もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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超越者の面々が寿命による滅びを受け入れていく中、遂に自分の番が来た。

身体が軽く感じ気を抜けば意識を失いそうになる。
(成る程……これが……死か………)

私は死の間際まで計画の為に力を使った。
大元の錬金術は出来た。
後は人類の刻む歴史がこの力を進化させてくれるはずだ。

後は復活した時に必要な物を準備するだけだ。

("永遠に滅びず寿命の概念が無い身体"
"超越者の精神を完璧に保存出来る媒体"
"魂を転送する道を作り上げる装置"
後は………)

「"我々の復活に利用出来る駒"……やれやれ死んでからの方が……仕事が……多い……とは」

体の限界を感じる。
もう力も使えない後は死ぬだけだろう。
大丈夫だ……バックアップは用意してある。

この死は一時的だ……だから笑え。
悲壮と絶望に染まった顔など私らしくない。

だからこそ、ここはさよならではなくこう言うべきだろう。

同胞よ……また会おう


そして、超越者としての私の肉体は滅び意識を失った。



W×OOO 25.人間と後悔

 

まるで嵐の様な応酬……そう形容しても遜色ない激闘をカザリとノブナガは繰り広げていた。

 

メモリとグリードの力を十全と使い行われる超高速戦闘。

それに対しノブナガはブレードアームとジェットレッグを展開し一つ一つの攻撃に対応していく。

 

カザリは両手の巨大化した爪を使い嵐の様な連撃を放ち、ノブナガはその攻撃を両手で構えた刀を使い反らし弾き又は反撃することで攻撃のタイミングを潰していた。

 

二人の周囲には互いの武器がぶつかった事で起こる火花や高速移動による風圧のみが残った。

 

"一度見た攻撃に対応出来る"ノブナガの能力は強力であったが逆に言えば初見の攻撃には対応出来ない。

それはカザリも分かっている。

だからこそ、カザリは初見の一撃による決着を狙いまたノブナガはその一撃が来る前にカザリを倒そうとしていた。

 

だが、この高速戦闘がノブナガの策の邪魔をした。

(高速戦闘故に手数で攻められん。

必然的に互いに一撃を持った離脱戦法となる。

しかし、困ったなこうなれば決め手が無いのは寧ろ此方じゃ。

刀も槍も一撃で決めきるにはイマイチ足りん。

 

かと言って"セルバースト"なる必殺技を放とうにもセルメダルを装填する時間がない。

はてさてどうしたものか……)

 

時間をかければ活路は見い出せるだろうがそんな余裕はない。

ならば多少無茶でも強引に攻めるしか無い。

 

「むん!」

 

ジェットレッグを使いカザリに向かっていく。

「安直な突進だね。

そんなんじゃやられちゃうよ。」

 

カザリは接近してきたノブナガの放った斬撃を回避すると反撃として爪の攻撃を行う。

その攻撃をノブナガはちゃんと見ながら躱した。

(上段から一撃、それに合わせて下段からのかち上げと見せかけたフェイントで本命はこの後の蹴りじゃな。

………仕方があるまい。)

 

ノブナガは爪の攻撃を全て弾きカザリが放った回し蹴りに向かいジェットレッグを使い加速する。

必然的にカザリのケリはノブナガの胸部に当たるが足が伸び切る前に当たった為、ダメージを少しだけ軽減出来た。

 

「うぐっ!?……ゼヤァ!!」

ノブナガは刀を手から離し片手でカザリの身体を掴む。

「何っ!?」

そして、残りの手でセルメダルをドライバーに装填する。

 

「Spear Arm」

 

すると、ノブナガの手から鋭い槍が現れその勢いでカザリの腹を貫く。

「ぐっ!?……」

「まだじゃあ!」

 

ノブナガは両手で槍を持ち肩に掛ける様に持ち上げた。

腹部を貫かれているカザリも上空に持ち上げられる。

そのままノブナガは両腕に力を込めて槍を地面に叩き付ける。

 

こんな所で負けてたまるかぁ!!

 

カザリは両手に風の力を纏わせると地面に向けて放った。

激突の瞬間にカザリの風が地面に激突した事で衝撃波が起こりノブナガは吹き飛びその勢いでカザリに刺さった槍も抜けて両者は地面に転がる。

 

「ハァ…ハァ…まさかあの一撃に合わせられるとは…もろに受けてしまったな。

この鎧も…限界か。」

ノブナガは火花を上げる自らの身体を見ながら立ち上がる。

 

対してカザリもお腹から溢れ出るセルメダルを片手で抑えながら爪をノブナガに向けている。

「本当に……厄介だね君は……僕達と同じ様に造られた存在の癖に……アルケに反抗しようとするんだからさ。」

「お主達とワシ等を一緒にするな。

我らは……"人間"だ。」

 

ノブナガの言葉を聞きカザリは笑う。

「ハハッ…それを本気で言ってるならお笑いだね。

僕達は欲望を依り代に造られた。

この身体には満たされる事の無い要望が常に渦巻いている。

"もっと…もっと"…その感情が止まることはない。」

「何が言いたい?」

 

ノブナガの問いにカザリは爪を構えながら答えた。

「人間とグリードの違いは"欲望にリミッター"を掛けられるかだ。

けど、ノブナガ……君にそれは無い。

天下統一?……ハハッ!そんな欲望を持って本気で叶えようとしている段階でもう君は人じゃないんだよ!」

 

嘲笑うカザリを見ながらノブナガはセルメダルを2枚装填し必殺の待機状態へ移行する。

 

「Cell Burst」」

 

ドライバーから発生したエネルギーが槍と足のジェットに充填されていく。

「確かに儂には天下統一の野望がある。

じゃが、それが目的ではない。

儂はそれを"達成した後の世界"が欲しいのじゃ

故にカザリ、お前がそれを妨げる障害と成りえるならば押し通る。」

 

両者が互いの武器を構える。

そして、刹那二人の位置が入れ替わり凄まじい斬撃音が響いた。

 

ノブナガのドライバーが火花を上げると変身解除され地面に片膝を付く。

そして、カザリは片膝をつくノブナガを見下ろしながら"折れた自分の爪"を見た。

 

「精々足掻くことだね。

まぁ、無駄だろうけど……グァ゙!?

 

その捨て台詞を残し限界を迎えたカザリは爆発する。

すると、石像のモノリス姿を変えその場から姿を消した。

残ったのは破損したドライバーを着けたノブナガだけ

「ハァハァ…待っていろキチョウ。

お前と…共に過ごせる過ごせる世界を…俺は創る。」

 

ノブナガは傷付いた体を無理やり起こすと先に行ったメンバーと合流する為、歩き始めるのだった。

 

 

時同じくしてガメルと戦っている仮面ライダーデーモンは苦戦を強いられていた。

暴れ回るガメルに無名は黒炎を纏わせた刀で斬り付ける。

 

無名の刀を受けたガメルの身体から黒炎が噴き上がる。

「グッ!?それ痛くて嫌いだ!

早く消えろぉぉ!」

 

ガメルは周囲の建物に手を触れるとそこからエネルギーを吸収し黒炎が吹き出た部分を肉体を構成するセルメダル事切り離した。

代わりに建物が消失するが消える度に新たな建物が現れる。

 

「黒炎を浴びせてもメモリの力で増幅したエネルギーを使って切り離せると言う訳ですか。」

「ゴチャゴチャうるさいぞ!

お前早く動けなくなれ。」

 

ガメルは地面を殴りつけ衝撃波を発生させる。

その瞬間、無名はガメルから距離を離そうとするが振動が身体を触れた時点で異変が起こった。

 

一瞬、身体が重く感じ動きに精細さが無くなる。

「くっ!?またこれですか。」

「喰らえっ!」

 

動きがのろくなった無名に向かってガメルは重力の力で強化された拳を振り抜く。

無名はギリギリのところで背後に展開した黒炎のゲートに逃げ込み回避した。

 

「また消えた。

うぅ、もっと真面目に戦えお前っ!?」

 

子供の様に地団駄を踏むガメルに警戒しながら無名は攻撃が掠り小さな煙を出している左肩を庇いながら刀を構えた。

(厄介過ぎる。

それに時間を掛ければ対応策が練れる辺りが嫌らしいですねアルケ。)

 

無名は戦いながら地球の本棚にアクセスしガメルに使われているメモリについて調べ上げた。 

"スロース"…怠惰の力を宿したこのメモリの能力は1つ目に周囲の有機物無機物問わず吸収する事でそれをエネルギーに変換する事、これによりガメルに黒炎の攻撃を当てても吸収したエネルギーで新たにセルメダルを生成し黒炎が付いたメダルを切り離しダメージを無効化した。

 

2つ目がさっきの攻撃だ。

対象の肉体と精神に怠惰によるデバフを付与させる。

ガメルは元々、コアメダルの力で重力と衝撃を操る能力を得ている。

その二つに怠惰のデバフが付与されているのだ。

 

(衝撃とはつまり音……音速で飛んでくる不可視の攻撃を対処出来なければまた隙が生まれる。

そこをガメルが追撃しそれを回避する為、黒炎のゲートを使う繰り返し……だがこのままじゃ先に負けるのは僕だ。)

 

無名はガメルと違いエネルギーを回復する手段がない。

黒炎を使えば使うほどエネルギーが減り変身を維持し続けるのが難しくなる。

そして、それは今の無名にとって致命的な事だった。

 

刀を握る無名の手から少ないが粒子が発生している。

門矢 士と常磐 ソウゴの助力で復活する事は出来たがそれはあくまで一時的の力に過ぎない。

残ったエネルギーを使えばそれだけ消滅までの時間が早まる事になる。

 

そして、時間を掛ければアルケの計画が完遂してしまう危険性もありそれが尚更、無名を焦らせる要因となっていた。

(そろそろ"僕の仕掛けた奥の手"(部下のメモリとドライバーの復活)が動いている頃だ。

アルケもまだ隠し玉を仕掛けている可能性がある。

やはり、エクストリームで決着をつけるしかない。)

 

地球の本棚に記録された力を引き出せればガメルに勝つ手段はある。

だが、エクストリームを使って身体が持つか?

 

粒子化が始まっている手を見つめながら無名は決断した。

無名は足に力を込めガメルに飛び込む。

「うおっ!?」

急な接近に驚いたガメルの動きが止まる。

 

そこを狙いガメルに足払いを仕掛ける。

だが、鈍重な身体故に重いガメルの重心をズラし転ばすには至らず耐えられてしまう。

 

ガメルは無名に拳による追撃を加えようとするがそれこそが無名の狙いだった。

振り降ろされる拳に合わせてまるでヘビの様に腕を絡みつけ右腕の関節を取る。

 

NEVERとの経験を経て学び取った近接格闘術を遺憾無く発揮した無名はそのままガメルの関節に自らの体重を加えながら倒れ込む。

 

倒れ込んだ先には地面に突き刺った刀形態のアームドライザーがあった。

そこにガメル腕を当てるように全体重で押し付けた。

すると、押し付けられたガメルの"右腕"が切断される。

 

「グアッ!?お前、良くもぉ!!

 

ガメルは腕を失った怒りから重力波を込めた左拳で無名に振り抜いた。

ガメルの拳は無名の左肩に直撃する。

骨が砕ける音と耐え難い激痛が無名を襲うが彼は気力で耐える。

(良し…後はエクストリームの力で残りの腕を落とせれば)

 

無名がエクストリームの力を解放させようとするとガメルの腕が急に止まる。

「お主を……ここで失う訳にはいかない。」

すると、ガメルの背後に現れたノブナガが彼の腕を掴み動きを止めていた。

「どうして?」」

「余計な事は考えるな……やれ!」

 

無名はその言葉に従いデーモンメモリをマキシマムスロットに装填し黒炎を纏った手刀をガメルの残った腕に向けて放った。

あらゆる事象を消滅させる力を持った黒炎はガメルの腕を構成するセルメダルのエネルギーを無効化し切断した。

 

両腕を失った事で腕を抑えていたノブナガは地面に倒れる。

「お前が邪魔をしたからかぁ」

 

ガメルは倒れているノブナガを踏みつけようとするがよろけて倒れてしまう。

「あれ?どうしたんだ俺……力が抜けていく……」

 

「貴方の使うスロースメモリは確かに強力な力を持っていますが弱点があります。

一つはメモリを使うと"体内のエネルギーが劇的に減少していく"。

その補填をする為に貴方の両腕にはエネルギーを吸収する器官が備わっていました。

2つ目はその"器官が両腕にしか無い"そして僕はあなたの両腕を切断した際、断面に黒炎を纏わせました。

 

黒炎の能力で両腕の再生が止められれば貴方がエネルギーを補給する手段はない。

後はスロースメモリが貴方に残ったエネルギーを吸い尽くすのを待てば良かった。

 

確かにアルケは貴方達グリードを強化出来るガイアメモリと言う力を与えたでしょう。

ですが、同時にそのせいで貴方達には本来存在すらしない弱点が出来てしまった。

 

それを理解していなかった故の敗北です。」

 

無名がそう説明しながらガメルを見た。

グリードの姿すら保てない程に消耗した身体は元のセルメダルとコアメダルだけの姿に戻りつつあり吸えるエネルギーを失ったスロースメモリはガメルの体内から排出された。

 

そして、勝負が決した事を伝える様にメモリは勝手に砕けるとガメルの身体を包みモノリスに変え姿を消すのだった。

無名は荒い呼吸を落ち着けながらメモリを抜き変身解除した。

 

左肩を抑えながら片膝をつく無名にノブナガは尋ねる。

「まだ命はありそうじゃな。」

「おかげさまで……でも意外でしたよ。

貴方が僕を助けようとするなんて」

 

そう言う無名にノブナガは懐から出したリバースドライバーを投げ渡した。

「お主を助けたのは……これの修理をさせる為じゃ……直せるか?」

「正直、ガイアメモリ以外のデバイスは専門外なんですがね。」

 

そう言いつつも無名は手に取ったリバースドライバーを見ていく。

「表面上の損傷は少ない……と言うことは内部か?」

 

無名は懐から十徳ナイフを取り出すと器用にリバースドライバーを分解し内部パーツを露出させる。

「見事な手際だな。」

「専門外ではありますが僕にはこのドライバーの"説明書"(地球の本棚)がありますから問題ありません。

それにここで貴方という戦力が欠けてしまう方が問題だと判断しただけです。」

 

大量の配線をいじりながら無名は尋ねた。

「ノブナガ、貴方はどうして天下統一を求めるのですか?」

「戦国の世を生きた我だからこそ分かる事がある。

真に民草を思うならば力によって……」

 

「それは"本心"じゃない。

確かに戦国時代を生きた武将、織田信長としてその答えが真実なのでしょう。

ですが、貴方はアルケの力でホムンクルスとして蘇った。

妻である濃姫……"帰蝶"や貴方を裏切った明智光秀と同じ様に……」

そう告げるとノブナガは先程までと表情を変える。

 

「戦国時代と生きたノブナガと現代を生きるノブナガは本当に同じ考えなのですか?

もしそうならば何故、貴方はアルケと手を切ったのですか?」

「あやつは地球を消そうとした。

そんな事をされてはワシの天下統一の夢が叶わなくなる。」

 

「そうでしょうか?

天下統一だけを主軸に置くならばアルケと協力関係を結んでいた方がより確実に行えます。

なんたって地球の記憶に干渉できる力を持っているのですから

ですが、貴方はアルケと敵対する道を選んだ。」

「回りくどい……何が言いたい?」

 

「貴方が、天下統一よりも欲する何かの正体……

僕は、それを知りたい。」

ノブナガは無名の瞳を見て溜息を一つ付くと地面に腰を下ろした。

「良いだろう。

どうせ、そのドライバーが直るまでは動けん。

それにお主にならば話しても良いだろう。」

 

 

そう言ってノブナガは話し始めた。

彼が生きた戦国時代と言う世界での"後悔の過去"を……

外伝 続編の投稿に関して

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