺はこれまで復讐の為に生きてきた。
そんな俺を変えてくれたのは貴方が育てた左とフィリップそして亜樹子だ。
復讐しか無かった俺の人生に未来を与えてくれたんだ。」
「その感謝の為に戦うか?」
「そうだった……これまでは
だが今は違う!!俺に出来た大切な存在を守りたい今はその為にこの力を使う。
俺は仮面ライダーだ……でも今は"照井竜として鳴海亜樹子を救う!"」
照井の覚悟を聞いた荘吉は顔を手で覆う。
「やはり……帽子が必要だったな。
お前の仮面ライダーとしての覚悟、そして照井 竜としての覚悟は確かに見せて貰った。
ならば今度はその
荘吉はブーストメモリを拾い照井に投げ渡す。
対する照井もスカルメモリを荘吉に投げ渡した。
照井はブーストメモリからアクセルメモリを取り出す。
前と違い今度は色を失う事は無く照井の心の様に赤く輝いている。
「亜樹子、もう少しだけ待っていてくれ。
時間は掛けない。」
「竜くん。」
照井は優しく告げると戦士の顔に戻る。
「SKULL」 「ACCEL」
両者、ドライバーにメモリを装填する。
「変……身!!」
「変身……」
解放されたメモリの力により2人の姿が変化していく。
風都を守る為に戦った二人の仮面ライダーが今一度、邂逅した。
アクセルは地面に突き刺さっていたエンジンブレードを引き抜くとスカルに向けて構える。
「さぁ!!………振り切るぜ。」
その声にスカルマグナムを構えながらスカルが答える。
「振り切れるならば振り切って見せろ。
この風都の亡霊からな。」
口火を切ったのはアクセルだった。
スカルに向けて全速力で走る。
スカルも銃を撃ちながら迎え撃つ。
アクセルはその弾丸をその身に受けながら接近するとエンジンブレードをスカルに向けて振り下ろした。
その攻撃をスカルマグナムを盾に受ける。
「うおぉぉぉ!!」
アクセルの覚悟が乗った一撃はスカルの身体を吹き飛ばした。
飛ばされたスカルは先程の一撃で破壊されたスカルマグナムを見つめながら言った。
「良い覚悟だ。
その一撃……冷たい髑髏の身体に響いたぞ。
だが、それだけじゃ退けないなっ!」
スカルは強く握った拳でアクセルの顔面を殴り付ける。
殴られたアクセルは一歩分、後退る。
それを受けたアクセルはエンジンブレードを地面に刺すとファイティングポーズを取った。
その姿を見てスカルは笑う。
「ふっ……その律義さまで翔太郎に合せなくても良いんだぞ?」
「貴方から認めて貰うにはこうするのが良いと思っただけです。
好みではありませんか?」
「まぁ、合理的ではないが……その方が"信用"は出来る。
さぁ来い、俺にお前という男を魅せてみろ。」
その言葉を合図にアクセルはスカルへと向かっていく。
拳に愛する者への想いを込めて……
そして、愛される者は愛する者の無事を祈るのだった。
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