もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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アルケが消滅した事を感じたロノスは悲しみの表情を浮かべた。
「あぁ……また逝ったか。
やっぱり馴れないな…仲間が僕を残して去っていくのは」

見た目には出さないがロノスもタナハやゴエティア、アルケ達と同じく同胞を大切にしていた。

消えていく仲間がいるのに見ている事しか出来ない自分に怒りと失望感を抱いていた。

だからと言ってロノスは立ち止まる訳には行かない。
「時空間の力を司る僕だからこそ出来る事がある。
今の僕の力をそのまま"未来"に転送させる。
そこで復活する仲間を助ける存在になる。
相当無茶な時空間移動だ……きっと、僕の精神もただではすまない。
でも、僕一人の命で他の皆が救えるのならやる価値はある。」


ロノスは力を解放し空間を広げる。
「この地球がどんな未来を辿るのかは分からない。
超越者の力が混ざり合った世界だ。
一体、どんな結果と結末が訪れるのかな?」

ロノスは開いた時空間の中に飛び込む。
そこで無数の"過去、現在、未来、希望、絶望、誕生、滅亡"を観測した。
そして、時空間を通り抜けた先にあったのは辺り一面、砂漠しかない空間だった。

ロノスは砂漠の砂に触れる。
普通の砂と違い触れた砂はまるで存在を拒否された様に消失する。
ここは仮面ライダー電王で登場した"時の砂漠"と呼ばれる空間で記憶が砂となり一面を覆っているのだ。

「ふぅん……まぁ、簡単に地球に行けるとは思ってなかったけどここかぁ。
やっぱりこの力を持った状態じゃ地球に干渉するのは無理か。
でも、記憶に満たされているこの空間なら僕の寿命も遅れさせられそうだな。
でも、ここにいても何も出来なさそうだし……良し、手近に使えるそうな奴はいるかな?」

ロノスは人差し指と親指で輪っかを作りその中を片目で覗く。
ロノスの能力により多数の次元に存在する平行世界を観察し一つの世界に狙いを定めた。
「先ずはこの世界に自由に動ける組織を作ろう。
目的は長く継続出来る感じが良いなぁ……世界征服とかそんな感じにするか。
名前は取り敢えず…………」


「"財団"で」


W×OOO 26.追憶と錬金

 

二つの都市で激闘が繰り広げられる中、クスクシエでも蘇った怪人が暴れていた。

しかし、暴れる怪人はクスクシエの店内に入る事は出来ない。

何故ならば………

 

「ブレン!!敵がそっちに行ったぞ!」

「見えていますハート。

あっメディック、そこの敵を縛り上げてハートの方に」

「承知しましたわ……ハート様っ!」

 

ブレンは毒液で怪人達を固めメディックが縛り上げるとハートに向けて怪人の塊を投げ渡した。

 

「うらぁ!!」

 

それをハートは振り被った拳を振るい他の怪人に向けて殴りつけて飛ばした。

 

吹き飛ばされた怪人の塊は敵にぶつかると大きな爆発を起こした。

「凄い爆発だったな。」

「可燃性の毒で怪人を固めたのです。

これだけ数が多いのならば一人一人倒すより纏めて片付ける方が効率的……特に再生する敵を相手にするならばなるべく此方も体力を使わない方が良いですからねぇ。」

 

そう言いながらブレンが爆発した地点を見つめると金色の光と時計の紋章が現れ倒した筈の怪人が復活していった。

「全くキリが無いな。

このままでは先に此方の体力が尽きるぞ。」

「店内の方はどうですかメディック?」

 

ブレンの問いにメディックは答える。

「逃げ遅れた人達を知世子さん達が主導となって店内に匿っておりますわ。

他にもドクター真木が持ってきた"カンドロイド"と言うデバイスが近付いてくる怪人を防いでいます。」

「ですがそれでも襲ってくる怪人は防げないでしょう?」

 

「そこは比奈さんが……」

そんな話をしているとガシャン!ガシャン!と言う音を鳴らしながらヘルメットを被った比奈が三人の前に現れた。

 

「あっ!皆さん、クスクシエを守ってくれてたんですね。」

その姿を見た三人(メディックは口を押さえ驚愕している)は絶句していた。

恐る恐るブレンが尋ねる。

 

「えっと……泉 比奈さんでしたよね……その担いでいる物は?」

「近くの工事現場から借りてきました。

私も自分の出来る事でこの店を守りたいですから」

 

比奈が背負っていたのは大量の鉄パイプだった。

バラバラにならない様にワイヤーで縛られているがその量はどう見ても普通の人間が持てる重さを超えていた。

 

「すまないが比奈さん……貴女はこれを使ってどうする気だ?」

引きながら尋ねるハートに比奈は答える。

「私にはあの怪人と"戦える強さ"はありません」

「「「!?」」」

 

「でも遠くから物を投げるくらいなら出来ます!

映司君やアンクだって頑張ってるんだから私だって……」

 

比奈はそう言うと一本の鉄パイプを引き抜き空にいる怪人に向けてハンマー投げの様に回転し始めた。

「ふんにゅ~~……おりゃあぁ!!」

 

そして、思いっきり比奈は鉄パイプを敵に向けて投げつけた。

凄まじい速度で回転しながら鉄パイプが飛んでいく。

 

ガコン!!

 

回転にかかった鉄パイプが怪人に当たると他の怪人を巻き込みながら地面に落下した。

比奈はガッツポーズをしながら三人に目を向ける。 

 

「ね!」

「え?」「は?」「ん?」

 

絶句していた三人は笑顔を向けてくる比奈に背を向けて小声で話し始める。

 

「ブッ…ブレン、一応聞くが普通の人間は鉄パイプを投げて怪人を撃ち落とせるのか?」

「ハート、正気に戻ってください。

普通の人間どころかロイミュードでもあんな芸当出来る奴、少ないですよ。

何ですか本当に人間ですか。

「ちょっとブレン、女性に対してその物言いは失礼ですよ。」

 

「じゃあ、メディックはあの姿を見て驚かなかったのですか?」

「確かに比奈さんから"戦える道具集めてきます"と言われてあの鉄パイプをみた時は驚きましたが無名の様な人間もいるのですから比奈さんみたいな人がいてもおかしくないでしょう」

「文字通り、あんな悪魔が何人もいてたまるかとは思ってしまうが

無名を引き合いに出されると説得力があるな。」

「ちょっ!?ハート、丸め込まれないでください。」

 

「三人とも何を話しているんですか?」

「いえ何も無いです(わ)!!」

 

比奈を前に3体のロイミュードは背筋を正しながら返答する。

その姿に疑問を覚えながらも比奈は両手に鉄パイプを持った。

 

「私が空にいる怪人をこれで落としますから皆さんは地面の奴等をお願いします。ふんにゅ~~!!

 

そう言って次々と空中にいる怪人を叩き落とす比奈の姿を見ながらロイミュード達は思考を止めて一心不乱に地面にいる怪人を倒していった。

 

そして、店内では知世子とキチョウが怪我をした人の治療や炊き出しを行っていた。

2階では真木がパソコンとタブレットを同時操作し上空にいるカンドロイドを制御していた。

 

キチョウは怪我をしている人を見る度に心が締め付けられる様に痛む。

(民が苦しんでいる……これじゃあ戦国時代と同じじゃない。)

 

彼女の頭の中には怪我を治療する足軽や信長に仕えた武将がボロボロになりながら城に帰ってくる姿が何度もフラッシュバックする。

(民?……城?……私は一体……何者なの?)

 

答えの出ない自問が心の中で渦巻いている。

すると、彼女はあの時の光景を思い出した。

車に轢かれそうになった所を助け手を差し伸べてくれたノブナガと言う男。

その姿とキチョウの過去の記憶が合致する。

すると!モヤのかかった風景が鮮明になり甲冑を着た信長の顔が彼女の記憶に蘇ってきた。

 

(あぁ、全て思い出した。

お館様は何処にいるのかしら?

きっとあの方は私とした"約束"を守ろうとしておられる。

彼に会わないと………)

 

キチョウは胸に手を当て祈る。

(どうか……私に……力を…)

その願いが通じたのかはたまた誰かからの差し金か金色の光が手の中で起こる。

手を開くと中には1枚のセルメダルが入っていた。

 

「今行きます。」

キチョウはセルメダルを握りながらクスクシエの扉を開けた。

「あっ!?キチョウちゃん、外は危険よ!」

 

知世子の言葉を無視して外に出るとそこには怪人と戦うロイミュードと比奈の姿があった。

「えっ?キチョウさんどうして外に?」

「私も戦います。」

 

「そんな無茶です。

記憶だって戻ってないのに……」

「思い出しました……全てを」

 

「え?」

「私とアケチはノブナガ様を蘇らせる特典の様な物でした。

そして、私達三人にアルケは自分を復活させるキーとなるコアメダルを埋め込んだ。

その力で私は暴走し……コアメダルを抜かれた影響で記憶を失いました。

ノブナガ様は私との約束を叶えようとしている。

でも、それではこの地球は救えないしアルケの野望も止められない。」

 

そう話すキチョウに戦いながらハートが尋ねる。

「どう言うことだ?

アルケの狙いは一体何なんだ?」

「彼は同胞である超越者を蘇らせようとしています。

しかし、あの装置では精神は生き返っても肉体は滅びてしまう。

時間を逆行させているので最後の滅びも残っている。

つまりはこのままでは超越者の消滅は避けられない。

それを解決する方法が……彼の作り出した"錬金術"。」

 

「錬金術ですって?」

「そう……彼は人類に自らの復活のキーを託した。

彼の作り出した錬金術は時の流れと共に洗練されあらゆる力を生み出した。

彼はその術を使って……」

続きを話そうとすると急に上空にいた怪人がキチョウに向けて光弾を放ってきた。

 

「くっ!?計画をバラそうとする私を止めたいのね。

でも、私にだって力はある。」

キチョウはセルメダルを胸に向けて投げる。

チャリン!と言う音ともにメダルが入ると彼女の身体が変化する。

女性のフォルムをした蠍の意匠をした鎧の怪人が現れた。

怪人になったキチョウが指を弾くと光弾が姿を消し放った怪人が爆発した。

 

「何がどうなっているんだ?」

ハートの疑問にブレンが答える。

「これは……まさか、"空間"を捻じ曲げたのか?」

「どう言うことだブレン?」

 

「簡単に言えば光弾の放たれた空間を切り取り怪人のいる空間に貼り付けた。

一種のテレポーテーションを行ったのです。」

そう分析しているとキチョウが話す。

「私はアルケの野望を止めに行きます。

迷惑をかけて本当にすいません。

でも、信じてください。

私は人類を救いますから……」

 

そう言うとキチョウはまた指を弾き姿を消した。

 

 

 

 

クスクシエでの戦闘を玉座に座りながら見ていたアルケは笑う。

「まさか、この土壇場になって記憶が戻るとはこれだから人間は面白い。」

笑うアルケを見たアケチが尋ねる。

「宜しいのですか?

キチョウ様には貴方の託した力が残されている。

ここでの裏切りは計画に支障をきたすのでは?」

 

「問題ない。

そもそも、お前等に渡した力は厳密に言えば私だけの力ではない。

大昔に取引をした同胞から譲り受けた力の一部だからな。」

「同胞の力ですか。」

 

「あぁ、ノブナガに与えたのは"経験の時間操作"。

これより奴は一度食らった攻撃を一瞬で学習し理解できる。

キチョウに与えたのは"空間操作"。

切り取った空間を好きに貼り付けられるが強力過ぎる力は人間の状態では振るえない。

お前にも力を与えただろう?」

「えぇ、ですが一度使うと疲労が凄いんですよ。

何度も多用は出来ませんね。」

 

「当然だ。

だがその分三人と比べても一際、強力な力だ。

文句はないだろう。」

「そうですね。

感謝していますよこの力があれば私の願いは叶う。

それよりも私との約束は果たして貰えるのでしょうね?」

 

「勿論だ。

計画が成功した折には君を"超越者にしてやる"。

約束を破る気はない。

その為の錬金術だからな。」

「安心しました。

それで次はどうします?

貴方が招いたとは言え仮面ライダー達も此方に近付いて来ています。

モノリスにしたグリードの力で装置の出力は強化されましたが街を守る様に現れた仮面ライダーの手によって倒され続けています。

肝心の風都タワーにも妨害の手が伸びている。

悠長に構えている場合では無いのではありませんか?」

 

「まぁ、そうだな。

ウヴァに続きカザリやガメルがやられ肝心のタワーも妨害の戦力がいる。

流石は同胞の残した子供(無名)だ優秀じゃないか。

普通の敵や組織ならば焦って潰しにかかるだろうが………問題はない。

滅びの時が少し伸びるだけだ結末は変わらない。

 

それに希望と言う感情は純度が高く強い欲望だ。

私のメモリとの相性も良いからこそ残しておきたかった……がこれ以上、足掻かれるのも少し癪だな。

良いだろう計画を"前倒し"して奴等には絶望を味わって貰う。

アケチ……"マゴニア"の錬金を始める。

"奴"を連れてこい。」

「はっ……」

 

アケチはそう言って暗闇に消えると直ぐ一人の男を連れてきた。

全身白い服を着た男はアルケを前で止まり傅く。

「アルケ様……ご用命と聞き参上しました。」

「マゴニアの錬金を行う。

その為にお前には動いて貰うやり方は分かっているな?」

 

「はい私のメモリの力があれば容易い事でございます。

その後は計画通りに?」

「あぁ、マゴニアを陣の中心に置き術を発動させる。」

「仮面ライダーによる妨害の可能性は?」

 

「無名が呼び寄せたライダーが街に溢れているが問題はない。

守りにアケチを付ける奴の能力ならばマゴニアに近付けさせることは無いだろう。

オーズやW、無名等の主要なライダーは皆、足止めを加えているから間に合う確率はゼロだ。」

「では此方は悠々自適に計画を進められると?」

 

「あるとすればキチョウ……空間移動の能力を持つ怪人が邪魔をするかもしれないが問題は無いだろう。

分かっているとは思うが失敗は許されない。

少しでもミスやましてや反意を感じればどんな末路を辿るかは理解しているだろう?」

「勿論です。

蘇らせてくださったアルケ様に反意を持つなどあり得ません。

私の願いは私を殺したあの三人の仮面ライダーに復讐です。

"仮面ライダーW"と"仮面ライダーエターナル"……

それに"仮面ライダーデーモン"。

アイツらが私の計画の邪魔をした。

許せない……アイツらに絶望と苦痛に満ちた死を!!」

 

「それは君の働き次第だ。

どちらにしてもマゴニアを召喚出来れば君のメモリの力で最強のドーパントが生まれる。

そうなれば君が直々に仮面ライダーと決着をつければ良い。

さぁ、準備を始めろ"キース·アンダーソン"。

この物語の終止符を打つのは君だ。」

「お任せください。」

 

そう言うとキースは部屋を出ていく。

「じゃあ、私もこれで……こちらの約束もお忘れなくアルケ様。」

「勿論、君の働きにも同じく期待しているよアケチ。」

そうしてアケチも部屋を出ていく。

 

アルケの目には最後の障害として用意した部屋に入ってくる"映司とアンク、翔太郎とフィリップ、伊達"の姿が映った。

「もうここまで来たか。

流石は仮面ライダーだ……さて、私も準備を始めよう。

勇者が魔王の城に現れるのだ。

それ相応の出迎えをしなければな……"メズール"。」

 

アルケがそう呼ぶと彼の近くに水の竜巻が現れ怪人化したメズールが現れる。

「はい、アルケ様。

私は仮面ライダーの相手をしましょうか?」

「いいや、お前の能力は貴重だ。

お前がやられれば洗脳している奴等が元に戻る。

まぁ、それも含めて計画に入れているが用心の為だ隠れていろ。

お前のメモリは強力だがこれだけの人数を洗脳しているが故にメモリを排出させられない。

毒素の影響を私の力で無効化しているから問題はないが私の側から離すのは危険だ。

だから、少し仕掛けを施す。」

 

アルケは空間に手を翳しながら文言を唱える。

 

下にあるものは上にあるもののごとく

上にあるものは下にあるもののごとく

ただ一つたる奇跡をなさん

 

その瞬間、空間を構築していた原子が分解され別の何かに再構築されていく。

「錬金術の基本は物質を分解し原子状態に変化させ他の物へ作り変える。

その変換に科学か魔法かまた別の力を利用する事で錬金術は進化してきた。

これは一つの変化が生み出した技術……いや"ケミストリー"だ。」

 

アルケは変化した物質に触れる

 

黒色(こくしょく)……染まれ

 

すると、物質が黒く変化し周囲へ飛散した。

飛散した物質は広がり黒く硬質な物に変わるとそれぞれ柱や壁に変化していく。

そして、黒い物質はメズールの身体を包むと柱の一つに姿を変えた。

時空逆行を行っている装置にも黒い物質が付着すると装置を守るように壁となり展開され変化した物質は巨大な建物へと姿を変えその中心に新たな玉座が出来上がる。

 

それはこれまでの様な豪華絢爛の玉座ではなく黒く質素な玉座であった。

アルケはそこに座り扉を開けてくる仮面ライダー達を待つのであった。

 

外伝 続編の投稿に関して

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